海洋情報旬報 2013年4月11日〜4月20日

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4月 11日「北極海大陸棚の申請、 2013年の提出を予定」 (ИТАР-ТАСС, April 11, 2013)

ロシア天然資源環境省副大臣は 4月 11日、サレハルドで開催された国際会議で、北極海の大陸棚に関する国連への再申請は、2013年にも準備が整う予定である旨、明らかにした。会議では、資源開発、北極の生態系の保護の問題、輸送インフラの発展、北極での事故防止についての国際協力の展望などを議論した。副大臣は、ロシアは、北極圏全体の約 3分の 1を占めていることからも、北極圏の生態系と生物多様性の保全に特別な役割を担っている、と述べた。

記事参照:
В 2013 году планируется подготовить новую заявку в Комиссию ООН по границам континентального арктического шельфа

4月 11日「極東での石油ガス開発、近い将来活発に−ロシア」 (Прайм, April 11, 2013)

4月 11日、極東と北極海東部海域の大陸棚における石油・ガスの開発見通しに関し、地域当局、ガスプロム、ロスネフチ、エクソンネフチガスリミテッドらの代表と専門家による検討がなされた。この席で、極東開発省の代表は、ロシア大陸棚の地質学調査は、チュクチ海における米国の大陸棚調査の 10分の 1、ノルウェーの大陸棚調査に比して、 20分の1にしかすぎないと指摘する一方、石油・天然ガス開発が、性急な極東の開発を担っている、と述べた。極東の大陸棚の資源開発ライセンスを保有するロスネフチとガスプロムの代表によれば、石油開発に数十億ルーブルが投資されている。数年内には活発化される見通しで、実際、ロスネフチは、マガダン近郊の大陸棚、カラ海及びバレンツ海で試掘を継続して行っている。大陸棚開発は将来的に、アジア太平洋地域とロシアを統合する極東の役割の強化にも結びつき、税収の増加や総生産の拡大を保障するとも伝えられた。

記事参照:
Разведку запасов нефти и газа на дальневосточном шельфе активизируют в ближайшие годы

4月 11日「ソマリア海賊の根絶に向けて—世界銀行報告書公表」 (The World Bank, April 11, 2013)

世界銀行は 4月 11日、The Pirates of Somalia: Ending the Threat, Rebuilding a Nationと題する 200頁を超える報告書を公表した。報告書は、ソマリアの海賊に対する国際社会の対応はこれまで各国の海軍力を展開して、海賊容疑者を勾留・起訴することに重点を置いてきたが、今後は、海賊問題の根源を絶つために、機能する政治システムを備えた国家再建に力を入れるべき、と強調している。報告書は国際社会に対して、ソマリアの海賊問題に対処するために、海賊容疑者の追及から、海賊の再生を可能ならしめている基盤に目を向けるべきと、パラダイムシフトを促している。

記事参照:
Ending Somali Piracy: Go After the System, Not Just the Pirates
Full text: The Pirates of Somalia: Ending the Threat, Rebuilding a Nation

4月 11日「中国企業、ケニア・ラム島の港湾建設落札」 (Reuters, April 11, 2013)

ケニア当局が 4月 11日に明らかにしたところによれば、中国の中国交通建設会社 (China Communications Construction Company: CCCC) を主体とする合弁企業が、ケニア北部のラム (Lamu) 島に新らたに建設されるメガポートの最初の錨泊施設 3カ所の建設を 41億ケニア・シリング(約 4億 8,400万米ドル)で落札した。ケニア政府は、内陸国の南スーダンとエチオピアを、ラム港 (The Indian Ocean port of Lamu) から高速道路、鉄道及び石油パイプラインで繋ぐプロジェクト、 The Lamu Port-South Sudan-Ethiopia (LAPSSET) corridor projectを計画しており、255億ドルが投資される。ケニア政府によれば、このプロジェクトが完成すれば、2〜3%の経済成長が期待されるとしているが、国内には、巨大プロジェクトに批判があり、むしろ国内の既存インフラを補強すべきとの意見もある。このプロジェクトは 2030年に完成予定で、ラム島には最終的に 32カ所の錨泊施設が建設される。また、CCCCの国際部門は 2011年に、ケニアの主要港、モンバサの錨泊施設を拡充する総額 6,670万米ドルの契約に加え、ケニアの首都ナイロビとモンバサを結ぶ鉄道(標準軌、479キロ)の建設計画も 26億 6,000万米ドルで契約している。

