海洋情報旬報 2013年7月1日~10日

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7月2日「インド海軍、ロシアからステルス・フリゲート受領」(RIA Novosti, July 2, 2013)

ロシア国営武器輸出会社、Rosoboronexportが7月2日に明らかにしたところによれば、インド海軍がロシアに発注していた新型ミサイル・フリゲート3隻の最後の1隻、INS Trikandは、カリーニングラードのYantar造船所でインド海軍の乗組員に引き渡された。 ロ印間では2006年に、Krivak III 改級(Talwar級)誘導ミサイル・フリゲート3隻をインド向けに建造する、総額16億米ドルの契約が調印された。1番艦はINS Tegで、2012年4月27日にインド海軍に配備され、2番艦INS Tarkashは2012年12月30日にインドのムンバイ港に到着した。3隻のフリゲートは、ロ印両国で共同開発したBrahMos超音速巡航ミサイルを装備する。その他の兵装は、100ミリ砲1門、Shtil艦対空ミサイルシステム1基、Kashtan防空・砲/ミサイルシステム2基、533ミリ魚雷発射管2本、及び対潜ヘリ1機である。

記事参照:
Russia Hands Over New Stealth Frigate to India
Photo: INS Trikand missile frigate

7月2日「ケリー米国務長官のアジア軽視、批判―米アジア専門家」(Foreign Policy, July 2, 2013)

米シンクタンク、The Center for a New American Security のラトナー (Ely Ratner) アジア太平洋安全保障プログラム副部長は、7月2日付のForeign Policyに、“Has Foggy Bottom Forgotten Asia?” と題する論説を掲載し、ASEAN地域フォーラム (ARF) への出席に示された、ケリー米国務長官のアジア軽視の姿勢を批判して、要旨以下のように論じている。

(1) ケリー米国務長官は、アジアへのコミットメントを説明するため予定されていたアジア歴訪を取り消して、イスラエル訪問期間を伸ばした。7月1日のARFには出席したものの、その数週間前には初のインドネシア、ベトナム訪問を取り消し、サウジアラビア、ヨルダン、イスラエルを訪問した。訪問した国々は各2、3、4回目の訪問である。このようなアメリカのアジアにおける利益の軽視は、受け容れ難いものである。

(2) ケリー長官のアジェンダは、シリア、イランおよびアラブ世界の危機に集中されている。2月に就任して以来、ケリー長官の外遊先はヨーロッパか中東がメインであった。ケリーの個人的なシリアへのコミットメント、イランへの警告、そしてイスラエル·パレスチナ和平プロセスを起動するための努力は、評価されるべきである。しかしながら、ワシントンとアジアの外交官や政治家は、オバマ政権第1期の主な外交政策の変革であった、アジアにおける再均衡化、あるいはアジア回帰に対するケリー長官の意欲を疑い始めている。2012年ワシントンを訪れたアジア各国の政府当局者や学者は、オバマ第2期政権でもアジア回帰は続くのか、と一様に同じ質問を投げかけた。多くの不安を抱いているアジア諸国に対して、ケリー長官は就任以来、彼らを安心させるようなことは何もしていない。

(3) 一方、国防省は、大統領のアジア政策を忠実に遂行しており、同盟国との連携を強化し、ベトナムやミャンマーといった新たなパートナーとの関係を構築し、更には強固な2国間、多国間関与を続けている。国務省は、経済、外交及び文化的側面から、この地域における米軍のプレゼンスを補完すべきである。しかし、ケリーのアジアに対する無関心は、リバランシングの最も核心的なプレーヤーが米軍であることを際立たせている。その結果、米国は、安全保障問題に対する過剰な行動で中国を刺激し、旗幟を鮮明にしたくないと考えている新たなパートナーを疎外する危険を冒している。

