海洋安全保障情報旬報 2019年6月21日-6月30日

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6月21日「印海軍、オマーン湾地域へ艦艇派遣-印海軍記者発表」(Press Release, Indian Navy, June 21, 2019)

 印海軍は、オマーン湾でのタンカー攻撃事案を受け、艦艇2隻をオマーン湾、ペルシャ湾に派遣したとして、以下のように記者発表した。
(1)印海軍は、湾岸地域での海洋安全保障に関わる事件を受け、ペルシャ湾及びオマーン湾で行動あるいは航過する印船籍船の安全確保のためオマーン湾に展開した。印海軍艦艇は、海洋安全保障作戦実施のためにオマーン湾とペルシャ湾に派遣された。印海軍航空機による地域の航空哨戒も実施されている。2018年12月に印海軍がグルグラム(デリーの衛星都市)に開設したインド洋地域情報合同センター(The Information Fusion Centre - Indian Ocean Region)も湾岸地域での船舶の動きを注視している。
(2)状況の全体的な再検討の後、海運総局は6月13日及び16日にホルムズ海峡及びペルシャ/アラビア湾岸地域で行動する全ての印船籍船に対して適切な防護措置を執るよう勧告を発出した。
(3)印海軍は、インドの海上交易と地域を航行する商船安全を確実にし、インド洋地域の安定と平和に貢献することへコミットメントを維持する。
記事参照:Indian Navy Executes Op Sankalp

6月21日「船団を組むべき時:米海軍はイランとの戦争準備はできているか-米海大教授論説」(The National Interest, June 21, 2019)

 6月21日付の米隔月誌The National Interest電子版は、James Holmes米海大教授の“Convoy Time: Is the U.S. Navy Even Ready for a War with Iran?”と題する論説を掲載し、ここで Holmesは、昨今の湾岸におけるタンカー攻撃事案に関連し、船団護衛、それも多国籍の枠組みによる船団護衛を提唱している。Holmesは海洋の特性、海運業界、海軍双方が船団を忌避する背景を指摘した上で、多国籍の枠組みによる船団護衛により国際社会の結束をイランに示してこそ戦争を抑止することになるとして要旨以下のように述べている。
(1)船団は、攻撃者から商船を守る戦略としては最悪である。船団任務の理論は単純である。イラン革命防衛隊海軍やイランに支援された民兵のような非正規の海上部隊を撃破するには、商船隊の護衛部隊は攻撃が行われそうな現場海域で優越した火力が必要である。敵対者に対し火力で勝れば、いかなる交戦においても勝利するか攻撃を抑止するだろう。船舶の防護が重要な場所、場合において、護衛部隊は強力でなければならない。それは正しいが、実行に移すのは困難である。海はとてつもなく広く、戦場となりそうな海域はいくらでもある。強大な海軍でさえ海域警備に充当し得る艦艇群は限られた隻数であり、その艦艇群は他の多くの競合する任務と戦域を担任しなければならない。したがって広大な海のほとんどは悪者達から守られないままとなるだろう。これが海軍戦略の本質である。
(2)今日、物理的な空間の問題に対する回避策はある。海軍は、民兵、テロリスト、海賊の基地の狩り場にその努力を指向することができる。狩り場はある程度予測可能であるが、公海上では船舶は多くの航路からある1つを選択するので捕捉は困難である。歴史学者Julian Corbettはもし敵艦船を捕捉し、追尾し、目標として狙いを定めようとすると、最良の占位位置は出港地または目的港の沖合、あるいは目標が出港地から目的地に到達するために通らなければならない海峡や狭い航路のような収束点の近傍であると述べている。攻撃しようとする側はそのことをよく知っており、海図上に記した待敵場所に潜む傾向にある。したがって、そこは商船隊を守ろうとする側にとっても哨戒する格好の海域となる。しかし、賢明に検討された艦隊の配備であっても地理的なカバーの問題については一時しのぎの手段でしかない。インド洋の入江とはいえ、アデン湾は広大である。海賊対処作戦の計画者は海域に航行帯を設定し、共同部隊が哨戒する面積を縮小した。これは効果があったが十分ではなかった。このため、1980年代後半にあった「タンカー戦争」において米海軍が実施したのと同様の船団方式を導入する要因があるようである。
(3)船団の概念は単純である。商船は指定された場所に指定された時間に集合し、護衛艦艇と合同し、護衛部隊とともに危険海域を航行する。この配備は、敵に優勢な火力の射程圏内に入るか、略奪の目的を放棄するかを強制する。どちらの方法であれ、安全な航海の見通しは改善される。船団の論理がそれほど文句の付けようがないものであるなら、商船乗組員は何故に船団を軽蔑し、拒絶するのか?海運会社と海軍の両利益関係者の視点から見てみよう。船主は、遅延、非効率、余分な経費を招く船団をひどく嫌っている。商船乗組員は陣形を維持して航行することにも、水上、水中、空から攻撃を回避することにも慣れていない。商船乗りにとって船団は不愉快な最後の拠り所である。同様に外洋海軍も船団戦略と激しく対立する関係にある。大規模な通商は、海洋戦略の主眼点であり、海軍は商業海上交通の主たる守護神である。シェパードとして行動することは、だらだらと長く退屈であり、魅力がなく、取り組む姿勢はおおむね消極的である。軍事組織は、高度な戦闘のような魅力のある任務から外れる役目を普段から嫌う傾向にある。
(4)ペルシャ湾で起こるかもしれない戦争に関する結論は次のとおりである。
a. 第1に、練度の高い護衛部隊は政治あるいは軍のトップがそう命じたからといって一朝一夕でそうなるわけではない。米海軍がイランの海岸線沖を航行、あるいはホルムズ海峡を航過する船団を守る必要があるのであれば、海運に対する脅威が非常に差し迫った後ではなく、その前に古くて新しい任務に対し装備を調え、訓練しておかなければならない。これは瞬時に再生できる月並みな機能ではない。
b. 第2に、船団護衛は多国籍間の事業である、あるいはでなければならない。ペルシャ湾の海上交通路を使用する全てのもの、例えば中国は同交通路がイラン革命防衛隊海軍やその共謀者から守られていることの受益者である。世界の首都が海洋安全保障の利害関係を持っているのであれば、彼らは海洋安全保障を強化するために部隊を提供すべきである。幸いなことに常設の33ヶ国から成る統合任務部隊がすでにこの地域に存在し、多国間での警察活動を促進している。米国は以前から参加国間で、そして印海軍のような有力な外部勢力と調整し、この共同部隊を利用しなければならない。印海軍は最近、印船舶を守るためペルシャ湾とオマーン湾に艦艇を派遣すると発表した。つまり、米国とイランの一対一の対決と思い切るより、イスラム共和国と世界との対決にすべきである。海洋における国際的な結束を示すことは、単に数の問題だけではなく掃海のような特定分野を含む米海軍の船団護衛能力のギャップを埋めるだろう。同じように重要なことは、国際的な一致団結を示すことはテヘランにこの戦争に勝利することはできず、始めない方が良いと肝に銘じさせるだろう。もし船団が湾岸での戦争を抑止すれば、船団を組むことは魅力的な任務に数えられるだろう。
記事参照:Convoy Time: Is the U.S. Navy Even Ready for a War with Iran?