記事参照:
Kenya says Chinese firm wins first tender for Lamu port project

【関連記事】「中国、タンザニア北部の新港建設にも投資」 (Strategy Page, April 8, 2013)

米 Web誌、Strategy Pageの 4月 8日付けの記事によれば、中国は、タンザニアの首都ダルエスサラーム北西部のバガモヨ (Bagamoyo) における新港建設と関連インフラの整備に 100億ドルを投資している。ダルエスサラーム港の現在のコンテナ処理能力は年間 80万 TEUに過ぎないが、新港は、年間 2,000万 TEUの処理能力を持つ。バガモヨ新港はアフリカで最大の港となる見込みで、新たに建設される道路と鉄道が既存の道路と鉄道網に連結されることによって、タンザニアは、東アフリカにおける最大級の海運拠点となろう。中国は、この新港を中国海軍が使用することはないと表明している。しかし、港湾施設を中国企業が運営し、タンザニアとの間で補給と乗組員の休養のため中国軍艦の寄港を認める協定が締結されれば、中国海軍が利用することに問題はないであろう。

記事参照:
China Builds The Biggest Port In Africa

4月 12日「アジア太平洋地域への戦力転換状況—米海軍」 (Avionics Intelligence, April 12, 2013)

米オンライン・メディア、 Avionics Intelligenceが 4月 12日付で、米軍のアジア太平洋地域への戦力転換状況に関して、主としてカーター国防副長官の発言からその概要を、要旨以下のように報じている。

(1) カーター国防副長官によれば、米国が進めているアジア太平洋地域への米軍戦力の再均衡化の一環として、近く 4隻目の攻撃型原潜がグアムに配備され、6隻の駆逐艦が欧州からアジア太平洋地域に配置転換される。レオン・パネッタ前国防長官は 2012年に、2020年までに米海軍戦力の 60%をアジア太平洋地域に振り向けることを明らかにしていた。海軍は、欧州の同盟国に対する弾道ミサイル防衛のために、スペインのロタに 4隻の駆逐艦を恒久的に配置する。この任務はこれまで、 10隻の駆逐艦が米国から地中海にローテ−ション配備で遂行していた。カーター副長官は、「スペインの 4隻の駆逐艦が欧州におけるミサイル防衛任務を遂行しながら、この任務を解かれた 6隻の駆逐艦はアジア太平洋地域に振り向けることが可能になる」と語った。更に、海軍は、アフガニスタンからの撤退に伴って、水上戦闘部隊と情報、監視及び偵察戦力をアジア太平洋地域に振り向けることになろう。既に、 EP-3電子偵察機は中央軍から太平洋軍に配置換えされた。アフリカ、南アメリカ及び欧州において安全保障協力や人道的支援に当たっていた、駆逐艦と両用戦艦はアジア太平洋地域に配置換えになり、統合高速輸送艦や沿岸戦闘艦がその任務を引き継ぐことになろう。

(2) ホノルルのパシフィックフォーラム・CSIS(太平洋フォーラム・戦略国際問題研究所)のベーカー計画部長は、今後ハワイでは攻撃型原潜や水上戦闘艦の数が増えるとし、「この地域への転換戦力の多くがワシントン州とサンディエゴに配備されると見られるが、ハワイの方がより適地であることは確かだ。これら戦力をハワイに配備すれば、航海日数が 2日節約でき、十分なインフラを持つハワイはもっと重要になるだろう」と語っている。

記事参照:
Navy vessels due in Asia-Pacific area

4月 12日「 EU艦隊ヘリのソマリア沿岸監視、 PAG出動阻止」 (EUNAVFOR, Somalia, April 16, 2013)

4月上旬に EU艦隊に加わった、スウェーデン海軍外洋哨戒艦、 HSwMS Carlskronaの艦載ヘリが 4月 12日の通常の哨戒飛行中に、ソマリア沿岸から出動準備中の海賊襲撃グループ (PAG) を発見した。ヘリの監視に気付いた PAGは、小型ボートを陸に揚げ、装備を下ろした後、逃亡した。小型ボートには漁具などがなく、また付近の海上にも漁船は視認されなかった。HSwMS Carlskronaの司令は、「広大な沿岸域で我々が直面している最も困難な課題は、海賊と見られるグループや船舶を拘束するために、最適のタイミングで最適の場所にいることである。我々は、海賊のリスクが高いと見られる海域を監視している」と語った。