(4) こうした危険の解決法は、国防省がスローダウンするのではなく、国務省が追いつくことである。アジア政策決定に主要な役割を果たしたキャンベル東アジア太平洋担当次官補が2月に辞任して以来、空席のこのポストを埋めることは、ケリー長官のアジア軽視を和らげることになろう。しかし、ケリー長官自身がアジアに個人的にコミットしていると見られなければ、アジアにおけるアメリカの外交官は、国務省のリーダーシップと意志を代表していると主張することは困難であろう。アジアの政府当局者は、ケリー長官と国務省の高位政策決定者に対して、外交においては姿を見せることが交渉の半ばを占めるのであり、アメリカの不在が短期的にも長期的にもアメリカの国益に影響を及ぼすことを思い起こさせる必要がある。

(5) ケリー長官のブルネイ訪問が懸念を和らげたというにはまだ早い。ブルネイにおけるケリー長官の最初の2国間対話はEU外交担当との会談であり、しかもシリアとイラン問題が議論された。中東訪問の合間にアジアの多国間会議に出入りするのではなく、より長期の確固たる関心を持ったアジア訪問がよい出発点となろう。7月1日にブルネイで、ケリー長官の行動は国務省の政策が中東や欧州にシフトしていることを示唆しているように見えると質問されたのに対して、ケリー長官は、「私は、ここに戻ってくるのを楽しみにしている。我々がお互いに良く知り合うことを望んでいる」と答えた。ケリー長官はそれを実行しなければならない。アジア回帰は願望だけでは実現できない。

記事参照:
Has Foggy Bottom Forgotten Asia?

7月3日「ベトナム国営石油、ジャッキアップ式リグ発注」(Marine Log, July 3, 2013)

ベトナム国営石油、PetroVietnam傘下のPV Drilling Overseas (PVDO) は7月3日、シンガポールのKeppel FELS社に、KFELS B Classジャッキアップ式リグを発注した。費用は約2億1,000万米ドルである。KFELS B Classジャッキアップ式リグは、3万フィートまで掘削可能で、操業可能水深は400フィート、最大150人までの要員を収容できる。Keppel FELS社によれば、2000年以来、45基のKFELS B Classジャッキアップ式リグを発注元に引き渡しており、更に19基の発注を受けている。PVDOの発注は19番目だが、2015年第1四半期までに引き渡されるという。PVDOのドン会長は、「我々は、オフショア・リグの需要の高まりに対応するつもりであり、早期に高性能リグを取得できることを喜んでいる。ベトナムの海洋掘削を加速させるために、これは、我々の現有リグを増強するための重要な措置である」と語っている。

記事参照:
PetroVietnam unit orders jack-up at Keppel FELS
Photo: KFELS B Class jack-up rig

7月3日「韓中、暫定措置水域における共同監視に合意」(Yonhap News, July 4, 2013)

韓国の尹珍淑海洋水産部長官は、韓中間の暫定措置海域での中国漁船の違法漁業に対して共同監視を行うことに、韓中両国が原則的に合意したと発表した。両国は、西海(黄海)における境界線画定を完了しておらず、暫定装置海域においては、等量等隻の原則に基づいて両国漁船の漁業を許可している。しかし、韓国政府が違法魚業をコントロールする法的手段を持ってないため、多くの中国魚船の無許可漁業を統制できなかった。尹長官は、6月の朴槿恵大統領の訪中に同行し、中国政府に暫定措置海域における監視強化を促した、と述べた。尹長官はまた、違法漁業により漁業資源の枯渇がもたらす被害は共通の問題である、と強調した。両国の合意は、8月に予定されている中国政府の組織改編により漁業分野が農業部から国家海洋庁へ移管された後、具体的な協力方案を策定する予定である。

記事参照:
China agrees to strengthen watch on illegal fishing in Yellow Sea: minister

7月3日「フィリピン、イタリアからフリゲート2隻購入へ」(ABS-CBN News.com, AFP, July 3, 2013)

フィリピンのマナロ国防次官が7月3日に明らかにしたところによれば、フィリピンはイタリアから2隻のMaestrale級フリゲート(満載排水量2,525トン)を購入する計画である。マナロ次官は、フリゲートの購入は、12機のFA-50戦闘機とともに、総額750億ペソ(17億ドル)の国防近代化5カ年計画の目玉である、と語った。フィリピン海軍は、イタリア海軍のMaestrale級フリゲートの中古艦の購入ではなく、新造艦2隻を取得することを決定しており、180億ペソの予算を計上している。12機のFA-50戦闘機は、189億ペソで韓国から購入する。