6月23日「オーストラリアのソロモン諸島に対する外交姿勢―香港紙報道」(South China Morning Post, 23 Jun, 2019)

 6月23日付の香港日刊英字紙South China Morning Post電子版は、“Why the tiny Solomon Islands matter-to East and West”と題する報道記事を掲載し、米中の南太平洋における影響力争いに揺れるソロモン諸島に対するオーストラリアの外交政策について、要旨以下のように報じている。
(1)最近の総選挙に勝利した後のオーストラリアのScott Morrison首相の最初の海外訪問先は、米国でも中国でもなく、南西太平洋のソロモン諸島だった。しかし、当該訪問はこの地域における影響力をめぐる米中の争いにも大きく関係している。この小国を際立たせているのは、それが中国ではなく台湾を国家として承認している世界17ヵ国中、太平洋地域における6ヵ国の中の1国であるということである。
(2)米国はオーストラリアが大きな援助国として、どの国も北京に寝返ることのないよう、この地域での影響力を行使してほしいと考えている。中国は、ソロモン諸島の政治家たちに、補助金及び援助の申し入れによって、太平洋の隣国のように、台北との関係を放棄し、一帯一路構想に参加するよう求めている。これに関し、ソロモン諸島の政治家たちの間の意見は割れている。そしてManasseh Sogavare首相の政権は、ワシントンと北京の影響力をめぐる争いの真ん中にそれを置き、政策転換の可能性を除外していない。
(3)Sogavare首相との会談後の質疑応答に際しMorrison首相は、台湾との友好関係を中国が引き抜こうとすることで太平洋地域を不安定にしていると米国が非難していることを嫌々ながら認めた。しかしMorrison首相はソロモン諸島に圧力をかけないとも明言した。確かにMorrison首相は、インド太平洋諸国は自国の見解と判断を重視する必要があると述べ、米中間の対立から独立した太平洋諸国の立場を主張した。これは中国の影響力増大という現実を反映して2大国との関係のバランスをとるオーストラリアの必要性に基づくものなのである。Sogavare首相も貧困にあえぐ国家への投資が活気づくと主張する政治家たちから台湾との関係を再考するよう圧力をかけられていることを認めている。太平洋諸国はオーストラリアにとって「戦略的な警戒の最前線」であるとともに、オーストラリアの対外援助の3分の1以上の受領国であり、Morrison首相による象徴的な訪問は、より広い意味をもっているのである。
(4)6つの主要な島々と何百もの小さな島々からなる国において、豪国内では気候変動とエネルギー政策の間で対立のある石炭輸出について疑念が提起されていると現地の人々は言う。事実、一部の島は文字通り地図から消え去ってしまっている。健康や若者の失業など開発に関わる問題は依然として重要である。しかし、結局のところ、気候科学が正しいのであれば、西側からであれ、東側からであれソロモン諸島の援助で最も必要としてされているものは、地球温暖化に起因する海面上昇の脅威に地域全体が直面することかもしれない。
記事参照:Why the tiny Solomon Islands matter-to East and West

6月25日「もはや軋轢があるとは言えないインド太平洋地域における豪印関係-豪専門家論説」(The Strategist, 25 Jun 2019)

 6月25日付のAustralian Strategic Policy InstituteのウェブサイトThe Strategistは、ASPI’s defence and strategy program調査員であるAakriti Bachhawatの“No longer in a cleft stick: India and Australia in the Indo-Pacific”と題する論説を掲載し、ここでBachhawatは「自由で開かれたインド太平洋構想」において当初懸念されていた豪印関係の軋轢は既に解消されているとして要旨以下のように述べている。
(1)インドは近年、戦略的思考から中国への潜在的な経済的、政治的なカウンターウェイトとしてオーストラリアに注目している。オーストラリアのインド太平洋地域に対する視点は、「ルールベースの国際秩序」に対する中国の建設的役割を想定しているという点で依然として包括的なものであるが、過去5年間の北京の行動は必ずしもキャンベラの想定には合致しなかった。5年前、筆者は本誌The Strategistにおいて、Melissa Conley Tylerとともに、オーストラリアはインド太平洋概念に向けた重要な選択に直面していると指摘した。米印両国による中国の排除を目的としたより排他的な見解の下、インドが同構想再構築の中心に居たことを考慮すれば、これはオーストラリアの政策立案者にとって潜在的難題であり、「インド太平洋構想」への持続的な関与の能否を決定づける焦点と思われた。そして5年後の今日、この構想に対するオーストラリアとインドの認識は概ね一致しているようである。
 (2)こうしたオーストラリアの態度の変化は3つの相互に関連した要因により生じている。第一には南シナ海における中国の攻撃的態度とグレーゾーンにおける強制力使用の可能性の増大、第二にはオーストラリアの内政に干渉しようとする中国の試み、そして第三には南太平洋島嶼国の港湾施設に対する「債務の罠」のような「一帯一路」構想を通じた経済進出への恐れということである。こうした中国の行動は米中関係を悪化させており、そのことがオーストラリアにも大きな影響を及ぼしている。そしてその結果、民主主義国として多くの価値観を共有するインドがオーストラリアの主要な戦略的パートナーとして注目されつつあるということである。オーストラリアはこの2年間、政治的、外交的、そして軍事的には前奏曲的に、インドとの関係強化を図ってきた。
(3)2017年以来、豪印両国は年2回の外交防衛当局間2プラス 2次官級協議を開催しているほか、インドに対するオーストラリアの輸出額が過去5年間で110億ドルから220億ドルへと倍増するなど経済的にも結び付きを強めている。昨年、インドはオーストラリア主催の多国間防空演習であるPitch Blackに初めて参加した。オーストラリアはまた、米印協定と同様の物流支援協定締結を提案している。一方、インド側にも対外関係省へのインド太平洋部の創設など、地政学的観点からの関係強化を目指す動きが見られるところである。
 (4)インドのオーストラリアに対する認識は筆者が「影の複合体」と呼んでいるものの影響を受けてきた。冷戦期以来、ニューデリーはキャンベラをアメリカの「影」と見なしてきたが、一方では冷戦後、特にこの10年間に関して言えば、インドはオーストラリアが中国にあまりにも近く、強力なパートナーになることはできないと考えてきた。2008年のインドと米国との核合意以来、米印の関係が深化しているという文脈で、オーストラリアの米国に対する親和性が中国に対する経済的な依存と同じレベルでオーストラリアに対するインドの信頼感を形成することにはならないということである。実際、オーストラリアの中国との関係が、Kevin Rudd首相による2008年の最初の日米豪印4ケ国枠組み(Quad)からの撤退の理由と考えられていた。インドは今後、おそらくはHuaweiの5G展開禁止など、いくつかの厳しい決断をオーストラリアに求めるであろうし、そうした経済的及び戦略的な優先事項のバランスをとる革新的なアプローチが、より多くの選択肢を提供することになると考えているのであろう。
 (5) Donald Trump米大統領による「取引」外交の追求と、習近平国家主席による修正主義的な中国の行動による「ルールベースの国際秩序」の限界の検証は、中堅以上の国家にとって選択の余地をほとんど残していない。そのような中で豪印両国は共通する利益と目的を見出したということでもある。豪印関係はQuadの最も脆弱な部分としばしば指摘されて来ており、前述のような防衛協力関係の深化にもかかわらずオーストラリアのマラバール演習参加を拒否し続けているインドは、Quad各国間のパートナーシップのためのリトマス試験紙と見なされてきた。ただし、特にこの2年間に豪印二国間関係がQuadの枠組みを超えて飛躍的に進展したという事実にも留意しておく必要があるだろう。このような豪印両政府の姿勢は今後のQuadへの期待がこれまでになく向上したということを意味している。Quadの関係各国が本件枠組みを余り目立たないようにしたいという一般的な傾向はあるものの、健全な二国間関係が多国間協力の出発点であることを否定することもできないであろう。
 (6)オーストラリアの在インド高等弁務官Harinder Sidhuは、最近の演説で次のように述べている。
我々は10年前よりも強い信頼と相互理解の場にあり、協調することがより望ましい。我々はゆっくりとではあるが「歴史の躊躇」を振り払いつつあり、これを振り返るのではなく将来を見据えているのである。
記事参照:No longer in a cleft stick: India and Australia in the Indo-Pacific