記事参照:
EU Naval Force Ensures There Is No Hiding Place For Suspect Pirates
Photo: HSwMS Carlskrona´s helicopter observes a skiff being launched from the coast

4月 12日「中国、ユーラシア輸送網の構築を目指す」(China Brief, The Jamestown Foundation, April 12, 2013)

米シンクタンク、ハドソン研究所のワイツ (Richard Weitz) 上席研究員は、4月 12日付けの Web誌、China Briefに、“Beijing Builds its Eurasian Transportation Network ”と題する長文の論説を寄稿し、中国が地域的安全保障利益を促進する基盤として、また中国西部と南アジアの経済的結び付きを強めることを狙いとして、ユーラシア輸送網の構築を進めているとして、要旨以下のように論じている。

(1) パキスタンは常に、ユーラシア大陸を貫く「新シルクロード」の構築を目指す中国の重要なパートナーであった。グワダル港は、物流の主要なハブとして機能することになろう。戦略的に、グワダル港は、マラッカ海峡の封鎖やペルシャ湾と中国間の海上交通に対する遮断を回避するため、マラッカ海峡経由の海路より、パキスタン経由の陸路でペルシャ湾からのエネルギー供給を可能にする拠点となり得る。グワダル港は、中国による中央アジアと中東諸国との交易を可能にする「新シルクロード」に至る南のルートの始点となり得る。パキスタンの鉄道相は最近の訪中で、ハベリアン (Havellian) から標高 4,730メートルの中パ国境のフンジェラブ峠 (Khunjerab Pass) までの両国を結ぶ 750キロの鉄道建設のために、コンソーシアムを設立する協定を中国鉄道相との間で締結した。両国はまた、パキスタンの鉄道を国際標準軌に近代化することにも合意した。中国はまた、パキスタンと中国を結ぶ主要道路、カラコラム・ハイウェーの建設と維持補修を援助してきた。中国によるパキスタンにおける道路建設、発電所建設、テレコミュニケーションの整備、更にはその他のインフラ整備支援は、中国と中央アジア及び中東諸国を結ぶ重要な中継地としてパキスタンを利用するという、北京の狙いを反映している。

(2) パキスタンは、国内政情の安定性に左右されるが、中国とイラン産油地帯の間に位置するが故に、潜在的に自然なエネルギー回廊となっている。イランと中国は、イランからグワダル港近辺まで日量 2,150万立米の高圧ガスを輸送する全長 785キロのパイプラインの建設のために、パキスタンを支援している。そしてグワダル港と中国を直接結ぶ、鉄道、道路あるいはパイプラインが建設されれば、中国は、ペルシャ湾とマラッカ海峡を経由しないで、安価で安全にイラン原油を輸入することができる。

(3) 中国はこれまで、パキスタンへの中国の投資は商業的目的によるもの、と主張してきた。しかし、インドのアントニー国防相は 2月に、中国によるグワダル港の運営権取得について懸念を表明した。グワダル港の地理的位置は、中国軍がインド海軍の活動をモニターするための中国軍のプレゼンスを可能にするとともに、この地域における中国の軍事力投影能力を強化する可能性がある。インドの防衛アナリストは、中国海軍が将来的には兵站補給基地として、そして恐らくインド洋における中国海軍のプレゼンスを支えるための潜水艦やその他の水上戦闘艦の母港として、グワダル港を利用することになろう、と見ている。加えて、インドの政府関係者は、カラコラム・ハイウェーの継続的な整備を、中国がパキスタンにおける緊急事態に当たって、迅速に重装備を同国に輸送する手段となり得ることから、もうひとつの安全保障上の懸念と見ている。更に、パキスタンにおける中国の輸送網建設計画は、平時における中国の経済的プレゼンスを強化し、そして戦時には北京の戦力投影能力を増強することで、北京がニューデリーに対する戦略的なテコを得ることに役立つ。

(4) イランが東部沿岸の安全保障のためにグワダル港近くのイラン領に海軍基地を建設することになろうというイラン国内の報道によって、中国のプレゼンスに対する西洋の懸念は一層増幅される。中国は現在、イラン原油で最大の買い手である。更に、中国は、原油と他の商品の中国への迅速な輸送のために、イランをパキスタン経由の自国の輸送網に組み込もうとしてきた。このため、中国は 2013年 2月に、イランによる少なくとも 10億米ドルの経費が見込まれる高速鉄道の建設を支援することを承認したが、中国の新疆までの直通路線も建設されるとの報道もある。

