事業紹介

2011年
事業

306 日本語教材開発支援

事業概要
中国の大学における日本語学習者数が急増し、2009年には55万人を突破している。一方で旧来の言語知識重視型の日本語教育を支えてきた主力教材は、大学生の自由で柔軟な発想に基づき創造的な学習と自己成長を促し、日本理解を深めるといったニーズに十分対応できていない。本事業は、これらの問題を解消するために、北京日本学研究センターが中国国内の日本語教育の精鋭を組織し、日本側専門家の協力を得て、総合教程(精読)、聴解、会話、作文および教師指導書、練習帳からなる中国初の日本語専攻の大学用教材シリーズを開発することを目的とする。なお当財団は、日中の専門家による共同作業の部分(双方の専門家が毎年中国と日本で一回ずつ行う素材収集、執筆原稿の校閲・修正を行う合同編集会議、地方大学の日本語教師に対する研修指導、日中両国で開催される出版発表会への参加費用など)を支援する。
実施計画
4年継続事業の最終年度にあたる本年度は下記の活動を実施する。
  • 中国国内合同編集会議:
    2011年夏、国立国語研究所、早稲田大学、御茶ノ水女子大学などの日本語教育の専門家6名が訪中し、中国側執筆者、専門家と総合教程の共同編集会議を北京と天津で開く。また、1週間の滞在期間中に、教材を導入する各大学の教員を対象とした研修指導を行うほか、同時期に中国で開催される世界日本語教育年次大会に参加し、教材の広報と情報発信を試みる。
  • 日本国内合同編集会議:
    2012年1月、中国側教材執筆者や専門家6名が来日する。東京で開催される教材編集の総括会議、評価研究会議に参加する。
  • モニター講義の実施:
    中国の大学で日本語教授歴を持つ専門家の協力を得て、開発された教材を活用したモニター講義を実施し、結果を執筆者にフィードバックし、教材作成に役立てる。
  • 出版発表会:
    日本側専門家、海外の日本語教育研究者、教育関係者による参加の下、本事業の背景、目的、内容などを説明し、広報するための出版発表会を北京および東京で開催する。
  • 外部評価の実施:
    外部専門家に教材の使用状況、事業の成果と課題に関する調査を依頼し、評価報告書を作成し、中国並びに海外の日本語教育振興に役立てる。
事業成果
最終年度となる本年度は、毎年中国で開催される「日本語教育研究全国大会」や、2011年天津市で開かれた「第10回日本語教育国際大会」などの機会を活用し、シリーズ教材を内容とした学術発表を行い、教材開発に関する分科会を開催しました。
4年間の結果として、計画通り『基礎日本語総合教程』シリーズ全23巻が完成し、高等教育出版社から出版されました。

事業実施者 北京日本学研究センター(中国) 年数 4年継続事業の4年目(4/4)
形態 自主助成委託その他 事業費 7,022,267円
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