大陸棚はなぜ重要なのか

米国東海岸の北部エリアを例として

画像をクリックすると拡大図を見ることができます。

実際に、大陸棚の延長を行う場合、どのような順序で、大陸棚限界の外側の線を引くのでしょうか。
ここでは、米国東海岸北部の沿岸部分を例にして見ていきます。(ここに示す図は、2006年3月8日に海洋政策研究財団が海上保安庁と共同で開催した、 大陸棚画定の技術的課題に関する専門家会議において、米国ニューハンプシャー大学海洋図化センター長ラリー・メイヤー氏が行った発表の中で使われたものであり、沿岸国が大陸棚の延長を行いたい場合にまず必要とされるデスクトップ・スタディ(図での検討)の例として説明があったものです。)

 

まず、領海を測るための基線(領海基線)から200海里の線を引きます。
図では、EEZと表示されている線です。

 

次に、この図に、2,500m等深線から沖合に100海里の線を書き入れます。

 

350海里制限線を書き入れます。
米国東海岸北部のこのエリアでは、海底地形上、2,500m等深線プラス100海里の線が常に、350海里制限線より沿岸側にあることがわかります。したがって、このエリアでは、大陸棚の限界の外側の線は、350海里は超えないことになります。

 

次に、大陸縁辺部の外縁を設定するため、第76条4項にもとづき、大陸斜面脚部プラス60海里の線をひくことにします。

 

しかし、ここで問題となるのが、いったいどこに大陸斜面脚部を設定するか、ということです。
海底地形を見ると、勾配の最大変化点を決定するのは容易ではないことが分かります。

 

とりあえずの大陸斜面脚部を設定し、その脚部から60海里外側の線をひいてみます。
(図上ではピンクの線です。)

 

このようにして、とりあえず設定した大陸棚の外縁線について、第76条4項に規定されているもう一つの方式である、堆積岩の厚さ(Sediment Thickness)について、さらに検討を加えることができます。
(この図では、堆積岩の厚さが厚いほど、赤い色で表示されています。)
とりあえず設定した大陸斜面脚部から、「堆積岩の厚さ」がその点までの距離の1パーセントになる点を結んだ線が、この図の薄いグレーの線です。
上の図と、この図の両方を検討することによって、大陸棚の外縁線を決めることができますが、その際にきわめて重要な役割を果たすのが「大陸斜面脚部」であることがわかります。

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