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2013年発行:対立と共存の歴史認識 日中関係150年

カテゴリー区分 書籍
発行 2013.08
著者/編者 劉傑・川島真
金額 定価:3600円+税
備考 発行所:一般財団法人 東京大学出版会
判型A5、440頁
ISBN978-4-13-023060-5

対立と共存の歴史認識 日中関係150年

◆わたしたちは乗り越えられるのか

歴史認識は現実の日中関係にさまざまな影響を及ぼしている。この状況をどのように受け入れ、和解を目指すのか。日中の間で苦悩した人々に焦点をあて、未来の日中関係を見つめる。日中の研究者らによる歴史認識研究の新たな視点。(本書帯から)

◆本書の内容

本書はこれまでの対立と共存の歴史が如何に両国の歴史認識に影響を与えてきたのか、歴史事実と歴史認識の隔たりはどのように形成されたのか、について「人物」を通して検証する。共同研究と本論文集の執筆には4人の中国大陸の研究者、8人の日本人研究者、4人の在日、在米中国人研究者が参加した。第1部では両国の相手国へのイメージとそのイメージに起因する両国関係を扱った。第2部では自国の国益と両国の共存のはざまで苦悩する政治家、軍人、外交官、知識人に焦点をあてた。第3部では日本と中国の対立と断絶の時代にどのような「交渉」が行われていたのか、政治家、外交官だけでなく民間人にも焦点をあてて考える。

◆・・・危機が繰り返されるなかで、多くの人びとが両国をつなぎ止め、両国関係の回復に奔走し続けた。彼らの活動を通して確認できることは、近代の日中関係は対立だけでも、またある種の友好だけでも語りきれない複雑な多面体である、という点である。これらの人々がもっていた相手の国への創造、日中関係に対する構想、彼らが行った交渉と対話は日中関係史を構成する重要な部分であることはいうまでもない。この視点からの日中関係の再検討は、日中関係史や今日の日中関係を思考する上で、極めて意義深いことである。(はしがきより)

関連事業:2011~2015年度「日中若手歴史研究者セミナー」316325336346358
目次

はしがき(劉 傑・川島 真)

第1部  日本の中国像、中国の日本像

1章 1880年前後の日中ジャーナリズム論争――琉球併合・アジア・相互イメージ(塩出浩之)  
2章 清末駐日使節団の日本理解――琉球・朝鮮・条約改訂(戴 東陽)
3章 亡国、亡省、亡人――1915年から25年における中国の3回にわたる反日運動の変化(王 奇生)  
4章 戦火での映像と人生――日中全面戦争時の重慶映画と映画人(汪 朝光)

第2部 日中共存への試み・相互認識と期待

5章 中国青年将校の日本陸軍留学体験――蔣介石の高田時代を例として(川島 真)
6章 第1次世界大戦中の「戦後」構想――講話準備委員会と幣原喜重郎(加藤陽子)
7章 日本の中国統治と中国人顧問――関東州・劉心田を事例として(松重充浩)
8章 相反する日本憲政観――美濃部達吉と張知本を中心に(中村元哉)
9章 1950年代における戦争記憶と浅い和解――元日本軍人訪中団を中心に(楊 大慶)
10章 中国の改革開放と大平正芳――第1次円借款を中心として(王 新生)

第3部 対立・断絶のなかの交渉

11章 日中関係のなかの「中国通」外交官――芳沢謙吉・有吉明の時代(劉 傑)
12章 日中戦争初期における中国の対日方針――トラウトマン工作をめぐる孔祥煕の活動を中心として(岩谷 將)
13章 周恩来と日本――人的ネットワークと対日外交の展開を中心に(李 恩民)
14章 高碕達之助と戦後日中関係――日本外交における「政治」から「経済」への転換(加藤聖文)
15章 廖承志と中国の対日「民間」外交(王 雪萍)
16章 「紅い貴族」の民間外交――西園寺公一の役割と機能(馬場公彦)

あとがき

人物紹介

関連年表

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