海洋安全保障情報旬報 2020年3月21日-3月31日

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3月23日「世界的感染爆発の最中、南シナ海の植民地化を進める中国―米ニュースサイト報道」(BREITBART.com, March 23, 2020)

 3月23日、米オンラインニュースサイトBREITBARTは、“China Debuts ‘Research Stations’ in South China Sea While World Battles Coronavirus”と題する記事を掲載し、世界がコロナウィルスのパンデミックに対応している一方で、中国が南シナ海で2つの新しい「研究所」を設立したことについて要旨以下のように報じている。
(1) 中国は、南シナ海のファイアリー・クロス礁(中国名:永暑礁)とスビ礁(中国名:渚碧礁)に2つの新しい「研究所」を設立した。世界が中国のコロナウイルスのパンデミックに対応している一方で、中国が南シナ海の植民地化を進めている証拠である。
(2) 北京によれば、科学研究所として宣伝されているこれらの軍事施設は、この区域の環境保全を研究することを目的としているとされている。新華社によれば、中国科学院の島礁総合研究中心の下で運用されているこの2つの研究所は、保全プロジェクトのための「監視システム」を備えている。中国軍は、伝えられるところによると、サンゴ礁生態系、植生生態学及び淡水保全のため、ファイアリー・クロス礁に「いくつかのリアルタイム監視システム」を構築した。スビ礁研究所は、伝えられるところによれば、地質学的災害と淡水保全のための「監視システムのプロジェクト設計を完了」したとされる。この2つの新しい研究所は、2018年に設立されたパンニガン礁(中国名:美済礁)の「美済研究センター」にある拠点とつながる。ファイアリー・クロス礁とスビ礁はどちらもベトナム、フィリピン及び台湾が権利を主張する紛争中の領土である。中国はそれらを奪取し、岩礁を人工島に変えた。中国は、マレーシアとブルネイだけでなく、これら3カ国に属する南シナ海の領土に対して違法に権利の主張を行い、そして、インドネシアのナツナ諸島の沿岸沖の海域の権利の主張を行った。1月、インドネシアは、ナツナ海域の不法侵入が中国海警総隊の船艇によるとものと見なした直後、南シナ海の諸島周辺の海洋パトロールの増加を発表した。
(3) 最近設置された設備についてコメントした海洋安全保障の専門家Collin Kohは、比ニュースサイトINQUIRER.NETに「現在進行中のコロナウイルスのパンデミックにより、これらの海洋の発火点から北京の注意が逸らせたであろうと一部の人々は考えるかもしれないが、これは事実とはかけ離れている。中国軍は、コロナウイルスにもかかわらず戦闘に即応しうる態勢のままだと宣伝されている」と語った。
(4) これらの施設は、南シナ海の岩礁と島々を戦略的な軍事前哨基地に変えるための近年の中国の取り組みの最新の例としての役割を果たしている。争われている海域においてライバルの活動を監視し、威圧的なプレゼンスを確立するように設計されたこれらの軍事施設は、通信施設、滑走路、港及びミサイルシェルターを収容することが知られている。
(5) 米国による南シナ海での武力の誇示は中国による抵抗に遭い、この地域の緊張が高まっている。3月の初めに、中国の国営メディアは南シナ海に進入する米艦艇に対して電磁パルス兵器(EMP)を使用する可能性を示唆した。2016年、ハーグの常設仲裁裁判所は南シナ海でのフィリピンとの領土紛争において中国に不利な裁定を下した。この画期的な裁判において、フィリピンは、中国が違法にその海洋領土を占領したと主張することに成功した。中国は国際裁判所による2016年の裁定を拒否し、南シナ海のほぼ全体に対するその権利を主張し続けている。2016年の裁定によると、中国は海洋環境を破壊することにより国際法を破った。軍事施設の支援のため、十分な大きさの島を構築するために、水中の堆積物を掘り返した。これは、新しい研究施設が環境保護の目的で建設されたという中国の主張に疑問を投げかける。
(6) 南シナ海での中国の最新の武力の誇示は、現在の中国のコロナウイルスのパンデミックという世界経済と公衆衛生を損なう世界的規模の危機の原因であるこの共産主義国家の責任に対する国際的な激しい非難の真っ只中で行われている。
記事参照:China Debuts ‘Research Stations’ in South China Sea While World Battles Coronavirus

3月24日「米インド太平洋軍はAll Domain(全領域)作戦構想に関する計画を議会に提出-米国防関連デジタル誌報道」(Breaking Defense.com, March 24, 2020)

