海洋情報旬報 2013年5月1日〜5月10日

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5月1日「域内の米軍事力に追いつく中国―米シンクタンク報告書」(The New York Times, May 1, 2013)

4月1日付の米紙、The New York Timesは、“China Is Seen Nearing U.S.’s Military Power in Region”と題する論説を掲載し、米国の9人の研究者グループが5月3日に公表予定の報告書、China’s Military and the U.S.-Japan Alliance in 2030: A Strategic Net Assessmentの内容について先行報道している。NYTが入手したこの報告書によれば、中国は、その増大する産業力によって、日本と台湾を含む中国周辺海域における米国の軍事的優位性に対し、侮りがたい挑戦を仕掛けられるようになろうとして、要旨以下のとおり報じた。

(1) カーネギー国際平和財団が公表する9人の研究者による300頁を超える報告書は、次の20年間における最も可能性の高い事態として、中国が空母建造やステルス戦闘機製造を含む幾つかの分野で米国の軍事力に極めて接近する可能性を指摘している。同時に、この報告書は、米国や他のアジア諸国と中国との経済的相互依存によって、本格的な冷戦スタイルの敵対関係になることや、あるいは米国をこの地域から追い出すために軍事力を行使するような事態は恐らく避けられるであろう、と指摘している。

(2) この報告書の共同執筆者の1人で、中国の防衛政策の専門家である、スウェイン (Michael D. Swaine) は、この報告書は中国の台頭が域内に及ぼす長期的影響を予測する初めての試みの1つである、としている。スウェインによれば、そこにおける1つの結論は、新たなライバルの出現は良くも悪くも現在の米国優位の現状が長くは続かないことを意味している、ということである。スウェインは、「我々は、米国がこの可能性についてどう対応すべきかを問うた。米国は、西太平洋地域において今まで通りのやり方を続けられるのか、あるいはこの地域における安全保障を再保証するために別の手段を考え始めなければならないのか」と語っている。

(3) 報告書は、この地域の戦略的バランスの変化の結果を最も痛感させられるのは、自らの安全保障を米国との同盟関係に長年にわたって依存してきたアジアの経済大国、日本かもしれない、と指摘している。日中両国が主張する東シナ海の島嶼を巡る最近の中国との激しい遣り取りで見せたように、日本は恐らく米国により一層しがみつくことによって中国の増大するパワーに対応する可能性が高い。同時に、安倍晋三首相のタカ派的姿勢にもかかわらず、日本は、財政難や政治的麻痺によって、ワシントンの一部が期待しているようには、中国の増大する軍事能力に対抗するために軍事支出を大幅に増やすことはできないであろう、と報告書は見ている。この報告書が予測する最も極端な事例は、日本をしてある日、中国を受け入れるか、あるいは核武装を含む独自の抑止力構築に走らせるほど、この地域に支配的な軍事力を維持する米国の能力とコミットメントに対する疑念が大きくなることである。

(4) 報告書は、地域全体に関して、米国の覇権が中国の増大する軍事力と強まる国益追求意欲によって徐々に浸食されていくという現状の継続が最も可能性の高い将来と見、これを「侵食される均衡 (an “eroding balance”)」と呼んでいる。報告書によれば、この状況下における最大のリスクは、例えば島嶼を巡る日本との最近の抗争のように、限定的な対立が偶発的にエスカレートすることであろう。

(5) この報告書は、予測し得る将来にわたって、中国は旧ソ連が米国との世界的な抗争相手となった轍を踏むまいと見ている。むしろ、中国は、近隣諸国との領有権紛争を重視する狭い戦略的視点を持った地域大国であり続ける、と見ている。もっとも、報告書は、例えそうであっても、国防予算の削減にもかかわらず、アジアにおける軍事的プレゼンスの強化を言明してきた米国にとって、そうした中国が重大な挑戦となるであろうと警告している。スウェインは、「米国は、過去60年間の優位を維持できるであろうか」と問い、「米国はできると言うが、それが実際に可能かどうかは、完全には明らかではない」と見ている。

記事参照:
China Is Seen Nearing U.S.’s Military Power in Region
Full Report is available at following URL;
http://carnegieendowment.org/files/net_assessment_full.pdf

5月2日「国連信託基金、ソマリア海賊対策支援に200万ドル拠出」(United Nations Radio, May 2, 2013)

海賊対策のための国連信託基金 (The United Nations Trust Fund for the Fight against Piracy)は、ソマリア、ジブチ、エチオピア、ケニア、モルディブ、セイシェルなどにおけるソマリア海賊対策支援のための5つのプロジェクトに総額200万米ドルを拠出することを承認した。これらのプロジェクトには、現在進行中の海賊裁判における公正の確保、モルディブからソマリアへの海賊容疑者送還、収監者処遇の最低基準を満たすためのケニア刑務所に対する支援、海賊容疑者とソマリアの若者に対する職業訓練、及び海賊からの資金流入捜査の支援が含まれる。更に、漁業従事者の生体認証データベースを作成し、漁業資源の監視と海賊対策部隊への情報提供に役立てる。