6月25日「海上自衛隊、米豪共同統合訓練に初参加-デジタル誌報道」(The Diplomat, June 25, 2019)

 6月25日付デジタル誌The Diplomatは、同誌編集委員Ankit Pandaの“A First: Japan’s Maritime Self-Defense Force Joins US-Australia Talisman Sabre Exercises”と題する記事を掲載し、海上自衛隊が米豪共同統合訓練タリスマンセーバーに参加するとして、要旨以下のように報じている。
 (1)Jane’s Defense Weeklyによれば、海上自衛隊は7月に米豪2国間協同訓練タリスマンセーバー演習に初めて参加する。Jane’s Defense Weeklyによれば、海上自衛隊は護衛艦「いせ」、輸送艦「くにさき」など複数の艦艇と人員500名を参加させる。同演習は2019年7月11日から24日の間に実施され、それぞれの軍及び関係機関が協同統合作戦の計画、実施を演練し、米豪両軍間の戦闘即応と相互運用性を改善することを目的として計画されている。
(2)日本の参加は、東京のインド太平洋全域にまたがるネットワーク化された安全保障協力への一層の投資を反映している。日米豪の3ヶ国協調は近年、特に拡大している。3ヶ国はまた、協議の作業部会のレベルでインドとの協調も拡大してきた。日本はまた、元々は米印2国の共同訓練であったマラバール演習に参加し、2015年に3国間協同訓練となった。
(3)日本のタリスマンセーバーへの参加は、5月に行われたアジア安全保障会議の際に行われた日米豪国防相会談を受けてのものである。国防相らは会談後の声明ではタリスマンセーバーへの日本の参加には言及していない。代わりに、「それぞれの国が共同演習、訓練あるいは能力の構築といった地域の国防問題に関わる活動を調整するためにより多くのことを行うことで合意した」と述べている。
記事参照:A First: Japan’s Maritime Self-Defense Force Joins US-Australia Talisman Sabre Exercises

6月25日「中国と北朝鮮の海軍同士の協力―英中国史研究者論説」(The Diplomat, June 25, 2019)

 6月25日付のデジタル誌The Diplomatは、英University of Leeds の中国史講師Adam Cathcart の“Red Tide: China-North Korea Naval Cooperation ”と題する論説を掲載し、ここでCathcartは中朝海軍間の協力関係が進展しているいくつかの証拠があるとして、要旨以下のように述べている。
(1)このところ、中朝関係が好転していることを示す兆候は比較的容易に探すことができる。習近平の最近の平壌訪問は、次の段階への飛躍というよりは過去1年半にわたる関係強化の成果といえるものの、両国関係緊密化の明らかなシグナルである。しかし、この両国関係の緊密化が朝鮮半島周辺の海域まで、特にその海域での軍事協力にまで進展するのだろうか?両国の安全保障上の同盟は、戦略的曖昧さの重要な要素となってはいるが、両国の軍事協力の証拠は極めて明らかである。中朝海軍同士の関係において緊密化のいくつかの進展が見られた。北朝鮮海軍が発展しているのには2つの大きな理由がある。第一に北朝鮮海軍は潜水艦配備の第二撃力に対する金正恩の個人的な後押しを得た核計画と連結されてきたからである。第二に北朝鮮海軍は北朝鮮の主要な産業である漁業に関連して顕著な役割を果たしているからである。北朝鮮の体制は漁業から大きな収益を得るようになっている。
(2)習近平は、4月22日に青島港を訪問した。人民解放軍海軍健軍記念国際観艦式は中国にとって新しい兵器を誇示し、平和的な言葉を述べ、インドや日本のような中国とよい関係を持っていない国も含め、多くの国から海軍関係者を招待するよい機会であった。米国は海軍の代表団を送らず駐在武官を送ることを選んだ。The Japan TimesのJesse Johnsonはこれを「冷たいあしらい」だと述べた。しかし、北朝鮮は代表団を送った。北朝鮮の金明植上将(抄訳者注:北朝鮮海軍の将官は大将、上将、中将、少将の4階級があるとされており、金明植は一時、中将に降格されたが国際観艦式に関する中国側報道では上将とされている。さらに、後述の北朝鮮駐箚中国大使李進軍との会合に関する中国大使館のウエブサイトでは大将とされており、金明植の階級について情報が錯綜している。したがって、本抄訳では上将に統一して訳出)は、中国に約1週間滞在し、この青島のイベントでは招待者の中心にいた。金明植は、金正恩からの褒美として中国上流社会のもてなしを楽しんでいただけではない。
 (3) 北朝鮮の主要国際会議出席は、2019年6月に予定されている習近平の平壌訪問前の北朝鮮との接触という背景を埋める助けになるものであったとしても、必ずしもニュースになるわけではない。しかし、より重要なのは、そうした事象の後追いとして関係づけることもできるという点である。青島から帰国して3週間も経たない5月16日、金明植は平壌の中国大使館に姿を現し、李進軍大使や駐在武官に面会した。この面会に関する正式な発表はかなり短いものであったが、真の狙いは金明植が軍同士の関係強化を推進したいと明言したことである。金明植は中朝両国の指導者の要請で政治的交流が盛んになった後で「北朝鮮海軍は、両国の人的交流を強化するために大いに努力していく」と述べた。金正恩時代では、中国高官とのこのような会合は、よくあることではなかった。あってもごくたまにであり、中朝の軍関係機関レベルでの交流は停止していたのである。中国側との対話相手である金明植は明らかに金正恩の一定に信頼を得ていると考えられる。中国との対話における彼の役割は、ある種の突破口となるのだろうか?必ずしもそうではあるまい。金明植は中朝関係を金日成の時代に戻すためのひとつの道具であると考えることもできる。2011年8月、金明植少将(当時)は、中国海軍練習艦隊の元山入港諸行事を統括した。金正日が死亡する前の数か月間は、中朝関係における一種の失われた「黄金時代」ということができる。それは、鴨緑江河口の経済特区での取引が検討されていた時であり、中朝の共同軍事訓練の見通しがそう遠くないと思われた時であった。一時的なものであったとしても中国側との一種のワーキングレベルの関係は続いていたのである。
(4)中朝関係には、さまざまな紆余曲折がある。両国の海軍間の関係は、2012年から2013年頃が最も退潮した時期であった。そのころ、数隻の中国漁船が北朝鮮により拿捕されていて、中国人漁民が結果的に人質のような立場となっていた。この事件が完全に公となった事実は、中国が立腹していることを示す明らかな兆候である。しかし、同じような不満は、過去5年間は聞かれなかった。北朝鮮海軍の部隊は、漁業能力と密接な関係がある。2019年後半に北朝鮮の漁業に関する本を出版する予定のイギリスを拠点とする地理学者のRobert Winstanley-Chestersは北朝鮮の海軍組織は国内の漁業活動を本質的に統制していると述べており、このことは、北朝鮮の安全保障が漁業と密接に関係していることも意味している。Chestersは、北朝鮮の消費者に大きな利益をもたらしたと考えられる同盟国との科学的調査に協力しているときでさえ、隣人たちに不信感を持たせ、どうかするとその協力をいつの間にか害する傾向にあったと指摘する。北朝鮮の海産物は、一般的に経済にとって重要であると言われており、2016年と2017年の国連制裁により禁止された北朝鮮の中国向け輸出収入の道の大部分を占めていた。金正恩が水中無脊椎動物(イカ、タコなど)の合法的な輸出を再開させたいと願っていることは確かである。しかし、これはこの海域での北朝鮮の利益に対し中朝両国が協力できる唯一の方法ではない。特に遼寧省と山東省の漁業者と水産会社は、北朝鮮海域での開発を熱望している。また、黄海と日本海における中国の漁業権の対価が北朝鮮に支払われており、これは最終的には北朝鮮海軍の手に渡っている。寧波財経学院マルクス主義学院講師の高波は、新著China’s Economic Engagement in North Koreaで中国沿岸部の汚染による赤潮と乱獲は、中国沿岸における中国水産会社の働きを阻害していると述べている。北朝鮮の開発の遅れのため、中国と比較して清潔な沿岸線は、中国の漁業者、養殖業者にとって経済的価値が高いと言える。
(5) しかし、この事は両国の信頼と円滑な協力を示すものということではない。その中国の水産会社は、北朝鮮海軍の代表者とアドホックな協定を結んだが、一方、鴨緑江河口の確定されていない領海を担任する中国当局者は、この海域で船舶をもっと厳格に統制すべきと主張している。また、中朝両国は丹東新区画と新義州市西側間の新しいが使われていない橋の共同管理について、まだ合意していない。さらに金正恩は2018年夏、薪島と鴨緑江河口を訪問したときに中国側要人とは会っていない。金正恩と習近平には多くの問題を抱えているが、海上部隊の役割や海軍間の協力について話しを進めているのであろう。そして漁業という分野での協力から生まれる資金についても今後の注目点と言える。
記事参照:Red Tide: China-North Korea Naval Cooperation

