プログラム概要

プログラム概要

北海道 教育委員会 地域展開 2023年度

羅臼町教育委員会

知床学(海洋教育)「地域の海を守るために私たちができること」

活動参加校

提出物

実践記録集「海洋教育パイオニアスクールプログラム 2023年度 実践記録集」 PDF形式(12,918KB)

教育委員会の取り組みの概要

1 助成終了後の継続的な実施のための環境整備の状況
助成終了後の継続的実施のため、町と協議を進めている。

2 学校間の連携推進状況
推進協議会において、小中高の繋がりある教育課程の見直しを進めた。また、将来の統合に向けた小学校2校の教育課程の見直しの協議を進めた。

3 参加校の合同発表会の開催内容
令和5年12月8日に、羅臼町立知床未来中学校において、「第12回海洋教育成果発表会(ユネスコスクール研究発表会)」を開催した。インフルエンザのため学校閉鎖となった羅臼高校以外の、2幼稚園、2小学校、1中学校が、それぞれの取組について発表・交流した。また、4年ぶりに、地域住民にも公開した。

4 教員を対象とした海洋教育に関する研修の実施内容
令和5年4月26日の羅臼町幼小中高一貫教育推進協議会全体会時に、羅臼町教育委員会横澤教育指導主幹による前年度改訂した羅臼町副読本「知床学」の改訂の経緯や、活用にあたっての研修を実施した。

令和5年7月21日に、NPO法人黒潮実感センター長の神田優氏による出前授業を、知床未来中学校で実施し、黒潮実感センターの取組について、全校生徒、全教職員が理解を深めた。

令和5年7月26日に、町内全幼小中高教員を対象とした北海道教育大学名誉教授大津和子氏によるESD研修会を実施し、学習指導案の分析を行った。

5 副読本の作成状況や活用状況
羅臼小学校においては、3・4・6学年、羅臼高校については1学年、春松小学校と知床未来中学校においては前期分に、副読本「知床学」を位置付けた指導計画を作成した。

6 地域版海洋教育リテラシーの理解・普及の促進状況
昨年度作成した羅臼町副読本「知床学」を町のホームページにアップするとともに、町の広報誌でも情報提供を行った。

7 その他教育委員会としての取組
(1)屋久島訪問
[1] 屋久島宮浦小学校との交流会
令和6年1月12日から15日に、羅臼小学校・春松小学校、知床未来中学校、羅臼高校の代表1名、各校引率者及び教育委員会職員で、鹿児島県屋久島を訪問し、パイオニアスクールプログラム屋久島交流会を実施した。

交流会は、屋久島からは、次年度パイオニアスクールプログラムに参加申請をしている屋久島町立宮浦小学校のみの参加であったが、海洋教育で学んだ成果を交流した。

世界自然遺産登録地域同士の交流となり、南北での海の植生の違いや生物の違い、気候の違い、海洋ゴミの違い等を直に学習する機会となり、非常に有意義な交流となった。

[2] 屋久島うみがめ館見学
屋久島は、国内最大のアカウミガメの産卵地であり、毎年国内に上陸するウミガメの約半数が屋久島で産卵を行います。また、国内では屋久島はアオウミガメの産卵の北限である。

屋久島うみがめ館を訪問し、羅臼には生息していないウミガメの生態について、写真パネルや剥製等を見学し、その生態を知るとともに、ウミガメ調査研究の成果と環境保存活動の重要性について学んだ。

[3] 屋久島環境文化研修センターでの研修
屋久島環境文化研修センターを訪問し、屋久島の成り立ちや歴史、生息する動植物などについてレクチャーを受けるとともに、実際に海辺へ行き、タイドプールの観察を通して、屋久島の海の生物の種類や特性と、羅臼の海の生物との違いについて学んだ。

[4] 屋久島交流発表会の開催
屋久島での研修の成果の発表会を、令和6年2月7日に知床未来中学校、15日に羅臼小学校、22日に春松小学校、3月8日に羅臼高校で開催した。それぞれの学校で当該校の交流会参加者が、プレゼンテーション形式で、各校の児童生徒に屋久島での学びを報告した。

とくに、春松小学校では、保護者や町議会議員、町職員を招いての発表となった。

(2)西表島上原小学校、徳之島山小学校とのオンライン交流
令和6年2月5日に西表島上原小学校と春松小学校、2月8日には徳之島山小学校と羅臼小学校とのオンライン交流授業が行われた。西表島上原小学校と春松小学校は3年連続、徳之島山小学校と羅臼小学校は初めての交流となった。西表島と徳之島も知床と同じく世界自然遺産に登録されており、日本の最北端と最南端の世界自然遺産地域の交流で、北と南の地域による様々な違いはもとより、気候が海の影響を受けていることなど、共通点にも気づくことができた有意義な交流となった。

