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研究員シリーズ(福田潤一) | No.1 | 2024.7.25
米国政策コミュニティ論考紹介‍

米国の戦略態勢に関する議会委員会の最終報告書を読む

福田 潤一
笹川平和財団 安全保障研究グループ 主任研究員
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はじめに
1.戦略態勢委員会報告書の背景
2.報告書の脅威認識
3.米国の戦略について:六つの基本原則
4.戦略態勢についての提言:運搬システム、弾頭数維持、近代化遅延リスクヘッジ
5.核インフラについて
6.核以外の能力について
7.同盟国に関して
8.リスク低減に関して
9.解説
(1)既存の米国の核政策との対比
(2)米国の戦域核戦力の配置
(3)拡大抑止力強化を巡る日米間の協力
おわりに

はじめに

2023年10月12日、米国の戦略態勢に関する議会委員会の最終報告書(America’s Strategic Posture, 以下「戦略態勢委員会報告書」)1が公表された。本報告書は米議会が公式に国防授権法上の根拠を伴って立ち上げた超党派の委員会による報告書であり、昨今の中国の急速な核軍拡に伴い米国がやがて「二つの競争相手問題(2 peer problem)2」に直面する中で、米国のあるべき将来の(核戦力を含む)戦略態勢の姿について提言した重要文書である。

これはまた、同盟国たる日本に対する拡大抑止のあり方に関しても大きな示唆を持つ注目すべき文書であるが、残念ながら日本国内においては、その筋の専門家以外からの十分な注目を集めているとは言い難い文書でもある。そこで本稿では、この戦略態勢委員会報告書の内容について概観し、筆者なりの多少の解説を行ってみたい。

1.戦略態勢委員会報告書の背景

この委員会は2022会計年度米国防授権法第1687条において設立が定められた。委員会の目的としては米国大統領と議会に対して米国の長期的な戦略態勢に関する検証と提言を行うこととされており、また超党派の12名の委員からなることが定められている。議長は元エネルギー省国家核安全保障局首席副長官のM・クリードン(Madelyn R. Creedon)、副議長は元上院議員のJ・カイル(John L. Kyl)が務め、この他にR・ゴッテメラー(Rose E. Gottemoeller)元米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)やJ・ハイテン(John E. Hyten)元統合参謀本部副議長、F・ミラー(Franklin C. Miller)スコウクロフト・グループ代表など、抑止や軍備管理、核兵器の保守や運用等に詳しい人々が委員に就任している。委員会は2022年7月に活動を開始し、上記の通り2023年10月に最終報告書を公表した。この報告書は131の「発見」と81の「提言」を含むものであった。本報告書は政府の公式文書ではなく、議会が設置した超党派委員会の提言であるが、その内容は今後、議会の方向性を定めるのみならず、政府の政策にも影響を与える蓋然性が高いものと考えられる。

2.報告書の脅威認識

戦略態勢委員会報告書の問題意識の中核には、既述のように昨今の中国の急速な核軍拡の結果として、米国がやがて中ロ二か国という「二つの競争相手問題」に同時に立ち向かわなくてはならなくなるとの脅威認識がある。そして米国の既存の戦略態勢はこうした脅威に対応可能なものではなく、態勢の再調整がなければ2027年から35年にかけて、米国は死活的利益と国際的安定に係る深刻なリスクに直面するであろうとの自己認識がある3。これを前提に報告書は、米国がたとえ予算制約を抱えていたとしても、脅威に対応しない危険は余りに大きいと判断する。同時に、米国の指導者はこうした戦略的現実について、米国民に対して適切な伝達を行うべきとも指摘している。

具体的には、中国が急速な核軍拡を実施しており、現在のペースならば2030年代半ばに配備済み核弾頭数で米国と数量的なパリティ(均衡状態)に達するとしている。米国防総省が毎年公表する『中華人民共和国の軍事・安全保障動向』報告書においても、中国の作戦上の核弾頭数が2023年5月時点で500発であるところ、2030年までに1000発以上、2035年までには1500発に至ると公表しており、この点は認識を同じくしている4。こうした分析・理解は中国が2022年までに新疆ウイグル自治区哈密・甘粛省玉門・陝西省楡林の3か所のミサイル基地でICBM用のサイロ(格納・発射施設)と見られる施設を最低300基以上も建設完了させている、と考えられていることとも符合するが、いずれにせよその結果として、戦略態勢委員会報告書は中国の核脅威をもはや「ロシアの劣化版」と位置付けることはできない、と結論するのである。

同時に、報告書はロシアの核戦力も2027~35年の期間において米国の競争相手としての地位を保つと見ており、また2022年2月4日の中ロ首脳会談共同声明における「二か国間の友好には制限がない」という言及5に代表されるように、中ロの戦略面での連携がますます深まっていることを考えれば、米国は中ロ二か国と同時に戦う可能性も想定せねばならず、そのために核戦力の規模と構成を再評価しなければならない、とするのである。