(5) イランの核問題に伴うテヘランに対する西側の制裁は、中国とイランの通商関係を強化することになった。西側の制裁は中国企業を助けるだけでなく、中国の交渉者は、イランの苦境に乗じてより安価な原油を要求してきた。制裁はまた、両国間を結ぶ鉄道建設や他のインフラ建設を促進している。時間の経過とともに、南アジアとイランに対する中国のインフラ投資は、ユーラシアにおける北京の優位な経済的立場をより強固にし、ペルシャ湾とインド洋における中国海軍のプレゼンス強化の基盤を固めることになろう。グワダル港、カラコラム・ハイウェー、そして計画されている鉄道とパイプライン網は、経済的立場とプレゼンス強化をともに促進するものとなろう。

記事参照:
Beijing Builds its Eurasian Transportation Network

4月 14日「ロシア太平洋艦隊、アデン湾からの帰路に韓国を訪問」 (РИА Новости, April 14, 2013)

アデン湾での海賊対処活動を終えたロシア太平洋艦隊派遣部隊は 4月 14日、ウラジオストクへの帰途、非公式で韓国の釜山港を訪問した。太平洋艦隊スポークスマンのマルトフ海軍大佐が、РИА Новостиに伝えた。部隊は釜山で、釜山市長や韓国海軍と面会したほか、市内視察やサッカーの親善試合を行うなどした。4月 18日まで滞在し、その後、4月下旬にはウラジオストクに帰港する予定だ。

太平洋艦隊から派遣された第 8次海賊対処部隊の大型対潜艦マルシャル・シャポシニコフ(Marshal Shaposhnikov)、補給艦イルクート (Irkut)、外洋曳船アラタウ (Alatau)は、2012年 11月初旬にアデン湾に向けてウラジオストクを出港していた。第 8次対処部隊は、12月末から 3月 4日まで国際的な海賊対処活動に取り組み、帰路に着いた。途中、武器・軍事技術国際展覧会「LIMA-2013」が開催されているマレーシアのランカウイ島にも寄港した。

記事参照:
Отряд кораблей ТОФ после антипиратской вахты зашел в Корею

4月 15日「ロシア・カムチャツカ国境警備局、米沿岸警備隊との協力を協議」 (РИА Новости, April 15, 2013)

ロシア連邦保安庁カムチャツカ国境警備局の公式訪問団は 4月 15日、米国沿岸警備隊第 17管区と 2013年の共同活動計画を協議するため、アラスカに到着した。訪問の主な目的は、国境の安全保障の重要性、海洋環境の秩序の維持、違法な海産物の往来を阻止するための両者の協力関係向上のためである。カムチャツカ国境警備局の訪問団のメンバーは、エルメンドルフ空軍基地や、アンカレッジに所在する米沿岸警備隊の訓練センターを訪問する。訓練センターでは、海上での遭難者の捜索救難訓練に参加する。

米ロ間の水生生物資源保護に関する協力協定は、米国沿岸警備隊第 17管区とロシア連邦保安庁北東国境警備局の間で 1996年に締結された。国境警備機関の協力は、違法な漁業操業の防止や巡視船間の的確な連絡、漁業品の税関申告検査などに役立っている。また、両国の国境警備隊は、チュクチとアラスカ間の北方航路警備にも共同で取り組んでいる。

記事参照:
ПограничникиРФ и СШАобсудят вопросы морской безопасности

4月 15日「日本、日本海での石油試掘を開始」 (Агентство НефтеГазовойИнформации and 経済産業省 HP, April 15, 2013)

経済産業省資源エネルギー庁は 4月 15日、新潟県佐渡南西沖 30km地点の海底で石油・天然ガスの試掘を開始したと発表した。このプロジェクトは、 JX日鉱日石エネルギー株式会社と石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC)が委託を受け実施する。3カ月におよぶ試掘作業では、海底面からおよそ 2.7キロの深さまで掘削する計画である。専門家によると、佐渡島近海の石油・天然ガス鉱床が、日本でも最大規模になる可能性があり、正確な値は示されていないものの、中東の石油・天然ガス田にも相当すると予測している。

日本では、2011年の福島第一原子力発電所の事故後、ほぼ全ての原子力発電所の原子炉を停止したため、代替する火力発電所の燃料購入に国の支出を大幅に拡大させている。

記事参照:
Япония начала тестовое бурение на перспективном нефтегазовом месторождении в Японском море
経済産業省プレスリリース