ユネスコスクール発表会
黒潮実感センター神田先生
宮浦小学校との交流会
ウミガメ館
タイドプール観察
屋久島交流会報告(春松小)
羅臼小学校と徳之島山小学校との交流

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羅臼町立羅臼小学校

実施単元

1.きせつとともだち(はる・なつ・あき・ふゆ)[1年](生活科)
2.まちが大すきたんけん隊(漁協・市場・海鮮工房)めざせ生きものはかせ [2年](生活科)
3.「羅臼の生き物を伝えよう」[3年](知床学)
4.「羅臼の漁業について調べよう」[4年](知床学)
5.「らうすこん部」活動報告~羅臼昆布のふるさとを語る~[5年](知床学)
6.「羅臼の良さをアピールしよう」[6年](知床学)

取り組みの概要

私たちの学校は山・川・海が結びついた大自然、世界自然遺産の知床にあり、総合的な学習の時間の中で「知床学(海洋学)」として自然に関することやふるさと羅臼に関する様々な学習を行ってきた。今年度も、これまでの取組を継承しつつ、各学年の単元内で適宜活動の見直しを取り入れながら学習を進めた。

第1・2学年では、幼稚園からの学びをつなぎ、地域の自然や仕事について活動を通して学んでいる。特に第2学年では漁協・地域住民から鮭の生態や稚魚への餌やり体験・稚魚放流式などの直接体験を積極的に行っている。また、昨年度から秋サケの羅臼川回帰の様子をCSコーディネーターからの案内で、羅臼川で見学し、国語の教科書で学んだ鮭の生態について更に深く広く学ぶ機会を設けている。この学びがきっかけとなり、羅臼の自然の豊かさや地域の方の行動から「ふるさと羅臼」に対する思いを強くもつことができ、4年生での漁業学習や5年生での昆布学習に繋げることができている。

3・4学年では、地域の自然や産業について自ら課題を設定し、地域の方へのインタビューや本・インターネットを活用した調べ学習を行い、課題を解決した。特に第3学年が行う生き物調べの学習では、大自然知床に生息する様々な動物について学びを深めた。羅臼川の自然散策から、体験活動を通じて自主課題を設定し、探究活動に繋げていった。又、知床財団職員の方の講話(クマ学習)やインタビュー、町が作成した副読本の活用から海や山の羅臼の生き物図鑑を作成した。第4学年では、羅臼川探検の体験活動を通じて、海を豊かにするには、川がきれいなことが大切なことに気付き、川の水質検査を行った。本当に自分達の川がきれいなのか比較するため、2年前から交流のある東京・大阪の学校近くの川の水質を比較実験することも行った。また、羅臼の漁業について探究活動を行い、漁業青年部の協力でホッケ料理体験も行った。この学びでは、自ら課題を設定し解決する力を伸ばすだけでなく、様々な人との対話を通じてコミュニケーション能力の基礎を育むことができた。また、地元の清流と都会の河川の違いにも着目し、より羅臼の自然や海の豊かさを感じるきっかけをつくることができた。

第5学年では、羅臼昆布を題材として地域の産業について学ぶ学習を行った。今年度は、新たに宿泊学習を学校泊に変更し、CSコーディネーターや羅臼漁協の協力を得て、昆布番屋で直接体験を行う機会を設けることができた。例年行っている「昆布漁師による講話」や「昆布のひれ刈り体験」などに加え、ふるさと羅臼でしか体験できない学びを数多く行うことができた。体験活動から生まれた疑問や課題をもとに6つのテーマ(自然環境・おいしさ・昆布文化・歴史・支える人々・未来)に分かれて探究活動を行った。探究活動の成果は、12月に行われたユネスコスクール発表会の中で「らうすこん部活動報告」として発表した。この学習を通じ、地域住民の郷土を大切にしている考えに直接触れ、改めて「羅臼の海のすばらしさや地域の人たちが守ってきた海や産業を自分たちもしっかりと守りたい。」と児童が考えることができた。