記事参照:
Anti-piracy efforts in Somalia and affected States in the region get new UN funding

5月3日「米国の対南シナ海政策―クローニン他提言」(The Diplomat, May 3, 2013)

米シンクタンク、The Center for a New American Security (CNAS) のクローニン (Patrick M. Cronin) 上席顧問は、CNASのサリバン (Alexander Sullivan) 研究員と共に、5月3日付Web誌、The Diplomatに、“America and the South China Sea Challenge ” と題する論説を寄稿し、南シナ海の緊張を緩和するには外交手段だけでは不十分であることから、米国は、域内の平和を維持し、更なる繁栄を図るためには他に何ができるか考える必要があるとして、要旨以下のような措置をとるべき、と提言している。

(1) 侵略に対する最低限の信頼できる防衛力を構築するために、同盟国やパートナー諸国の能力を強化する。米国は中国が自国の国境を守る権利を認めているが、中国も、隣国が中国のいう「介入排除能力」なるものを構築する権利を認めるべきである。米国は、軍事行動の敷居が低い海洋安全保障を含む、低レベルの軍事行動における防衛能力の強化を重視すべきであろう。米国は、特に海洋識別能力 (MDA)、あるいは情報・監視・偵察の分野では、先進能力を供与できる。

(2) 米国の海軍と沿岸警備隊は、事故や誤解によるリスクを軽減するために、パートナー諸国の軍や海事警察を訓練すべきである。特にベトナムなどのように潜水艦作戦に未経験の国が多いことから、このことは、潜水艦の行動の安全を高めるために特に重要である。

(3) 関係諸国間の軍同士の間に信頼醸成を構築、促進する。特に、低強度作戦における合同訓練は、人道支援・災害救助、そして海賊対策のような共通の利益に対処する上で有益である。

(4) 域内の軍事関連活動に中国を参加させる。米国によるRIMPAC 2014への参加招聘に対する中国の受入は、勇気づけられる兆候である。人間関係の構築を可能にする交流は、軍部間の制度的不信の軽減に役立ち、緊張時における緩和剤となる。

(5) 軍事外交は、米国の価値観に合致する透明性とルールに基づく紛争解決を支える、外交的関与によって補完されなければならない。そうした外交的、政治的優先課題には以下の措置が含まれるべきである。

a.国連海洋法条約 (UNCLOS) 加盟に向けての努力を刷新する。UNCLOSに加入しなければ、米国は、域内の全ての国が信奉する原則、航行の自由を護るリーダーとして信頼できる行動がとれない。UNCLOSは、南シナ海問題を解決するものではないが、海洋法に基づく国際的合意を促進する助けとなる。米国は既にUNCLOSを遵守しているが、ここでは象徴的意味が重要である。

b.フィリピンによる国連への紛争調停の申請は域内における重要な先例になるもので、これを引き続き支持する。ケリー国務長官は既にこれに対する米国の全面的支援を表明しているが、米国は、この支援が評決結果を左右するものではなく、脅迫や紛争を防止するプロセスに対する支援であることを認識すべきである。ベトナムは中国との外交経験から北京との静かな外交を求めているが、ベトナムも他のASEAN諸国も国際法とASEANの団結を支持することに基本的な利益を見出している。

c.南シナ海問題の命運を決する上で、また南シナ海に関する行動規範の実現を促進する上で、ASEANの中心的役割を強化する。東アジアサミットやASEAN主宰の地域フォーラムなどへの参加は、米国のアジアにおける再均衡化政策の重要な要素であった。米国は引き続き、中国との行動規範の実現に向けてASEANの団結を促進するためASEAN諸国との2国間関係を強化するとともに、再均衡化政策を推進すべきである。

d.特にインドネシアとの包括的パートナーシップの深化を図るとともに、同国の地域的ステークホルダーとしての役割を促進する。民主国家インドネシアは、既にASEANと域内において重要な役割を果たしており、2008年以来、米国の包括的なパートナーである。インドネシアは、南シナ海問題の非当事国として、競合する利害に対する信頼できる仲裁者としての役割を演ずることができる。

記事参照:
America and the South China Sea Challenge

5月3日「ロシアSSBN戦力、抑止哨戒活動不活発」(FAS Strategic Security Blog, May 3, 2013)

米国のThe Federation of American Scientists (FAS)のクリステンセン (Hans M. Kristensen) 研究員は、5月3日付けのFASのブログで、ロシアのSSBN戦力の抑止哨戒活動の状況について、要旨以下のように述べている。

(1) ロシアのSSBN戦力は、近代化されつつあるものの、抑止哨戒活動は稀である。情報公開法に基づいて入手した米海軍の情報によれば、2012年では、ロシアの全9隻のSSBNはわずか5回しか抑止哨戒活動を実施していない。哨戒レベルは、常時辛うじて1隻のSSBNが展開している程度である。このことは、9隻のSSBNの内、5隻かそれ以下の隻数しか稼働していないことを示唆している。ロシアのSSBN戦力の展開頻度は、各年における抑止哨戒活動を実施した隻数で見れば、冷戦終結以来激減している。冷戦期のピークは1984年で、102回の抑止哨戒活動が実施された。冷戦終結後は、2008年の10回が最多であった。