記事参照:
Philippines to buy 2 frigates from Italy

7月3日「インド海軍空母、ロシアで最終海上公試開始」(NDTV, July 3, 2013)

ロシアで改修中のインド海軍空母、INS Vikramadityaは7月3日、ロシアのセヴェロドヴィンスクの造船所を出た。同艦は5日から少なくとも2カ月間、白海で厳格な最終海上公試を実施する。この海上公試では、センサー、兵器システム及び推進システムを含む、艦の全てのシステムがテストされ、全速航行テストも行われる(2012年の海上公試では、30ノット強の全速航行中、ボイラー破損事故を起こしている)。インド海軍高官によれば、全てが順調にいけば、11月にはインド海軍旗が空母艦上に掲げられ、インドに回航されることになろうという。

記事参照:
INS Vikramaditya, India’s second aircraft carrier, out at sea again

7月4日「アメリカのアジア回帰、主導者から裏方へ?―RSIS専門家」(RSIS Commentaries, No. 123, July 4, 2013)

シンガポールのS.ラジャラトナム国際関係学院(RSIS)のEmrys Chew助教授とAlan Chong准教授は、7月4日付けのRSIS Commentariesに、“America’s Quest for a New Equilibrium with Asia: Pivoting to Surrogacy?” と題する論説を掲載し、アメリカのアジア回帰について、ブルネイでのASEAN地域フォーラム(ARF)へのケリー米国務長官の出席はアメリカのアジア回帰の特徴を再確認するもので、再均衡化戦略はこの地域の相互利益や関心に対する益々繊細なアプローチを必要としているとして、要旨以下のように述べている。

(1) オバマ政権は、アジアにおける再均衡化という名目で、アジア回帰を上手く進めてきた。その過程で、2国間安全保障関係の再活性化、中国を含む新興パワーとの新たな関係の構築、地域の多国間機構への関与の強化、そして民主主義または人権を犠牲にしない、経済的、軍事的戦略的パートナーシップの強化が進められてきた。

(2) 一方、戦後、植民地から独立した東南アジア諸国は、大国からの干渉を最小限に止めながら、自国の政策決定の自由を優先した。頑なな自由裁量権の追求は、東南アジアの国際秩序の中心的テーゼとなった。国家建設を進めるに当たって、ほとんどの東南アジア諸国の外交政策は、対外的には中立を最大限に指向することで、国内的な基盤を強化しようとした。そして、冷戦は、こうした国内建設に影響を及ぼさないような中立志向を可能にした。ビルマ(ミャンマー)、カンボジア、インドネシア、マレーシアそしてシンガポールにとって、その外交政策は、大国が一夜にして彼らをむさぼり食うかもしれないトラに変貌しないようにしておくことを意味した。そこでは、非同盟政策という現実的な選択肢があった。フィリピン、タイ、ラオス、ベトナムそしてポスト・シアヌークのカンボジアなど、冷戦のいずれか一方の側に与した諸国も、ナショナリズムから同じような政策を追求した。興味深いことに、冷戦が終わると、全てのイデオロギー的強硬派は、特定の地域的な敵対国や敵意を持つ大国との和解を模索するようになった。例えば、今日、ベトナムは、自らの意志で親米的スタンスをとっている。

(3) 2010年代におけるアメリカのアジアにおける再均衡化は、ベトナム撤退後に定期的に繰り返された撤退症候群からの新たな離脱以上のものであることを認識しなければならない。海兵隊のダーウィンへの展開、沿岸戦闘艦のシンガポールへの配備、そしてマニラ、ハノイ、ソウル及び東京に対する安全保障コミットメントの再確認など、形としては、SEATO体制の焼き直しのように見える。しかし、こうした措置は、一層自信を深めるASEAN10カ国―その内、フィリピンとタイだけがアメリカの同盟国―の真意を覆い隠すことはできない。ブルネイからカンボジア、マレーシア、更にはタイに至るまで、全ての国は、高圧的な中国に対抗するために、しかしそれはインド、韓国、日本、オーストラリア、ロシア、更にはEUを含む、アドホックでオープンな多国間アプローチで対抗するという条件で、アメリカのプレゼンスの再活性化を歓迎しているということである。