第6学年は、2年前から始めたSNSの発信による「羅臼の良さをピーアルしよう」をテーマに学習を継続的に進めた。海を含めた自然の豊かさや地域の魅力ある人・物・自然を再確認し、ふるさとを多角的に捉えて、様々な人々に伝えることを通して学びを深めた。昨年度完成した副読本も活用し、羅臼の良さを学ぶと共に、これからの羅臼の将来について考える学びも展開した。これまで知床学で学んだ方々にインタビューも行い、地域の良さを再確認する活動と同時に、羅臼の環境を守ることにも着目し、環境を守る活動としてゴミ拾い活動を自主的に行うことにも学習は広がりを見せた。また、漁協女性部との共同による「羅臼の郷土料理体験」も引き続き行い、地域の食文化にも触れることができた。

そして、今年度は、特別にNPO法人黒潮実感センターの神田氏による「漁業とレジャーの共存」をテーマに4~6年生が講演を聴き、羅臼の漁業の将来について深く考える機会を設けることができた。海洋教育の専門家の講話を聴き対話をするきっかけをもつことで、児童の羅臼の海への理解が更に広がることとなった。

このような地域の人・物・自然から直接体験を通じて本物を学ぶことを、6年間を通じて系統的に構成することで、児童がこれからの社会を生き抜くために必要な力やふるさとを愛する気持ちを高めることができた。

ほっけ写真
こんぶ番屋体験
黒潮実感センター写真
ほっけ写真
こんぶ番屋体験
黒潮実感センター写真
ほっけ写真
こんぶ番屋体験
黒潮実感センター写真
ほっけ写真
こんぶ番屋体験
黒潮実感センター写真

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羅臼町立春松小学校

実施単元

1.きせつといきものとのなかよし[1年](知床学)
2.さけが大きくなるまで[2年](知床学)
3.発見!羅臼の良いとこすごいとこ[3年](知床学)
4.羅臼のいいとこ再発見![4年](知床学)
5.知床の自然を守る~意見文を書こう![5年](知床学)
6.より良い町づくり~わたしたちができること[6年](知床学)

取り組みの概要

本校は、世界自然遺産に登録された知床半島に立地し、海を含め豊かな自然に囲まれた環境のもと教育活動を展開した。特に、「知床学(海洋教育)」を中心として、総合的な学習の時間や生活科と関連付けた教科横断的な指導計画に基づき、豊かな自然、動植物、水産業、海を活用した観光など郷土の特性を学ぶ教育活動を行うことで、ふるさとに対しての誇りと愛着を育み,郷土の発展に役立つ社会人となるための資質・能力を育むことを目指し学習活動を実施した。

実施内容として、

■1・2年生 【知床学(海洋教育)「めざせいきものはかせ】
羅臼町郷土資料館周辺の前庭や裏山、前浜を活動場所として、実際に川に入って生き物を探したり、虫を捕まえたりするなどの活動を通して、羅臼町の動植物について考えたり、自然の素晴らしさや生命の大切さを学んだりする活動を実施した。

■2年生 【知床学(海洋教育)】
国語「さけがおおきくなるまで」と関連付けながら漁業関係者の協力を得て、サケの稚魚の餌まき体験や放流体験を通して豊かな海を持続する大切さについて学ぶ活動を実施した。

■3年生【知床学(海洋教育)「ふるさと探検隊】
羅臼町の基幹産業である「漁業の仕事」について調べる社会科の学習と関連付けながら、実際に働いている人にインタビューするなど情報収集の方法について学ぶ活動を実施した。

■4年生【知床学(海洋教育)「羅臼の魅力再発見」】
羅臼の魅力について話し合ったり、羅臼町の観光などに関する課題等を見つけたりしながら、自ら調べたいテーマを設定し、地域や観光客からアンケート調査などの学習を通して学んだことを羅臼の魅力としてユネスコスクール発表会で発信した。

■5年生【知床学(海洋教育)「自然とともに生きる」】
漁業協同組合、地元の漁業者などを講師に招き、昆布に関する学習、サケ(鮭)学習をロープワーク(漁の方法)などの体験学習を通して学ぶ活動を実施するとともに国語「自然とともに生きる」と関連付けながら知床の自然の価値を理解し、将来にわたり知床の自然の関わり方について考える学習を実施した。

■6年生【知床学(海洋教育)「自分の考えを発信しよう」】
漁師をはじめとした水産業はもとより、様々な職種の職業人を講師に招き、仕事に関する講話や児童との対話を通して、身のまわりの仕事や環境への関心を高める学習を実施した。

また、2月に行われた「全国海の学び発表交流会」や「まちづくり提案会」では、これまでの海洋教育で学んだことを踏まえ、これからの羅臼町発展に向けて、グループごとに自分たちの考えを保護者や地域の方々に発信した。

