海洋安全保障情報旬報 2012年5月11日〜5月20日

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5月 11日「フィリピンにおける“反中”抗議活動」(Strait Times, Reuters, May 11,2012)

フィリピンのマニラでは 11日、南シナ海領有権問題に端を発した反中感情の高まりにより、警備が強化された。2国間の緊張関係が増すにつれ、マニラで市民社会や政治団体からなる 2 00人規模の中国領事館へのデモ活動の発生が予測されている。また「米国の軍事戦略の転換により、今後東アジアへのシフトを加速化させる姿勢を打ち出していることより、フィリピンが米国の政治的バックをもとに、より強い姿勢で中国に対抗してくることも考えられる」と中国の解放軍報は伝えている。

5月 11日「オランダ海軍フリゲート、イラン漁船を解放、海賊容疑者拘束」 (Maritime Executive, May 14, 2012)

EU艦隊所属のオランダ海軍フリゲート、HNLMS Van Amstelは 11日、ソマリア沿岸沖でイラン漁船(ダウ船)とイラン人乗組員を解放した。このダウ船は 10日前にソマリアの海賊によってハイジャックされ、「母船」として利用されていた。 HNLMS Van Amstelの艦載ヘリが 10日午後、ソマリア沿岸沖 400カイリの海上を哨戒中、2隻の skiffを曳航し、船上の梯子などの海賊装備類を積んだダウ船を発見し、同艦から臨検チームが派遣された。臨検チームは、ダウ船から武器を発見するとともに、 17人のイラン人乗組員を解放し、11人の海賊容疑者を拘束した。以下はその時の様子である。

5月 11日「トルコ海軍フリゲート、イエメン漁民解放、海賊容疑者拘束」 (Bosphorus Naval News, May 13, 2012)

トルコ軍の発表によれば、NATO海賊対処部隊、TF-508所属のトルコ海軍フリゲート、 TCG Giresunは 11日、イエメン漁船(ダウ船)を解放した。発表によれば、TCG Giresunの艦載ヘリは、イエメン沿岸沖 190カイリの海上で、「母船」として利用されていたダウ船を発見し、同艦から派遣された海軍特殊部隊チームがダウ船を臨検し、イエメン漁民 7人を救出するとともに、海賊容疑者 14人を拘束した。また、 AK-47強襲ライフル 9丁、PRG-7ロケット推進擲弾筒1基、PRG-7擲弾 3発、弾薬、および梯子、予備燃料、 GPS装置、携帯電話などの海賊装備類を押収した。以下は、その時の様子と押収武器などである。

5月 13日「民間警備会社、海賊護衛艦隊編成を計画」 (The National, May 13, 2012)

アラブ首長国連邦紙、The National(電子版)が 13日付で報じるところによれば、民間警備会社が海賊護衛艦隊の編成を計画している。それによれば、7,000万米ドルの資金で、 18隻の船舶からなる護衛艦隊を編成し、アデン湾の安全回廊 (IRTC) で通航船舶の護衛を実施する計画である。この艦隊を運用するのは、国際船舶保険会社、Jardine Lloyd Thompson (JLT)と The Lloyds of London underwriters Ascotによって設立された英国の会社、 The Convoy Escort Programme (CEP) である。資金調達は 6月末までに完了し、CEPは、12月までに艦隊の運用を開始する計画である。

ソマリアの海賊は、世界経済に年間推定 70億米ドルに及ぶ支出を強いている。船主側にとっても、海賊多発海域を通航する船舶には、 5万〜8万ドルの追加保険を負担しなければならない。また、民間武装警備員を雇用すれば、1航海当たり 1万 8,000〜6万ドルを警備会社に支払わなければならない。また、 EU艦隊は、年間維持費として、 800万ユーロ以上を支出している。CEPは、船主側に対して、各船舶当たり平均 3万〜4万ドルの護衛経費の支払いを求めるだけで、船主側は追加保険料も、民間武装警備員雇用経費も負担しなくてすむ。

