海洋情報旬報 2013年11月11日~20日

Contents

11月12日「オランダ海兵隊、アデン湾で海賊対処降下訓練実施」(EUNAVFOR, Somalia, November 14, 2013)

EU艦隊によれば、EU艦隊旗艦、オランダ海軍ドック型揚陸艦、HNLMS Johan de Witt乗艦のオランダ海兵隊員は11月12日、アデン湾で海賊対処のパラシュート降下訓練を実施した。同艦の海兵隊員は、臨検チームの要員である。洋上でのパラシュート降下は、海上部隊に海兵隊員が乗艦していなくても、洋上で哨戒中の海上部隊の近くに海兵隊員を迅速に派遣する方法で、海上部隊が彼らを乗艦させるために港に戻る必要はなく、海賊対処に当たってユニークな能力を発揮する。ジブチに駐留するオランダ軍降下学校の海兵隊員と米空軍のGuardian Angelsが訓練を支援し、同じくジブチに駐留する合同任務部隊の米空軍のC-130輸送機が使用された。訓練では、単独降下に加えて、臨検の際に降下訓練を受けていない通訳や医師を同行する場合に備えて、タンデム降下訓練も行われた。

記事参照:
Marines Of HNLMS Johan De Witt Execute Para Jump On Water Exercise
Photo1, 2: On Tuesday November 12, marines of the Royal Netherlands Marine Corps, embarked on the EU Naval Force (EU NAVFOR) Somalia Operation Atlanta flagship, HNLMS Johan de Witt, have executed a parachute jump exercise in the Gulf of Aden.

11月13日「インド海軍、今後10年間で戦闘艦艇200隻保有」(NDTV, November 13, 2013)

インドのNDTVが2013年11月13日付で報じるところによれば、インド海軍は、今後10年間で、3個艦隊に各1隻の空母を含め、戦闘艦艇を200隻保有することになろう。インド東部艦隊司令官は、インド海軍の現有艦艇は136隻だが、今後10年間に200隻に達し、現有のドック型揚陸艦 (Landing Platform Dock: LPD) は、(米海軍から購入した)INS Jalashwa、1隻のみだが、更に4隻保有する計画である、と語った。更に同司令官によれば、11月末にロシアを出てインドに回航される空母、INS Vikramadityaは、アラビア海に面したカルナータカ州カルワルにあるINS Karwar海軍基地に配備される。2番目の空母は現在、コーチンの造船所で建造中であり、就役すればビシャカパトナムの東部艦隊に配備される。

記事参照:
Indian Navy to have 200 warships in ten years: official

【関連記事1「ロシアで改修中のインド空母、インド海軍に引き渡し」(gCaptain, Reuters, November 17, 2013)

ロシアは11月16日、セヴェロドビンスクのSevmash造船所で改修中であった、空母をインド海軍に引き渡した。旧名、Admiral Gorshkovは、INS Vikramadityaと命名され、正式にインド海軍戦闘艦となった。引き渡し式典には、ロシアのロゴジン第1副首相とインドのアントニー国防相が出席した。

記事参照:
Indian Navy (Finally) Gets Russian Aircraft Carrier
Photo1: The Indian Navy flag is hoisted on INS Vikramaditya as it is commissioned into Indian Navy, at Sevmash Shipyard in Russia on November 16, 2013.
Photo2: Indian Aircraft Carrier INS Vikramaditya during her sea trails.

【関連記事2「インド海軍空母、INS Vikramaditya、ロシア出航、インドへ回航」(The Hindu, November 27, 2013)

インド海軍空母、INS Vikramadityaは、11月26日にロシアのセヴェロドビンスクを出航し、インドに向かった。母港となる、カルナータカ州のINS Karwarには2014年1月第3週に到着予定である。INS Vikramadityaは翌27日にムルマンスクに到着し、同港で数日滞在した後、同港で合流する、随伴艦、フリゲート、INS Trikhandと艦隊補給艦、INS Deepakと共にインドに向かう。乗組員は、同艦の空調システムがインド洋の気候に耐えられるかどうかをチェックする。また、改修工事を担当したSevmash造船所の技術者177人が乗り込み、全てのシステムの洋上テストに立ち会う。技術者の多くは1年間の保証期間中、インドに滞在することになっている。Sevmash造船所の副代表は、20~40年間の支援業務契約をインド側と締結する計画である、と語っている。処女航海には艦載機のMiG-29Kは搭載されていない(最大30機搭載可能)。艦載機のパイロットは、ゴアのINS Hansa海軍基地に建設されている、陸上発着艦訓練施設 (The shore-based test facility: SBTF) で訓練しており、同艦がインドに到着後、数週間以内に同艦での発着艦訓練が開始されることになっている。また、同艦は今のところ非武装で、今後2年以内に艦対空ミサイルや近接防空システム (CIWS) などが装備される。

記事参照:
INS Vikramaditya sets sail for India
Photo: India’s latest aircraft carrier INS Vikramaditya leaving Russia’s Sevmash shipyard, where it was rebuilt, for its long voyage to India on November 26, 2013.