 3月24日付の米国防関連デジタル誌Breaking Defenseは“Indo-Pacom Presses All Domain Ops; Sends Plan To Hill Soon”と題する記事を掲載し、米インド太平洋軍が議会に提出しようとしている新たな戦域戦闘概念であるAll Domain Ops(全領域作戦)の概要についてPhilip Davidson 司令官の発言を引用しつつ要旨以下のように報じている。
(1) 米インド太平洋軍司令官Philip Davidson海軍大将は3月初旬に開催された海軍の会議において、同軍がインド太平洋地域全体において同盟国、友好諸国と実施する共同訓練の要領などを変革する新たな構想を示した。この発言は議会に対し、過去5年間に欧州地域に対して各種施設整備やNATO同盟国との演習などに使用された200億ドルを超える投資と同様の関心がインド太平洋地域にも向けられるよう求めるものである。Davidson司令官の構想は、国防総省が将来を支配するとしている「技術中心の戦争」を実践するため各軍種がともに訓練できる地域全体の訓練ネットワーク構築への投資を要求している。Davidson司令官は現在の同軍担当地域内の共同訓練枠組みは「共同訓練を実施するには不十分」として、「共同、統合演習の実施、装備や戦術の実験、革新を促進すべく、担当地域内の主要な現実あるいは仮想の訓練場所を共同のネットワークにより設定する必要がある」と述べている。
(2) Davidson司令官は完全に統合された地上部隊、特殊作戦部隊、サイバー部隊が長射程の火力によって支援される新たな「インド太平洋地域の戦争概念」を開発したいと考えており「その支柱となる新たな戦闘コンセプトの演習、実験、革新という目的を達成するための訓練機会を提供する共同ネットワーク構築が必要」と主張しているのである。Davidson司令官は、こうした共同訓練のためのシステムは相互に協力して常設化する必要があり、「危機発生時に臨時に設置する共同指揮所」という形ではないことが重要と指摘している。また、このコンセプトは国防総省の統合参謀本部がMark Esper国防長官の指示で構築した新たな共同統合戦闘のコンセプトとも一致しており、現在及び将来の軍事訓練、装備開発の方向性に広範な影響を与える可能性がある。
(3) Davidson司令官は特に優先的に投資すべき領域として次の四点を指摘している。
a.米本土のみならず展開する米軍部隊も含めた防御のため地域全体に分散配備された複数のセンサーと迎撃システムによる統合防空ミサイル防衛(抄訳者注:Integrated Air and  Missile Defense: IAMD)
b.あらゆる車両、艦艇、航空機、軍種、領域から様々な標的を攻撃し得る長距離精密打撃兵器
c.迅速で柔軟な意思決定を支援するとともに、敵システムに浸透してその分解と意思決定の阻害を可能とする統合指揮統制ネットワーク
d.AI、量子コンピューター、リモートセンシング、機械学習、ビッグデータ分析、5Gなどの先端技術
これらの武器や機能の多くは各軍種でそれぞれ開発されている物であるが、インド太平洋軍がそれを担当地域内での共同訓練に活用しようとするのは国防総省指導者層の理解を得ようとするものであるのかもしれず、このようなDavidson司令官の考え方は今週(3月23日の週)議会に提出予定の報告書にも含まれている可能性がある。
(4) いくつかの優先事項は明確である。インド太平洋軍にとって様々なパワープロジェクションのハブとなっているグアムのミサイル防衛は死活的に重要であると前インド太平洋軍アドバイザーで現Center for a New American Security客員研究員Eric Sayersは指摘する。また、戦域を統合化することによって戦闘機や戦闘艦艇との戦闘能力を有効化することも重要である。各軍種指揮官は新たな戦力を生み出すための支出は望まないからである。さらに国防総省の前アジア担当で現Center for a New American SecurityのAsia-Pacific Security Program責任者のDaniel Klimanも、この地域における統合防空ミサイル防衛強化の要求は驚くべきことではないとして、これを同盟国とのバランスを保ちつつ強化することが重要であると指摘している。中国への懸念を有する同盟国との関係強化のため新たな共同訓練枠組みを活用することはこの戦略の重要な部分であり、 Klimanは「米国は、中国が違法な主張を展開する南シナ海へのアクセスを同盟国に依存している」として「国務省、United States Agency for International Development(米国際開発庁)、その他の非軍事機関にもリソースを投入すべき」と主張している。そして、 このようなインド太平洋地域へのリソース投入の米国議会における最大の支持者の一人はMike Gallagher下院議員である。彼は「国防戦略に十分な支出をし、インド太平洋軍の拒否的抑止力を実効化するために必要なリソースを提供するには十分長い時間待たされた」と主張している。GallagherはDavidson司令官の提唱する構想を実現するための基金は既に存在しているとしつつ、議会も国防総省も当該基金を適切に活用していないとして、2017年の国防権限法で「インド太平洋安定化イニシアチブ」の5カ年計画が策定されたが、その執行は毎年満たされていないと指摘している。
(5) Davidson司令官はサンディエゴの会議における講演を冷戦期のアナロジーから説き起こした。すなわち、現在のインド太平洋地域は1970~80年代の欧州、NATO正面において国防総省の政策立案者がAir Land Battle構想を立案した当時に状況に類似しているということである。 この概念は陸空の緊密に統合された指揮通信と武器システムを使用して、さまざまな標的を同時に攻撃することを提唱したものである。Davidson司令官は「新たな戦闘概念は同盟国及びパートナー諸国に対し70~80年代のAir Land Battleが欧州のNATO加盟国に提供していたのと同様の安心感を提供する必要がある」と述べているが、国防総省や議会でこの新構想がどのように受け止め取られるかは不明である。いずれもCOVID19パンデミック対応のために最大3兆ドルの政府支出を予想しており、国防総省の指導者たちも国防関係予算が今後数年間は横ばいになると予測している。そして、これらの予測でさえ下降する放物線を描く現在の経済状況の果てには、非常に楽観的であったということを証明する事になるのかもしれない。
記事参照:Indo-Pacom Presses All Domain Ops; Sends Plan To Hill Soon

3月26日「印仏海洋共同哨戒演習の背景と印仏防衛関係の深化―印安全保障政策研究者論説」(the Diplomat, March 26, 2020)

 3月26日付のデジタル誌the Diplomatは、インドのThe Observer Research Foundation のThe Nuclear and Space Policy Initiative代表であり、特別研究員のRajeswari Pillai Rajagopalan博士の “What’s Behand the Rising India-France Maritime Activity in the Indo-Pacific?”と題する論説を掲載し、ここでRajagopalanはインドは長らくインド洋の平和と安全、および安定した秩序維持に欧米諸国のプレゼンスを拒んできたが、同海域での中国の伸張と脅威の増大の中、米国の関与強化に加え、特に、フランスとの間で「軍事同盟」と表明するほどの防衛関与強化を進めており、印政府にとって印仏関係が新たな実践的かつ戦略的な選択肢となるだろうとして要旨以下のように述べている。
(1) コロナウイルスの世界的感染爆発の脅威が拡大する中で、2020年2月、インドとフランスは、インド洋上で共同哨戒を実施した。同活動へは、仏海軍基地があるインド洋上のレユニオン島の仏海軍の哨戒行動に印海軍が参加して実践された。同海洋活動に参加した印海軍P-8Iの指揮官は、今回の共同哨戒は、「貿易やコミュニケーションの国際海洋ルートの安全維持を可能とする」と語った。
(2) 印仏のこうした共同軍事活動の強化は極めて重要である。というのもインドはこれまで周辺国に限定して通常の合同哨戒訓練 (Coordinated Patrols。以下、CORPATと言う)を実行してきた。最近では、印海軍はマルビナスなどとの共同排他的経済水域偵察訓練やバングラディッシュ、ミャンマー、タイおよびインドネシアとの一連のCORPATを実施した。しかし、印政府は、米政府による早い段階からCORPATの実施の打診もかかわらず、拒否し続けた。一転して、ニューデリーは、過去5年間、インド洋でプレゼンスを拡大する同国にとって好ましいと認める国家との関与を拡充してきており、アフリカの角からマラッカ海峡を繋ぐ地域の戦略的重要性が増すにつれて、ここ数年間、インドの関与強化の動きは、さらに顕著となった。
(3) ある印系新聞は、目下、進展する印仏相互関係に特に注視し、印国防省筋として、インドとフランスは、インド洋海域内での挑戦や課題に関心を持つことではまったく同じだが、一国としてそれらに対応するには能力的限界があり、その制約こそが、印仏間の連携を進め、両国海軍の調整と合同活動の実施の後押しとなった、と語った。さらに、同印国防省筋は、両国の合同活動は定期的ではあるが、時期などが設定されたものではない、と追加した。言うまでもないことだが、こうした動向の進展は、インドが同地域での自国の権益を拡大し、同国に好意的な国家の海軍との連帯関係を築くことによる信頼醸成の強化にいかほど真剣かを見定める重要な目安となっていた。
(4) インドとフランスは、2019年11月に仏海軍参謀長Christophe Prazuck大将の印訪問の際に印仏防衛関係強化を議論した。同訪問中、Prazuck大将は、「インド海軍との合同哨戒訓練の組織化」の重要性を強調するとともに、共同歩調に向け「さらに明確な目標」を設定する必要があると指摘した。Prazuck大将はこれについて「フランスの一部である島嶼の周辺の北西インド洋ないし南インド洋となるだろう」とフランスの関与地域を示唆した。加えて、Prazuck大将は、西インド洋の中国のプレゼンスと脅威の伸張に関連して、2008年にソマリア沖で海賊問題が再燃する前には、中国籍船舶は1隻もなかったとの認識を示し、海賊問題は中国の軍艦派遣の隠れ蓑になっており、海賊の脅威が撲滅されたとしても軍艦の派遣を止めていないと指摘した。水上艦艇に加えて中国は攻撃型原子力潜水艦(SSN)を西インド洋へ派遣したが、SSNは海賊撲滅に対して何らの効果がないとPrazuck大将は述べた。Prazuck大将の訪印前、2019年10月初旬、仏大統領Emmanuel Macronは、2020年の第1四半期に実施予定の偵察活動に、インド海軍偵察機一機(P-81)がレユニオンへ派遣されるだろうと明言していた。
(5) 軍組織を含むさまざまな政府レベルでの密接な戦略関係強化は、インドとフランスの安心で信頼ある関係に基づく。特に、印政府の快適レベルについて、ある印高官は、「フランスは我々にとって心許せる国家だ。彼らとの合同哨戒活動を遂行することになんら支障はないだろう」と語った。このインドの「安心」ゆえに、フランスは印海軍Information Fusion Centreに連絡将校を置く最初の国家となった。もともと、フランスはロシアに次ぐインドのパートナーとして古く最も信頼されている国家の一つだった。だが、最近では、ロシアは中国との関係を強めていることから、インドのフランスへの期待値はさらに大きくなっていた。Modi印首相は、2019年8月に開催されたパリのUNESCO総会のスピーチで、「21世紀において、われわれはINFRAを話題とする。IN(印)+FRA(仏)として私が語りたいのは、インドとフランスの軍事同盟である」とフランスとの特別な関係に言及した。これまで、ニューデリーとパリの両政府が、いかほどに綿密な関係を築くかは重要な案件だった。インド国内の戦略コミュニティでさえ印政府の対仏政策は言葉遊びだと見下す者もいたが、実際、両国の戦略的関与は拡大し深化していた。たとえば、インドが関与するカシミールなど領土問題を巡る国連安全障理事会の議論の中で、フランスはインドをバックアップしており、フランスの対印戦略コミットメントの方針を明示していた。それは、明らかに、国連安保理でインドのパートナーであったロシアの後退を意味し、フランス―そして、米国―がその立場を代替していることを示唆する。
(6) 2014年、Modi首相は、同国がインド洋の安定した海洋秩序の担保者としてフランスや米国を不可欠のパートナーとみなし、両国政府との関係強化は我々の海の平和と安全を一層向上するだろう、とのビジョンを公言した。このインドの動きは、インド洋には域外大国のプレゼンスを認めないとしてきた同国のこれまでのアプローチからの大転換であった。印仏両国は2018年3月、相互の軍事施設への互恵的アクセスを認める軍事協定に調印し、2020年2月、レユニオン島海域でのCORPATへのインド海軍参加が可能となった。同協定は、2016年、印米が調印した相互兵站覚書協定(Logistic Exchange Memorandum of Agreement)とほぼ同様の内容である。インド洋に対するインドの現実的な取り組みは、作戦上の機動性を強化し、インド近海でますます強化される中国の進出に備えるより多くの選択肢を創出するのに大きな役割を果たすだろう。
記事参照:What’s Behand the Rising India-France Maritime Activity in the Indo-Pacific?