(4) こうした状況下におけるアメリカの再均衡化の利点は、アメリカが好ましいゲストとして、域内諸国が整えたテーブルに座ることを歓迎されているということである。皮肉なことに、以前のアジア回帰の機会に、1949年7月の米国務省政策計画スタッフのペーパーは、似たような有益な提案を行っている。ペーパーは、「アメリカの帝国主義的介入という印象を最小限に抑えるために、我々は、インド、フィリピン、及びその他のアジア諸国に対して、域内の政治問題において政治的リーダーシップを発揮するよう慫慂すべきである。アメリカの役割は、控え目な支援とガイダンスに留めるべきだ」と述べている。ケリー米国務長官のブルネイでのASEAN地域フォーラム (ARF)への出席が示しているように、裏方に回って行動することに、何ら不都合はないのである。

記事参照:
America’s Quest for a New Equilibrium with Asia: Pivoting to Surrogacy?

74日「中堅造船4社が提携、省エネ船開発で新会社設立」(201374日、日本経済新聞電子版)

日本の中堅造船会社4社、常石造船(広島県福山市)、新来島どっく(東京・千代田)、大島造船所(長崎県西海市)、サノヤス造船(大阪市)が共同出資会社を設立し、各社の設計技術などを融合、環境規制に対応した船の開発などで提携する。造船業界で7割超のシェアを持つ中韓勢に対抗するため、各社の強みとする造船技術を持ち寄る。日本郵船と日本政策投資銀行、日本海事協会からも出資を受ける方針で、今後、他の造船会社や船舶機器メーカーへの参加も呼びかける。

記事参照:
中堅造船4社が提携、省エネ船開発で新会社

7月4日「ロシア、ミャンマーとの緊密な軍事協力を維持」(The Voice of Russia, July 4, 2013)

ミャンマーは米国との関係を正常化したが、ロシアとの軍事協力は相変わらず発展し続けている。ロシア戦略技術分析センターの専門家は、中国との友好関係も維持しているミャンマーは、米国やロシアなどの大国との関係においても、行動の自由を守ろうとしていると指摘する。2013年3月、ロシアのショイグ国防相がミャンマーを公式訪問したが、ソ連時代以来、ロシアの国防相がミャンマーを訪問するのは50年ぶりのことだった。6月には、ミャンマーのミン・アウグン・フライン上将が返礼としてモスクワを訪問している。その中で、「軍事部門におけるロシアとミャンマーとの関係活性化」が宣言されている。ロシアとミャンマーの関係において、軍事協力および軍事技術協力は重要な側面となっている。ミャンマーは、限られた軍事予算の中で、MiG-29戦闘機やMi-17輸送ヘリコプター、対空ミサイルシステム「ペチョラ2M」などのロシア製武器を購入している。ロシアの軍事大学では合わせて150人以上のミャンマー軍将校が学んでいる。

一方で、中国との関係も深いミャンマーは、軍事市場においても中国のシェアは大きい。中国は特に、ミャンマーの海軍発展において重要な役割を果たしている。例えば、2012年3月、中国はミャンマーに対して老朽化した053H1型フリゲート2隻を譲渡している。ミャンマーが新しく建造しているフリゲートは中国の支援を受けており、中国の054A計画に基づくものだと見られる。このような中でもミャンマーは、装備について他の国のシステムを採用することも厭わない。ロシアの対艦ミサイルX-35およびインドのバラトエレクトリクス社製のレーダーを採用すると見られているからだ。2013年末に予定されているロシア海軍の訪問によって、装備分野でもロシアとミャンマーの協力が更に進展する可能性がある。

