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2024.03.20
今村 真央新着ミャンマー【エッセイ・映画評】 人間が獣のように吠える時〜 ~『この都市を失って』(『負け戦でも』)
近年ミャンマー人監督によるドキュメンタリー映画が数多く作成され、日本をはじめ国外でも上映機会が増えている。国際映画祭などで選出されることも稀ではない。これは以前には見られなかった現象である。2023年にはミャンマー人による作品(『この都市を失って』(『負け戦でも』))が山形国際ドキュメンタリー映画祭のアジア部門(「アジア千波万波」)で最高賞(小川紳介賞)に選ばれた 。 本エッセイでは、ミャンマーのドキュメンタリー作家が2021年クーデター後に直面する課題を論じた上で、『この都市を失って』(『負け戦でも』)がいかに新境地を切り拓いたかを示したい。
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2024.03.11
大橋 正明バングラデシュ難民支援におけるHDPネクサス :日本のODAはバングラデシュでこれをどう実現できるのか?
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、何らかの理由で故郷を追われ国内外に避難を強いられている人の数は2023年5月現在1億1千万人で、18年末の7,080万人からわずか4年間で4千万人も増加した。現下の国際情勢を見れば、この数はその後も大きく増加していると思われる。なおこのうち3,640万人が国外に逃れた難民で、その 69%が低・中所得国、とりわけ20%が特に貧しい後発開発途上国(以下LDC)に逃れており、しかも66%が滞在期間5年以上の長期難民 であり、それらの国々での受け入れ負担は大きい。
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2024.03.08
斎藤紋子アジアのイスラーム新着ミャンマー仏教徒とムスリムの関係:ミャンマーでの反ムスリム運動の背景を考える
現在、反ムスリムの動きは少なくなり、2021年のクーデターの影響で、マイノリティ全体に対する風向きが少しだけ良い方向に変わりつつあるように見える。しかし、反ムスリムの動きが全くなくなったわけではない。ミャンマーの人々が抱く反ムスリムの感情は民主化後に急激に高揚したようにも見えるが、実際には民主化以前は顕在化していなかっただけの状態であった。本稿ではミャンマーで多数を占める仏教徒と、マイノリティであるムスリムの関係について、少し時代をさかのぼって考えてみたい。
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2024.02.29
岡野 英之新着ミャンマー【エッセイ】ミャンマーの民主闘争と国内避難民 (3)―越境支援の現場から―
本連載はこれまで、私がマンダレー滞在中に見た国内避難民の様子を描いてきた。第三回目の今回は、舞台を隣国タイの国境地帯に移したい。私はマンダレーに数週間滞在した後、タイに飛んだ。タイでは10日間ほど滞在し、ミャンマーとの国境地域を調査した。とりわけ本稿で伝えたいのは、国境を通して実施されるミャンマー人たちによる同胞への支援の様子である。
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2024.01.15
岡野 英之新着ミャンマー【エッセイ】ミャンマーの民主闘争と国内避難民 (2)―仏教僧院という隠れた「避難民キャンプ」―
連載第二回目には、仏教寺院(=僧院)に身を寄せる「隠れた国内避難民」を紹介したい。ミャンマーの僧院は人々にとって「駆け込み寺」として機能している。国内避難民たちの中には、そんな僧院を頼って暮らしている者もいる。