6月25日「北極は最早バッファーゾーンではない-香港研究者論説」(CRYOPOLITICS, June 25, 2019)

 6月25日付の米シンクタンクForeign Policy Associationの北極専門ブログCryopoliticsは、Hong Kong University, School of Modern Languages and CulturesのMia Bennet准教授の“The Arctic is “no longer a buffer zone”と題する論説を掲載し、ここでBennetは気候変動によって北極の氷の融解が進み、北極は米国の安全保障にとってもはやバッファーゾーンではなくなったとして、要旨以下のとおり述べている。
(1) 米国は北極の温度上昇に熱を上げているが金は掛けていない。6月25日、上院は2020年の国防権限法の検討を再開した。この法案は国防総省の年度予算を決めるものであり、毎年連邦政府の裁量予算の半分以上を受け取っている。今年の国防権限法には「北極」の言葉が89回含まれている。ちなみに昨年は20回であった。国防長官による北極戦略レポートは米統合軍が直面する問題として中国とロシアに対する競争力の低下を挙げている。2020年国防権限法の上院議会証言において、米戦略コマンドの John Hyten将軍は、「北極は重視すべき地域であり、もはやバッファーゾーンではない。北極で作戦でき、連携でき、プレゼンスする能力が必要である。米国の弱点は敵対国の強点であり、その方程式を逆転させなければならない」と述べている。「北極を平和のゾーンにしよう」との標語がこの30年間を支配してきた。しかし今、米国の国防を担う指揮官たちの危惧によって解消されようとしている。指揮官たちの認識は、北極はもはやバッファーゾーンではなく、米ロ中が先頭争いをする絶壁なのである。米北方軍司令官Terrence O’Shaughnessy将軍は「北極は米国とカナダの防衛の最前線である」と述べている。
(2) 北極を戦闘の最前線、そしてシーレーンのチョークポイントとする等の考えには地政学で北極をゼロサムゲームの舞台とする感がある。米国の指揮官たちにとって北極はParag Khannaが描く“ Connectography”の1つではなく、 Halford Mackinderが称する“Pivot of History”なのであろう。北極は西洋と非西洋が共存するための“ファジーゾーン”ではない。そのことは、北極まで900マイルも離れている中国が、自らを“near-Arctic State”と称していることからも言える。中国は2018年に公表した北極政策で、人類の未来を分け合い、北極を平和と安定そして持続可能な開発の舞台とすることに貢献する、と述べている。多くの点で中国の政策は、ソ連邦のGorbachevが「世界の利益共同体とその繋がりは、どこよりもなお北極において感じられる」と述べたムルマンスク演説に似ている。ワシントンからは、北極圏のコミュニティーは崩れているように見えるのかもしれない。米国家安全保障戦略は中ロを修正主義国家と表現しているが、皮肉なこと「封じ込め」、「チョークポイント」、「ドミノ」といったレトリックにおいて冷戦思考に戻っているのは米国である。国防権限法が要求する北極の戦略港には、1950年代から60年代に掛けて米国とカナダが構築した遠隔早期警戒(DEW)ラインを想起させる。アラスカからグリーンランドに沿って建設された63のステーションは、ソ連の核ミサイル攻撃を警戒監視するためのものであった。今、北極の戦略港は、開放され、温暖化と酸性化が進む海に建設されようとしている。中国とロシアが投資しているのはヤマール天然ガスプロジェクトと砕氷船建造、それに大水深港と飛行場である。米国の北極政策はこれとは対照的であり、また財政的裏付けもない。米国は、北方航路の開発に参加しても得るものはほとんどない。北西航路にしても、短期的に見れば投資の見返りはない。米国にとって、アラスカの海岸線を整備して海洋活動を支援することは、北極航路が現実のものとなるまでは無意味なことなのである。
記事参照:The Arctic is “no longer a buffer zone

6月26日「インド、通常型潜水艦国産へ-デジタル誌報道」(The Diplomat, June 26, 2019)