ロシア海軍はグローバルなプレゼンスを拡大することを目指している。ミャンマーの港を利用できるようになれば、インド洋での活動が容易になる。また、ミャンマー国産の軍事産業建設のため、ロシアから支援が行われる可能性もある。ロシアはミャンマーに対して様々な軍艦、および対空防衛システムを提供することができるだろう。

記事参照:
ロシア、ミャンマーとの緊密な軍事協力を維持

7月6日「第14次中国ソマリア沖派遣艦隊、任務完了」(People’s Daily Online, July 9, 2013)

第14次中国ソマリア沖派遣艦隊は7月6日、任務を完了した。この間、600回の護衛任務で、5,227隻の船舶を護衛したが、その内、50%以上が外国籍船であった。中国は、2008年12月26日に第1次派遣隊を出発させて以来、14次で総計37隻の戦闘艦を派遣した。

記事参照:
Chinese naval escort taskforces complete 600 escort missions

7月7日「ソマリアの海賊によるハイジャック船、沈没」(EUNAVFOR Somalia, July 9, 10, 18 and 28, and others, 2013)

EUNAVFORは7月9日、ソマリアの海賊によって拘束されていたマレーシア籍船のコンテナ船、MV Albedo (1,066TEU) は7月7日、ソマリア沿岸沖で荒波の中、沈没した、と発表した。ハラルデーレを拠点とする海賊からの通報によれば、該船は1週間前から徐々に沈み始め、7日に完全に沈没し、乗組員4人と海賊7人が死亡したという。彼の話によれば、該船の船長は既に死亡しており、4人の乗組員は該船から離れていた、残りの14人(船長を入れて15人との報道もある)の行方は不明という。

MV Albedoは2010年11月26日、アラブ首長国連邦からケニアに向けて航行中、ソマリア沿岸900カイリ沖のインド洋で、ハイジャックされ、ソマリア沿岸のハラルデーレ沖で拘束されていた。

EUNAVFORは7月10日、EU艦隊所属の海上哨戒機が空中から捜索中、該船沈没海域から北に約14カイリの海岸で該船の2隻の救命ボートを発見したが、付近に乗組員や海賊と思しき人影がなかった、と発表した。

EUNAVFORによれば、EU艦隊所属の戦闘艦と艦載ヘリが行方不明者を捜索していたが、7月17日、沈没したMV Albedo の船尾上部構造物とオマーンの漁船、FV Naham 3 がロープで繋がれているのを発見した。ヘリからの写真によれば、FV Naham 3の上甲板に武装した者がおり、該船は海賊に拘束下にあることが確認されたが、MV Albedo とFV Naham 3の乗組員は見当たらなかった。EU艦隊所属の艦載ヘリは7月27日、FV Naham 3がソマリア沖を自力で北に向っていることを確認した。EUNAVFORの最新写真では、FV Naham 3はソマリア中部のガルムドゥグ沖に錨泊している。人質となっている乗組員の解放交渉が続けられていると見られているが、人質の居場所は確認されていない。

FV Naham 3 (558GT) は2012年3月26日、ソマリア沿岸沖でハイジャックされた。該船の乗組員は15人である。

記事参照:
MV Albedo Sinks In RoughSeas After Being Held By Somali Pirates For Over Two And A Half Years
MV Albedo Lifeboats Sighted On SomaliBeach
EU Naval Force Helicopter Overflies MV Albedo And FV Naham 3
Pirates Anchor FV Naham 3 Close To Somali Shoreline
Photo: MV Albedo
The lifeboat belongs to the MV Albedo
FV Naham 3

7月7日「ロシア海軍、2013年中に戦闘艦艇36隻受領」(RIA Novosti, July 7, 2013)