3.米国の戦略について:六つの基本原則

以上の脅威認識を前提に、戦略態勢委員会報告書は米国の戦略に関して、次のような指摘を行っている。すなわち:既存の米国の戦略は将来の脅威環境を適切に見据えておらず、再調整が必要である。特に核戦略に関して、①確証された第二撃、②柔軟反応、③テイラーメイド型抑止、④拡大抑止と安心供与、⑤宣言政策における計算された曖昧さ、⑥リスクヘッジの六つの基本原則に沿った見直しが必要である。

具体的には、米国及び同盟国に対する大規模戦略攻撃を抑止するために確証された第2撃能力を維持することが重要であり、市民を直接標的とする政策や実践を避けつつ、武力紛争法に沿った核計画と運用を継続することが重要である。核保有する敵対国の特有の意思決定の計算に対応したテイラーメイド型の抑止戦略が必要であり、柔軟反応戦略を通じた限定的な戦略攻撃の抑止も必要である。同盟国に対する拡大抑止の信憑性を維持することも必要であり、宣言政策における計算された曖昧さを通じて敵対者の意思決定を複雑化することも必要である。そして、米国が十分な配備済みの核戦力を維持する上での地政学的、技術的、運用上、そして計画上のリスクをヘッジすることも必要である。

報告書はまた、核戦力以外の面で、現在の米国の「国家防衛戦略(NDS 2022)」が通常戦力に関して「一つの主要戦争に勝利/もう一つを抑止」となっている点を指摘し6、この戦略では将来、戦力不足が起きるとも指摘している。中ロ双方と同時に相対することを考えれば、現在の戦略では(一つの主要戦争を戦えば、その間)もう一つの戦争を抑止しきれないと想定するのである。このため、報告書は米国及び同盟国による十分な通常戦力の増強が必要と指摘している。

4.戦略態勢についての提言:運搬システム、弾頭数維持、近代化遅延リスクヘッジ

以上の指摘を踏まえた将来の米国の戦略態勢のあり方に関する提言が、この報告書の最も注目される部分である。まず、報告書は核兵器運搬システムの3本柱(大陸間弾道ミサイル=ICBM/潜水艦発射型弾道ミサイル=SLBM/戦略爆撃機)はそれぞれ異なる強み(即応性/生存性/柔軟性)を有しており、意義があると指摘している。これは従来、核軍縮を主張する人々が主張してきた「ICBM廃絶」の主張7を否定するものと考えられる。

その上で報告書は、2011年から行われている米国の現在の核戦力の近代化速度は受け入れがたいリスクを伴う、と指摘している。米国の現在の戦略核戦力はLGM-30ミニットマンⅢICBM、トライデントD5/D5LE SLBMとオハイオ級戦略原潜(SSBN)、B-2スピリット及びB-52Hストラトフォートレス戦略爆撃機である(その他に非戦略核兵器として核・通常兵器両用航空機=DCAで運用されるB-61核爆弾がある)。2020年代末から30年代にかけてこれを地上発射型戦略抑止力(GBSD)ことLGM-35センチネルICBM、トライデントD5LE/D5LE2 SLBM及びコロンビア級SSBN、B-21レイダー(やB-52H)戦略爆撃機で運用されるAGM-181長射程スタンドオフ兵器(LRSO)等に更新していく計画である(非戦略核兵器はF-35A DCAで運用されるB-61 mod12, 13核爆弾となる)。

しかしながら戦略態勢委員会報告書は、この計画は既存戦力が退役するタイミングで新規戦力が就役するという「ジャストインタイム」の発想に立っており、前者の前倒しと後者の遅延の双方の理由で、結果的に核戦力が不足する危険がある、と懸念する8。かつ、既存計画は近年の中国による急速な核軍拡の影響を考慮に入れていない、とも指摘する。

よって報告書は、こうした近代化の遅延リスクをヘッジする取組を提言するのである。 具体的には、まず既存のICBM/SLBMに戦略核弾頭を「アップロード」すべきと提言している。これは、既存のICBM/SLBMには複数の核弾頭を搭載可能であるところ、新START条約(米ロ間の戦略核兵器削減条約)に対応する形で現在は制約された数の弾頭しか搭載していない9ので、この空いた部分に未配備核弾頭を配備することで配備済み戦略核弾頭数の維持を図り、「ジャストインタイム」問題のヘッジを図るべきとの提言である。

同様に、報告書は新START条約下で核兵器の運用ができなくなったSLBMランチャーとB-52H戦略爆撃機10を再び核運用できるように「再改造」すべきとの提言も行っている。また、これと同時に、既存の配備済みのシステムを退役期限が過ぎても運用できるように、十分な資金拠出を行うべきとも提言している。このように、この報告書が(新START条約が失効する2027年以降のタイミングで)核戦力近代化の遅延リスクヘッジのため、米国が配備済みの戦略核弾頭数を増やす努力をすべき、と提言している点は顕著な特徴である。