CEPは、元スウェーデン海軍の 150フィートの高速哨戒艇 7隻の購入を計画しており、既に 11隻の元外洋補給艦を購入し、改修中である。これらの船は、高速の semi-inflatable boat、各種の非致死性海賊対処装置、及び 0.5口径重機関銃を装備する。計画では、 IRTCに沿って CEP船 1隻で最大 4隻の船舶を近接護衛し、更に別の CEPの船が IRTC内で東航・西航コースを警戒する。運用が開始されれば、 CEPは、アデン湾で 1カ月最大 470隻の船舶を護衛できる。これは、現在の通航量の約 25%に当たる。CEPのキャンベル CEOは、「現在、厳しい要員訓練が行われており、我々は、『海上における人命の安全のための国際条約』 (SOLAS条約) などの、IMOの各種法規を遵守する。我々は、英国海軍と詳細な議論を行った。海軍は当初、ほとんど関心を示さなかったが、現在では、英国政府と共に協力的である」と語っている。 CEPは、保有船舶にキプロス国旗を掲揚することで、キプロス海事局と合意している。

5月 14日「ジャカルタ港、拡張計画の概要」 (The Jakarta Globe, May 14, 2012)

14日付のインドネシア紙、The Jakarta Globeは、ジャカルタ・タンジュンプリオク港の拡張計画の概要について、要旨以下のように報じている。

(1) インドネシア港湾当局は、タンジュンプリオク港の拡張計画に 25億米ドル余の資金を投入している。同港は、埠頭スペースの不足と大型コンテナ船が接岸できないことから、制約があった。2023年までに拡張計画が完了すれば、同港の年間コンテナ処理能力は、1,800万 TEU以上となり、現在の能力の 3倍になると期待されている。7月から工事が始まる第 1段階では、3つのコンテナ・ターミナルと 2つの石油精製品ターミナルが建設される。最初のターミナルは、2014年に完成する。

(2)港湾能力の拡張は、経済の急成長に対応するためである。長期的目標は、シンガポール港への依存を減らすことである。現在、インドネシア向けの貨物の多くは、タンジュンプリオク港の水深が深くなく、大型コンテナ船が接岸できないことから、シンガポール港を経由しなければならない。従って、最終的には、大型船が直接タンジュンプリオク港に接岸できるようにし、そこから国内各地に配送できるようにする。 2011年にはインドネシア向けの貨物の 18%がシンガポール港経由であったが、これを 10%あるいはそれ以下のするのが目標である。

5月 14日「台湾、新型対艦ミサイル配備—台湾紙報道」 (Channel News Asia, 14 May 2012)

14日付けの台湾紙、『中国時報』によれば、中国が初の空母の海上公試を着々と進める中、台湾は、新型対艦ミサイルを艦隊に配備しつつある。それによれば、台湾海軍の現有 8隻の Perry級フリゲートの内、5隻に超音速対艦ミサイル、雄風Ⅲを配備している。更に、より小型の哨戒艦艇の一部にも既に同じミサイルが装備されているという。この対艦ミサイルは、最大射程 130キロで、速度マッハ 2で飛翔する巡航ミサイルである。台湾国防部当局は、この報道に対するコメントを差し控えている。『中国時報』によれば、台湾海軍は、ミサイル−開発者達が「空母キラー」と呼ぶ、雄風Ⅲを 120基配備する計画だという。総費用は、推定 120億台湾ドル(4億米ドル)と見込まれている。このミサイルは、2011年 8月に中国が空母の初めての海上公試を始めたその日に台湾が明らかにしたものである。

5月 15日「 EU艦隊、ソマリアの海賊拠点を空爆」 (EU NAVFOR Public Affairs Office, Press Release, May 15, and Defense Web, Reuters, May 16, 2012)

EU艦隊は 15日早朝、ソマリアのハーラデーレ港近くの海賊拠点を初めてヘリで爆撃した。この攻撃は、 3月 27日に EU議会がソマリア沿岸の海賊拠点への攻撃を認可したことによる攻撃で、国連安保理決議第 1851に基づき、かつソマリア暫定政府の全面支援を受けて実施された。ソマリアの海賊がロイター通信に語ったところによれば、ヘリ 1機がハーラデーレを空爆し、高速ボート 5隻を破壊した。負傷者は出ていない。海賊は、再び攻撃したら人質を殺すと脅迫した。 EU艦隊司令官は、今回の攻撃について、海賊への圧力をかけ、商船攻撃のために海に出る企みを妨害することが目的だとしている。