(2) ロシアは現在、10隻のSSBNを保有している。その内、太平洋艦隊の3隻のDelta III級は老朽化している。バレンツ海の6隻のDelta IV級は最近、更に10年あるいはそれ以上稼働させるために、改修された。2013年1月に配備された10隻目のSSBN、Borei (Project 955) 級のYuri Dolgorukiは、最終的に全てのDelta 級を代替予定の同級の1番艦である。同艦は配備までに、設計建造から15年以上の歳月を要した。同級2番艦は進水済みで、3番艦は建造中である。ロシアは、全部で8隻の建造を計画している。4番艦以降は、Borei-II (Project 955A) 級として、改良型となる。同級SSBNは、各16基のSS-N-32 (Bulava) SLBM(各最大6個までの核弾頭装着可能)を搭載する。

記事参照:
Russian SSBN Fleet: Modernizing But Not Sailing Much
Photo: The second Borei-class SSBN (Alexander Nevsky) is fitting out at the Severodvinsk Naval Shipyard in northern Russia, Graph: Russian SSBN Deterrents Patrols 1981-2012, and Table: Projected Russian SSBN Force Structure Change 2013-2028;
http://blogs.fas.org/security/2013/05/russianssbns/

5月4日「インド、イランのチャーバハール港に投資」(NDTV, May 4, 2013)

インドのクルシード外相は5月4日、テヘランでのイランのサーレヒ外相との会談で、インドは内陸国アフガニスタンへの通路となるイランのチャーバハール港に投資することを表明した。同港の改良計画に必要な投資額を算定するために、インドからの専門家チームが派遣される。消息筋によれば、1億米ドル程度が必要になると見られる。この動きは、イランのインフラ開発への投資を望まない米国の強い圧力に逆らったものであるが、インドは、中国が同港から76キロしか離れていないパキスタンのグワダル港の運営権を取得して以来、アフガニスタンへの代替ルートの啓開を熱望してきた。同港は、パキスタンがインドにアフガニスタンへの通行を認めていないことから、特に重要である。

記事参照:
In a $100 million move to counter China, India to upgrade Iran’s Chabahar port

5月5日「海賊対策の専門家、東アフリカで育成支援―日本政府」(日本経済新聞電子版、2013年5月5日)

5月5日付けの日本経済新聞電子版によれば、日本政府は、ジブチなど東アフリカ諸国で、海賊対策を担う海上保安組織の育成を支援する。国際海事機関 (IMO) は、2013年中にもジブチに沿岸警備の専門家を育てる訓練施設を整備する計画で、日本政府は250万ドル (約2億5,000万円) を拠出する。訓練施設には、ジブチの他、ケニア、タンザニア及びセイシェルなどの職員も受け入れられる。日本政府は、ジブチに新設する訓練施設に対する資金援助に加えて、日本の海上保安官らが周辺国の専門家に海賊の制圧方法を教える研修を実施する。

記事参照:
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2602A_U3A500C1MM8000/

5月6日「韓国現代重工、世界最大のコンテナ船建造」(gCaptain, Bloomberg, May 6, 2013)

韓国の現代重工が5月6日に発表したところによれば、中国第2位の海運会社、China Shipping Container Lines Co.との間で、世界最大のコンテナ船建造契約を結んだ。それによれば、現代重工は、総額7億米ドルで、18,400TEUコンテナ船5隻を建造する。最初の引き渡しは2014年下半期に予定されている。Maersk やEvergreen Groupを含む、世界の海運会社は、コスト軽減のためにより大型のコンテナ船を増やしつつある。Maerskは2011年に、当時世界最大の18,000TEU コンテナ船20隻の建造を韓国大宇造船海洋に発注しており、2013年にはその内、5隻(最初は6月)が引き渡される予定である。また、世界第3位のコンテナ海運会社、フランスのCMA CGM SAは、運航中のコンテナ船では最大の16,020TEUのMV Marco Polo を運航している。

記事参照:
Hyundai to Build World’s Largest Container Ships for CSCL

5月6日「北極海、急速な酸性化進展」(BBC News, May 6, 2013)

