2009年
事業
日中両国民の不信を招く要因のひとつは歴史認識問題です。
その解決には、日中の歴史認識の隔たりを地道に整理していく作業が不可欠です。
当財団は日中両国の若手研究者の交流を支援する事業(「日中若手歴史研究者会議」)を2001年~05年度まで実施しました。
その研究成果は『国境を越える歴史認識』として日本と中国で出版され、両国の学界で反響を呼びました。
そこで、2007年~09年度にはその後継事業として「日中若手歴史研究者会議フェーズⅡ」を実施しました。日中若手歴史研究者による共同研究を支援したほか、研究成果を日中両国での出版し、英語圏に対しても情報発信を行いました。
たとえば、2008年度には、英語圏に向けた情報発信として、ハーバード大学アジアセンターと共催し 「東アジアにおける歴史対話と和解」と題したシンポジウムをボストンで開催しました。
2009年度には、東京大学にて国際ワークショップを開催しました。約30人の研究者と院生が意見を交わしました。
また2008年度に刊行した『1945年の歴史認識』 の中国語版『1945年的歴史認識』(中国社会科学文献出版、2010年)を出版しました。
さらに、2010年度には『国境を越える歴史認識』の英語版"Toward a History Beyond Borders"が刊行される予定です。
政府間の歴史共同研究も進み、その成果も公表されました。しかし、 歴史認識の違いを前提とした対話は始まったばかりです。国際社会に対する歴史認識問題への情報発信も不十分です。民間レベルも含めた重層的なネットワークで、 両国の研究者間、 国民間の相互理解を深め、 さらには国際社会に両国の取り組みを発信することが求められます。
事業実施者 | 笹川平和財団 | 年数 | 3年継続事業の3年目(3/3) |
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形態 | 自主助成委託その他 | 事業費 | 5,588,946円 |
2001~2005年度に実施した自主事業「日中若手歴史研究者会議」(208、226、238、248、255)の事業成果物として、以下の2冊が生まれました。
【日本語版】劉傑・三谷博・楊大慶編『国境を越える歴史認識--日中対話の試み』東京大学出版会、2006年
【中国語版】劉傑・三谷博・楊大慶編『超越国境的歴史認識−来自日本学者及海外中国学者的視角』北京:社会科学文献出版社、2006年
本書は「1945年の視点」から、歴史認識問題を見直そうと試みた日中の若手歴史研究者による共同研究の成果です。くわしくは以下のリンクをご覧ください。