11月14日「韓国現代重工建造、5隻目のフリゲート進水」(MarineLog.com, November 14, 2013)

韓国の世界最大手の造船会社、現代重工は11月14日、蔚山の造船所で、同社建造5隻目のフリゲートを進水させた。海国海軍司令官などが列席した進水式典で、韓国海軍のIncheon(仁川)級フリゲート3番艦、ROKS Jeonbuk(全北)が進水した。Incheon(仁川)級は、排水量2,300トンで、全長114メートル、全幅14メートルで、最大速度30ノット、乗組員120人で、3番艦のROKS Jeonbuk は2014年12月に海軍に配備される。同社建造の3隻目のフリゲートでIncheon級の1番艦、ROKS Incheonは2013年1月に配備され、4隻目となる、同級2番艦、ROKS Gyeonggi(京畿)は2014年10月に配備される。同社は、1980年に最初の国産フリゲート、ROKS Ulsan(蔚山)を建造して以来、これまでに63隻の韓国海軍艦艇を建造してきた。

記事参照:
Hyundai Heavy launches its fifth frigate
Photo: ROKS Jeonbuk

11月14日「米海軍副作戦部長、中国海軍東海艦隊訪問」(Ministry of National Defense, PRC, November 15, 2013)

中国海軍東海艦隊の蘇支前司令員は11月14日、艦隊を訪問した米海軍のファーガソン三世副作戦部長 (ADM Mark E. Ferguson III) と会談した。ファーガソン三世副作戦部長は、東海艦隊の新型誘導ミサイル駆逐艦、「長春」、新たに就役した小型フリゲート、「上饒」及び新型潜水艦を視察した。副作戦部長は、「上饒」で洋上に出、乗組員の訓練を視察した。米海軍訪問団の中国戦闘艦への乗艦は、4年ぶり2度目である。

記事参照:
U.S. vice chief of naval operations visits East China Sea Fleet

11月16日「米海軍沿岸戦闘艦、東南アジア海域への最初の展開終了、母港に帰還」(Military.com, November 18, 2013)

米海軍沿岸戦闘艦、USS Freedom (LCS 1) は11月16日、東南アジア海域への処女展開を終え、シンガポールを出港した。同艦は4月18日に到着以来、シンガポールを兵站・補修のハブ基地としてきた。同艦は、シンガポール出港後、太平洋を横断して母港サンディエゴに帰還する前に、数週間にわたって西太平洋海域に留まると見られる。米海軍西太平洋兵站グループのテーボー (RADM Cindy Thebaud) 司令官は、「我々は、USS Freedomの最初のローテーション展開に当たって、そして特に同艦がチャンギ海軍基地に入港中における、シンガポールの歓待に深甚な感謝を表する」と語った。USS Freedomは、この半年余に及ぶ展開中に、域内の多くの国を訪問し、マレーシアとシンガポールとの2国間演習、CARATや東南アジア海軍多国間協力訓練 (SEACAT) など、各国海軍との演習を実施した。

最近多くの海軍高官が述べているように、東南アジアをグローバル経済に結びつける重要なシーレーンが交差するこの海域は、米海軍のプレゼンスが現在も、そして将来にわたって不可欠の海域である。沿岸戦闘艦のローテーション展開は、海軍の持続的なプレゼンス維持を支え、重要なシーレーンへのアクセスを拡充するとともに、域内諸国との関係を強化することになろう。

記事参照:
USS Freedom Departs From Singapore For Final Time

11月18日「米海軍、北極海への艦隊派遣準備加速」(DOD BUZZ.com, November 18, 2013)

米海軍は現在、北極海で行動する艦隊を編成するために、調査と技術的準備を加速させている。海軍はこれまで2030年代半ばを目途に北極海でのプレゼンスを強化するために準備してきたが、現在では、北極海の海氷の溶解ペースが速まっていることから、2020年代半ばまでに工程を早めて、The Updated Arctic Road Mapの最終調整を行っている。ロード・マップは、海軍が北極海の厳しい気象条件下でも活動できるようにするために必要な投資、ドクトリンそして技術を準備することを狙いとしている。The Office of Naval Research (ONR) は、特殊塗料を使用して水上艦艇の上部構造への着氷を防止する研究を行っている。海軍はまた、上部構造に装備する暖房装置の研究も行っている。更に、海軍は、耐氷性を高めるために、一部の艦艇の船体を強化している。海軍は、将来的に北極海域で強襲揚陸艦や駆逐艦を運用するために備えて、北極海の厳しい活況下でも活動するために必要な技術的問題についても研究を進めている。

記事参照:
Navy Prepares Fleet for More Arctic Missions

11月19日「北極海での石油掘削、原油流出事故は不可避―英科学者警告」(The Guardian, November 19, 2013)