北極海の二酸化炭素による酸性化が急速に進んでいることが、新しい研究により明らかになった。「北極圏監視評価プログラム(The Arctic Monitoring and Assessment Programme: AMAP)」に参加している科学者らは、北極海において広範囲の化学変化を調査した。彼らによると、CO2の排出が現在レベルで推移するとしても、北極海の化学物質を産業化以前のレベルに戻すには数万年の時間が掛かるという。研究陣は、海洋生態系における主な変化を予測しながらも、そこには大きな不確実性が存在すると見ている。CO2が地球温暖化の主因であることは良く知られているが、海が二酸化炭素を吸収し、アルカリの海を酸性化することはあまり周知されていない。このようなCO2の吸収は、北極海のように冷水ではより急速に進行する。しかも近年の夏季の北極海における海氷の減少により、大気中のCO2と接する海の表面積はさらに増加した。北極海の脆弱性は、河川や陸地の融氷により淡水の流入が急増することでさらに悪化している。淡水はCO2の酸性化を中和するのには効果的ではない。研究陣は、北欧の多くの海がすでに広範囲で酸性化が進んでいると指摘している。酸性化による化学的な影響は、北極海の生態系にも影響をもたらすと見られる。

記事参照:
Arctic Ocean ‘acidifying rapidly’

5月6日「ロシア、トルコに防空システムの購入を提案」(РИА Новости, May 6, 2013)

ロシア国営武器輸出企業Rosoboronexportによれば、ロシアは、トルコの防空およびミサイル防衛システムの構築に協力するとともに、トルコに対空ミサイルシステム、Antey-2500 (S-300VМ)の購入契約締結を提案した旨、明らかにした。これは、両国の対空防衛システムの共同開発分野における協力に向けたT-LORAMIS計画の枠内によるもので、Rosoboronexportは、Antey-2500の導入によって、トルコのミサイル防衛の課題を解決できるとしている。トルコは、NATO加盟国としては最初に、ロシアとの軍事技術分野での協力に関し密接な接触を確立した国である。Rosoboronexportはまた、トルコとの軍事技術協力を、自社の業務の中でも重要なものの1つとみなしている旨、明言している。

記事参照:
РФ предлагает Турции купить системы ПВО, катера и вертолеты

5月7日「民間武装警備員の海上での武力行使に関する規則、公表」(Hellenic Shipping News, May 7, 2013)

「民間武装警備員の海上での武力行使に関する規則 (The 100 Series rules for the use of force: RUF) 」は、20カ月間の詳細な試用と法的検討期間を終え、公表された。作成者のハモンド (David Hammond) 英国海事弁護士によれば、RUFは、民間海事警備会社 (PMSC) が雇用する民間武装警備員による海上における武力行使に関する最初の国際的なモデルとなるが、個別の事案において武力が非合法に使用された場合の免責を保証するものではない。また、RUFは、旗国に対する強制力を持つものではないが、各国のガイダンスに導入可能な選択肢を提供する。

記事参照:
The 100 Series Rules An International Model Set of Maritime Rules for the Use of Force (RUF)
See also the 100 Series website;
http://www.100seriesrules.com

5月7日「中国の軍事力に関する米国防省報告書―エリクソン論評」(The Wall Street Journal, May 7, 2013)

米海軍大学のエリクソン (Andrew S. Erickson) 教授は、5月7日付の米紙、The Wall Street Journalに、“Unpacking the Riches of the Pentagon’s China Report” と題する論説を寄稿し、米国防省が5月6日に公表した年次報告書、Annual Report to the Congress: Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2013 について、2012年版がわずか43頁で多くの批判にさらされたが、2013年版は92頁で、増大する中国の軍事力について、多くの重要な洞察を提示しているとして、要旨以下の諸点を指摘している。

(1) この報告書は、当然のことながら米国の軍事的視点に立脚するものであり、中国の軍事動向とそこにおける戦略的関心を包括的に提示しているところに特徴がある。更に重要なのは、例えば北京が最近公表した「2013年国防白書」といった他の公刊資料では確認が困難な、中国軍の主要な動向について、権威ある評価を提供していることである。

(2) 恐らくこの報告書によって得られる最大の知識は、中国の原子力潜水艦プログラムに関するものである。報告書によれば、既に運用されている3隻のType-094晋級SSBNに、新たに「異なった建造段階にある最大2隻」が加わると見られる。Type-094は、射程7,400キロを越えるJL-2潜水艦発射弾道ミサイル (SSBN) が搭載されれば、中国海軍にとって初めての信頼性のある海洋核抑止力を付与することになろうという。報告書は、「2012年に成功した一連のテストの後、JL-2は2013年中に初期運用能力(IOC)を達成する要件が整ったと見られる」と述べ、「そうなれば、南シナ海の海南島を基地とする晋級SSBNは、核抑止哨戒任務を遂行できるようになろう」としている。