 6月26日付のデジタル誌The Diplomatは、同誌上級編集員Franz-Stefan Gadyの“India Moves Forward With Local Construction of Six Diesel-Electric Attack Subs”と題する記事を掲載し、ここでGadyは、印国防省が「関心表明書」を発出して国産通常型潜水艦6隻の建造に向けて動き出したとして要旨以下のように報じている。
(1)印国防省は、非大気依存型推進装置を搭載した通常型潜水艦6隻を国内建造することを目指した野心的ではあるが、延び延びになっているProject-75 India (以下、Project-75 Iと言う)へ参画するよう呼びかけた 関心表明書を国内造船所宛に6月20日に発出した。
(2)候補者は国防装備取得手順2016の枠組みの中で国防省戦略パートナーの下の戦略パートナーに指定される。国防装備取得手順2016はモディ首相のメイク・インディア政策の一部として国防装備の国産を加速することを狙ったものである。国防調達委員会は、2019年1月に通常型潜水艦6隻の取得を承認している。特記すべきことはProject 75-I調達計画は最初に国防省が2007年に承認していることである。一度選ばれれば、戦略パートナーは潜水艦建造に関し国際社会の艦船建造企業と提携することになる。「印企業は様々なシステムのシステム統合能力、艦艇建造領域での専門能力、財政的体力を基礎に選択される。原装備製造業者は主として業者の潜水艦設計が印海軍の性能要求に合致しているか、技術移転と国内技術の基準に適合しているかを元に選択される」と印国防省は述べている。
(3)国際的入札者には、仏Naval Group、スウェーデンのKockums、ロRubin Design Bureau、独Howaldtswerke-Deutsche Werft が含まれる。印国防省によれば、「戦略パートナーは原装備製造業者と提携して、インド国内に潜水艦建造専用ラインを組み立てるための権限を与えられ、インドを潜水艦設計と建造の世界的なハブにする。この計画にある6隻全ての潜水艦は、選抜された印戦略パートナーが選抜された原装備製造業者と提携してインド国内で建造される」とされ、契約費用全体は60億米ドルと推定される。
(4)印国防省によれば、海軍はProject 75-Iの下で通常型潜水艦6隻をさらに建造する選択肢を持っている。前調達計画Project-75では、印政府は仏潜水艦建造企業Naval Groupが印Mazagon Dock Limited造船所と共同して6隻の通常型潜水艦を2022年までに建造する41億6,000万米ドルの契約を行った。
記事参照:India Moves Forward With Local Construction of Six Diesel-Electric Attack Subs

6月26日「中国による大西洋への浸透を警戒せよ―米中東専門家論説」(The National Interest, June 26, 2019)

 6月26日付の米隔月誌The National Interest電子版は、米シンクタンクThe American Enterprise Institute常勤研究員Michael Rubinの“Beware China’s Inroad into the Atlantic”と題する論説を掲載し、そこでRubinは、近年米国が大西洋におけるプレゼンスを弱めてきた一方で、中国がそれを強めている傾向について要旨以下のとおり論じている。
(1)冷戦期、ソ連の脅威増大という共通の利害を持った米国と中国は、その関係を改善していった。Nixon政権期には数ヵ月におよぶ秘密外交の末、1971年に卓球の米代表団が「竹のカーテン」を突き破り、翌年には大統領が訪中した。Carter政権期には米国は中国を正式に承認し、他方で台湾の中華民国に対する承認を撤回したのである。しかし現在から見たとき、Nixonが中国へと接近したのはよいことではなかった。鄧小平はいまや、改革者というよりもむしろ、現在中国が戦後秩序の根本的な修正を模索することの土台を作った人物であったと評価できよう。
(2)米国は中国による近隣諸国への攻勢に焦点を当てている。台湾や南シナ海、尖閣諸島問題が近隣諸国との紛争を惹起するかもしれない。また、フィリピンやタイ、トルコなど、伝統的に西側の同盟国であった国々が中国との協調に向かうかもしれない。中国とパキスタンとの関係強化、あるいは中国の一帯一路構想がインドとの対立を生むかもしれない。また米国は中国の急速な軍備増強にも危機感を強めている。
(3)だがここで見ておきたいのは、中国による大西洋やカリブ海への進出である。これはObama、Trump両政権の遺産と言える。Obama政権期、中国は、それまで台湾を承認してきた多くのラテンアメリカ諸国からの承認を得ることに成功した。また中国は、パナマ運河の大西洋側の出入り口であるマルガリータ島港を買収し、2018年12月には習近平国家主席がパナマ運河の新水門の開通式に参加したほどである。またObama政権は、大西洋に浮かぶアゾレス諸島のラジェス飛行場から駐留部隊の大部分を撤退させたが、中国が投資などによってアゾレスとの関係強化を模索している。さらに中国はアフリカ大陸沖のサントメ・プリンシペやカーボベルデなどの島嶼国家へとその触手を伸ばしている。
(4)米国がアイスランドのケプラビーク飛行場に最大5000人規模の部隊を駐屯させていたのは1951年から2006年までのことであった。最近、米海軍はP-8A哨戒機を再配備したが、駐留部隊の規模が往年のそれを超えることはない。他方、中国は貿易や金融を通じて、北極圏に外交的浸透を進めるためにアイスランドとの関係を強化している。同様のことはグリーンランドでも言える。米国は最近、グリーンランドでの外交的プレゼンスを回復しようと模索しているが、中国企業がグリーンランドへの浸透を試みている。現在、中国の戦略サークルやシンクタンクなどでもっぱら話題になっているのは、中国がグリーンランドのデンマークからの独立を後押しする可能性である。
(5)これらの中国の動きを全体として眺めてみれば、中国が、それまでほとんど利害がないと思われていた北大西洋への浸透を模索しているように見える。中国は必ずしも公的な軍事基地を求めているわけではないが、中国企業によって建設が進められる商業港や商業空港などが軍仕様であることを考慮すれば、将来的に米国が同地域での作戦行動を妨害されることになる可能性はある。ここ10年の米政府の政策は、中国が大西洋での足場を築くことを容易にしてきたのである。
記事参照:Beware China’s Inroad into the Atlantic

6月27日「オーストラリアとフランスが環境安全保障で協力するための報告書―豪専門家論説」(The Strategist, 27 Jun 2019)