英紙、The Guardianが11月19日付けで報じるところによれば、英サウサンプトン大の海洋科学者、ボクソール (Simon Boxall) 教授は、ロシアのガスプロムが現在、北極海での石油掘削施設を建設していることに関連して、掘削を開始すれば、近い将来における大規模な石油流出事故が不可避で、北極海に破壊的な結果をもたらすであろう、と警告した。ボクソール教授は、2010年4月にメキシコ湾で起きた、BP (British Petroleum) の石油掘削施設、Deepwater Horizonでの原油流出事故の分析で重要な役割を果たした。ボクソール教授によれば、北極海での流出原油は温暖な海と違って自然消散せず、分解するまでに何十年もの歳月を要し、除去活動も困難を極めることになるという。更に、教授は、ロシアの過去の掘削作業における安全記録が優良ではないことも指摘している。

一方、ロシアの国営石油会社、ロスネフチは11月13日に韓国の大宇造船海洋と北極海におけるエネルギー計画で協力する覚書に調印し、大宇造船海洋は、砕氷船と沖合でのエネルギー開発のための主要施設を建造するために、ロシア極東における新たな造船施設の建設を支援する。

記事参照:
Arctic oil spill is certain if drilling goes ahead, says top scientist

11月20日「印越両国、南シナ海での石油開発拡大に合意」(UPI, November 20, 2013)

インドとベトナムは11月20日、南シナ海での石油開発プロジェクトを拡大することに合意した。ベトナム共産党書記長のインド訪問時に両国間で8つの協定に調印されたが、エネルギー開発に関する協定では、ベトナムは、インドの国営石油に、南シナ海での新たな開発鉱区を提供した。両国の国営石油会社は既に、共同企業体を組織して、南沙諸島海域に近い3つの開発鉱区で石油開発を行っている。

記事参照:
India, Vietnam agree on more South China Sea oil development

11月20日「中国海軍の戦力組成と近代化率―米議会米中経済安全保障調査委員会年次報告書」(2013 Report to Congress, U.S.-China Economic and Security Review Commission, November 20, 2013)

米議会米中経済安全保障調査委員会 (U.S.-China Economic and Security Review Commission) は11月20日、2013年の年次報告書 (2013 Report to Congress) を公表した。同報告書の第2章第1節によれば、中国海軍の1990年~2020年までの戦力組成と近代化率の推移は下表の通りである。

(1) 潜水艦の戦力組成の推移
a131111-1
Source: Numbers from 1990 to 1995 are based on information from various editions of the International Institute for Strategic Studies’ The Military Balance series, reprinted in Anthony H. Cordesman et al., Chinese Military Modernization and Force Development: A Western Perspective (Washington, DC: Center for Strategic and International Studies, 2013), pp. 157–163. Numbers from 2000 to 2010 and projections for 2015 and 2020 were provided by the U.S. Office of Naval Intelligence. U.S. Office of Naval Intelligence, PLA Navy Orders of Battle 2000–2020, written response to request for information provided to the U.S.-China Economic and Security Review Commission, Suitland, MD, June 24, 2013.

(2) 潜水艦の近代化率の推移
a131111-2
Source: Approximate percentages from 1990 to 1995 are based on information from various editions of the International Institute for Strategic Studies’ The Military Balance series, reprinted in Anthony H. Cordesman et al., Chinese Military Modernization and Force Development: A Western Perspective (Washington, DC: Center for Strategic and International Studies, 2013), pp. 157–163. Approximate percentages from 2000 to 2010 and projections for 2015 and 2020 were provided by the U.S. Office of Naval Intelligence. U.S. Office of Naval Intelligence, PLA Navy Orders of Battle 2000–2020, written response to request for information provided to the U.S.-China Economic and Security Review Commission, Suitland, MD, June 24, 2013.

(3) 水上艦艇の戦力組成の推移
a131111-3
Source: Numbers from 1990 to 1995 are based on information from various editions of the International Institute for Strategic Studies’ The Military Balance series, reprinted in Anthony H. Cordesman et al., Chinese Military Modernization and Force Development: A Western Perspective (Washington, D.C: Center for Strategic and International Studies, 2013), pp. 157–163. Numbers from 2000 to 2010 and projections for 2015 and 2020 were provided by the U.S. Office of Naval Intelligence. U.S. Office of Naval Intelligence, PLA Navy Orders of Battle 2000–2020, written response to request for information provided to the U.S.-China Economic and Security Review Commission, Suitland, MD, June 24, 2013.

(4) 水上戦闘艦の近代化率の推移
a131111-4
Source: Approximate percentages from 1990 to 1995 are based on information from various editions of the International Institute for Strategic Studies’ The Military Balance series, reprinted in Anthony H. Cordesman et al., Chinese Military Modernization and Force Development: A Western Perspective (Washington, D.C: Center for Strategic and International Studies, 2013), pp. 157–163. Approximate percentages from 2000 to 2010 and projections for 2015 and 2020 were provided by the U.S. Office of Naval Intelligence. U.S. Office of Naval Intelligence, PLA Navy Orders of Battle 2000–2020, written response to request for information provided to the U.S.-China Economic and Security Review Commission, Suitland, MD, June 24, 2013.

記事参照:
CHAPTER 2: CHINA’S IMPACT ON U.S. SECURITY INTERESTS
SECTION 1: MILITARY AND SECURITY YEAR IN REVIEW
Complete Report