5月 15日「イスラエル、ドイツの支援で潜水艦部隊強化」 (UPI, May 15, 2012)

15日付の UPIの報道によれば、イスラエルは、ナチス迫害犠牲者への補償としてドイツから潜水艦建造費の 3分の 1を支援してもらう形で、既に中東では最も強力な潜水艦部隊の一層の増強を進めている。イスラエルにとって 4隻目となる Dolphin級潜水艦は 3日にドイツのキールで進水し、現在偽装中で、海上公試が開始される。乗員訓練は、イスラエルで行われる。2014年までには就役予定である。5隻目も 2014年には引き渡され、そして最新の 6隻目の引渡しは 2016年までに予定されている。Dolphin級潜水艦は排水量 1,925トンで、ドイツの Type 209 派生型で世界でも最新の潜水艦に属する。同級潜水艦は、イスラエル国産の射程約 940キロ、核弾頭搭載可能な巡航ミサイルを装備すると言われる。同級潜水艦は既に発注済みの 20機の F-35と共に、イスラエルの対イラン軍事計画の中核を担う。しかしながら、F-35の運用が 2018年まで実現しない可能性を鑑み、対イラン計画は水中から行うものが有力との見方が強い。

5月 16日「懸念される米国・同盟国海軍の対潜能力の低下—専門家論評」 (Aol Defense.com, May 16, 2012)

米国の安全保障問題専門家、フリードバーグ二世 (Sydney J. Freedberg Jr.) は 16日付けのブログで、中国やイランなどが潜水艦戦力を増勢する中で、米国及び同盟国海軍の対潜能力の低下が懸念されるとして、要旨以下のように指摘している。

(1) 対テロ戦争の 10年の間に軍隊としての技量が蝕まれ、厳しい予算的制約の中で技量を回復させるべく努力しなければならない。特に、米国及び同盟国海軍の対潜能力が低下してきた。米海軍艦隊コマンドのデビッドソン司令官 (RADM Phil Davidson) は、対潜能力の回復が必要であるが、費用なしでは成し得ないと指摘している。

(2) 今日、中国とイランによる新たな海軍の脅威が存在するが、これらの脅威は、両大戦時のドイツや冷戦期のソ連のように、大西洋における伝統的な脅威とは全く異なる海域での脅威である。イランの場合、狭くて浅いペルシャ湾内であり、ここは開かれた大洋に比べて潜水艦(そして機雷)が遥かに隠れやすい海域である。この浅海域における対潜戦のための海軍の長期的な解決策が沿岸戦闘艦 LCSである。その小型で高速な船体は、任務毎に異なる「任務モジュール」が搭載できるように設計されている。従って、同じ船体でも、対潜戦から小型攻撃艇との戦闘や機雷掃海にも対応することができる。しかしながら、 LCSの対潜戦モジュールは未だ開発中であり、実際に運用されるのは 2016年まで遅れる。

(3) 一方、現有艦隊は、対潜戦という伝統的な目標を失った。例えば、前出のデビッドソン司令官によれば、海軍の P-3C対潜哨戒機は、対潜訓練に費やす時間の 2倍を「情報収集、監視及び偵察」(ISR)任務に従事させられている。P-3Cは 2001年以来、アフガニスタンとイラクでの任務に益々使用されるようになり、対潜戦より陸上の ISR飛行を 3倍乃至 4倍経験して来たという。

(4) 陸軍と海兵隊については、アフガニスタン以後、運用ペースの低下が期待されるが、海軍はそうはいかない。デビッドソン司令官によれば、海軍への所要は増加しており、現在、海軍の兵力展開のテンポは過去 10年間で最も高いという。例えば、強襲揚陸艦、 USS Bataanとその戦闘グループの 10カ月半に及ぶ最近の展開は極め付きであり、過去の 6~7カ月の洋上勤務の時代は過ぎ去り、空母攻撃グループの典型的な兵力展開が 9カ月に延長された。訓練する時間と経費も少ない中で、艦隊はこき使われているわけである。