ロシア海軍のフェドテンコフ (VADM Alexander Fedotenkov) 副司令官が7月7日に明らかにしたところによれば、ロシア海軍は2013年中に戦闘艦艇36隻を受領する。これはロシア海軍史上、前例のない隻数である。同副司令官によれば、ロシア海軍の戦闘艦艇は全世界の海域で活動しており、現在60隻以上の艦艇が海洋に展開している。ショイグ国防相は2013年3月に、「2020年までの国家再軍備計画の履行によって、海軍は、8隻のSSBNと16隻の多用途潜水艦、及び54隻の各種艦艇を受領する」と語っていた。8隻のSSBNは、Bulava SLBM を搭載する3隻のBorey級と5隻のBorey-A級SSBNである。16隻の多用途潜水艦には、8隻のGraney級SSNとKilo改級とLada 級のディーゼル電気推進潜水艦 (SSK) が含まれる。水上戦闘艦艇では、Admiral Gorshkov級フリゲート、Steregushchy級コルベット、Buyan級コルベット及びIvan Gren 級大型揚陸艦が含まれる。

記事参照:
Russian Navy to Receive 36 Warships in 2013
See also INFOGRAPHICS: Russian Navy

7月8日「舶用LNG燃料のみ使用のフェリー、運航社に引き渡し―ノルウェー」(Maine Log, July 8, 2013)

ノルウェーのBergen Group Fosen造船所は7月8日、舶用LNG燃料のみを使用するフェリー、MV Stavangerfjordを、運航社のFjord Line に引き渡した。該船は、全長170メートルで、乗客1,500人、車両600台を積載でき、舶用LNG燃料のみを使用する初めての大型フェリーである。該船と更に1隻の姉妹船は当初、重油と舶用LNG燃料を併用する仕様であったが、2012年7月にLNGのみを使用するエンジンに変更された。そのため、該船の引き渡しが当初予定より遅れた。該船は、ノルウェーとデンマーク間の航路に投入される。Bergen Group Fosen造船所とFjord Lineによれば、姉妹船は、「近い将来に」引き渡されることになっている。

記事参照:
Fosen shipyard delivers LNG-fueled cruise ferry
Photo: MV Stavangerfjord

7月8日「モルディブ・スリランカ・インド、インド洋における海上安全保障協力の強化に合意」(Asiantribune.com, July 10, 2013)

インド、モルディブ、スリランカの安全保障担当者レベルの第2回会合 (The 2nd National Security Adviser Level Meeting on Trilateral Cooperation on Maritime Security between India, Sri Lanka and the Maldives) が7月8日にコロンボで開催され、3国間の海洋安全保障問題について話し合った。この会合で、3国は、海洋安全保障における将来の協力態勢についての工程表に合意し、海洋環境識別能力の強化、捜索・救難における調整の強化、油漏洩による海洋汚染対策の協力促進、友好合同訓練の拡充、及び海上における違法行為、海賊に関する情報の共有などを明記した文書に調印した。

記事参照:
Visit of Mr. Shivshankar Menon, National Security Adviser of India

7月9日「マースク、Triple-Eシリーズ・コンテナ船1番船受領―超大型コンテナ船時代へ」(gCaptain, July 8, 2013)

マースク・ラインの最新コンテナ船、Triple-Eシリーズの1番船、MV Mærsk Mc-Kinney Møllerは7月9日、韓国の大宇造船海洋から正式に引き渡される。該船は、1万8,270TEUで、CMA CGMの1万6,400TEUのコンテナ船、MV Jules Vemeを抜いて、世界最大のコンテナ船となる。マースクは、Triple-Eシリーズを20隻発注している。これに対して、中国の中海集裝箱運輸 (China Shipping Container Lines) とUnited Arab Shipping Companyは、韓国の現代重工業に1万8,400TEUのコンテナ船を各5隻発注しており、2015年に最初の船が引き渡される。

女王の座を巡るゲームの様相だが、英国のOcean Shipping Consultantsの管理部長、Andrew Penfoldは、ロイズ船級協会 (Lloyd’s Register) と共同で実施した研究によれば、最大2万4,000TEUのコンテナ船が建造できない技術的理由は何もない、と語っている。この研究によれば、1万8,000TEU船の1日当たりの運航費は19万7,198米ドルだが、2万2,000TEU船だと22万892ドル、2万4,000TEU船では22万9,693ドルになる。しかしながら、1個TEU当たりで計算すれば、1万8,000TEU船でTEU当たりの1日の運航費は10.96ドル、2万2,000TEU船だと10.04ドル、そして2万4,000TEU船では9.57ドルになる。これに対して、1万2,000TEUでは現在、TEU当たりの1日の運航費は12.43ドルと計算されている。Penfoldは、運航社が超大型コンテナ船を建造するのはこのためだと指摘している。英国のDrewry Maritime Researchの上席分析者、Neil Davidsonは、次の超大型船が出現するのは時間の問題で、早ければ2018年にも2万2,000TEU級のコンテナ船が運航されるかもしれない、と語っている。

