大陸棚はなぜ重要なのか

近隣諸国の大陸棚との関係

次に、日本と海を挟んで向かい合っている国との大陸棚をめぐる関係を見てみましょう。

海を挟んで向かい合っている国の、それぞれの沿岸からの距離が400海里未満である場合には、どちらの国も沿岸から200海里まで大陸棚を主張すると重なり合ってしまうため、話し合いによって大陸棚の境界を画定しなければなりません。このことは、国連海洋法条約第83条により規定されています。
このような境界画定は、互いの沿岸からの距離が400海里未満の場合には、排他的経済水域についても行う必要があります( 国連海洋法条約第74条)。また、互いの沿岸からの距離が24海里未満の場合には、領海についても境界画定を行う必要があります(国連海洋法条約第15条)。

このように、二国間の大陸棚の境界画定は、関係国の間の話し合いによって決めるということになっているため、大陸棚限界委員会の任務には、そのような大陸棚の境界画定は含まれません。大陸棚限界委員会の任務は、あくまで、200海里を超える大陸棚の延長に関するデータを検討し勧告を行うことです(国連海洋法条約第76条10、及び附属書Ⅱ第9条)。(本サイト「大陸棚限界委員会の任務」を参照。)

我が国の場合、韓国との間では、大陸棚に関して二つの協定があります。一つは、北部海域についての日韓大陸棚北部境界画定協定(以下、北部協定)であり、もう一つは、南部海域についての日韓大陸棚南部共同開発協定(以下、南部協定)です。いずれの協定も、1974年1月30日に署名され、1978年6月22日に発効しました。北部協定は、北緯33度付近から36度付近の日韓の大陸棚の境界を画定したもので、両国の領海基線からほぼ等距離になっています。南部協定は、境界画定は行わずに、資源開発のための共同開発区域を定めたもので、第31条によって南部協定の効力は50年間とされています。

その他の国との間には、大陸棚の境界を画定する協定は結ばれていません。

なお、我が国は、国連海洋法条約の批准に際して、1996年に 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律を制定し、向かい合う国との境界線は、中間線によることを定めています。

以上が、我が国の近隣諸国との大陸棚をめぐる関係の概要です。

それでは、200海里を超えて大陸棚を延長できるのはどのような場合なのでしょうか。それは、我が国の沿岸から200海里を超える部分が、他国の沿岸200海里までの大陸棚と重なっていない場合です。そのような地理的条件が存在するのは、太平洋側の海域です。


日韓大陸棚北部境界画定協定 に含まれている境界線の図
国連海事海洋法課(DOALOS)ホームページに掲載

日韓大陸棚南部共同開発協定 に含まれている共同開発区域の図
国連海事海洋法課(DOALOS)ホームページに掲載
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