 6月27日付の豪シンクタンクAustralian Strategic Policy InstituteのウエブサイトThe Strategistは、同シンクタンク上級アナリストAnthony Berginの “Australia and France collaborate to reduce environmental security risks”と題する論説を掲載し、調査員としてBergin自身もプロジェクトに参加したThe Australian National Universityが発表したオーストラリアとフランスの環境安全保障協力のためのマッピングに関する報告書について、要旨以下のように述べている。
(1)Malcolm TurnbullとEmmanuel Macronは、2018年5月に発表された“Vision statement on the Australia–France relationship”の中で、気候現象の安全保障の影響を理解し、予測するのに役立つ、インド洋の南と南極海の環境リスクをマッピングするプロジェクトを歓迎した。その結果報告として、“Environmental security in the eastern Indian Ocean, Antarctica and the Southern Ocean: a risk mapping approach”が、 6月21日にAustralian National University’s National Security Collegeによって公表された。この調査では、近隣地域の環境安全保障「リスクマップ」を定めた。これは、オーストラリアとフランスの国家安全保障評価への貢献と国家資源の配分についての政策決定を知らせるために強化された基盤を提供し、協力の機会を特定し、優先順位を提案する。仏研究者たちは来年西インド洋での環境安全保障リスクに関する同様の研究を発表する予定である。
(2)このレポートは、東インド洋に関して、以下のものを含む9つの提言を行っている。
a. オーストラリアとフランスは、インド洋における沿岸警備隊間の対話、協力及び訓練を確立するために、志を同じくするパートナーと協力するべきである。
b. オーストラリアとフランスは、インド洋における統合された国家海洋状況把握の確立を促進するために協力するべきである。
c. オーストラリアとフランスは、軍事及び民間の機関からの代表者が集まる、インド洋環境安全保障フォーラムを設立するために他のパートナーと協力するべきである。
(3)南緯60度より南の地域では、フランスとオーストラリアは、南極条約システムの支援と強化に焦点を当てた戦略的なレンズを通して南極大陸と南極海を見ている。フランスとオーストラリアは、南極に隣接した領土を持っている。この報告書は、南緯60度から南方の地域で、フランスとオーストラリアの間の協力に関して、以下のものを含む14の提言を行っている。
a. オーストラリアとフランスは、ハード島とマクドナルド諸島(Territory of Heard Island and McDonald Islands:HIMI)とケルゲレン諸島の地域、南極海及び南極大陸の周辺で将来における定期的な多国間での捜索救助活動を促進するべきである。
b. オーストラリアとフランスは、将来の南極インフラ、物流、環境管理、陸地環境、海洋環境及び資源を検討し、南極地域における気候変動の管理上の問題を共同で検討すべきである。
c. 南極諸国の信頼醸成措置として、オーストラリアとフランスは、現在の、そして予測されている気候変動を考慮に入れた南極インフラの抗堪性を確立し、強化するための指針を特定することを主導すべきである。
(4)インド洋におけるオーストラリアとフランスの領土の間の距離にもかかわらず、多くの問題についての彼らの過去の協力の経験、彼らの能力及び彼らの共有の見方を反映し、インド洋の東部における2国間協力のための十分な機会もある。ブルーエコノミーと気候変動に関連した高レベルの科学研究の提携における、2国間協力のための多くの機会がある。東インド洋、南極圏及び南極海の生態系の保護は、それらの生態系の変化が見つかるよりも相当前から行動することが求められるだろう。オーストラリアとフランスのどちらも、環境システムの管理における現在の課題と、東インド洋と南緯60度より南方の地域における不十分な環境管理がもたらす戦略的リスクに対処するために、共通の利益を共有する様々な志を同じくする国と協力する必要がある。
記事参照:Australia and France collaborate to reduce environmental security risks

6月27日「海上自衛隊と海上保安庁、南シナ海で初の協同訓練―日日刊紙報道」(The Asahi Shimbun, 27 June, 2019)

 6月27日付の朝日新聞英語版電子版は、“MSDF, Japan Coast Guard hold 1st joint drill in South China Sea”と題する記事を掲載し、海上自衛隊と海上保安庁がブルネイ沖の南シナ海で共同訓練を実施したとして、要旨以下のように報じている。
(1)海上自衛隊と海上保安庁は、6月26日に南シナ海で協同訓練を実施した。訓練は地域における中国の攻撃的な行動を抑制する目的であることは明らかである。ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」ほか2隻の護衛艦と巡視船「つがる」がブルネイ沖の海域での訓練に参加した。
 (2)海上保安庁は、通常、日本の領海等(抄訳者注:海上保安庁法では「海上」とのみ記されており、地理的限界は示されていないが、領海、接続水域、排他的経済水域及び日米SAR協定に基づく捜索救助区域が基本的な海上保安庁の行動海域とみることが妥当である。したがって、Japan’s territorial watersを「日本の領海等」とした)での哨戒任務を付与されており、外国海域で海上自衛隊との訓練は珍しい任務である。
 (3)近年、両組織が情報共有で一層緊密に調整する必要があることはますます明らかになってきている。訓練の重要性に関し、政府当局者は「海上保安庁と海上自衛隊の広範な協力がなければ尖閣諸島周辺の状況に対応することはできない」と述べている。
(4)南シナ海での訓練は、中国にこの地域においてこれ以上の挑発的行動を採ることを思いとどまらせるよう計画されていると専門家は言う。常態的に日本の接続水域や領海に侵入する中国海警の船舶に対応するため、巡視船は尖閣諸島周辺海域を哨戒している。ある防衛専門家は、尖閣諸島近傍に現れる中国海警の船舶は人民解放軍海軍の艦艇に支援されていると述べている。
(5)2018年7月に中国海警は中央軍事委員会の指揮下に編入され、中国軍と密接に提携する存在になったと懸念が示された。中国船舶の尖閣諸島近傍海域への侵入はより頻繁に生起するようになってきている。4月から6月にかけて64日連続で中国船の尖閣諸島接続水域への侵入している。
記事参照:MSDF, Japan Coast Guard hold 1st joint drill in South China Sea

6月27日「中国の視点から見た『米インド太平洋戦略』―PLA研究員論評」(South China Morning Post, June 27, 2019)

 6月27日付の香港日刊英字紙South China Morning Post電子版は、中国人民解放軍軍事科学院特任研究員、周波の“A US Indo-Pacific strategy that isolates China is small-minded and dangerous”と題する論評を掲載し、ここで周波は米国のインド太平洋戦略が中国を目標としていることは明らかだが、北京との経済関係を危険に陥れてまで、これを公然と支持している国はほとんどいないと指摘し、中国の視点から見た米インド太平洋戦略について、要旨以下のように述べている。
(1)Trump米大統領が2017年のベトナムでのAPEC首脳会議で、「自由で開かれたインド太平洋」について言及して以来、常に問われてきたことは、「これは一体何か、ビジョン、イニシアティブあるいは戦略か」ということであった。米国防省が公表した『インド太平洋戦略報告書』*でも、インド太平洋戦略が内包するジレンマが見られる。報告書の序文で、Shanahan国防長官代行(当時)は、「自由な世界秩序ビジョンと、抑圧的な世界秩序ビジョンとの間の地政学的抗争」を米国の主たる安全保障上の関心事とし、中国をシングルアウトして、「この地域を自らに優位に再編しようとしている」と決め付けている。報告書全文を読まなくても、この戦略の核心が中国にあることを知るには、これだけで十分である。では、もしこの地政学的戦略が中国を目標としているなら、これを公然と支持している国はほとんどいない、もし目標としていないのであれば、わざわざこのような戦略を展開しようとするのは何故か。
(2)ここに、米国のインド太平洋戦略が内包するジレンマがある。中国と米国との関係が悪化するにつれ、一方に加担しないと誓っている全ての国は、いずれかをパートナーとして選ぶより、むしろ問題毎に対応を決めるという、スマートな方法で対処している。例えば、ASEAN諸国は、一般的に経済は中国に、他方で軍事は米国に依存していると見られている。この地域における米国の軍事プレゼンスの維持を望むASEAN加盟国でさえ、中国のアジアインフラ投資銀行に加盟しており、ファーウェイの 5G 技術利用に門戸を開いている。「4カ国枠組」(the Quad)は、反中国クラブのように見えるが、米国は「有志同盟」と見ているかもしれないが、インド、日本そしてオーストラリアはこうした見方に抵抗しているというのが正確な認識である。これら3国はいずれも、「4カ国枠組」のために中国との2国間関係を危うくすることを望んでいない。南シナ海では、英国、フランス、オーストラリア及び日本などの米国の同盟諸国は、航行の自由の名目で戦闘艦を航行させてはいるが、中国の岩礁や島嶼の12カイリ以内を航行する米海軍の作戦には加わっていない。
(3)今日、グローバルな存在となった中国は、米国のインド太平洋戦略によって拘束されることはあり得ない。英紙、 Financial Timesのコラムニスト、Martin Wolfは、フランスの王位継承を争った英仏百年戦争を念頭に、「浮かび上がりつつある米中100年抗争」について書いているが、恐らくこの抗争は100年も続かないであろう。より現実的な時間枠は30年間で、21世紀の前半に2つの転機が予測される。最初は、大方の予測通り、中国がGDPで米国を追い越す、2030~2035年頃である。第2の転機は、中国がその最も偉大な目標、「中華民族の偉大な復興」を達成したと発表して、建国百周年を祝う21世紀中頃である。これら2つの転機は、米国を謙虚にさせ、そして自らを例外的で必要不可欠の存在と自らも信じ、他国にもそう信じさせてきたことが事実でないことを悟らせることになろう。米国は、多の全ての国と同じように、国際社会の平等な一員に過ぎないのである。
(4)このことは、今後10~15年間が最も困難な時期になることを示唆している。Trump政権が2017年に公表した『国家安全保障戦略』の中で、抗争は「常に敵対関係を意味するわけではない」と述べているが、現実もほぼその通りである。抗争は決して健全な関係ではないが、問われるべきは、如何にそれを危険なもののしないかである。現在、中米両国間の抗争は、貿易からハイテクにまでに及んでいる。両国とも軍事衝突を望んではいないが、南シナ海における米国の航行の自由作戦は、誤算のリスクを高めてきた。インド太平洋戦略の採用が少なくとも軍事的に米国の後退の始まりを意味するかどうかは、定かではない。しかし、もし米国のインド太平洋戦略における現在までの最も重要な変化が、「米太平洋軍」を「インド太平洋軍」に改称したことであるとすれば、それは、古いビンの古いワインに、新しいラベルを貼っただけのように思われる。
記事参照:A US Indo-Pacific strategy that isolates China is small-minded and dangerous
備考*:The Department of Defense Indo-Pacific Strategy Report: Preparedness, Partnerships, and Promoting A Networked Region
https://media.defense.gov/2019/May/31/2002139210/-1/-1/1/DOD_INDO_PACIFIC_STRATEGY_REPORT_JUNE_2019.PDF