同時に、報告書は米国の将来の戦略核戦力は以下の四つを念頭に置くべきとも提言している。第1に、中ロを同時に抑止し、打破するために、より多くの標的数を想定する必要性。第2に、米国の戦略核戦力を打撃するために、中国が大規模な対兵力ミサイル戦力を配備する可能性。第3に、攻撃を受けた際のICBM発射(警報下発射)への依存を回避し続ける必要性11。第4に、統合防空ミサイル防衛(IAMD)能力の進展を考慮に入れる必要性。これらは、米国が将来既存の数12よりも多くの配備済み戦略核弾頭数を必要とするであろう、という見通しの背景となるものである。ただし、報告書は中ロ双方を同時に抑止するために具体的に何発の配備済み戦略核弾頭を必要とするかについては言及していない。

以上を踏まえて、報告書が提言するのが次の8つの取り組みである。
 

  • 第1:上記「アップロード」の準備を行う
  • 第2:新型のセンチネルICBMを多弾頭化(MIRV化)する(現時点では単弾頭型として計画)
  • 第3:(空中発射型の)AGM-181長射程スタンドオフ兵器(LRSO)の配備数を増やす
  • 第4:B-21レイダー戦略爆撃機及び空中給油機の調達数を増やす
  • 第5:コロンビア級SSBNの増隻(現時点では12隻の調達予定)とそのSLBMランチャー数の増加(現時点では16基を計画)及び、トライデントD5LE2 SLBMの開発配備の促進
  • 第6:ICBM戦力の一部を機動型化する可能性の追求
  • 第7:敵対勢力の統合防空ミサイル防衛(IAMD)能力への対抗手段開発
  • 第8:将来B-21が完全な作戦能力(FOC)を保有した際に爆撃機部隊の一部を継続的な警戒態勢に置く計画と準備の開始


これに加えて、報告書は(戦略核とは区別される)戦域核戦力13の文脈では次を追求すべきだとしている。第1に、戦域内における中ロの限定的な核使用を抑止し、対抗するために、大統領に一連の軍事的に効果的な核反撃オプションを提供すること、第2に、アジア太平洋戦域に米国の戦域核戦力を配備する必要性への対処、第3に、逐次的又は同時に発生する中ロ相手の二つの戦域の紛争に対処する上での米国及び同盟国の非核能力の不足への手当、第4に中ロのIAMD能力の進展を考慮、第5に拡大抑止に関する同盟国の懸念への配慮、である。

また報告書は、米国の戦域核戦力に求められる役割について、「前方展開が可能」「生存性あり」「(低威力核を含む)一連の核出力の選択肢」「敵対勢力のIAMD突破能力」「作戦上の意味を成す兵器到達のタイムライン(迅速性)」の5点を指摘している。更に、米欧州軍(EUCOM)とインド太平洋軍(INDOPACOM)がそれぞれの担当区域(AOR)において、統合された核・通常戦力の作戦を実施可能であることも重要であると指摘している。

5.核インフラについて

戦略態勢委員会報告書は、米国の核インフラがポスト冷戦期の核削減の結果として脆弱化していると指摘し、またその近代化が継続中ではあるが、計画や前提が過去の低脅威の時代のものなので、現状に合っていないと指摘している。そこで、求められる戦略態勢に沿った、近代化スケジュールの見直しや議会による十分な資金拠出等を提言しつつ、リスクヘッジを行いながら、米国が敵対勢力に対して抑止のための技術的能力及び政治的意思を持つとの意図伝達をしていくことが重要であると強調している。

6.核以外の能力について

米国の戦略態勢は核戦力のみで構築されるものではない。非核戦力も戦略的効果を発揮する。そこで戦略態勢委員会報告書は、適切な戦略態勢は一連の非核能力と統合される必要がある、と強調する。まず通常戦力に関しては、欧州(陸空)とアジア(海空)で各々異なる戦力が必要であるとする。そして、中ロが米本土に対して行うミサイル攻撃への防衛の観点から、ならず者国家に対してのみならず、今後は中ロへのIAMDの適用が必要であると主張する。更に、宇宙へのアクセス確保、長距離非核精密打撃能力の保有も重要であるとし、サイバー及び電磁スペクトラム作戦の能力も必須であるとする。更に、2戦域への同時対処のためには、世界規模の機動性の確保も必要であるとする。

7.同盟国に関して

報告書は、米国の同盟国に対する拡大抑止は信憑性の高いものでなければならないと指摘し、このため、米国はその戦略態勢の変化に関して、同盟国と緊密に協議しなければならないとする。とりわけ、同盟国の通常戦力も抑止に貢献するため、米国と同盟国の相互運用性を向上させて、地域の抑止効果を最大化する必要があるとする。