3月27 日「米越関係、更なる進展へ―米海軍中佐論説」(The Diplomat.com, March 27, 2020)

 3月27日付のデジタル誌The Diplomatは、米海軍中佐で米シンクタンクThe Chicago Council on Global Affairs 連邦政府派遣上席研究員Matthew Daltonの“Beyond Port Visits, US-Vietnam Relations Can Go Further”と題する論説を寄稿し、米越関係の更なる進展が見込まれるとして、要旨以下のように述べている。なお、同論説は筆者Dalton中佐の個人的見解である。
(1) 米越関係は、ベトナム戦争における敵対関係から今日の相互協力に基づく包括的なパートナーシップ関係まで長い道のりを歩んできた。政治的、経済的要素が関係正常化に重要な役割を果たしてきたが、軍事も同様に大きな役割を果たしてきた。ベトナムが域内における増大する中国の影響力に対するヘッジを希求している今こそ、米越両国にとって、両国のパートナーシップを新たな地平に押し進める時である。
(2) 米空母Theodore Rooseveltは3月5日~9日の間、ダナン港に寄港した。米海軍艦艇のベトナム寄港は2003年以来続いているが、空母のベトナム寄港は2度目であった。米越両国は2009年以来、ベトナム海上警察と相互に交流、演習及び能力構築支援を含む、年次Naval Engagement Activities(以下、NEAと言う)を実施してきた。加えて、2013年には包括的パートナーシップ協定を締結し、2017年には相互協力の一層の強化を謳った共同声明を発出した。しかしながら、両国関係の進展を促進する余地は依然ある。完全な相互防衛同盟を目指すには現在の地政学的環境から見てあまりにも「遠い橋」だが、これまでの実績に更なる積み上げを目指すことで、米越関係を強力かつ永続的な戦略的パートナーシップに押し上げて行くであろう。
(3) ベトナムは歴史的に軍装備をロシアに頼ってきたが、このため、米越2国間の訓練演習においては装備の互換性が課題になっている。この問題に対処するために、米国はベトナムのMDA(海洋状況把握)を強め、国連海洋法条約の下における海洋の権利と自由を守る能力を強化するために、東南アジア海上保安構想(The Southeast Asia Maritime Security Initiative)を通じて同国に2,625万ドルを供与した。更に、米国務省は、2013年度から2018年度まで、対外軍事基金を通じて、ベトナムに5,600万ドルを供与し、ベトナムへの米沿岸警備隊巡視船1隻と高速哨戒艇(複数隻)の譲渡と修復に使用された。米国は、この種の2国間安全保障援助を拡大していくべきである。ベトナムがより一層西側仕様の船艇装備を充実していくための資材の提供は、NEAを強化し、互換性の問題を軽減して行くであろう。
(4) 米国は既にそうした方向に向かっている。NEAイベント数を増やすことに加えて、ベトナムは、2018年のRIMPAC演習に参加し、2020年にも参加予定である。一方で、米越両国は、南シナ海の係争海域における国際法に基づく正当な領有権主張を守るために、米越2国間による「航行の自由」作戦を実施すべきである。こうした活動の積み上げを通じて、米越両国はより永続的な戦略的パートナーシップを目指すべきである。そのための実現可能な措置の1つが、米国が2014年にフィリピンと間で締結した、防衛協力強化協定(以下、EDCAと言う)と同様の協定をベトナムとの間で締結することである。
(5) 米越関係の刷新を継続する上で、EDCA は有益な手段となる。米比EDCAの第1条は、この協定が互換性を改善し、短期的には能力を強化し、長期的には近代化を促進し、そして海洋安全保障、MDA及び人道支援・災害救助能力を維持し、発展させることを主眼としている。フィリピンは、EDCAの諸目標を達成するために、幾つかの国内拠点への米軍の展開を認めたが、主としてDuterte 大統領の反米姿勢の故に、これは難しくなった。2013年の米越包括的パートナーシップ協定を同様の文言で拡充すれば、強力な盟約となろう。ベトナムにとっては、今がチャンスと思われる。2019年夏の南シナ海のベトナムが占拠するバンガード堆(中国名「萬安灘」)周辺海域での数カ月に及ぶ中国との対峙は、最近数年間で最も緊張が激化した事案であった。最近のベトナムの国防白書は、「もし南シナ海における中国の威嚇行為が続くならば、越政府は米国との関係を一層緊密なものにせざるを得なくなろう」との、中国に対する明確なメッセージを含んでいた。
(6) こうした戦略が功を奏するためには、ホワイトハウスは現政権が明言することを躊躇しているこの種の防衛協定は南シナ海に適用されることを認める必要がある。もしホワイトハウスがその姿勢を変えることができれば、米国は中国の侵略的行動に対する抑止力となる米軍部隊のベトナムへの事前展開が期待できる。これが実現すれば、域内における米越2国間の「航行の自由」作戦の遂行も容易なものとなろう。こうした協定は、軍事的観点からだけでなく、経済的観点からも追求されるべきである。ベトナムの対中関係は複雑である。域内における中国の侵略的行動が強まっているにもかかわらず、ベトナムは依然として、中国との経済的絆の重要性を理解し、対中関係を混乱させることを躊躇してきた。したがって、米国は関係刷新のために拡充された貿易と経済的利益をベトナムにもたらすような協定を提示する必要がある。
(7) 故McCain上院議員は長年、米越関係改善の主導的な提唱者であった。彼は、ベトナム戦争時に捕虜となったが、中国の侵略に対抗し得る強いベトナムは米国の国家安全保障利益に適うと信じていた。米国との協力が有益であることを誇示することは、越政府内の反西側、反改革派が力を得ることを一層難しくする。故上院議員は、ベトナムとの関係改善が人権から政治的自由化に至る諸問題に関してハノイに圧力をかけるワシントンの能力を阻害することはないと信じていたし、実際、彼はしばしばそうしてきた。COVID-19に世界の関心が集まっているが、現在の環境が今日と明日の課題に戦略的に連携し、対抗していくための機会―米越関係刷新の機会を提示していることを見逃すべきではない。
記事参照:Beyond Port Visits, US-Vietnam Relations Can Go Further