6月28日「Novatekによる日本向けLNG出荷、北極海航路の利用はなお不透明―米北極圏専門家論説」(High North News, June 28, 2019)

 6月28日付のノルウェー国立NORD UniversityのHIGH NORTH CENTERが発行するHigh North News電子版は、米シンクタンクThe Arctic Institute上級研究員Malte Humpertの“Novatek Ships Yamal LNG to Japan, Uncertain if Delivery Was Made Via Arctic”と題する論説を掲載し、そこでMalte Humpertは、ロシアの天然ガス会社Novatekによる、日本を含めたアジア向け天然ガス輸送の動向について、要旨以下のとおり述べている。
(1)Novatekがフランスのエネルギー大手Totalなどと共同で出資しているYamal LNGプロジェクトによって産出された液化天然ガス(LNG)は、日本向けのものを含んでいる。同社会長のLeonid Mikhelsonが、日本へのLNG出荷開始が同社にとって重要な一里塚であると述べたことからわかるように、同社にとって日本市場は重要なものと位置づけられている。同プロジェクトの中心地であるロシアのヤマロ・ネネツ自治管区は、世界最大級の天然ガスの産地であり、ロシア全体の生産の実に80%を占めるものである。北極海航路(NSR)経由でのLNG輸送は、ロシアのガス産業の重要な戦略と位置づけられている。
(2)問題は、日本へのLNG出荷がNSR経由で行われるのかどうかである。6月28日現在の衛星データによれば、砕氷LNGタンカーを中心とする輸送船団のうち、北九州の戸畑LNGターミナル付近で操業しているものはない。LNGの運搬は、西ヨーロッパで砕氷LNGタンカーから通常のLNGタンカーへの積み替え後、NSR航路の二倍の距離をかけてスエズ運河経由で行われたのだろう(抄訳者注:実際にその経路で輸送され、戸畑に陸揚げされたという報道がある)。2018年は、NSR経由で最初の輸送が行われたのは7月半ばのことであった。
(3)Novatekは冬季にもNSR経由でのLNG輸送に自信があるとしてきたが、現実にそれは行われていない。11月から6月終わりまでの間には、ノルウェーのホニングスボーグ沖合で積み替え作業が行われ、スエズ運河ルートが用いられている。同社によれば、Arktika級原子力砕氷船の導入によって1年のうち9ヵ月間、NSR経由での輸送が可能になるという。
(4)日本もロシアのLNG事業に関わりをさらに深めている。三井物産と三菱商事は、Novatekの新たな巨大事業であるアークティックLNG2に、10%の出資を行う予定であり、日本政府もこれを財政的に支援する方向だ。この取り引きは大阪で開催されたG20において合意されるであろう(抄訳者注:実際に出資をしたのは三井物産と独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)であった)。
記事参照:Novatek Ships Yamal LNG to Japan, Uncertain if Delivery Was Made Via Arctic

6月28日「中国は係争海域の支配確立のためグレーゾーン戦術を駆使―香港紙報道」(South China Morning Post, 28 Jun, 2019)

 6月28日付の香港日刊英字紙South China Morning Post 電子版は、“China accused of entering ‘gray zone’ between war and peace to assert control in disputed water”と題する記事を掲載し、中国は問題となっている海域での支配を確立するために、戦争と平和の間のグレーゾーンに入っていると非難されているとして要旨以下のように報じている。
 (1) 米シンクタンクRand Corporationによると、東シナ海や南シナ海で自分の利益を拡大するために、中国はいくつかの「平時と戦時のグレーゾーン」戦術を使っている。Rand Corporationの報告書では、中国とロシアの威圧的な行動を分析し、米国が中国に対してとることのできるいくつかの外交的、軍事的対抗措置を提案している。Rand Corporationは、中国やロシアが「主として武力衝突の閾値の下」で平時と戦時の間のグレーゾーンで行動しようとしていると述べている。中国がとるグレーゾーン戦術には、人工島の拡張、沿岸警備隊や海上民兵の使用、「軍の訓練を受けた国や軍の指示に従い行動する民間の漁船グループ」が含まれる。彼らは問題となっている島礁の支配を確立する。
(2)報告書は、近年、日本、ベトナム、フィリピンに対してそのような戦術を徐々に使うようになってきたと述べている。2014年、中国のH-6戦略爆撃機を西太平洋と東シナ海だけでなく台湾、日本方面を飛行させた。「この飛行は、戦略上のシグナルであり、この問題となっている海域と領土の軍事プレゼンスを正常化させる中国の努力の一部である」と報告書は述べている。また、中国は「海上民兵」を非軍人として乗り込ませた民間船舶を使用したことでも非難されている。「この作戦を行った者は、実際には、海軍作戦の中で訓練されていた海軍予備役兵であった」と報告書にはある。
(3) Rand Corporationは、中国の「キャベツ戦略」(抄訳者注:この文言は張召忠退役海軍少将が提起した巻心菜策略に端を発する)についても述べている。それは、問題となっている海域を海上民兵、海上法執行機関、海軍で作戦の層をつくって囲むように作られたものである。この戦略に基づき、海軍艦艇は紛争のエスカレートを避けるために一番遠い位置にいる。しかし、軍事的プレゼンスは示し続ける。さらに研究者たちは、問題となっている海域での中国の利益を拡大するために中国は国営のエネルギー企業と土木企業を使っていると述べている。沿岸石油会社の巨人である中国海洋石油集団有限公司の前董事長王宜林は、報告書の中で「大きな深海掘削リグは、沿岸の精油開発を推進する動く領土であり、戦略的な兵器でもある」と言ったことが引用されている。
 (4) Rand Corporationは、中国のグレーゾーンでの行動に対して、日本とフィリピンに対艦ミサイルの部隊を配備すべきであると提案している。Rand Corporationはまた、南シナ海で同盟国とともに共同哨戒に沿岸警備隊を参加させるとともに、米海軍艦艇をもってフィリピンの排他的経済水域における石油探索船あるいは掘削リグを護衛することも提案している。最後に、米政府が、中国に対抗するための共同行動にもっと多くの欧州諸国が参加するように外交的努力を行うことを提案している。
記事参照:China accused of entering ‘gray zone’ between war and peace to assert control in disputed water