Davidsonによれば、アジア・北欧間の平均的なコンテナ船のサイズは2013年末までには、1万1,300TEUになると見られるが、超大型コンテナ船が導入されれば、8,000TEU級のコンテナ船40隻をアジア・北欧間から他のルートに配置換えしなければならないであろうという。2012年1月以来、超大型コンテナ船が導入されることになっているアジア・北欧間より、アジア・地中海間、欧州・南米東岸間、アジア・南米東岸間及びアジア・中東間の方が、船のサイズが速いペースで大型化してきた。2013年6月にインドのムンドラ港(Mundra、グラジャート州)に1万3,000TEUコンテナ船が初めて入港したが、現在、中東と地中海海域では1万4,000TEU級が日常的に見られる。米西岸では1万3,000TEU級が入港しており、南米の東西両岸では1万2,500TEUから9,000TEU級が日常的に見られる。

こうした傾向は、世界の港湾・ターミナルに大きな影響を及ぼす。運航ルート上の港湾は、入港経路や錨泊地の浚渫、より長大な埠頭の建設、更にはガントリークレーンの揚程やブーム部のアウトリーチの延伸などを検討しなければならないであろう。既に、一部のターミナル建設計画が再検討を余儀なくされているようである。例えば、オーストラリアのメルボルン港のWebb Dock計画は現在入札段階にあるが、16億豪ドルの費用で水深14メートルの300メートル埠頭を建設する計画で、6,000TEU級コンテナ船を想定している。3年前の計画が、船のサイズの大型化で、現実化する前に、時代遅れになる危険に直面している。

記事参照:
Small Ports Feel the Heat from Big Box Ships as Cascade Effect Begins

7月9日「中国、国家海洋庁の機能・機構・人員編成を明確化」(People’s Daily Online, July 10, 2013)

中国の国家海洋庁は7月9日、国務院の了承を得た「国家海洋庁の主要機能と内設機構および人員編成の規定」を公表し、国家海洋庁の主要機能、内設機構、人員編成を明確化した。規定によると、国家海洋庁は、海警局(海警司令部・中国海警指揮センター)を設置する。海警局は、国家海洋庁の一部局として、海警部隊が展開する海洋権益維持目的の取締りの具体的活動を統一的に指揮、配置するが、公安部からの業務指導を受ける。海警局は北海分局、東海分局、南海分局を設置し、3分局は沿海諸省(自治区、直轄市)に11個の海警総隊およびその支隊を設置し、管轄海域の海洋監督・管理および権益維持目的の取締りを行なう。人員は、1万6,296人である。海警局は、中国海監、公安部沿岸警備隊、農業部漁政および海関総暑海関を含む、多様な機能を統合する。

記事参照:
Maritime authority to boost capabilities

7月10日「米海軍無人機、空母着艦に成功」(Defense News, July. 10, and gCaptain, July 11, 2013)

米海軍が開発中の無人機、X-47Bは7月10日、2機のF/A-18 Super Hornet攻撃機に伴われて、メリーランド州Patuxent River海軍航空ステーションを離陸し、デラウエア州デルマーヴァ半島沖数百カイリの大西洋上の空母、USS George H. W. Bushに着艦することに成功し、空母から運用可能なことを実証した。X-47Bは35分間の飛行で、空母の3本目の着艦拘束ギアを捉え、約145ノットの速度から350フィート以下に減速し、着艦した。X-47Bはその後、カタパルトを使って発艦し、再び着艦した。3回目の着艦は技術的問題が見つかったため中止された。X-47Bは、F/A-18とほぼ同サイズで、5月14日に空母からカタパルトを使った発艦に成功している。現在、X-47Bは2機が製造されているが、更なる取得計画はない。

