岡野 英之HIDEYUKI OKANO

近畿大学総合社会学部 准教授

  • 【エッセイ】ミャンマー・2021年クーデター後のロヒンギャ人難民キャンプ (3) ―バングラデシュからの海外を目指す―

    2025.10.17

    岡野 英之バングラデシュ新着
    【エッセイ】ミャンマー・2021年クーデター後のロヒンギャ人難民キャンプ (3) ―バングラデシュからの海外を目指す―

    本エッセイ(第3回/全3回)は、ロヒンギャ人をめぐる国籍問題と、ミャンマー・バングラデシュ両政府の対応を考察します。ミャンマー政府はロヒンギャ人を「移民」として国籍を認めず、バングラデシュ政府も自国民としての統合には否定的です。こうした制度の狭間で、ロヒンギャ人は「どの国にも属さない存在」として扱われています。筆者は現地調査を通じて、国境や国籍に縛られた近代国家の枠組みが、難民の尊厳や人権にどのような影響を与えているのかを問い直します。シリーズの締めくくりとして、制度の限界と人間の尊厳をめぐる根本的な問いに迫ります。


  • 【エッセイ】ミャンマー・2021年クーデター後のロヒンギャ人難民キャンプ (2) ―ラカイン州政治情勢に翻弄される難民たち―

    2025.10.10

    岡野 英之バングラデシュ新着
    【エッセイ】ミャンマー・2021年クーデター後のロヒンギャ人難民キャンプ (2) ―ラカイン州政治情勢に翻弄される難民たち―

    本エッセイ(第2回/全3回)は、バングラデシュ側のロヒンギャ人難民キャンプで暮らす人々の声を通じて、彼らの生活実態を描きます。筆者は現地調査の一環として家庭を訪問し、若者や女性たちから教育や労働、家族の喪失、将来への不安などについて聞き取りを行いました。難民キャンプでは支援団体による雇用のほか、非公式な労働も広がっており、現地のベンガル人との関係性も複雑です。一方で、治安の悪化や勢力争いも報告されており、難民たちは不安定な環境の中で暮らしています。現場の声を通じて、制度の限界と人間の尊厳を問い直します。


  • 【エッセイ】ミャンマー・2021年クーデター後のロヒンギャ人難民キャンプ (1) ―現地のベンガル人と隔絶されつつも隣り合って暮らす難民たち―

    2025.10.03

    岡野 英之バングラデシュ新着
    【エッセイ】ミャンマー・2021年クーデター後のロヒンギャ人難民キャンプ (1) ―現地のベンガル人と隔絶されつつも隣り合って暮らす難民たち―

    本エッセイ(第1回/全3回)は、ミャンマーからバングラデシュへ逃れたロヒンギャ人難民の現状を、2024年11月の現地調査をもとに描いています。筆者はタイ=ミャンマー国境の専門家で、今回初めてバングラデシュ側の難民キャンプを訪問。ロヒンギャ人は現地のベンガル人と外見や言語が近いにもかかわらず、有刺鉄線で隔てられた生活を送っています。支援の縮小や労働規制の中、難民たちは日々の暮らしを模索しています。本シリーズでは、国境を越えて生きる人々の姿から、近代国家の制度が抱える限界と難民の尊厳をめぐる課題を考えます。


  • 【エッセイ】ミャンマーの民主闘争と国内避難民 (3)―越境支援の現場から―

    2024.02.29

    岡野 英之新着ミャンマー
    【エッセイ】ミャンマーの民主闘争と国内避難民 (3)―越境支援の現場から―

    本連載はこれまで、私がマンダレー滞在中に見た国内避難民の様子を描いてきた。第三回目の今回は、舞台を隣国タイの国境地帯に移したい。私はマンダレーに数週間滞在した後、タイに飛んだ。タイでは10日間ほど滞在し、ミャンマーとの国境地域を調査した。とりわけ本稿で伝えたいのは、国境を通して実施されるミャンマー人たちによる同胞への支援の様子である。


  • 【エッセイ】ミャンマーの民主闘争と国内避難民 (2)―仏教僧院という隠れた「避難民キャンプ」―

    2024.01.15

    岡野 英之新着ミャンマー
    【エッセイ】ミャンマーの民主闘争と国内避難民 (2)―仏教僧院という隠れた「避難民キャンプ」―

    連載第二回目には、仏教寺院(=僧院)に身を寄せる「隠れた国内避難民」を紹介したい。ミャンマーの僧院は人々にとって「駆け込み寺」として機能している。国内避難民たちの中には、そんな僧院を頼って暮らしている者もいる。