5月 16日「中国、南シナ海の漁業禁止期間開始」 (Xinhua, May 16, 2012)

中国は 16日、南シナ海の大部分の海域で 1カ月半にわたる漁業禁止期間をスタートさせた。海南省漁業局によれば、省内の登録漁船、全 8,994隻が出漁を停止した。この禁止期間の設定は、1999年から毎年行われている措置で、北緯 12度以北の海域が対象となっており、黄岩島(スカボロー礁)を含むが、南沙諸島海域の大部分が対象外となっている。漁業省南シナ海漁業管理局によれば、禁止期間の設定の目的は、南シナ海における漁業の持続的発展を確保するとともに、漁民の基本的利益を護るためである。南シナ海漁業管理局によれば、南沙諸島海域に出漁を許可された漁船は、禁止区域に誤って入り込まないようにするために、位置通報装置の搭載が義務づけられる。違反には、罰則が科される。また、外国漁船にも禁止措置が適用される。漁業省は、監視のために漁業監視船、漁政 310と漁政 303を派遣した。

5月 17日「IMO、民間武装警備会社のための暫定ガイダンスに合意」 (IMO Briefing, May 17, 2012)

国際海事機関 (IMO) は、16日〜25日まで開催した第 90回海上安全委員会(MSC90) で、武器を携行して商船に添乗する武装警備員を提供する民間警備会社 (Private Maritime Security Companies: PMSC) に対する暫定ガイダンスに合意した。暫定ガイダンスの主な内容は以下の通りである。

(1) PMSCの認証:国内と国際の民間警備会社に関連する基準が確立された時点での、 PMSCに対する認証取得の勧告。

(2) PMSCの要件: PMSCに対する、船主と運航者に対して海洋警備業務を提供する手順の確立、および関連する法的規範の遵守の勧告。

(3) 添乗する民間武装警備員 (Privately Contracted Armed Security Personnel: PCASP) チームの管理:要員の選抜、審査および訓練に関する勧告。

(4)添乗に当たっての考慮要件:船主と運航者に対する勧告、及び火器と弾薬の積み卸しと武器使用に関する勧告を含む、PCASPの効率的かつ安全な添乗のため、PCASPの雇用と PMSCの役割に関連する特別な問題に対する対処。(PMSCは、武器使用に関する法律は時と場所によって異なることを認識する必要がある。PCASPの船上での事件に対して適用される、刑法を含む国内法は、基本的には旗国の法律が適用される。また、沿岸国、寄港国あるいはその他の国の法律が適用される場合もある。)

また MSCは、国際標準化機構(ISO)が IMOのガイダンスに基づき PMSCの国際基準を作成することで合意した。更に、 MSCは、PMSCに関するガイダンス作成に伴い、ソマリア海賊対処のための PCASPの雇用に関して、船主、運航者および船長、旗国、更に寄港国及び沿岸国に対する暫定ガイダンスの関連事項の修正に合意した。

5月 17日「北朝鮮武装船が中国漁船をハイジャック」 (ABC News, AP, May 17, 2012)

中国漁船 3隻(乗組員 29人)が 17日、中国領海内の黄海で操業中、北朝鮮の武装船に拿捕された。背後に北朝鮮当局が関わっていたかは明らかになっていないが、武装船側は解放のための身代金として合計 120万元を要求した。黄海においては韓国が韓国領海内で違法操業する中国漁船を拿捕する例はしばしば発生するが、中国と北朝鮮の間でこのような事態が発生することは珍しい。

5月 18日「比大統領、スカーバラー礁への渡航延期を要請」 (The Strait Times, AFP, May 18,2012)

フィリピンのアキノ三世大統領は 18日、元海軍兵やテレビクルーで作られる 20人のグループがスカーバラー礁への渡航を試みる中、渡航の延期を要請した。

5月 18日「インドネシア・オーストラリア、豪北部で海上パトロール演習を実施」 (Marine Link.com, May 18, 2012)

