ドキュメンタリー『バングラデシュ:政変と少数民族』予告編のご紹介

 

 

バングラデシュは53年前に独立を果たしましたが、国内の多くの先住民族・少数民族コミュニティは、そのアイデンティティと権利に関して、いまだに課題に直面しています。先住民族・少数民族コミュニティ独自の文化的・社会的アイデンティティに対する社会からの認識は依然として限定的であり、その実態は国内においても十分に知られていません。

多くの先住民族・少数民族はこれまで、国の政策や開発プログラムにおいて置き去りにされた存在であり、独立以降、先住民族・少数民族コミュニティの権利が守られ、アイデンティティが尊重される必要があるとの声があがり続けています。

2024年の学生運動を契機として政変が起きたバングラデシュですが、先住民族・少数民族は、政変を経てもなお大きな変化を実感できていません。政治体制が移り変わる中で、多くの国民が新しい時代への期待を語った一方、少数民族の人々にとって日々の暮らしは不安定さを増した側面もあります。土地をめぐる緊張や生活基盤の脆弱さは解消されず、マイノリティへの眼差しが厳しくなっている現状もあり、政変後もマイノリティの権利は脆弱な状況に置かれています。

とりわけ若い世代は、「変化の波に自分たちは取り残されてしまうのではないか」という不安を抱えています。大学や職場では多数派社会に適応することが求められる一方、自分たちの言語や文化を守りたいという思いも強く、そのはざまで揺れ動いています。

本ドキュメンタリーは、先住民族・少数民族がこの国での自分たちの将来についてどう考えているのか、そして、この国に対してどのような期待を持っているのかを描いた作品です。

 

【本編視聴について】

本編にはセンシティブな内容を含むため、インタビューにご協力いただいた皆様のご意向を踏まえ、不特定多数の方が自由にご覧になれる形での公開は差し控えております。

本編のご視聴を希望される方は、NGOジュマ・ネットまでお問い合わせください。

連絡先

Email:  info@jummanet.org

制作・公開

公益財団法人笹川平和財団

協力: NGOジュマ・ネット

 

関連記事

  • 【動画】ドキュメンタリー「バングラデシュ:政変と少数民族」予告編のご紹介

    2025.10.06

    バングラデシュ新着
    【動画】ドキュメンタリー「バングラデシュ:政変と少数民族」予告編のご紹介

    独立から53年を迎えたバングラデシュでは、先住民族・少数民族が今もなお、アイデンティティと権利をめぐる課題に直面しています。2024年の政変後も状況は改善されず、土地問題や生活基盤の脆弱さが続いています。特に若い世代は、多数派社会への適応と自文化の保持のはざまで揺れ動き、「変化の波に取り残されるのではないか」という不安を抱えています。本トレーラーでは、先住民族・少数民族の人々が、自らの将来とこの国への期待をどのように語るのかを描いたドキュメンタリー作品をご紹介します。 本トレーラーでは、先住民族・少数民族が自らの将来とこの国への期待をどう語るのかを描いたドキュメンタリー作品をご紹介します。


  • 【エッセイ】ミャンマー・2021年クーデター後のロヒンギャ人難民キャンプ (1) ―現地のベンガル人と隔絶されつつも隣り合って暮らす難民たち―

    2025.10.03

    岡野 英之バングラデシュ新着
    【エッセイ】ミャンマー・2021年クーデター後のロヒンギャ人難民キャンプ (1) ―現地のベンガル人と隔絶されつつも隣り合って暮らす難民たち―

    本エッセイ(第1回/全3回)は、ミャンマーからバングラデシュへ逃れたロヒンギャ人難民の現状を、2024年11月の現地調査をもとに描いています。筆者はタイ=ミャンマー国境の専門家で、今回初めてバングラデシュ側の難民キャンプを訪問。ロヒンギャ人は現地のベンガル人と外見や言語が近いにもかかわらず、有刺鉄線で隔てられた生活を送っています。支援の縮小や労働規制の中、難民たちは日々の暮らしを模索しています。本シリーズでは、国境を越えて生きる人々の姿から、近代国家の制度が抱える限界と難民の尊厳をめぐる課題を考えます。


  • 難民支援におけるHDPネクサス :日本のODAはバングラデシュでこれをどう実現できるのか?

    2024.03.11

    大橋 正明バングラデシュ
    難民支援におけるHDPネクサス :日本のODAはバングラデシュでこれをどう実現できるのか?

    国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、何らかの理由で故郷を追われ国内外に避難を強いられている人の数は2023年5月現在1億1千万人で、18年末の7,080万人からわずか4年間で4千万人も増加した。現下の国際情勢を見れば、この数はその後も大きく増加していると思われる。なおこのうち3,640万人が国外に逃れた難民で、その 69%が低・中所得国、とりわけ20%が特に貧しい後発開発途上国(以下LDC)に逃れており、しかも66%が滞在期間5年以上の長期難民 であり、それらの国々での受け入れ負担は大きい。


  • チッタゴン丘陵地帯の内紛──若者世代は平和を生み出す希望か