8.リスク低減に関して

戦略リスク低減に関しては、報告書は、敵対勢力との間で公式条約、軍軍対話、信頼醸成、データ交換、政治合意、トラック1.5及び2対話などの様々な手法を試みるべきだとしている。しかし、ロシアが軍備管理条約への違反を繰り返してきた上に、中国はそもそも軍備管理条約に入ることを拒否していることに鑑みて、米国はまず抑止の見地から核戦力の規模と構成を決定すべきである、とも述べている。その上で、軍備管理が米国の安全保障を増進させるかどうかを判断すべきとしている。

リスク低減を図る場合、特に焦点となり得る点としては、弾道ミサイル発射通知の合意、弾道ミサイルの公海上へのターゲティング、ホットライン合意、公海における衝突防止、戦略的安定性の対話、宇宙サイバー領域における行動規範、軍事演習通知と透明性の問題等を挙げている。また、新技術の影響に留意すべきだとし、特に中国の部分/多数軌道爆撃システム(FOBS/MOBS)の存在を挙げ、こうした技術の禁止を米国が提唱すべきとしている。

9.解説

戦略態勢委員会報告書の概要は以上の通りである。以下、筆者なりの解説を少し加えてみたい。
 

(1)既存の米国の核政策との対比

戦略態勢委員会報告書の提言は、既存の米国の核政策とは一線を画するものである。それは単にオバマ政権以降の核軍縮又は安全保障政策における核兵器の役割低減の流れを反転させるという意味のみならず、対等な競争相手(peer)との間での戦略的安定性(strategic stability)を追求するという、(デタント期以来の)従来思考そのものに一石を投じる要素を多く含むように思われる。換言すれば、報告書は、中ロ双方への同時対応という「二つの競争相手問題」の時代では、米国として戦略的安定性よりは平時の競争上の優位や有事のエスカレーション上の優位をより強く追及すべき、との意識を強く持っているように感じられる。そのために、従来の相互確証破壊(MAD)の思考ではタブーと考えられてきた提言内容を多く含んでいる。

例えば、まずロシアとの軍備管理条約の失効を前提に、米国が配備済み戦略核弾頭数を増やすべき、としている点が挙げられる。報告書は具体的な目標値を示していないが、より多くの中ロの標的を想定すべきとしたり、中国の大規模な対兵力ミサイル戦力や中ロのIAMD能力の進展を考慮すべきとしている点から見ると、米国が必要とする配備済み戦略核弾頭数を(現在の1,800発程度から)数千発、又はそれ以上に増加する可能性が想定される。このような核戦力の増強はそれ自体、従来の戦略的安定性や軍備管理重視の思考から脱却するものである。

同時に、中ロへの米国のIAMDの適用を提言している点も注目される。米本土のミサイル防衛(MD)は従来、基本的にはならず者国家(北朝鮮とイラン)向けのものであり、中ロには指向しないとの公式方針が採られてきた。それは、MDを中ロとの戦略関係に指向することが両国との戦略的安定性を損なうと考えられてきたからであり、米本土を敵対勢力の攻撃に脆弱なままにしておき、核報復の第二撃能力に依存することが抑止戦略上重要であると見なされてきたからであった14。しかし戦略態勢委員会報告書の提言はそのような従来思考の延長にはないように見える。更にはICBM戦力の機動型化や爆撃機部隊の継続的な警戒態勢の提言も含め、むしろ損害限定を重視しつつ、平時の競争上の優位や有事のエスカレーション上の優位追求を図るべきとの考え方に転換しているように受け止められる。

こうした主張は、従来ならば戦略的安定性の追求に反する「戦争遂行(warfighting)」路線への転換などとして、核戦争の蓋然性を高めると非難されてきた経緯がある。しかし現在、「二つの競争相手問題」に対応する上で、米国の超党派の核分野の専門家の意見がこうした方向性で一致しているのであれば、それは大変興味深いことである15。

なお、現在のバイデン政権は米国が核弾頭数を増やすことについては消極的である。バイデン政権は2022年の「核態勢見直し」(NPR2022)で同盟国の反発を考慮して当初追求していた核軍縮路線を大部分転換し、概ねトランプ政権時代の2018年「核態勢見直し」(NPR2018)の路線を引き継いだものの、依然として核軍縮を追求する路線そのものは維持している。その一例として、2023年6月にはJ・サリバン(Jake Sullivan)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が、軍備管理協会での演説で「米国は抑止を成功させるために、核戦力を増強して競争相手の合計数を上回る必要はない」「米国は抑止を維持するために、さらに危険な核兵器を配備する必要もない」「むしろ効果的な抑止力とは、『より良い』アプローチを取ることであり、『より多くの』アプローチを取ることではない」と述べている16。

