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U.S. South Asia Policy post-Bin Laden-ビンラディン殺害後の米国の南アジア政策-

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カラ・ビュー氏
(アーミテージ・インターナショナル パートナー)

2011_01_img01.jpgアフガニスタン戦争、インドの経済的台頭、そしてパキスタンにおけるオサマ・ビン・ラディン殺害。大きく変容する南アジアに、アメリカはどのように向かい合っているのか。2011年6月13日、アーミテージ・インターナショナルのカラ・L・ビュー氏を講師に、アメリカの対南アジア政策に関する講演が行われた。

アメリカの対南アジア政策における最大の課題は、アフガン戦争である。ビュー氏によれば、オバマ大統領は、政権発足前より、イラク戦争よりもアフガン戦争を重視し、イラクからの撤退とその資源と人員をアフガニスタンに投入するべきだとの構想を抱いていた。オバマ政権の対アフガン政策の目的は、アルカイダを打倒し、アメリカおよび同盟国の脅威にならないようにする、ということにあったというのである。

アフガン戦略の策定過程において、オバマ政権内で議論となったのは、アフガン内戦の鎮圧に重きを置くのか或いはテロの脅威の除去のみに集中すべきなのか、そしてタリバンと交渉すべきか否か、という二つの論点であった。ビュー氏によれば、オバマ大統領は当初、イラク戦争で一定の成功を収めた内乱鎮圧戦略をアフガニスタンに適用することを構想していた。しかし、その桎梏となってきたのが、アフガニスタンのカルザイ政権の脆弱性と、アメリカの背負うコストの増大である。月に30人から40人の米兵が死亡し、アフガン戦争の継続にも膨大な経費が掛かり、議会では早期撤兵論が高まっていく。

2011_01_img02.jpgアフガン戦争は持続可能なのか、その継続はどこまで米国内で正統性を得られるのか。オバマ政権が、この問題に一定の回答を出したのが、2011年2月のヒラリー・クリントンの演説であったと、ビュー氏は指摘する。ビュー氏によれば、この演説において、オバマ政権は、アフガン内乱の鎮圧よりもテロ対策に傾注し、かつタリバンとの対話を模索する姿勢を打ち出した。

さらにこの動きを加速させたのが、オサマ・ビン・ラディンの死亡であったとビュー氏は言う。すなわち、タリバンがアルカイダを保護してきたのは、ビン・ラディン個人によるところが大きかったため、その死去はタリバンの一部にアメリカとの交渉を考慮せしめることとなった。また一方米国内では、ビン・ラディンの死去は、オバマ大統領が安全保障問題において一定の成果をあげたことを意味したために、同政権がタリバンとの交渉に際して柔軟な対応をとる余地が拡大したというのである。

では、この動きは、ビン・ラディンが隠れ住んでいたパキスタンとアメリカの関係には、どのような影響を与えるのだろうか?ビュー氏は、ビン・ラディン死亡時に見られた多くの問題にもかかわらず、パキスタンは政治的・戦略的にアメリカにとって不可欠なパートナーであることには変わりない、と指摘する。アメリカは、パキスタンを見捨てることはできず、さらなる支援を行う必要があるというのである。

最後に、ビュー氏は、米印関係について触れている。かつて、米印関係は、米・パキスタン関係と不可分であった。しかしながら、いまやインドは経済的にもアメリカの重要なパートナーであり、米印関係の関係強化はそれ自体、アメリカの国益だととらえられている、と述べ、ビュー氏は講演を締めくくった。

「U.S. South Asia Policy post-Bin Laden-ビンラディン殺害後の米国の南アジア政策-」

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