3月27日「フィリピンは中級国家を目指しているのか―比国際問題専門家論説」(East Asia Forum, March 27, 2020)

 3月27日付の豪Crawford School of Public Policy at the Australian National Universityのデジタル出版物であるEast Asia Forumは、University of the PhilippinesのAsian Centerで中国研究・国際関係学教授を務めたAileen S P Bavieraの“Is the Philippines moving to active middle power diplomacy?” と題する論説を掲載し、ここでBavieraは、2月末にフィリピンが米国との訪問軍協定破棄を決定したことの背景や含意について要旨以下のように述べている。
(1) フィリピンは米国にとって初めての植民地であり、その独立後も長い間、米国との条約に基づく同盟国であり続けた。フィリピンはその間、米国の取り込みに対する国内世論の懸念などがありつつも概して米国の安全保障目標を支持してきた。
(2) 1990年代初頭にクラーク空軍基地とスービック海軍基地が比政府に返還された後も、フィリピンは米国にとって戦略的に重要な位置を占め続け、その結果1998年に訪問軍地位協定、2014年には防衛協力強化協定が締結された。この関係はフィリピンにとっても重要であり続けた。それは2017年、ISISに触発された過激派がマラウィを包囲したようなグローバルなテロ問題や2012年のスカボロー礁における対峙のような南シナ海での中国との対立のためである。
(3) そのため、今年2月11日、Duterte政権が訪問軍地位協定の破棄を通達したことは、驚きをもって迎えられた。その決定が時宜を得ないものだという批判は真っ当であろう。
(4) とはいえ、この決定がなされた背景がある。フィリピンの経済成長やムスリム分離主義運動の沈静化などの国内要因や、中国との関係改善や米中対立の激化、Trump政権への不信感などの国外要因を背景として、フィリピンはその防衛を米国に依存することからの脱却を望み始めたのである。
(5) 中国のアメとムチ、つまり経済的なインセンティブの供与と威圧的な外交の使い分けは、フィリピンだけでなく地域の国々に大きな影響を与えた。とりわけ前者は地域諸国の指導層にとって容易に見過ごせるものではなく、そのことが中国に対するヘッジ戦略を採用させている。また、中国の「グレーゾーン作戦」は、これまでの伝統的な安全保障の取り組みに重大な挑戦を突きつけている。それに対して米国が効果的に対処できなかったという厳しい現実もあった。それゆえに、アジアの多くの国は、地域的問題に中国が関与してくることを受け入れつつある。
(6) このような中でフィリピンには何ができるのか。東南アジアにおいて望ましいとされてきた秩序は排他的なものではなく包摂的なものであった。そこでは大国が影響力を行使し、他方小国の影響力はごく限られたものである。中級国家として位置づけられる国であれば、自国の行動の自由をある程度維持できる。こうしたことが、Duterteによる地位協定破棄の決定を説明するかもしれない。すなわち中級国家としての立場の確立である。
(7) ASEANのような多国間枠組みの制度において、中級国家の立場はきわめて重要であり、フィリピンはそれを目指しているのではないか。ただしDuterteによる、米国への依存方針からの脱却は賭けでもある。うまくいかなければ、残された選択肢は中国との同盟しかなくなるであろう。
記事参照:Is the Philippines moving to active middle power diplomacy?

3月27日「中国、南シナ海で『燃える氷』から861,400立法メートルの天然ガスを採取-香港紙報道」(South China Morning Post, 27 Mar, 2020)

 3月27日付の香港日刊英字紙South China Morning Post電子版は、中国が南シナ海においてガス・ハイドレイトから861,400立法メートルの天然ガスを採取したとして、要旨以下のように報じている。
(1) 3月16日の週に終了した1ヶ月に及ぶ実験の間に南シナ海で発見されたガス・ハイドレイトから861,4000立方メートルの天然ガスを採取したと中国は26日に発表した。2月17日から3月18日の間に実施された採取過程で2つの世界記録を打ち立てた。1つは期間全体の採取量として世界最大であり、今1つは日量287,000立法メートルの記録であると中国自然資源部はそのウエブサイトで述べている。天然ガスは、係争中の海域の北部、水深約1,225mの海域から採取された。
(2) 自然資源部は、最近の試掘の成功によって民間による採掘のための確かな技術基盤を打ち立てたとすることに加え、中国は水平方向の削井技術を使用してガス・ハイドレイトを採取した世界で最初の国になったと述べている。南シナ海での試験採取は世界で起こった石油、天然ガスの急激な値動きに合わせて始まった。中国はエネルギー安全保障を強化するためガス・ハイドレイトを含む代替燃料を見出すことに熱心であった。中国の経済日報紙は2017年に、燃える氷の中国の埋蔵量は石油換算で約1,000億トンであり、南シナ海に800億トンと報じていた。
(3) 自然資源保護協会高級能源顧問の楊富強は、「中国における天然ガスの消費量は他国に比べ低い。天然ガスへの要求は大きく、見込みは有望である。しかし、燃える氷の商業ベースでの開発がいつからと言うのは難しい」と述べている。中国政府は天然ガスについて年間エネルギー消費の10パーセントとする目標を設定しているが、推定では8.3パーセントであった。
(4) 四川省地質鉱産勘査開発局総工程師の范曉は、「石油やガスのような従来の燃料と比べ、燃える氷は商業ベースで普及するように採取するには依然経費がかかりすぎる。それは重要な資源ではある。しかし、持続的に経済ベースで採算が採れるように採掘するにはほど遠い。例えば採掘仮定で温室効果ガスの放出を増加するメタンガスが漏れるなどの環境への懸念もある。」と述べている。楊富強も同意して、「採掘と輸送の間にメタンは漏洩するだろう。漏洩が全体の5パーセントを超えれば、炭素削減への貢献を相殺してしまうだろう」と述べている。
記事参照:China extracts 861,400 cubic metres of natural gas from ‘flammable ice’ in South China Sea