(3) 一方、報告書によれば、既に配備されている2隻のType-093商級SSNに、新たに現在建造中の4隻の改良型が加わることになろう。国防省は、10年以内に「中国は、潜水艦からの地上攻撃を可能にする誘導ミサイル搭載SSN、Type-095を建造する可能性がある」と予測している。このType-095は、「より静粛な技術を取り入れ」、また「魚雷や対艦巡航ミサイルを組合せて、伝統的な対水上艦船攻撃の任務を果たす」ことになろうと見ている。Type-039A元級については、空気独立式推進システム搭載型を含め、最大で20隻程度建造されると見ている。攻撃型潜水艦はこの10年以上にわたり中国海軍の主力戦力であったが、報告書が概説する現有戦力と将来計画は、その能力と任務の選択肢における一層の発展を予期させる。攻撃型潜水艦戦力はまた、北京が描く海軍の目指すところを示唆している。即ち通常型潜水艦が中国沿岸海域における行動に適している一方、原子力推進潜水艦がさらに遠方海域までの持久力を有していることから、北京が増強する通常型と原潜の隻数を比較すれば、中国海軍が近海(黄海、東及び南シナ海)とその近接海域を超えた海域において、どの程度の戦闘能力を実現しようとしているかを知る手掛かりとなるかもしれない。

(4) 報告書の第2の重要な記述は中国の対艦弾道ミサイル (ASBM) の開発動向に関する部分で、中国のASBM計画の現状と能力に関する最も信頼できる包括的な評価が示されている。それによれば、中国は、「海軍が西太平洋において空母を含む大型艦船を攻撃する能力を持つことになる」射程1,500キロを超えるミサイル、DF-21Dの配備を続けている。これに関連して、中国海軍はOHTレーダーと偵察衛星によって、中国本土から遠く離れた目標の位置を特定する能力も改善しつつあると指摘している。更に、北京は、より長射程のASBMの開発に投資する可能性があるとしている。報告書は、この分野における開発努力は「中国沿岸から1,000カイリまでの敵の水上戦闘艦艇に対抗し得るシステムを装備する」、「戦力構成の改革」の一環である、と指摘している。このことは、北京が、世界で唯一の長距離ASBMを含むミサイル開発における強みを、一層強力な能力の開発に活用し続けていくことを示唆している。

(5) 報告書は、中国の防衛産業がこうした開発を促進するために、重要な資源の配分において優先されている、と見ている。例えば、ミサイル、造船及びナノテクノロジーを伴う研究を含む特定の分野における政府の投資総額では、現在中国が米国に迫る2番目となっている。報告書はまた、中国は世界屈指の造船大国であり、弾道と巡航ミサイル産業分野では一流の国際的な企業に匹敵し、更なる発展が見込まれる、と指摘している。このことは、中国が世界で最も多くの最新の長距離地対空ミサイル戦力の配備国の1つであることを裏付けている。中国軍のミサイル戦力やその他の開発努力が既に台湾の伝統的な防御の利点を「大幅に相殺している」、との評価が注目される。

(6) 中国海軍は既に、「アジア最大の主要水上戦闘艦、潜水艦及び両用戦艦艇戦力を保有している」、と報告書は指摘している。報告書は、新しく就役した空母「遼寧」が2015年までにあるいはそれ以後でも、「運用可能な艦載航空団」を持つことができないと予測しているが、次の10年間に複数の空母を建造し、「その後半期の何時かに」最初の国産空母が運用状態になる可能性が高い、と予想している。また、報告書は、北京が「燃料給油、補給、乗員の休養及び低レベルの艦艇整備に関する協定という方法で」、次の10年間に恐らくマラッカ海峡、ロンボク海峡及びスンダ海峡に、「幾つかのアクセス・ポイントを設けることになろう」と予想している。ロンボク海峡とスンダ海峡は北京にとって未知の領域であり、アクセス・ポイントがどのように現実化されるか興味深い。

(7) 報告書は、中国軍が特定の分野で強力な能力を開発している事実を明らかにしている。中国軍は依然として弱点―報告書は重要な欠陥として航空エンジンにしばしば言及している―を抱えており、しかも新型のより分散配備された核戦力は、堅固に中央集権化された指揮命令系統にとって潜在的な課題になっている。いずれにしても、今回の報告書は、中国の軍事力が、依然として不均衡に地域的に偏在する一方で、多くの面で急速に改善され、北京にとって最も重要な分野において既に侮りがたい存在になっている、との明確な印象を与えるものとなっている。

記事参照:
Unpacking the Riches of the Pentagon’s China Report
Full report is available at following URL;
http://www.defense.gov/pubs/2013_China_Report_FINAL.pdf
See also Department of Defense Press Briefing on the 2013 DOD Report;
http://www.defense.gov/utility/printitem.aspx?print=http://www.defense.gov/transcripts/transcript.aspx?transcriptid=5232

5月8日「地球温暖化、北極地域の植物に影響―ノルウェー研究機関予測」(Barents Observer, May 8,2013)

ノルウェーのThe Norwegian Institute for Nature Research (NINA) の研究者によれば、2100年頃までに、北欧諸国の気候は現在のフランスのそれに近いものとなり、また北欧の一部では季節の変化がなくなる可能性があるという。今回発表された研究では、衛星写真と現地調査を用いて、緯度50度以北の植物の生態を分析した結果、地球温暖化の影響が北欧地域で明らかになった。同研究のデータによると、地球の北半球における植物の成長期間は過去30年の間、40日程伸びたという。とりわけ、北極地域の温暖化は、季節の変化を短くし、春と秋の期間が短くなると予測されている。研究者によれば、17の異なったモデルを使用した推定では、北極地域の気候は緯度にして最大で20度まで南に下がった地域と同じになる可能性があり、その結果、北欧の将来の気候が現在の中欧に近いものになり、植生も同じように変化するという。さらに気候変化がもたらす変化は植物のみならず、昆虫や動物の生態にも影響を及ぼすと予想される。