4月 15日「インドのスコルペヌ潜水艦計画、さらに遅延」 (The Times of India, April 15, 2013)

インドの Mazagon Dock Limited (MDL) 社によれば、2015年に予定されていたスコルペヌ(Scorpene) 級潜水艦 1番艦の就役が 18カ月遅れ、2016年末になる予定である。この潜水艦は当初予定では、2012年に 1番艦を就役させることになっていた。しかし、MDL社は期限内に作業を進めることができず、2013年 3月 31日をもって、スコルペヌ級潜水艦を設計したフランスの DCNS社とスペインの Navantia社との技術協力契約が切れる結果を招き、今回の遅延につながったものである。この技術協力を延長するには追加予算が必要であり、そのことがさらなる遅延につながる可能性もある。

現在の計画では 6隻の内、1番艦が 2016年の終わりに就役し、その後 9カ月から 12カ月ごとに 1隻ずつ就役する予定である。最後の 2隻が非大気依存型推進システム(AIP)を搭載し、1〜3週間の潜航期間を延長することが可能になる。AIPを搭載していない場合、スコルペヌ級潜水艦は 5〜6日ごとに浮上する必要があるが、AIPを搭載した場合はさらに 1〜3週間程度浮上しないですむ。この AIPシステムとは別に、現在、インドの国防研究開発機構 (DRDO) は DCNS社の支援を受けて国産 AIPも開発中である。これを搭載した場合は、浮上しないで済む期間を 2週間程度伸ばすだけにとどまるといわれている。

現在インド海軍は 10隻のロシア製キロ級潜水艦と 4隻のドイツ製 HDW型潜水艦を運用し、ロシアからもアクラ級原子力潜水艦チャクラ 1隻をリースしているが、2年後には潜水艦保有数が 7隻まで減少するとみられている。

記事参照:
Scorpene submarine project to miss target again as Spanish consultants quit

4月 16日「ペトロパブロフスク・カムチャツキー、ミストラルの第 2の基地へ」 (РИА Новости, April 16, 2013)

ロシア国防省の担当者はこのほど РИА Новостиのインタビューに答え、ミストラル級ヘリコプター空母の基地は、ウラジオストクだけでなく、ペトロパブロフスク・カムチャツキーやその他の場所も検討されていることを明らかにした。「基地の設置には、いくつもの場所が検討されたが、既存のインフラがあり使用することのできるウラジオストクに決定した。しかしながら今後、ペトロパブロフスク・カムチャツキーに、補給や、部隊の乗下艦、乗組員の休憩のために一時的に係留できる環境を整える必要がある。その他の係留場所も検討段階である」と述べた。

ロシアは 2011年 6月、フランス製ヘリコプター空母ミストラル 2隻の建造契約を 12億ユーロで締結した。1隻目は、2014年にもロシア海軍に引き渡される。ロシアで 3隻目、 4隻目を建造するという決定は、2016年まで延期されている。

記事参照:
Петропавловск-Камчатский станетвторой базой для “Мистралей”

4月 16日「最初の米沿岸戦闘艦、シンガポールに到着」 (The Straits Times, Apr 18, 2013)

米海軍のシンガポール配備の沿岸戦闘艦の 1番艦、USS Freedomは 16日、東南アジア海域への 8カ月間のローテーション展開のため、チャンギ海軍基地に到着した。同艦は 3月 1日、91人の乗組員と共にサンディエゴを出航した。全長 115m長の同艦は、 MH-60シーホーク・ヘリを搭載している。シンガポールへの USS Freedomの到着は、ローテーション展開が発表されて 2年後に実現した。今後、最大 4隻の沿岸戦闘艦艇がローテーション展開されることになる。

記事参照:
First US littoral combat ship USS Freedom arrives in Singapore

4月 16日「中国、国防白書公表」 (BBC News, April 16, 2013)