3月29日「コロナ禍の中で高まる南シナ海での米中間の緊張―香港紙報道」(South China Morning Post, 29 Mar, 2020)

 3月29日、香港日刊英字紙South Chine Morning Post電子版は、“Beijing may step up drills in South China Sea amid rising tensions with US military, analysts say”と題する記事を掲載し、中国の空軍と海軍は、南シナ海での米国による「航行の自由」のためのパトロールを厳重に見張っており、軍事専門家たちはこの紛争海域をめぐる鍔迫り合いが激化すると予想しているとして要旨以下のように報じている。
(1) 中国と米国がコロナウイルスのパンデミックと戦う中、米国は現在、世界で最も多くの症例を持つ国として中国を追い抜いたが、中国軍は戦闘訓練を向上させるために南シナ海での訓練を強化することが予想されている。
(2) 解放軍報によると、最新のものは、3月10日に南シナ海に侵攻する外国の航空機や軍艦との遭遇戦を想定した空軍と海軍による共同演習だった。これらの訓練は、水上艦艇の支援を受けて、正体不明の外国の航空機の捜索、そして、中国の空域から敵の飛行機を追い払うこと、それには「中国艦艇に対する攻撃を阻止するため、ミサイルによって外国航空機を撃墜すること」さえも含んでいると解放軍報は報じている。これらの演習は、米第7艦隊の声明によると、米海軍ミサイル駆逐艦McCampbellが今年2回目の西沙諸島付近での「航行の自由」作戦を実施したのと同じ日に行われた。米国海軍が撮影した写真は、中国海軍の江凱II級フリゲートがパトロール中の米国軍艦を追跡するために派遣されたことを示しており、同フリゲートは米駆逐艦に対し、海域を出るよう警告したと米海軍は述べている。
(3) 北京を拠点とする軍事専門家の周晨鳴は、南シナ海での米国の「航行の自由」作戦の増加が、中国軍に戦闘訓練のためのより多くの機会を与えたと述べた。「これまでのところ、中国が南シナ海に展開したすべての兵器システムは防御的であった。しかし、この地域で増加する米海軍の実弾射撃の訓練は、中国軍が自身のより多くの訓練を実施するための動機になる」と周は述べた。両軍間の緊張はここ数ヶ月の間に増大している。2 月に、中国の駆逐艦がグアムの西方約610kmの国際海域において定期的な行動を行っていた米国のP-8A 哨戒機にレーザーを向けたと米海軍は述べている。中国は、米国が国際法に基づく「航行の自由」の権利を乱用したと主張した。東シナ海と南シナ海に近いフィリピン海では、米海軍のTheodore Roosevelt空母打撃群に率いられた米太平洋艦隊の艦艇が、ここ数週間の間に一連の演習を行ったと米第7艦隊はそのFacebookのページで語った。
(4) 習近平が2012 年後半に権力を握って以来、北京は、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ及び台湾のすべてが競合する領土主張を行っている、戦略的海域における紛争中の岩礁及び小さな島々のあちこちにある20数個以上の島の前哨基地だけでなく、8 つの人工島を構築するために数兆元を費やした。それが、中国本土から何百マイルも離れた場所にミサイル砲台、レーダーシステム及び航空機を配備することを可能にする。台北に拠点を置く軍事評論家である亓樂義は、中国と米国がこの地域における軍事的プレゼンスを拡大しようとしていると述べている。
記事参照:Beijing may step up drills in South China Sea amid rising tensions with US military, analysts say

3月30日「コロナウィルスが北極圏にもたらす影響―米シンクタンク研究員論説」(The National Interest, March 30, 2020)

 3月30日付の米隔月誌The National Interest電子版は、Center for the National Interestでプログラム担当助手を務めるAnya Gorodentsevの“How the Coronavirus Is Crippling U.S. National Security Efforts in the Arctic”と題する論説を掲載し、ここでGorodentsevは、直近のコロナウィルスの国際的感染拡大が北極圏の産業や安全保障に与えている、あるいは与えるであろう深刻な影響について要旨以下のように述べている。
(1) 21世紀に入って以降、地球温暖化の影響によって北極圏が地政学的、戦略的競合の場になった。海氷の融解が加速するとともに、その地域における天然資源や漁業資源、さらにはアジアとヨーロッパを結ぶ航路の利用が可能になった。しかしその北極圏は、いかなる境界線も越えて広がるパンデミックのインパクトに直面し、それがもたらす脅威に深刻なまでに晒されている。
(2) 北極評議会や国際連合などの国際機関が、たとえば科学調査などを通じて北極圏の多国間協調の促進を試みているが、安全保障のためのフォーラムなどはなく、全体としてそれぞれの国が自国の利益を優先させた行動をとっている。これはコロナウィルス後の世界で深刻な長期の意味合いを持っている。驚くべき早さでPutin大統領が北極における軍事力を構築しているなどのため北極圏は軍事的紛争の次の舞台となる可能性があるからである。
(3) ウィルスの蔓延は科学調査活動も遅らせている。それは、調査船内での感染拡大の懸念のためであり、実際、ドイツの調査船Polarsternは乗組員のひとりが陽性であることが判明した後、今年計画されていた北極圏の現地調査を延期した。ツーリズムへの影響も深刻である。カナダでは北極圏へのクルーズ船の航行は全面的に停止されたし、観光業の経済規模が相対的に大きいノルウェーへの経済的打撃は甚大である。また、原油価格の下落も、アラスカなど石油に依存している地域の経済に大打撃を与え、輸送コストの上昇や渡航制限などは、北極圏における漁業を停滞させている。軍事・安全保障面では、例えばノルウェーが北極圏での軍事演習を中止した。それは米国など8カ国の同盟国で実施される予定であった。
(4) より直接的な問題として、北極圏のコミュニティは医療上の脅威に直面している。これらの地域の人々は基本的なヘルスケアへのアクセスが困難で、感染爆発に対応可能ではない。歴史的に見てもこの地域は疫病の蔓延に対して脆弱であったが、それは距離ゆえに適切な医療支援の提供が困難なためである。3月23日現在、アイスランドとグレートブリテン島の間に位置するフェロー諸島ではコロナウィルス感染者は1日で2倍になったという。
記事参照:How the Coronavirus Is Crippling U.S. National Security Efforts in the Arctic

3月30日「コロナ感染拡大と気候変動はANZUSが病院船保有を検討する時が来たことを示している―欧州専門家論評」(The Strategist, 30 Mar 2020)