記事参照:
The Arctic is pushed north

5月8日「北極圏でのプレゼンス拡大を否定-NATO事務総長」(РИА Новости, May 8, 2013)

5月8日、AFPが報じたところによれば、NATO事務総長は「いくつもの国が北極圏の膨大な埋蔵資源に関心を寄せてはいるが、NATOは北極圏でのプレゼンスを拡大したり、活動を強化したりする意図はない」と明言した。事務総長はこの前夜、Twitterで「北極は非常に難しい状況にある。協力ではなく対立を促している。協力関係達成の作業を継続することを保証したい」と述べていた。

記事参照:
НАТО не намерена расширять присутствие в Арктике – генсек

5月8日「ロシア、ベトナムに潜水艦訓練施設を建造」(Известия, May 8, 2013)

ベトナムがロシアから購入したKilo級通常型潜水艦の乗員訓練のため、ロシアはベトナムに、高度なデジタルトレーニングセンターを提供する意向を明らかにした。現在このトレーニングセンターは、ベトナム海軍基地が展開するカムランに建造が進められており、2013年末までには引き渡される見通し。施工業者は建造価格を公表していないものの、イズベスチヤの資料から、設備の合計金額は、Kilo級の価格を上回ると見ている。

トレーニングセンターは2棟の建物からなり、うち1棟には潜水艦そのもののシミュレータが置かれる。約30台の独立したシミュレータで構成され、共有ネットワークで結ばれる。これらのシミュレータは、乗員が実際の船で行う業務を忠実に再現したものである。もう1棟には、事故対応を訓練するユニークなシミュレータが設置される。乗員は、煙が充満した状況下で任務を行ったり、魚雷発射管から脱出する訓練などを行う。

センター設立のプロジェクトリーダーによれば、センターの設立には、数百人のロシア人専門家が携わっている。彼らは約2年間、50人近いベトナム人教官に、新しいシミュレータで如何に乗組員を養成するかを指導してきた。乗員訓練は、ロシア海軍との間で計画、調整されたものである。Kilo級の全てのシステムや説明、またシミュレータもロシア語で書かれているため、乗組員は約1年ロシア語を学び、訓練コースに進んだ後、実際の船で海上実地訓練を行う。

地政学問題アカデミーの副所長によれば、ロシア海軍にはこのような施設はないという。副所長は、「ロシアの軍事安全保障の観点から、ベトナムにこのような訓練センターを設立するのは誤りだ。まずは自国の軍隊に、このようなシミュレータを提供すべきだった。しかもはるか昔にだ。このタイプの潜水艦はソ連時代には存在していたのだから。一方でベトナムは、潜水艦を購入するとすぐ、そのシミュレータを導入し、潜水艦隊の設備の問題をバランスよく解決した」と指摘する。

トレーニングセンターの開発を担ったАврора (Aurora)社によれば、ロシア海軍のチルコフ総司令官に、シミュレータのデモンストレーションを行い、総司令官は、ロシアの潜水艦員にもこのようなシミュレータを導入したい意向を述べていたという。しかしながら、同社の担当によると、未だ購入の決定はなされていない。

記事参照:
Россия построит для Вьетнама наземную субмарину

5月8日「中国との海洋における衝突を如何に回避するか―米専門家論評」(U.S. News & World Report, May 8, 2013)

米ランド研究所のゴンパート (David C. Gompert) 非常勤上級研究員は、5月8日付けの米誌、U.S. News & World Reportに、“How to Avert a Sea Catastrophe with China” と題する論説を寄稿し、要旨以下のように論じている。

(1) 東シナ海と南シナ海における領有権紛争の緊張下で、米中間に潜在的に危険なシーパワー抗争が生じている。中国は、東アジア海域における米海軍部隊を、世界の海洋、資源及び市場へのアクセスを脅かす潜在的な障壁と見なしている。これに対抗するため、中国は、対艦ミサイル、潜水艦及び宇宙配備のセンサーに加え、サイバー戦能力を展開している。また中国は、領有権主張を強め、その影響力を拡大するため、海軍力を拡張している。もし米国のシーパワーが後退するかあるいは脆弱化すれば、この極めて重要な地域が不安定になり、更には中国の支配下になりかねないことから、米国は何をおいてもこの挑戦に対処しなければならない。

(2) シ―パワーの抗争は、悪い結果を招くことになる。1800年代後半、ドイツは、海外へのアクセスと世界大国になるという目標に対する脅威と見て、英国の海上覇権に挑戦した。英独間の緊密な経済関係と海上安全保障における相互利益の存在にもかかわらず、英国は、ドイツ海軍の増強を戦略的脅威と見なして自国海軍を一層拡充した。「ドレッドノート建艦競争」の開幕は、英独敵対関係をもたらし、第1次世界大戦に至った。今日の米中両国にとって、この英独のケースは警鐘となる先例である。