しかし、興味深いことにその翌年(2024年)の軍備管理協会におけるP・ヴァディ(Pranay Vaddi)大統領特別補佐官兼国家安全保障会議軍備管理・軍縮・不拡散担当上級部長の発言17は、サリバン補佐官の発言に基づく基本的な方向性は維持しつつも、若干トーンが変わっている。すなわち、ヴァディ補佐官は引き続き「敵を抑止するために核戦力を増強して敵の総数に匹敵する、あるいは上回る必要はない」と述べつつも、同時に「しかしロシア、中国、北朝鮮の軌道が変わらなければ、米国が今後も抑止力を確保し、その他の目的を達成するため、態勢と能力を継続的に調整する必要がある」と述べているのである。そして政権が既に慎重な措置を講じているとし、一例としてB-61 mod13核爆弾の開発決定等を挙げている。いずれにせよ注目されるのは、「敵の軍備の軌道に変化がなければ、今後数年間で現在の配備数からの増加が必要となる時点に達する可能性がある」「我々はもし大統領がその決定を下す場合、それを実行するための十分な準備が整っている必要がある」と述べていることであろう。すなわち、「二つの競争相手問題」(及び北朝鮮の動向)は、従来核戦力の増強に消極的であったバイデン政権内部の姿勢ですら昨今変化させつつあるように思われるのである。

こうした動向を踏まえれば、本年(2024年)の米大統領選の結果にもよるが、今後、米国政府の公式方針が戦略態勢委員会報告書の提言に基づく形で早期に修正される可能性も、十分に予測できよう。


(2)米国の戦域核戦力の配備

もう一つ、戦略態勢委員会報告書の提言内容で注目されるのは、それが米国の同盟国たる日本に対する拡大抑止のあり方に大きく影響を与えると考えられる点である。特に、中国の戦略核弾頭数の増加に伴って、報告書が同盟国に対する拡大抑止の信憑性維持のために、米国が「アジア太平洋戦域」に戦域核戦力を配備すべきとしている点は、日本としても関心が大きいところであろう。

報告書は、米国が戦域核戦力を配備すべき理由について、「ロシアや中国による戦域での限定的な核使用を抑止する、又はそれに対抗するための軍事的に効果的なオプションを大統領に提供する」ためであるとするが、この点をより詳細に敷衍するならば、以下のようになろう。すなわち、中国は(第一撃からの)生存可能性の高い第二撃能力を含む戦略核戦力の拡充を通じて、いずれ米国とパリティないしは相互脆弱性の認識を形成しようとしている可能性がある。もしそのような状況ないし認識が生じれば、中国は米国との戦略核の応酬の可能性を排除して戦域内で現状変革行動を起こすことが可能になるであろう。とりわけ、中国の低威力核等の限定的な核使用を抑止することが困難となるであろう。何故ならば、米国に同様の戦域内における限定核使用の対応オプションが現時点で存在しない以上、これに戦略核使用の脅しで対抗することは、中国との戦略核の応酬にエスカレートする可能性を含むため、米国にとって自殺行為になり得るからである。結果として抑止の信憑性を保てないのである。これは、戦略核レベルの安定性の存在が、それ未満のレベルの不安定性に繋がるという、「安定・不安定性のパラドックス18」に関連する問題と言える。

よって、報告書はこの問題を克服するため、米国に戦域核戦力の配備を提言していると言える。中国が限定核使用をする際、もし米国にも同様の対応オプションが存在していれば、米国は状況を戦略核の応酬までエスカレートさせることなく、通常戦力ないしは戦域核のレベルに留めることができる。すなわち、そのような対応の脅しは中国に対して信憑性の高いものとなり得る。結果的に中国の限定核使用を抑止することも可能となるであろう19。

では具体的には、どのような戦域核戦力の配備が想定されるのだろうか?報告書は、これに関して「生存性あり」や「一連の核出力の選択肢」など五つの評価基準を挙げているが、おそらく複数の選択肢を組み合わせる形での冗長性の確保を意図しているものと考えられる。

筆者の見る所、現在、そして予見可能な将来に米国が配備を想定し得る戦域核戦力には以下がある。第1に、核・通常兵器の両用機(DCA)によって運用されるB-61核爆弾。これは近年中にF-35A戦闘機とB-61 mod12ないし13の組み合わせに変更可能となる。第2に、爆撃機によって運用される空中発射型巡航ミサイルないし核爆弾。将来的にはB-21, B-2, B-52H等とLRSO及びB-61核爆弾(各種mod)の組み合わせとなる。第3に、SLBMに搭載される低威力核弾頭。既にトランプ政権時代に出力8ktのW-76 mod2核弾頭をトライデントD5 SLBMに搭載しているが、数が少ない上に戦略核攻撃と誤認されやすい問題があるため、他の手段との組み合わせが必要となる。第4に、攻撃原潜から発射される核弾頭搭載の巡航ミサイル。仮にトランプ政権期に計画されバイデン政権が開発をキャンセルしたSLCM-Nが復活すれば、バージニア級攻撃原潜との組み合わせで活用されることが考えられよう。第5に、現時点では計画が存在しないが、今後、核弾頭搭載型の地上発射型中距離ミサイル(極超音速兵器含む)が同盟国・友好国に配備される可能性もある。同種のミサイルの通常弾頭型は中距離核戦力(INF)全廃条約の失効後、既に開発されて同盟国への展開も行われている20ため、今後、米国の方針が変われば、この可能性も論理的には考えられよう。