記事参照:
X-47B Successfully Lands on Carrier
See also Video; http://gcaptain.com/us-navy-drone-makes-historic-carrier-landing/

7月10日「韓国済州島の海軍基地、中国を挑発するか―米専門家論評」(The Diplomat, July 10, 2013)

ワシントンのThe Catholic University of America のAndrew Yeo准教授は、7月10日付のWeb誌、The Diplomat に、“Will S. Korea’s New Naval Base Provoke China?” と題する論説を掲載し、韓国済州島に建設される海軍基地について、アメリカにアクセス権を与えれば、中国を挑発することになるとして、要旨以下のように述べている。

(1) 韓国の南西沖の済州島では、海軍基地の建設に反対する抗議デモがほぼ毎日、3年近く続いている。有名な観光地であり、「平和の島」と呼ばれる済州島に海軍基地が建設されることに反対する側は、域内の海軍力整備競争を誘発し、中国との緊張を高めることになりかねないと主張している。一方、多くの韓国人は、基地反対派を、伝統的なNIMBY (not-in-my-backyard) 型の抗議(注:施設の必要性は認めるが、自らの居住地域での建設には反対)か、あるいは左翼活動家や野党のメンバーによる政治的な反対と見、こうした懸念を無視してきた。しかしながら、こうした懸念は、北東アジアの戦略的環境が悪化する中では考慮する必要がある。

(2) 韓国政府は1990年代から済州島における海軍基地建設について議論を始め、盧武鉉政権(2003~2008年)期に、基地建設は、アメリカ依存を減らし、より強靱な自衛力整備を目指す韓国軍改革の一環として承認された。現在、この基地建設は、2020年までに外洋海軍を建設する韓国軍近代化計画と連動している。この基地はまた、中国の海洋における増大しつつある野心に抗して、海洋権益を護る上で有益である。韓国の海洋を通じた輸出入の依存度を考えると、韓国は、シーレーンを脅かされるわけにはいかない。

(3) 基地建設反対派は、これが事実上、米軍基地として使われることを懸念している。推進派は、この基地は紛れもなく韓国海軍基地であると主張している。しかしながら、反対派は、アメリカのアジアにおける戦略的な利益と基地との関連により強い疑いを持っている。韓国政府の許可が必要だとしても、最終的に米海軍が済州島基地へのアクセス権を認められることになると思われる。この地域において構築されつつある米軍の戦力態勢は、大規模な恒久基地の確保より、むしろ同盟国の基地施設へのアクセスの確保に重点を置いている。米韓同盟の重要性を考えれば、ソウルが米軍のアクセス要請を拒否する理由は何もない。

(4) 済州島の基地への米軍のアクセスを認めることは、韓国政府の意図とは関係なく、中国を挑発し、潜在的な不安定をもたらしかねない。済州島の基地建設が進むにつれて、政策立案者らは、この基地が持つ戦略的かつ地政学的な含意について考慮する必要がある。今のところ、中国は基地建設に明白な反対意思を示していないが、中国の中堅レベルの官僚の中には、済州島基地建設を、ソコトラ岩(Socotra Rock、韓国名「離於島」、中国名「蘇岩礁」)*を巡る両国間の領土問題と絡めて論じる見方もある。従って、韓国政府は、基地建設が防衛目的のためであり、アメリカへのアクセス権の許可に当たっては慎重に行うことを中国に保証する必要がある。

記事参照:
Will S. Korea’s New Naval Base Provoke China?

注*:韓国と中国の間で領有権を争っている岩礁で、両国のEEZが重複する黄海の出口にある。韓国は2001年以来、この岩礁にヘリパッドを持つ海洋総合科学基地を稼働させている。この岩礁は干潮時にもその岩頂は海面下4.6メートルにあり、国連海洋法条約第13条の「低潮高地 (low-tide-elevations)」とはいえない。
画像:韓国が建設した離於島の海洋総合科学基地