(3) 中国はまだ、世界的なシーパワーになることを決心したわけではないが、沿岸防衛から係争海域にその海軍力の到達範囲を拡大しつつある。一部の中国人は、中国の貿易の95%が海運によるものであることから、海上安全保障に対する協調的な取り組みを望んでいる。他方、影響力を増しつつある中国海軍高官達の米海軍に対する認識は、本質的にドイツ海軍の提督達が英海軍を見たのと同じで、挑戦的である。彼らは、米空母が強力な攻撃力を持つが故に、米空母を中国海軍の最優先目標としており、空母防衛がますます難しくなっている。

(4) その対策として、米海軍は空軍と共に、空母が標的にされる前に中国の能力を破壊するAir-Sea Battleと呼ばれる戦略を打ち出した。これは保有すべき価値のある選択肢ではあるが、この戦略の適用は結局、中国領土を攻撃するところまでエスカレートすることになろう。また、この戦略の適用は紛争の極めて早い段階が最も効果的であることから、中国に先制的な攻撃の動機を与え、不安定化をもたらす可能性がある。更に、Air-Sea Battleは、指揮管制をコンピュータネットワークに依存するので、中国のサイバー攻撃に対して脆弱になる可能性がある。より良い米国の対処戦略としては、無人機の活用やサイバー戦に加えて、より分散した、数多くの小型で長射程の捕捉し難い海軍攻撃戦力に変換させていくことで、中国の標的にならないようにすることである。こうした残存性の高い米国の攻撃戦力態勢は紛争をエスカレートさせることもなく、また不安定化させることもない。しかしながら、長いリードタイム、財政的な制約そして制度的・産業的慣性から、このような戦略への急激な転換はできそうにない。

(6) 米国がこの地域の海域から撤退できないという事実を考えると、シーパワー同士の直接的抗争に代わる政治的な代替え手段を追求すべきである。特に、米国は、東アジアにおける海洋へのアクセスと航行の自由を共通の利益とする全ての諸国が関与する、東アジア海洋パートナーシップを提案し、追求すべきである。このパートナーシップは、紛争を平和的に解決するとともに、平時の通商貿易に従事する民間海運が脅かされないという規範に基づくものでなければならない。これらの原則は、海洋情報の共有、危機における協議、合同訓練と(例えば、非国家の脅威に対する)共同対処、及び事故回避措置を強化することによって、補強することができる。このようなパートナーシップは、抗争や紛争を完全に防ぐことはできないが、米中間の敵対行為の引き金になりかねない相互不信や誤解の危険を軽減することはできるであろう。

(7) 米国は、海洋を隔てた中国の隣国に対して中国へ対抗するための連携を求めるべきではない。一方、中国は、協調的な取り決めを拒否することで、隣国が対中国連携に走る誘因を与えないよう留意すべきである。一部の中国人は、中国の増大化する力と高圧的な姿勢に対する反発が中国を地域的に孤立させることを懸念している。中国のナショナリズム、軍部に対する弱い文民統制、そして米国の動機に対する不信感から、少なくとも今のところ、中国がこのパートナーシップに加わる可能性はない。東アジアにおける海洋安全保障への協調的取組は望みの薄い企てかもしれないが、この取りきめは、海洋での危険性を軽減しながら、相互に近親感と信頼性を構築できるという利点がある。

記事参照:
How to Avert a Sea Catastrophe with China

5月8日「ジブチ、大規模な港湾インフラ整備へ」(gCaptain, Bloomberg, May 8, 2013)

ジブチのPorts and Free Zones Authorityのハディ (Aboubaker Omar Hadi) 議長が5月8日のロンドンでの記者会見で明らかにしたところによれば、ジブチは、総額59億米ドルの港湾インフラ整備のために、インド、中国、ブラジル、ロシア及びアラブの投資家と資金調達について協議中である。ジブチは、世界有数の通商路である紅海の戦略的要衝に位置し、6カ所の商業港を建設する計画である。それによれば、Doralehコンテナターミナルの処理能力を2015年までに倍増させ、300万個の処理能力とする計画に加えて、Tadjourahに港湾施設を建設する計画である。Ghoubetでの港湾建設は4月に始まり、アサル湖で産出する塩と石膏の輸出港となる。アサル湖は、世界最大の未開発の塩資源を有するとされる。中国はこの港湾に6,400万米ドルを投資している。ジブチ政府によれば、南スーダンからの原油輸出のため、6億米ドルで製油施設の建設が話し合われており、精製品は東アフリカ諸国に輸出される。南スーダンは、隣接するスーダンからのタンカーによる石油輸出の依存を軽減するため、エチオピアとジブチとの間で石油パイプライン建設協定を締結している。更に、26億米ドルで、液化プラントとパイプラインの建設を含む、LNGターミナルを建設する計画もあり、ジブチ政府によれば、2016年から年間1,000万立米のLNGをエチオピアから中国に輸出できるようになるという。ハディ議長によれば、ブラジルとロシアは、南スーダンからの石油パイプラインと、エチオピアとのガスパイプラインと鉄道建設への投資に関心を持っているという。

