プログラム概要

プログラム概要

東京 公立 単元開発 2023年度

八王子市立恩方中学校

「下水処理と微生物」をテーマに教科カリキュラムに組込んだ海洋教育の単元開発 ~GIGAスクール構想下で進めるオンライン授業による海洋教育プログラムの教員研修システムの構築~

実施単元

1. 生物の体のつくりとはたらき
イカの解剖による無脊椎動物の理解と漁業、食材としての利用を学ぶ[第2学年](理科)
2.自然と人間
下水処理場の微生物(プランクトン)を使った環境管理の学び[第3学年](理科)

取り組みの概要

1.地域との連携作り(前期)
最初に、地域連携と職員研修を兼ねた2回の研修会を開催した。1回目(7月)は、海洋教育の概要説明と、海と山間部のこの地域環境との繋がりについて、明星大学の和田教授による講演会を実施した。2回目(8月)は、生徒のイカ解剖実習に向けて、地域の方々や明星大学の学生や職員、本校教育を実習指導支援者として活動してもらうための大人の解剖実習研修を実施した。能登里海教育研究所の浦田教授にリモートで解剖の手順を実践形式で指導していただいた。実習後の質疑応答では、地域の方や職員からは熱心な意見や質問が出た。地域社会の方々とともに、海洋と山間部との環境の繋がりについて研修を深めることができた。

2.【開発教材】イカの解剖による無脊椎動物の理解と漁業、食材としての利用を学ぶ(9月)
(単元)生物の体のつくりとはたらき(第2学年)

カの解剖は定番の観察実習であったが、オンライン型授業による解剖実習が実施し、「観察、実験などを行い、科学的に探究する力を養う」オンライン型指導の模範的範例となるようにした。1時間目は能登里海教育研究所の浦田先生のリモート講演を実施した。2時間目は浦田先生、地域の方や他教員の支援を受けながら、理科室でイカの解剖授業を教員が実施。イカは調理にも使われ、教員研修で扱う場合も取り組みやすい教材であった。実物の動物の解剖は、生徒の関心意欲を大いに高め、体のつくりを手の感触も使いながら、生命を維持する各器官に触れながら探究的に授業を進めることができた。

3.【開発教材】下水処理場の微生物(プランクトン)を使った環境管理の学び(3月)
(単元)自然と人間(第3学年)

1時間目は明星大学の岩見教授による「下水処理場のプランクトン」の講演。2時間目のプランクトン観察実習では、観察を通して、水質の汚染度が科学的データにより可視化し、プランクトンや微生物が環境へ与える影響と果たす役割を考察した。1年次の初期に微生物の観察は実施したが、この単元で環境について学んでいる中で、下水処理のプランクトンを観察を導入することは、アンケート結果を見ても、人間と自然の関係をより深く考察する力が向上したと考えられる。

4.学習効果
今後の海洋教育の普及には、教科単元に落とし込むことで学習時間の確保が必修となる一方、学校現場における学習では、対面授業の実施が不可能になる状況に不定期に直面すると思われる。本プログラムにより開発された教材の活用により、柔軟にオンライン授業においても海洋教育の内容を教科教育に位置付けて実施し、普及を図ることが可能となるとともに、教員研修に海洋教育を組み込むことで合科的普及を企画することができた。

生徒への学習効果としては、理科の観察実験や美術に連動した学びを実施することで、楽しい経験知の習得が図れ、さらに環境と結びついたSDGsへの発展的な内容として海洋教育を学べた。

学校からはSDGsプログラムに海洋教育を位置づけ、GIGAスクール構想の特別授業として地域の方々との連携につなげることができた。

5.指導協力など
以下の専門家の方々の協力により、授業の進行、教材及びその説明資料の準備を図ることができた。

指導協力:明星大学 準教授 岩見 徳雄 先生
指導協力:一般社団法人 能登里海教育研究所 主幹研究員 浦田 慎 先生
企画指導:明星大学 特任教授 和田薫 先生には全体のコーディネートを担当していただいた。

教員研修及び大学生のインタープリターによる観察実習の指導を実施できた。

授業内容は学会等で発表するとともに、授業成果は明星大学の紀要に論文掲載し、教科書会社のSDGsプログラム授業として紹介する予定である。

提出物

学習内容報告書「生物の体のつくりとはたらき:イカの解剖による無脊椎動物の理解と漁業、食材としての利用を学ぶ」 PDF形式(700KB)

学習内容報告書「自然と人間 :下水処理場の微生物(プランクトン)を使った環境管理の学び」 PDF形式(554KB)

補足資料「イカの解剖アンケート結果」 PDF形式(1,046KB)

補足資料「微生物実習アンケート結果」 PDF形式(394KB)

補足資料「年間指導計画2年及び3年」 PDF形式(455KB)

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