 3月30日付のAustralian Strategic Policy InstituteのウェブサイトThe Strategistは、オランダのLeiden University のInstitute of Security and Global Affairs助教授Vanessa Newbyの “Pandemics and climate change mean it’s time to consider ANZUS hospital ships”と題する論説を掲載し、ここでNewbyはコロナ感染拡大と気候変動から見て、ANZUSが病院船を保有すべきであるとして要旨以下のとおり述べている。
(1) 最近の森林火災と現在進行中のコロナウイルスの感染拡大はオーストラリアに人道支援/災害救援活動(以下、HADRと言う)を評価する機会を与えてくれた。2020年の激動のスタートは2つの重要な教訓を示している。それは、オーストラリアとANZUS条約加盟国(米国とニュージーランド)はより緊密に連携する必要があることと、非伝統的安全保障上の脅威がオーストラリアの軍事戦略、特にその海軍戦略により深く組み込まれなければならないことである。ANZUSは加盟国の共通の文化と言語から大きな利益を得ている。ANZUSは、アジア太平洋地域でのHADRに関する優れた協力体制に適しているように思われる。しかし、米軍と豪軍の間の協力の程度を調査したところ、HADRに関する戦略的な調整が欠けていることがわかった。
(2) ANZUSをHADRの基盤として使用できないことは、後方支援の観点からは謎のままである。軍の関係する大規模なHADRにおける協力の必要性は、加盟国のメディア、政府、学者の関心となっていない。3つの国において軍がHADRに参加することの優先度が増加しているにもかかわらず、オーストラリアとニュージーランドにおける反応が消極的であったため、HADRに関する協力が真剣に検討されなかったのかもしれない。また、本部を維持し、地域の安全保障を提供する役割について幅広い概念を持っているNATOとは異なり、ANZUSは主に限定戦争のために作られたと見なされている。ANZUSの相互運用性はオーストラリアの最近の森林火災との闘いにおける協力において明白であった。消火活動に使用された火災現場指揮システムは同盟国すべてで標準化されている。オーストラリアの軍関係者の間では、HADRを軍の戦略の一部と見なすようになっている。オーストラリアは太平洋パートナーシップに参加している。これには2006年の設立以来、さまざまな政府及び非政府の人道組織と米太平洋艦隊からの部隊の派遣が含まれている。
(3) オーストラリアは当初、テロとの戦いを実施する一環として豪国防軍のHADRの増加を明確にした。 2013年の防衛白書にはオーストラリアの水陸両用能力の明記された目的の中にHADRが含まれていた。2016年の防衛白書では地域関係の記述の中でHADRの重要性が強調された。2012年に豪国防軍はHADR任務専用のOcean Shieldという船舶を保有し、2014年と2015年にHADR任務も実施できるCanberra級多目的水陸両用艦2隻を取得した。自然災害は、現地で対応する者の能力を圧倒する可能性がある。過去の災害から学んだ教訓は強力な指揮管制及び通信の必要性である。アジア太平洋地域ではHADRのための病院船の使用を綿密に検討する必要がある。2004年と2005年(編集注:原文まま)にインドネシアと日本で津波が発生したとき、米海軍の病院船Mercy 、Comfortは医療援助と救済の不可欠な淵源であった。Australian Strategic Policy InstituteのMichael Shoebridgeが指摘しているとおり、ホテルやクルーズ船は病院の応急的な代替となりうる可能性はあるが、対処能力と持続性の観点から病院船の方が医療チームと医療品を十分に備えており、より安全な隔離を提供できるのである。
(4) 航空輸送は医療サービスを提供する最も速い手段かもしれないが、地震直後など着陸地点が危険にさらされている場合はそうではない。一方、病院船は物資や設備を提供できる。危機ではない期間では病院船は医療施設が限られている地域を巡航し、予防接種や眼科や歯科検診などの緊急でない治療を支援できる。オーストラリアとアジア太平洋に医療サービスを提供できる病院船の数の全般的な増加は歓迎すべきことであろう。オーストラリアは、この地域で最も大きく最も裕福な国の1つとして、自国の軍事力、特に海軍力を国内及び国際的な危機の両方を支援するためにどのように位置づけるべきか検討しなければならない。
記事参照: Pandemics and climate change mean it’s time to consider ANZUS hospital ships

3月30日「仏海軍、コロナウイルス対応に全強襲揚陸艦3隻を投入-米誌報道」(The National Interest, March 30, 2020)

 3月30日付の米隔月刊誌The National Interest電子版は、“Pandemic Surge! The French Navy Deploys All Three Assault Ships”と題する記事を掲載し、コロナウイルスの世界的感染拡大に対応するため全強襲揚陸艦3隻を投入したとして、要旨以下のように報じている。
(1) 仏海軍はコロナウイルスの世界的感染爆発に対応するため、Mistral級強襲揚陸艦3隻を動員し、欧州、アジア、アメリカ全域に展開した。3月25日の動員は、同級「トネール」がコロナウイルス感染患者をコルシカから仏本土の病院へ移送するために派遣された丁度5日後であった。仏軍の「回復する力」作戦(Operation Resilience)の一部として実施されるMistral級強襲艦の派遣は、世界的感染爆発への対応のためより大型艦を派出する海軍の最も組織的な努力の1つであることを示している。マクロン大統領は「回復する力」作戦を「保健衛生、後方支援、感染防護の分野で公共サービスと仏市民への支援に専念する前例のない軍事作戦」と位置づけている。Mistralはインド洋に仏領レユニオンを支援する予定であり、Dixmudeは地中海にあったが、フランスのカリブ海の領域に向け西航した。排水量21,500トンのMistral級強襲揚陸艦は60,000トンの米病院船と比べれば医療能力は劣っている。しかし、他の艦艇に比べれば優れた医療能力を有している。同級には2つの手術室、レントゲン室、歯科治療室、スキャナー、病室が20室、69床であり、これには7つの集中治療室が含まれる。さらに、格納甲板には臨時のベッド50床が設置可能である。Tonnerreはコルシカ島での任務の際、乗組員自身を感染から防護するため隔離装置を装備したと報じられている。もっとも仏強襲揚陸艦がコロナウイルスの患者に何ができるかは正確には明らかではない。
(2) 米海軍が保有する33隻の水陸両用戦艦艇、特に10隻のWasp級およびAmerica級強襲揚陸艦は、世界的感染拡大に対応する役割を果たすだろう。Wasp級およびamerica級は同時に600名の患者の処置が可能である。しかし、現時点では米国の水陸両用戦艦艇は世界的感染拡大を改善せず、悪化させている。米海軍での最初のコロナウイルス患者はWasp級強襲揚陸艦Boxerから出ている。
(3) 英国はこの点に関し、軍医療チームを陸上に派遣するというより効率的な手法を決定した。コロナウイルスは英国を荒廃させ続けているので、英海軍はロンドンの病院強化のために傷病兵収容艦Argusを派遣していない。英軍はロンドンのExCel会議センターを臨時の病院にすることに注力している。英軍はこの施設をNational Health Service Nightingaleと呼んでいる。
記事参照:Pandemic Surge! The French Navy Deploys All Three Assault Ships

