事業紹介

2012年
事業

325 日中若手歴史研究者セミナー

事業概要
日中両国の歴史認識問題はいまだに民間による地道な交流の必要性が示唆されている。当財団は2001年より政府間歴史共同研究に先駆けて「日中若手歴史研究者会議」を実施し、日中の若手歴史研究者による共同研究、成果の共同出版、英語圏への情報発信をすすめてきた。これにより歴史認識問題に積極的に取り組む歴史研究者のネットワークを日中米にわたって形成してきたが、対話の仕組みの発展と将来世代の歴史家の共同育成が課題になっている。そこで当財団は2011年度より5年間にわたって、両国の20代~30代の研究者をおもな対象とした「笹川日中友好基金日中若手歴史研究者セミナー」を実施する。2年目にあたる2012年度は若手研究者約20名が、講義・指導を担当する中堅・シニア研究者約10名と共に中国・厦門における研修に参加する。研修では講義、意見交換会の実施、史料館、史跡等の訪問を行う。研修の成果は報告書としてまとめ、ネット公開も検討する。さらに日中米に在住する歴史研究者や各国の大学・研究機関との交流をすすめ、歴史認識問題に取り組む研究者・学界のネットワークを強化する。
実施計画
日中両国の将来世代の歴史研究者間の交流を進めるため、中国・厦門大学においてセミナーを行う。厦門は1950年代の両岸緊張の舞台だったが、現在は融和が進む平和な海峡となり、両岸の往来が可能になっている。初年度の沖縄は日米戦争の舞台だったが、厦門も東アジア近現代史の中で重要な舞台である。5年継続事業の2年目にあたる本年度は、下記の活動を行う。
  • 研修の準備・総括
    セミナー準備のため、企画協力者の研究者と研修企画、テーマ、研修参加者を決定し、研修後には今年度のセミナーを総括し、翌年度の計画策定を行う。
  • 日中若手歴史研究者セミナー(セミナー業務を一部厦門大学へ業務委託する)
    • 時期と開催地:
      夏期休暇(8月~9月頃)に厦門大学と金門島であわせて約1週間。
    • 参加者:
      セミナーで発表する大学准教授・講師・博士課程後期クラスの若手研究者約20名とセミナーで講師やコメンテーターをつとめるシニア・中堅研究者約10名。日中双方から半数ずつの参加者を募る。
    • 研修形式:
      講師による講演と議論、研修参加者によるミーティングや研究発表、厦門や金門島の資料館見学や文化研修などをおこなう。講演は一部公開で行うことも検討する。
  • 報告書作成
    セミナーの成果を報告書にまとめ、研修教材や議事録、発表資料などのネット公開を検討する。
  • 研究者交流
    東アジア、欧米の研究者との意見交換や交流をすすめ、外部研究会への参加などを行う。
事業成果
本事業は、日中両国の20 ~ 30代の若手歴史研究者間のネットワーク強化と歴史研究動向、歴史認識問題などの情報共有を目的として、1週間程度の夏季セミナーを実施しているものです。
2012年8月には、中国福建省厦門大学と台湾金門大学の2カ所で「第2回日中若手歴史研究者セミナー」が実施されました。このセミナーには、計37名(日本から14名、中国から18名、台湾から5名)が参加し、14回におよぶ第一線の研究者による講義や若手研究者による発表が20回行われました。福建省泉州市や金門島での博物館研修も実施し、両岸における史料展示を実地で学ぶことができました。セミナー終了後も、参加者同士がお互いに訪問して交流を続けており、本事業で形成されたネットワークが継続性を持ちつつあります。

事業実施者 笹川平和財団 年数 5年継続事業の2年目(2/5)
形態 自主助成委託その他 事業費 8,232,886円
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