中国国務院新聞弁公室は 4月 16日、「中国武装力の多様化運用 (The Diversified Employment of China’s Armed Forces)」と題する白書を発表した。1998年以来、8度目の白書である。この白書によれば、人民解放軍の戦力構成は、陸軍が 85万人、海軍が 23万 5,000人、空軍が 39万 8,000人となっている。一方、国防予算は、 2012年比 11.2%増で 1,000億米ドルを超えている。今回の白書では、 PKO活動や自然災害対処などに関わる解放軍の活動が詳述されている。中国は長年にわたって軍の近代化に力を入れてきているが、その全体を貫く原則は、「我々は、攻撃されない限り、攻撃しない。しかし、もし攻撃されたら、確実に反撃する」というもの。白書はまた、中国が「多様で複雑な安全保障の脅威に直面して」おり、「民族の統一、国土保全そして開発利益」を護る必要性を強調している。更に、米国がこの地域で軍事プレゼンスを強化していることについて、地域的緊張を高めていると批判している。

記事参照:
China ‘reveals army structure’ in defence white paper
Full Text: The Diversified Employment of China’s Armed Forces (English version)

4月 19日「アメリカのアジア漂流— M.オースリン論評」 (The American Enterprise Institute, April 19, 2013)

アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のオースリン (Michael Auslin) 研究員は、同財団のウェブサイトに 4月 19日付けで “Adirft from Asia” と題した論説を掲載し、オバマ政権の「アジアへの回帰」政策に対する批判を下記のとおり展開した。

(1) オバマ大統領は「アジアへの回帰」を外交戦略の広告塔として提示してきたが、これはリスクとなってきたばかりか、潜在的に失敗したともいえるだろう。その理由の一部には、アジアへの回帰を行うことが、米国のアジアにおける既存の立場を実質的に変えることがなかった点、そして回帰を模索した時期には見られなかった、地域の均衡を破りかねない深刻な諸問題が顕著となった点が挙げられるだろう。

(2) 今日、米国のアジアにおける防衛政策は 2つの大きな挑戦を受けている。1つ目に、アジアにおける緊張が増長してきたことで、地域の安定を維持することに対するアメリカの意欲と能力を疑う声が少なからず聞かれはじめている点が挙げられるだろう。中国と近隣諸国による海洋問題をめぐる衝突に関して、米国は問題への介入を行わないことを明言しているものの、近隣の小国は自国の力のみで問題を解決する自信はなく、日本やフィリピンでさえも、米国のサポートを要望している。また、北朝鮮の核問題に関しても、米国は独自で問題を解決できる見込みは薄い。

(3) 2つ目の挑戦は、中国の台頭とこれに対応する形でのアジア諸国における防衛費の増大と一方における米国の国防予算の縮小である。中国はいまや世界最大級の軍事力を誇り、米国の対抗勢力の筆頭ともいえる。中国の軍備増大に対抗してアジアの主要国は軍事力の増強を行いつつあるが、それは各国が自国の軍事力に不安を覚えている証左でもある。しかしながら、これに対して米国は、「アジアへの回帰」を強調するばかりで、実際上は国防予算を削減し、米国のアジアにおける新たな役割を提案するに留まっている。

(4) 加えてオバマ政権は、アジアにおける米国の目的を的確に説明していない。米政府は、中国を封じ込めることを政策の主眼においていることなどとは決して言わない。だが、同盟国や友好国に対して安全・安心を保障するのであれば、何らかの形での抑止が必要となる。同様に、米国が公海における航行の自由を維持することに関心を寄せるのであれば、中国と近隣諸国間での海洋問題に介入しないという姿勢を変更する必要もあるだろう。米政府には、近隣の小国へ圧力をかけていることを中国に認めさせること、そして北朝鮮に対しては国連安保理決議にだけには留まらない姿勢が求められる。米国がアジアにおける勢力均衡を憂慮するのであれば、今以上に多くの戦闘艦艇を問題の海域や主要なパートナー諸国に派遣すべきである。また同時に、韓国や日本などの同盟国に対しても、防衛問題に関して協同するよう圧力をかけることも必要であろう。米国は、このような国防政策と並行して、北朝鮮や中国に対して制裁を加えるといった外交政策を展開する必要がある。米国は、より多くの経費を国防に投入することは予算の関係上、政治的に不可能であっても、今ある方策を上手に活用し、アジアにおけるコミットメントの有効性を明らかにしなければならない。

記事参照:
Adrift in Asia

4月 19日「米国の再均衡化政策と中国の不安感— RSIS専門家論評」(RSIS Commentaries, No. 069, April 19, 2013)