3月31日「コロナウイルス、いたる所で海軍艦艇を飲み込むー米誌報道」(The National Interest, March 31, 2020)

 3月31日付の米隔月誌The National Interestは、“Coronavirus Is Taking Down Warships Everywhere”と題する記事を掲載し、コロナウイルスの感染により各国海軍の艦艇にも影響が出ているとして要旨以下のように報じている。
(1) 人々が一塊になり、しばしば家から遠く離れている。艦船はウイルス性疾病の集団発生の完全な温床である。当然のことながら、世界中の艦艇の乗組員はコロナウイルスのパンデミックの犠牲となる。
(2) ロ海軍は、北海艦隊のOscar級巡航ミサイル搭載原子力潜水艦Eagleの全乗組員を隔離したとロニュースサイトB-Portが2020年3月26日に報じた。同潜水艦の定員は112名である。「隔離の理由は出張で乗艦してきた民間の専門家と接触したことである。おそらく、彼は以前にコロナウイルスの感染が確認されていた人と同じ艦に乗っていた」とB-Portは説明する。B-Portは「付近に」停泊する潜水艦、修理中の艦艇の乗組員も隔離されたと報じている。
(3) 3月30日にはオランダ潜水艦の乗組員8名がコロナウイルスで発症し、当該潜水艦に基地へ帰投するよう命じざるを得なかった。
ウイルスは、不釣り合いな程に全ての艦船に影響を及ぼす。海軍艦艇だけではない。クルーズ船は特に初期の温床であった。クルーズ船はかなりの人数を1個所に閉じ込める完全な手法である。クルーズ船内における人の動きの密度は信じられないほどに高い。加えて近くに病院がないことが乗客の診断と治療を困難にしている。食器などの媒介物や室内で同じ空気を呼吸することを通じてダイニング・ルームではウイルスの拡散が促進される」とWorcester Polytechnic Instituteの「生命情報工学」の専門家Dmitry Korkinは述べている。
(4) 一部の米海軍艦艇でもコロナウイルスに罹患している。空母Theodore Roosevelt がおそらく最も厳しい状況にある。対応に当たっている艦長Brett Crozier大佐は救援を求めた上司宛の手紙において命令に従うことを明らかにした上で、「Theodore Roosevelt は求められれば、乗り組み指定された全乗員を乗艦させ、出航し、あえて米国とその同盟国に挑戦するいかなる敵対者とも戦い、これを撃破する準備ができている。確かに、ウイルスは影響がある。しかし、戦闘においては平時には受容できないリスクを受け止める覚悟である。しかし、我々は戦時ではない。したがって不必要なパンデミックの結果として乗組員の1名たりとも失うわけにはいかない。決定的な行動が今求められている」と述べている。海軍長官代行Thomas Modlyは、海軍はこの問題に対応してきていると主張し、「我々の指揮機構はこれを常に把握し、空母乗組員を退艦させグアムの施設に移すために過去7日間、作業し続けてきた。問題はグアムに十分なベッドがないことであり、ホテルの空き部屋を確保できるか、テント型の施設を建設できるかについてグアム政庁と討議を続けなければならない」と述べている
記事参照:Coronavirus Is Taking Down Warships Everywhere

3月31日「史上最大の熱波が南極で観測された―アフガニスタンジャーナリスト論説」(dpa-international, Mar. 31. 2020)

 3月31日付の独通信社ニュースサイトdpa-internationalは、アフガニスタンのカブールを拠点とするジャーナリストSubel Bhandarの“First heatwave recorded in Antarctica, scientists say”と題する論説を掲載し、ここでBhandarは史上最大の熱波が南極を襲い、今後巨大な気候変動が起こるかもしれないとして要旨以下のように述べている。
(1) 豪州の南極計画の科学者は、2019年から2020年の南半球の夏に、南極東部のCasey research station で観測された記録的な熱波について報告した。南極半島でも記録的な高温が報告された。2020年1月23日から26日の間、Casey research station において南極での観測史上の最も高い最高気温と最低気温が記録された。熱波は3日間続き、その期間中、最低気温は摂氏0度を超え、最高気温は摂氏7.5度を超えた。2020年1月24日、摂氏9.2度の気温がCasey research station で記録され、それは例年の平均最高気温より6.9度高く、これまでに観測された最高気温であった。2020年1月25日の朝には、摂氏2.5度という最も高い最低気温を記録した。2020年2月の南極半島の研究基地でも気温の記録が破られ、1か月の毎日の平均気温は例年の平均を2.0度から2.4度超えている。調査結果は2020年3月31日に雑誌the Global Change Biologyで発表され、University of Wollongong、University of Tasmania、豪政府のAustralian Antarctic Divisionの研究者たちが記事を寄稿した。彼らは、過去の南極の異常に暑い夏の経験から「今後数年間で巨大な生物学的影響が報告されると考えられる。気候変動が地球の最も遠い地域でさえどれほど大きな影響を与えているかを示すだろう」と述べた。
(2) 研究者たちは豪ニュースサイトThe Conversationへの共同執筆記事で、南極大陸は気候変動から生じると予測される極端な事象について「免疫がない」と述べた。「世界は新型コロナウイルスの感染に注目しているが、地球温暖化は続いている。南極は海によって他の大陸から隔離されているが世界的な影響はある。それは地球の周りの海洋の熱を伝達する深海循環のシステムである地球規模の海洋のコンベヤーベルトが動いているためである。南極の融けた氷床が地球規模の海面上昇を増加させるだろう。」とも述べた。Australian Antarctic Division主任で、報告の共著者であるDana Bergstromは、「暑い夏は長期的な混乱を招く可能性が高く、これは地元住民、共同体及び生態系にとってプラスにもマイナスにもなり得る。ほとんどの生物は南極大陸の氷のない小さなオアシスに存在し、雪と氷を溶かして水を供給することに大きく依存している。氷が融けた水の洪水がこれらの生態系に追加の水を提供し、苔、微生物、無脊椎動物などの一部の生物の成長と繁殖につながる一方で、過剰な洪水は植物を除去し、無脊椎動物と微生物の群集の構成を変える可能性がある」と述べている。
(3) Bergstromは「氷が早く完全に溶けると、残りの季節は干ばつになる。また、高い温度は寒い南極の条件に適応した一部の植物や動物に熱のトレスを引き起こす可能性がある」とも述べた。2020年2月、熱波が大陸の氷冠と積雪を溶かしたとき、南極で史上最も暑い日が観測された。南極大陸北部のアルゼンチンの研究基地であるエスペランサ基地の気温は2020年2月6日、摂氏18.3度であった。NASAは、これは温暖な気候で知られるロサンゼルス市の気温と同じであると述べた。
記事参照: First heatwave recorded in Antarctica, scientists say

3月31日「中国人民解放軍海軍近代化が米海軍に意味するもの-米フリー著述家論説」(The National Interest, March 31, 2020)