米国がこれらの戦域核戦力を展開する可能性がある場所としては、次の三つが考えられる。第1に、戦域内の米国領土(インド太平洋の場合、ハワイやグアム等)。第2に、戦域内の公海及びその上空。第3に、同盟国及び友好国の国内(一時的な展開や寄港を含む)。もし米国が今後、戦略態勢委員会の提言通りに戦域核戦力を域内に配備するとすれば、同盟国・友好国としてはその動向に重大な関心を抱くこととなろうし、米国との緊密な意思疎通も必要となろう。とりわけ日本の場合、従来の「持ち込ませず」原則を含む「非核三原則」のあり方を巡る議論に発展する可能性も想定し得る。


(3)拡大抑止力強化を巡る日米間の協力

戦略態勢委員会報告書の提言は、上記の戦域核戦力の配備問題を含めて、日米間の拡大核抑止力強化を巡る協力に大きな含意を持つ可能性がある。筆者の見るところ、報告書の提言は概ね日本が米国に対して抱く拡大抑止の信憑性に関する不安を払拭するための取り組みを網羅的かつ説得的に示していると思われる。そこで、こうした米国内の動向に対して、日本としてどのような反応をすべきか考慮する必要があろう。

核に関連した抑止の議論にはセンシティブな要素が付きまとうが、あえて言及すれば、以下のような論点が考えられる。第1に、まずは日本として報告書が提言するような米国の配備済み戦略核弾頭数の増加について、これをどう見るのか、米国に報告書と同様の対応を同盟国として求めていくのか、という点が議論の対象になるであろう。日本が「唯一の被爆国」であり核軍縮をリードすべきとの観点から米国の核弾頭数の増加は望ましくないとの立場は当然あり得るが、同時に中国が米国に伍する規模を目指して核戦力の増強に取り組んでいく場合、果たしてその考え方で抑止力を維持できるのかという問題は出てくる。既に述べたように、仮に今後、米中間にパリティないし相互脆弱性の認識が生じた場合、「安定・不安定性のパラドックス」の影響により、台湾海峡有事を含めて戦域内の抑止が不安定化するという状況は当然ながら想定できる。これに関連して日本としてどのような立場に立つか、今後の米国の議論の動向を眺めつつ、判断が必要になるであろう。

第2に、米国の戦域核戦力の配備に対してどのような立場に立つかの議論も必要になる。既に述べたように米中間のパリティないし相互脆弱性の認識が仮に生じてしまえば、中国のとりわけ限定的な核使用を抑止することが難しくなる。そのために米国側としても戦域核戦力を配備して限定核戦争に備えたオプションが必要となる訳だが、これは同盟国・友好国の近傍又はその国内に米国の戦域核戦力が展開ないし配備される可能性を意味する。もし米国がそのような展開ないし配備を検討するならば、日本としてもこれをどう受け止めるのか判断を明確にする必要があるであろう。のみならず、同盟国・友好国の側が受け身にならず、積極的に米国にそうした対応を求める可能性も想定できる。1970年代末にソ連が欧州に中距離核弾道ミサイルSS-20を配備し始めた時、これが米国と同盟国の「デカップリング」を目的とすることを喝破して、米国に対応を求めたのは同盟国たるドイツのH・シュミット(Helmut Schmidt)政権であった。シュミット首相は1977年10月にロンドンの国際戦略研究所(IISS)で行われた演説において、欧州で抑止の不均衡が拡大しつつあることを説いて、米国に拡大抑止の信憑性強化の取り組みを求めたのである。この主張は紆余曲折を経てやがて米国も同様の戦域核(パーシングⅡ中距離ミサイル及び地上発射型巡航ミサイル=GLCM)を欧州に配備しつつ、同時にソ連との軍備管理交渉を行うというNATOの「二重決定(double-track decision)」へと発展していき、最終的には米ソ間のINF全廃条約という結果に帰結するが、この流れを当初主導したのが米国ではなく、同盟国側だったという経緯には注目すべき面がある21。日本としてもそうした歴史上の経緯を踏まえつつ、米国の戦域核戦力の配備問題をどう考えるかの検討が必要となろう。

第3に、米国の戦略態勢を巡る議論は核の文脈が中心とはいえ、非核の要素が無視されている訳ではない、という点である。すなわち、非核国としての日本が米国による拡大抑止の信憑性に影響を与える事も可能なのである。報告書にも言及があるが、日本を含む同盟国・友好国のIAMDを含む非核能力は、米国が戦域内で核抑止力を維持する上で重要な役割を果たし得るだろう。具体的には、米国の爆撃機を同盟国・友好国の戦闘機が護衛したり、米国の潜水艦の展開を同盟国の対潜水艦戦(ASW)能力を持って支援したり、といった形が考えられる。このためにはまず米国の核使用を想定した状況下における米国と同盟国間の協議や演習といった取り組みが必要になると考えられる。この種の協議や演習は既に2023年5月の米韓ワシントン宣言を受けて米韓間では実施されているが、日本としてはどうすべきか、が問われることになるであろう。