記事参照:
Djibouti to Raise $5.9 Billion From Investors for Port Infrastructure

5月10日「中国海軍、初の空母艦載航空部隊創設」(Xinhua, May 10, 2013)

中国海軍は5月10日、中央軍事委員会の承認を経て、初の空母艦載航空部隊を創設した。艦載航空部隊は、艦載ジェット戦闘機、ジェット練習機及びヘリで構成され、空母部隊の戦力構築が新たな発展段階に入った。呉勝利中央軍事委員兼海軍司令員が創設式典に出席し、軍旗を授与した。消息筋によれば、同部隊のパイロット要員は、中国軍航空部隊の超エリート集団で構成され、少なくとも5つの異なった機種で1,000時間を超える飛行時間を経験している。空母「遼寧」は、約30機の固定翼機を搭載できる。

記事参照:
China’s navy forms 1st carrier-borne jet force

5月10日「米、北極圏戦略公表」(IIP Digital, May 10, 2013)

オバマ米大統領は5月10日、北極圏の開発や安全保障政策を推進する「北極圏に対する国家戦略 (The National Strategy for The Arctic Region)」を公表した。大統領は冒頭のメッセージで、「北極はこの星に残された最後の大いなるフロンティアの1つである」と述べている。この戦略は、北極圏に対する米国の戦略的優先順位を設定したもので、(1) 米国の安全保障上の利益の促進、(2) 環境保護や埋蔵資源の責任ある管理の追求、(3) 国際協力の推進(ここでは、国連海洋法条約への米国の加盟促進の必要性が強調されている)、を北極圏に対する戦略の柱としている。そしてこの戦略は、北極圏を、同盟国、パートナー諸国及び関係当事国との協調の下、平和で安定した紛争のない地域とすることを目指している。そこでは、航行の自由、上空通過の自由、これらに関わる海域及び空域の利用、合法的な通商活動、関係国の紛争の平和的解決など、国際法規の遵守が強調されている。

記事参照:
Executive Summary of the National Strategy for Arctic Region
Full Report is available at following URL;
http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/docs/nat_arctic_strategy.pdf

5月10日「フィリピン当局、台湾漁船銃撃を認める」(AFPBB and РИА Новости, May 10, 2013)

台湾の漁船がフィリピンの沿岸警備隊に銃撃され、台湾人乗組員1人が死亡した5月9日の事件について、フィリピン当局は5月10日、自国の沿岸警備隊が台湾漁船を銃撃したことを認めた。台湾外交部は9日、台湾の南方300キロの海上で操業していた台湾漁船「広大興28号」がフィリピン当局の船から銃撃され、台湾人船員1人が死亡したと発表していた。該船の乗組員は、台湾人3人とインドネシア人1人の4人だった。

フィリピン沿岸警備隊の報道官によれば、全長30メートルのフィリピン沿岸警備隊の船が最初に漁船2隻を発見し、接近しようとした。すると、2隻のうち小型の漁船が体当たりを試みたため、フィリピン側が発砲した。機械類を狙い漁船を不能にすることに成功したが、人を撃ったという認識はなかったと述べた。報道官はまた、事件がフィリピンの領海内であるバリンタン海峡のルソン島北方で起きたもので、警備隊は違法操業の阻止という任務を適切に遂行したとの見解も示している。一方、台湾外交部は10日、「フィリピン政府の公船がわが国の漁船を攻撃したことに対し強い抗議と非難を表明し、フィリピン政府に公式な謝罪と殺人を犯した者の身柄の確保、賠償を要求する」との声明を発表した。馬総統も同日、フィリピン側に公式謝罪を要求した。

記事参照:
フィリピン当局、台湾漁船銃撃を認める
Филиппины признали факт обстрела тайваньского судна в спорном море

【関連記事】「台湾、フィリピン近海のパトロールを増強」(Channel News Asia, AFP, May 12, 2013)

台湾はフィリピン近海の警備を強化するために、4隻の沿岸警備隊と海軍の艦船をフィリピンの引接海域へ急派した。台湾行政院広報官は、これらの艦船が5月9日、フィリピン沿岸警備隊の射撃により65歳の漁師が死亡した海域で展開されることを明らかにした。台湾の漁師が死亡した今回の事故が起きた直後から、台湾政府は非難声明を出し、フィリピン側の謝罪を求めている。同声明の中で台湾側は、フィリピン当局が沿岸警備隊に司法的な責任を問うように要求すると同時に、台湾が提案している漁業協定交渉へ挑むことを提案した。

記事参照:
Taiwan beefs up patrols in waters near Philippines