 3月31日付の米隔月誌The National Interest電子版は、米フリー著述家Peter Suciuの“Explainer: What China’s Naval Modernization Mean for the U.S. Navy”と題する論説を掲載し、ここでSuciuは米海軍は近代化する中国海軍に対抗するための努力をしているが、将来は更なる脅威に立ち向かわなければならなくなるとして要旨以下のように述べている。
(1) 昨秋、合併によって誕生した国営中国船舶集団は310,000名の従業員を擁し、137の科学研究所や企業を傘下に持つ総資産7,900億元(1,124億1,000万ドル)の世界最大の造船会社となった。これについて米国防総省は、中国が造船技術とそれに関連する航空機開発を加速し"blue water navy"を目指すとの懸念を抱いている。最新の米議会調査局の報告書「中国海軍近代化:米海軍能力への影響、背景と課題」(China Naval Modernization: Implications for U.S. Navy Capabilities – Background and Issues for Congress)には、中国による対艦弾道ミサイル、対艦巡航ミサイル、潜水艦、水上艦、航空機、無人機、指揮統制・通信・偵察システム等の開発への取り組みが示されている。しかし、これは決して新しい取り組みではない。中国は1990年代半ばから25年に亘り着実に海軍を近代化し、近海域で発揮できる高い能力を構築してきた。中国は、沿岸から近海へ、作戦域を拡大し、今、遠海への作戦能力の獲得に乗り出している。
(2) 人民解放軍海軍は1989年から兵器技術の向上に努めてきており、時代遅れの駆逐艦などからなる部隊を刷新し、今は、空母1隻、水陸両用戦艦艇3隻、駆逐艦25隻、フリゲート艦42隻、攻撃型原子力潜水艦8隻、通常型潜水艦約50隻を保有する部隊へと発展している。中国海軍近代化への取り組みは正面装備取得に留まらず、ドクトリン、保守整備、兵員の教育訓練、演習の面でも改善されてきている。軍拡競争というものではないが、米中は21世紀の大国間競争の最中にある。元米太平洋艦隊情報部のJames Fanell退役大佐は、「今後30年間、米国の国家安全保障に関わる指導者にとっての最大の課題は、中国による世界的な海軍力配備のスピードと持続性に如何に対抗するかである」と述べている。米海軍は、中国による海軍近代化への取り組みに対抗するために、兵力の太平洋方面へのシフトを図り、最新の艦艇・航空機と有能な人員を地域に増派しプレゼンスの維持に努めている。米海兵隊もまた、太平洋を横断して力を投入し得るより軽量で迅速に行動できるための部隊変革に取り組み始めた。しかし、海軍力拡張を目指しているのは中国だけではない。ロシアもまた海軍力を近代化させている。将来、米海軍は更なる脅威に向き合うことになるだろう。
記事参照:Explainer: What China’s Naval Modernization Mean for the U.S. Navy

【補遺】

(1) As US-Russian arms control faces expiration, sides face tough choices
https://www.brookings.edu/blog/order-from-chaos/2020/03/23/as-us-russian-arms-control-faces-expiration-sides-face-tough-choices/
Brookings, March 23, 2020
By Steven Pifer, a nonresident senior fellow in the Arms Control and Non-Proliferation Initiative, Center for 21st Century Security and Intelligence, and the Center on the United States and Europe at the Brookings Institution
3月23日、米シンクタンクThe Brookings Instituteの非常勤上級研究員Steven Piferは、同シンクタンクのウエブサイトに、" As US-Russian arms control faces expiration, sides face tough choices "と題する論説を発表した。ここでPiferはトランプ政権が提案した米中ロ3カ国の軍備管理交渉は、モスクワと北京ではほとんど進展しておらず、伝統的な核兵器管理の時代は終わりつつあるかもしれないという思いを想起させるが、これは軍備管理それ自体が終わるべきというものではなく、依然として軍備管理は、抑止力と防衛力の適切な組み合わせと適切なドクトリンとともに、米国および同盟国の安全保障を強化し安定を促進する手段を提供するだろうと主張している。ただしPiferは、そのためには核兵器だけでなく、ミサイル防衛や通常攻撃システムなど、さまざまな課題を克服する必要があるが、政策決定者はいくつかの難しい選択に直面するだろうとも述べている。
 
(2) China, America, and the International Order after the Pandemic
https://warontherocks.com/2020/03/china-america-and-the-international-order-after-the-pandemic/
War on the Rocks.com, March 24, 2020
Dr. Mira Rapp-Hooper, Schwarzman Senior Fellow for Asia Studies at the Council on Foreign Relations
3月24日、米シンクタンクCouncil on Foreign Relationsにおけるアジア研究のSchwarzman Senior FellowであるMira Rapp-Hooperは、米University of Texasのデジタル出版物であるWar on the Rockに、“China, America, and the International Order after the Pandemic”と題する論説を寄稿した。ここでHooperは、①COVID-19は国際政治を再編成する可能性があり、結果として中国が以前よりも世界的なリーダーとして台頭する可能性があるが、それには米国が少なからず関わっている、②Donald Ttrumpの当選により、米国は自ら政治的激動を招き、北京の機会の窓を拡大した、③米国は同盟国が味方についていれば他の追随を許さない地位にあるが、狭量な一国主義は米国の衰退という認識を煽り、そうでなければ米国にとって有利な勢力の均衡を弱めている、④米国政府のCOVID-19感染爆発に対する指揮はそれ自身が大失敗であるという汚名であり、これは、「米国第一主義」による、米国民の安全を守るための国際機関、同盟及び組織的な協力の役割を否定する世界的な取り組みからの脱落の影響である、⑤パンデミックは、政権の種類にかかわらず、良い統治の根本的な重要性を明らかにしているが米国はそれを念頭に置いて次の脅威に備え、中国を含む非民主主義国と協力して、良好な国際統治を推進していくべきである、⑥同盟国との連携を今後の戦略の基礎とすべきであり、米国が国際協力を通じて国内の安全保障と繁栄を求める戦略に戻ることができれば次の危機を防ぐための新たな秩序構築に貢献できる、といった主張を行っている。
 
(3) China, Russia, and Arctic Geopolitics
https://thediplomat.com/2020/03/china-russia-and-arctic-geopolitics/
The Diplomat, March 29, 2020
By Ling Guo, a Senior Intelligence Analyst at Booz Allen Hamilton
Dr. Steven Lloyd Wilson, an assistant professor of political science at the University of Nevada
3月29日、米コンサルティング企業Booz Allen HamiltonのシニアアナリストであるLing GuoとUniversity of Nevada准教授Steven Lloyd Wilsonはデジタル誌The Diplomatに“China, Russia, and Arctic Geopolitics ”と題する論説を発表した。ここで両名は、2月下旬、ロシアの砕氷船 Kapitan Dranitsyn が、米国、中国、ロシアなど20か国から構成される MOSAiC(北極気候の研究を目的とする学際的漂流観察)国際調査船団への歴史的な貢献に成功したことを取り上げ、世界最大の砕氷船保有国としてロシアの砕氷船事業の独占はほぼ揺るぎないものとなっていると指摘し、しかし、2020年4月に初の航海から帰国する予定の中国の新しい砕氷船 「雪龍2号」 も、海洋進出を支援する予定であり、北極ではロシアが長い間支配的な地位にあったが中国をはじめとする他の国々のプレゼンスと影響力の拡大は、米国を必ずしも含まないパターンでの北極の安全保障環境の変化が近いことを示唆していると主張している。