■5・6年生
【地域学習交流(沖縄県竹富町立上原小学校との交流)】
竹富町立上原小学校の5・6年生とオンラインで交流を行った。自分たちの住んでいるところの「産業」や「自然」などについて伝え合い、比較することでふるさと羅臼についての理解を深めた。成果と課題

多様な他者と児童が様々な体験を通じた学習を展開することにより、ふるさとをより深く理解し、羅臼町の魅力を再発見することができた。また、地域と自然のつながりを理解し、未来の羅臼町の町づくりについて提案することにより、郷土に対する誇りや愛着を持ち、さらには未来の羅臼の発展に貢献したいという心を育むことができた。

今後は、羅臼町の未来の発展にどのように関わっていくことができるのか、考えたことを実践につなげる取組が課題である。

稚魚放流
ユネスコスクール発表会
沖縄県上原小学校交流
稚魚放流
ユネスコスクール発表会
沖縄県上原小学校交流
稚魚放流
ユネスコスクール発表会
沖縄県上原小学校交流
稚魚放流
ユネスコスクール発表会
沖縄県上原小学校交流

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羅臼町立知床未来中学校

実施単元

1.クルージング体験[1年](海洋教育(知床学))
2.羅臼町と他地域の自然・文化の比較[2年](海洋教育(知床学))
3.羅臼町PRパンフレットの作成・配布[3年](海洋教育(知床学))

取り組みの概要

■第1学年
・クマ学習Ⅰ:現在の知床半島のヒグマの生息について学ぶ
・クルージング体験:観光船に乗り、羅臼町の海洋動物について理解を深める。
・調理体験:講師として地域住民を招き、羅臼町の食材を使った調理体験をする。
・市場見学:羅臼漁港の見学を通して、海で獲れる魚について理解を深める。
・ヒカリゴケ:郷土資料館を訪れ、学芸員の方からヒカリゴケの生態について学ぶ。

■第2学年
・生態系学習:外来種であるアメリカオニアザミの実態を学び、駆除作業を行う。
・宿泊研修:羅臼町と研修先(北見市常呂町)の自然・文化の比較をする。

■第3学年
・クマ学習Ⅱ:ヒグマと共存する社会の在り方について学ぶ。
・修学旅行:羅臼町のPRパンフレットを作成し、羅臼昆布と塩を一緒に新千歳空港で配布する。

クルージング体験の様子
他地域との比較の学習の様子
羅臼町PR活動の様子
クルージング体験の様子
他地域との比較の学習の様子
羅臼町PR活動の様子
クルージング体験の様子
他地域との比較の学習の様子
羅臼町PR活動の様子
クルージング体験の様子
他地域との比較の学習の様子
羅臼町PR活動の様子

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北海道羅臼高等学校

実施単元

1.SDGsプログラム[第1学年](知床学Ⅰ)
2.知床半島の哺乳類(8‐4)海獣類[第1学年](知床学Ⅰ)
3.知床半島の動物(8‐2)知床の海洋生物[第2学年](知床学Ⅱ)
4.根室海峡の環境[第3学年](海洋生物理論)
5.根室海峡の生物[第3学年](海洋生物理論)
6.海洋資源の利用[第3学年](海洋生物実習)
7.海洋資源の保全[第3学年](海洋生物実習)
8.漁業の未来[第3学年](海洋生物理論)

取り組みの概要

1 野外活動
羅臼町の水産業の現状を体験的に理解するとともに、1年間をとおして海について総合的に学習する。

(1) 羅臼漁業協同組合ウニ種苗センター見学
(2) 羅臼漁業協同組合市場・加工場・販売店舗見学
(3) 鮭採卵・受精等学習
(4) 鮭トバ加工

2 校内での授業
根室海峡や北方領土周辺海域の地理的な特徴や生物相全般への理解を深め、この海域の環境保全のあるべき姿について考える。

(1) SDGsプログラム
(2) 開級式・閉級式記念講演会
(3) 海洋生物の分類・食物連鎖
(4) 根室海峡の鯨類・海獣類
(5) 海に生息する無脊椎動物
(6) 海鳥類をめぐる食物連鎖
(7) 知床の海洋生物や海獣類(副読本「知床学」を使用)

3 技術の習得
ロープワーク等の実践的技術、スクーバダイビングのライセンス取得をする。希望者のみ、潜水士へ挑戦する。

(1) ロープワーク実習
(2) ダイビング講習
(3) ダイビング実習

ウニ種苗センター見学
水産教室閉級式講演
ロープワーク実習
ダイビング実習

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