シンガポールの S.ラジャラトナム国際関係学院(RSIS)の Evan Resnick准教授は、4月 19日付けの RSIS Commentariesに、“The Perils of Containing China”と題する論説を掲載し、米オバマ政権のアジア太平洋地域における再均衡化政策は中国封じ込めの原初的試みであるように見えるとし、米国の政策担当者は、ワシントンの現在の原初的な中国封じ込めと冷戦期におけるソ連封じ込めの成功との明確な違いを認識する必要があるとして、要旨以下のように論じている。

(1) 再均衡化が実際に中国封じ込めの原初的試みを意味するならば、米国が台頭する真の競争者を封じ込めようとした事例を注意深く検討することは、米国の政策担当者にとって有益な教訓となろう。冷戦期における米国の対ソ封じ込めは、米国が主としてソ連の領土的拡張を抑止することを目指してきたことによって成功した。しかしながら、米国の防衛コミットメントは、ソ連国境に隣接した東欧諸国にまでは及ばなかった。クレムリンは、後に東側ブロックとなる東欧諸国に対する覇権の確立を熱望した。結局、第 2次世界大戦の最後の数カ月と戦後の数年間、米国は、東欧を勢力圏として不承不承ながらもソ連に与えざるを得なかった。さもなければ、ほぼ確実に第 3次大戦を招来することになったであろう。そして、以後、歴代の米政権は、ヨーロッパの事実上の分割を黙認してきた。この決定が何百万人もの罪のない東欧諸国の人々を抑圧的な共産主義支配という「鉄のカーテン」の背後に置き去りにするという重い道徳的な負い目を生むことになったが、この決定は、冷戦を熱戦にせず、またソ連の最終的な自壊をもたらす上で不可欠の役割を演じた。

(2) 対照的に、米国は、東アジアが中国の勢力圏になることをほぼ完全に阻止してきた。ワシントンは今日まで、チベットを除いて、台湾や南シナ海の島嶼といった、中国の指導者が中国の主権下にあると見なす領域に関してさえ、北京の自由裁量に委ねることを拒否してきた。更に、米国は近年、ミャンマー、ベトナム及びインドなどの中国に隣接した主要国と慎重に関係促進を図ってきた。意外なことに、アジア太平洋地域における中国の唯一の公式な同盟国は北朝鮮だけで、しかもその特異な行動と経済的な機能障害は、北京にとって強みというよりは戦略的な負担になっている。

(3) 国際政治の歴史は、諸国家が力を強めるにつれ、これら諸国家の安全保障の追求が、最小限、自国の隣国に対する統制力を強めようとする行動を伴うことを、しばしば示してきた。しかしながら、中国が富と軍事能力を右肩上がりに増強して行くにつれ、中国が米国やその同盟国に対する戦略的コミットメントによってほとんど全周から取り囲まれ続けているとすれば、中国の不安感は深刻なものであろう。

(4) 中国とその近隣諸国間のローカルな領土問題は、ワシントンにとっては無視し得る事態であっても、北京にとっては最も重要な事態のひとつである。米国のこれまで以上に明確に引かれた中国を取り囲む防衛線と、ますます強大になる中国との継続的な接触は、東アジアにおける平和と安全に深刻な危険をもたらす。冷戦の事例研究は、台頭する敵対国に対する長期の効果的な封じ込めは、逆説的だが、当該国家の最も緊要な安全保障上の懸念に対する若干の寛容を必要とするかもしれないことを教えている。東アジアにおける米国の安全保障上の核心利益を犠牲にして、米中関係の平和を維持するための中国に対する無分別な宥和と、ますます強大になってきているが依然として非常な不安感を持つ中国を慎重に和らげることとを区別する正確な線引きが、米国の政策担当者にとっての課題である。

記事参照:
The Perils of Containing China

4月 19日「タイ海軍、韓国でフリゲート建造へ」 (Bangkok Post, April 21, 2013)

タイ海軍の選定委員会は 19日、約 13億バーツ(約 442億円)で、新型フリゲートを韓国の大宇造船海洋で建造すると発表した。委員会によれば、スペイン、イタリア、中国と韓国の 2社が建造先として検討されたが、最終的には韓国の 2社が残り、海軍の所要に最もマッチした仕様書を提出した、大宇造船海洋が選定された。海軍は、同社に対して、現有フリゲート、HTMS Naresuanと HTMS Taksin(2隻とも中国製)に装備されているシステムと連携可能な「戦闘管理システム (CMS)」の製造も求めている。新型フリゲートは排水量 3,000〜4,000トンで、2年以内に配備予定で、海軍では初めての韓国製となる。

記事参照:
S Korea to build Thai navy frigate