同時に、日米間でそうした協力を進めていくと、これまで以上に明示的な宣言政策としての抑止戦略を打ち出す必要もあるかもしれない。日本が単に拡大抑止の恩恵を受けるのみならず、日本としても米国の抑止力の信憑性向上に貢献していく見地からは、これを拡大抑止戦略と呼ぶよりも、日米共通抑止戦略と呼ぶのが適切かもしれない。同時に、忘れてはならないのは、米国において戦略態勢委員会報告書のような提言が出る背景には、政府の外側にも核兵器や抑止の専門家が多数存在するという事実がある。この観点では、日本でもそのような専門家を育成するため、例えばこれまで政府間で行われてきた拡大抑止協議のトラック1.5ないし2バージョンを(抑止と軍備管理の専門家双方を取り込む形で)考えてみる事も有益かもしれない。

おわりに

米国の戦略態勢委員会報告書は政府の公式方針ではなく議会の超党派委員会による提言である。その意味でその内容がそのまま将来の米国の公式方針になると考えるのは早計である。しかし同時に、米国の権威ある核分野の専門家がこのような提言を公表したことは決して軽視すべきことではなく、またバイデン政権の方針が足元で若干変化しつつあるかに思われる点も興味深いことである。米国の方針はこの提言に沿って実際に変化し得るし、その変化は日本に対する拡大抑止上の含意の大きいものなのである。

日本としては、特に米国の配備済み戦略核弾頭数の増加を巡る問題、戦域核戦力の配備を巡る問題、日米間の拡大抑止に関する協力を巡る問題、の三つの観点からこの提言の受け止めを巡る米国の動向を注視し、また日本自身の考え方を整理しておくことが求められるであろう。提言の射程は2027年から35年までであるが、その始期に当たる2027年はわずか数年後の話なのである。直ちに議論を始めるべきであろう。

(了)