【補遺】

旬報で抄訳紹介しなかった主な論調、シンクタンク報告書
(1) What Is the US Coast Guard’s Role in the Indo-Pacific Strategy?
https://thediplomat.com/2019/06/what-is-the-us-coast-guards-role-in-the-indo-pacific-strategy/
The Diplomat, June 21, 2019
By Jay Tristan Tarriela, a commissioned officer of the Philippine Coast Guard with the rank of Lieutenant Commander
6月21日、フィリピン沿岸警備隊(以下PCGと言う)のJay Tristan Tarriela少佐は、デジタル誌The Diplomat に“What Is the US Coast Guard’s Role in the Indo-Pacific Strategy?”と題する論説事を寄稿した。その中で彼は、①昨今インド太平洋戦略に米沿岸警備隊(以下USCGと言う)が関与していることが注目を浴びている、②強力な海軍を保有する米国がUSCGを南シナ海に連れてきたのは、日本の戦後の海上保安庁による沿岸諸国との海上協力の成功が背景にある、③警備において効果的だが攻撃的ではなく、軽武装だが挑発的ではない沿岸警備組織の重要な役割を、日本の海上交通路の沿岸諸国は理解した、④第2次世界大戦後、東南アジア諸国の多くは米国の海軍演習を支援してきたが、中国の台頭によりこれらの活動に対する支援に躊躇し、米海軍の航行の自由作戦に懸念を抱いた、⑤近年USCGは、東南アジアの沿岸警備隊との海上協力を確立し始め、PCGとの協力関係も飛躍的に発展し、フィリピン大統領Rodrigo Duterteも彼らの間で行われる海上演習を批判しない、⑥米沿岸警備隊の展開が、他の東南アジアの指導者の承認と支持を訴える上ではるかに良い代替手段として認識されると推測できる、⑦ワシントンが日本のアプローチを慎重に採用して疑いの障壁を打ち破り、最終的に信頼を得るまでに長い年月をかけたなど、米国による沿岸警備隊外交の重要性を主張している。
 
(2)“ASEAN OUTLOOK ON THE INDO-PACIFIC”
https://asean.org/storage/2019/06/ASEAN-Outlook-on-the-Indo-Pacific_FINAL_22062019.pdf
ASEAN, June 23, 2019
6月23日、ASEAN(東南アジア諸国連合)は、公式ウェブサイト上に、" ASEAN OUTLOOK ON THE INDO-PACIFIC"と題する記事を公表した。その中で、ASEAN諸国がこれまでの数十年間にわたり世界の経済成長の基軸であり続けてきたこと、そして、今後も東アジアにおける繁栄と協調の仲介役で有り続けるとの認識(編集注:このような考え方は「ASEANの中心性(ASEAN Centrality)」と呼ばれている)を示した上で、ASEANが今後果たしていくべき多くの役割を列挙している。その中で海洋問題に関しては、地域の国々が直面している既存の地政学的課題は未解決の海洋紛争にも波及しているとし、また、海洋資源の持続不可能な開発や海洋汚染も大きな問題となっていると指摘した上で、ASEANが媒介となった国家間の協力関係の構築が重要だと主張している。
 
(3) Taiwan’s Security Role in the U.S. Indo-Pacific Strategy
https://thediplomat.com/2019/06/taiwans-security-role-in-the-u-s-indo-pacific-strategy/
The Diplomat, June 27, 2019
By Howard Wang is broadly interested in East Asian security architecture. His writing has been published in China Brief, The National Interest, and The Georgetown Security Studies Review
6月27日、東アジアの安全保障問題の専門家であるHoward Wang氏は、米外交専門誌The Diplomat(電子版)に、" Taiwan’s Security Role in the U.S. Indo-Pacific Strategy "と題する記事を公表した。その中で同氏は、6月1日に米国防総省が初のインド太平洋戦略報告書を発表したことを取り上げている。同氏は、この国防総省公式プレスリリースが同報告書を「実行計画書(implementation document)」と表現し、トランプ政権が掲げる自由で開かれたインド太平洋(FOIP)という広範なビジョンにおける同省の役割を明確にしたとし、同報告書からは、国防総省のFOIPに関する3つの柱、すなわち①準備、②パートナーシップ、③ネットワーク化された地域の構築推進を読み解くことが可能だと述べている。
 
(4) The Navy’s Golden Chance to Return to Subic Bay
https://www.usni.org/magazines/proceedings/2019/june/navys-golden-chance-return-subic-bay
USNI Proceedings, June 2019
By Captain Brian Buzzell, U.S. Navy (Retired)
米海軍退役大佐Brian Buzzellは、2019年6月の米海軍協会の機関誌USNI Proceedingsのウェブサイトに“The Navy’s Golden Chance to Return to Subic Bay”と題する論説を寄稿した。彼はその中で、①近年米国は、米比相互防衛条約の下でのコミットメントを尊重することに真剣に取り組んでいるとフィリピンを納得させようとしてきたが、一部のフィリピン当局者は、この条約は中国による非対称的な脅威に対処するために「微調整」を必要としていると指摘している、②米国は、この関係を強化し中国の影響力を食い止めるための機会を利用するべきである、③米国は海軍艦艇を355隻にまで増やそうと試みる一方、その数に近い艦艇を建造して維持するのに十分な国有造船所の能力がないことを認識している、④スービック自由貿易港地帯で韓国企業の造船所が2019年2月に閉鎖されて以来、米国を含む外国企業から関心が寄せられているが、最も積極的な売却先候補は中国企業であり、これはフィリピンの安全保障上の懸念を強めている、⑤米政府は、この造船所に関心があることをフィリピン政府に早く伝えるべきである、⑥この状況は、米海軍がスービック湾に戻る絶好の機会を与え、強固な米比同盟というメッセージを北京に送るだろう、⑦米国が新たな官民造船所を増やすことは、多数の海軍艦艇の太平洋での使用と戦闘準備のために非常に役立つ、などの主張を展開している。