18日付の電子版、Marine Link.comによれば、インドネシアとオーストラリア両国海軍はこのほど、豪北部ダーウィン近海で共同の海上パトロール演習“ CASSOWARY”を実施した。”CASSOWARY”は、洗練されたパトロール訓練、海賊対処、人命救助対処など含んだ総合的な海上演習であり、相互の能力向上や意見共有を促進させ、両国のこの分野における協力を一層強化させている。演習には、オーストラリア海軍から、Armidale級哨戒艦、 HMA Ararat、同 HMA Larrakia が、インドネシア海軍からは、哨戒艦、 KRI Kakapと KRI Tongkolが参加した。

5月 18日「英最新戦闘艦、サウジアラビアに初寄港」 (Marine Link.com, May 18, 2012)

英海軍の最新戦闘艦、HMS Daringは 18日、サウジアラビア海軍との関係強化の一環として、サウジアラビアのアルジュベイル港に初めて寄港した。今回の訪問は両国の軍事的関係をより強化し、テロや海賊、麻薬密輸などへの対処で一層の協力が期待される。

5月 18日「米国防省、『2012年版・中国の軍事・安全保障を巡る動向』公表」 (U.S. Department of Defense, Press Briefing, May 18, 2012)

米国防省は 18日、「2012年版・中国の軍事・安全保障を巡る動向」 (Annual Report to Congress; Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2012)を公表した。これは通算 11回目の年次報告書で、オバマ政権になってから 4度目、表記のタイトルに変わってからは 3度目の報告書である。

今次報告書は 2011年版の全文 83頁に比較して、43頁と半減した。またその章立ても変わり、巻頭の要約、以下、第 1章:中国の軍事戦略とドクトリン、第 2章:戦力近代化の目標と傾向( 2011年版では第 3章)、第 3章:米中軍事交流(同第 6章)、第 4章:台湾に対する中国の戦略(同第 5章)、となっている。付録として、「中国軍の規模、配備、能力」、「台湾海峡を巡る両岸の戦力データ」、「各国との軍事交流の状況」及び各種の地図とチャートが添付されている(Appendix 4. Maps and Charts, p.37に収録されている、Figure 1: Sovereignty Claims in the South China Sea は詳細で有益である)。2011年版に「スペシャル・トピック」として取り上げられた、「中国の海洋戦略の発展」 (China’s Evolving Maritime Strategy)、「中国の軍事的関与」(China’s Military Engagement) は、今次報告書にはない。国防省のヘルベイ (David Helvey) 東アジア担当国防次官補代理は 18日のブリーフィングで、国防省の議会に対する報告書に関するガイドラインに従って、記述を纏めスリム化したが、議会が求める要請には対応している、と述べた。

今次報告書でも、国防省は、米中軍事交流を通じて、軍事問題における透明性と公開性を引き続き中国に慫慂していくとしている。一方で、今次報告書では、中国軍事力近代化の狙いについて、明確な記述が見られる。「中国は、『情報化環境下での局地戦争』あるいは短期の高度に情報集約化された地域軍事作戦 (“local wars under conditions of informatization,” or high-intensity, information-centric regional military operations of short duration) を戦い、かつ勝利するために、中国軍の能力強化を目指して、長期的で包括的な軍事近代化計画を追求している。」そして、「中国の指導者は、 21世紀の最初の 20年間を、国家発展を促進する『戦略的好機の窓』と見なし、中国軍の近代化を、これを達成するための不可欠の要素と見なしている」と指摘している。

Report is available at following URL; http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2012_CMPR_Final.pdf

5月 19日「中国深海パイプ敷設船、南シナ海に出航」 (Xinhua, May 18, 2012)

中国初の深海パイプ敷設船は 19日、青島東港から南シナ海に処女航海に出る。この船は、「中国海洋石油総公司」(CNOOC)が開発した、「海洋石油 201」で、最大深度 3,000メートルの海底にパイプを敷設する能力を持ち、船上のクレーンの巻き上げ能力は 4,000トンである。該船は、香港南西約 310キロの水深 1,500メートルの海域にある、Liwan 3-1ガス田にパイプを敷設するために、南シナ海に向かう。該船のパイプ敷設能力は、1日当たり 5キロである。