  1. The Final Report of the Congressional Commission on the Strategic Posture of the United States, America’s Strategic Posture, October 12, 2023. (本文に戻る)
  2. 米国が既存の競争相手であるロシアに加え、急速に核軍拡を遂げる中国にも同格の競争相手として同時に相対しなければならない問題を指す言葉。(本文に戻る)
  3. この認識はまた、2026年2月の米ロ新START条約の失効後に有効な大国間の軍備管理条約が再締結される見込みは低い、との見通しを背景とするものと思われる。(本文に戻る)
  4. U.S. Department of Defense, Military and Security Developments involving the People’s Republic of China, October 2023, pp.103-04.正確には、2021年版の同報告書が2027年までに700発、2030年までに1,000発となると推定した後、2022年版の報告書が足元で400発を越えると推定しつつ2035年までに1,500発を配備すると推定し、更に2023年版の報告書が2030年までに1,000発以上の弾頭を保有すると推定した。なお、ストックホルム国際平和研究所も2024年1月時点での中国の核弾頭数を500発と推定しており、かつそのうち24発が平時からミサイルに搭載されているという意味で「配備」されていると推定している。The Stockholm International Peace Research Institute, “Role of nuclear weapons grows as geopolitical relations deteriorate—new SIPRI Yearbook out now,” June 17, 2024. (本文に戻る)
  5. President of Russia, “Joint Statement of the Russian Federation and the People’s Republic of China on the International Relations Entering a New Era and the Global Sustainable Development,” February 4, 2022.(本文に戻る)
  6. 米国はもともと、同時に発生する二つの主要な地域紛争に勝利するという戦略で戦力構築を計画していたが、2012年1月の「国防戦略指針」以降この方針を放棄している。(本文に戻る)
  7. 例えば、William J. Perry, “Why It’s Safe to Scrap America’s ICBM,” The New York Times, September 30, 2016, 電子版。(本文に戻る)
  8. 事実、コロンビア級SSBNの就役予定が2031年以降なのに対して、既存SSBNのオハイオ級は2027年から順次退役していくため、結果として2027~41年の間、SSBN数は本来の所要(コロンビア級で12隻)に満たないことが予測されている。具体的には、2030年に12隻を割り込み、2037年に10隻まで低下したのち、2042年にようやく12隻まで回復すると見られている。Hans M. Kristensen, Matt Korda, Eliana Johns and Mackenzie Knight, “United States nuclear weapons, 2024,” Bulletin of the Atomic Scientists, Vol.80, No.3, (2024), p.195.
    (本文に戻る)
  9. 既存のミニットマンⅢ ICBMは最大3発のW-78核弾頭の搭載が可能であるところ、現在はW-78/W-87核弾頭の単弾頭搭載として運用されている。また、既存のトライデントD5 SLBMは最大8発のW-76 mod1/W-76 mod-2/W-88核弾頭が搭載可能であるところ、概ね4~5発程度の搭載で運用されているとされる。Ibid, pp.188, 193. (本文に戻る)
  10. 既存のオハイオ級SSBNのSLBMランチャーは24基存在するが、その中で実際にミサイル発射用のランチャーとして使用されているのは最大20基と見られる。また、B-52Hは全76機のうち核運用任務に割り当てられるのは46機のみである。Ibid, pp.192, 195.(本文に戻る)
  11. 警報下発射(launch on warning/launch under attack)は敵の攻撃を確認した後、こちらのミサイルが破壊される前にミサイル発射を行う態勢を指すが、誤認による発射リスクがあり、これを避けるべきとの考え方と思われる。他方で警報下発射をしないことにより、敵の第一撃で破壊されるICBM数は増えるため、当初からより多くのICBMが必要になるとも考えられる。(本文に戻る)
  12. 新START条約の制約下では(爆撃機1機あたり核弾頭1発とカウントする特殊ルールの下で)米国が保有可能な戦略核弾頭数の上限は1,550発であった。ちなみにロシアは2023年2月28日に新START条約の履行を一方的に停止したが、その後の米国の公表によると、米国が2023年3月1日時点で保有していた戦略核弾頭の数は(上記のカウントルールの下で)1,419発であった。U.S. Department of State, ”New START Treaty Aggregate Numbers of Strategic Offensive Arms,” May 12, 2023. また、H・クリステンセン(Hans M. Kristensen)らの推計によれば、2024年5月時点で米国の配備済み戦略核弾頭数は(新START条約のカウントルールには基づかない形で)1,770発とされる(他に1,938発の未配備核弾頭があり、また1,336発の退役済み・解体待ち核弾頭があり、合計5,044発を保有していると推定している)。Ibid, p.183.(本文に戻る)
  13. 「戦域核戦力(theater nuclear force)」に確立された定義はないが、一般的にはかつての米ソ間の中距離核戦力(INF)全廃条約を念頭に、射程500-5,500kmの核弾頭搭載型の巡航・弾道ミサイルがイメージされる(地上発射型以外も含む)。ただし、今日の米中ロの三か国間関係を念頭に置いた場合、具体的な射程の定義は難しい。威力に関しても、単純に低威力核と限定し得るものではない。そのため、極めて素朴な定義としては、「(欧州・インド太平洋等の)戦域内に配備された、戦略核以外の核戦力」とでもなろうか。(本文に戻る)
  14. K・ペイン(Keith B. Payne)はこうした従来思考をT・シェリング(Thomas Schelling)の恐怖均衡のアプローチと呼び、米国が冷戦期に弾道ミサイル防衛(BMD)や損害限定の努力を回避する上で大きな背景となったと指摘している。Keith B. Payne, The Great American Gamble: Deterrence Theory and Practice from the Cold War to the Twenty-First Century, Fairfax, Virginia: National Institute Press, 2008, chap.1, 4.(本文に戻る)
  15. ただし、報告書中でエスカレーション優位の追求や戦争遂行能力の確保などが明示的に提言されている訳ではない。他方尤も、報告書と類似した主張は、他の専門家達による提言でも為されつつある。China’s Emergence as a Second Nuclear Peer: Implications for U.S. Nuclear Deterrence Strategy, A Report of a Study Group convened by the Center for Global Security Research at Lawrence Livermore National Laboratory, Spring 2003. (本文に戻る)
  16. “Remarks by National Security Advisor Jake Sullivan for the Arms Control Association (ACA)Annual Forum,“ National Press Club, June 2, 2023.(本文に戻る)
  17. Pranay Vaddi, “Adapting the U.S. Approach to Arms Control and Nonproliferation to a New Era,” at 2024 Arms Control Association Annual Meeting, June 7, 2024.(本文に戻る)
  18. Glenn H. Snyder, “The Balance of Power and the Balance of Terror,” in Paul Seabury, ed., The Balance of Power, (Scranton: Chandler, 1965), pp.185-201.(本文に戻る)
  19. これはトランプ政権がロシアによる低威力核の先行使用という「エスカレーション抑止(escalate to de-escalate)」戦略に対抗するためにSLBMの新型弾頭として低威力核(W-76 mod2)を配備したことと同様の考え方である。(本文に戻る)
  20. 米国は既に2024年4月の米比合同演習「サラクニブ2024」に通常弾頭搭載型の地上発射型中距離ミサイルを展開している。これは米陸軍の多領域任務部隊(MDTF)によって運用される中距離能力(MRC)ないしタイフォン兵器システムと呼ばれる装備であり、SM-6及びトマホークミサイルを発射可能である。同種の能力としては長射程極超音速兵器(LRHW)ないしダークイーグルと呼ばれる陸軍の極超音速兵器も存在する。”US Army deploys midrange missile for first time in Philippines,” Defense News, April 17, 2024, 電子版(本文に戻る)
  21. 金子譲『NATO 北大西洋条約機構の研究:米欧安全保障関係の軌跡』彩流社、2008年、196-214頁。(本文に戻る)

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