SPFについて

会長ご挨拶

笹川平和財団を代表して、本年3月11日に東日本を襲った大災害のためにお亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、ご遺族の皆様に対し深くお悔み申し上げます。被災された皆様およびそのご家族に心よりお見舞い申し上げ、被災地の一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。

被災地における日本人の協調を旨とする抑制された対応は、世界の人々の賞賛を受けました。しかし一方で、 次のような疑問も投げかけられました。
協調と抑制を重んじる日本社会の美点は、本当に事実や責任所在の究明に役立つのでしょうか。また、労働人口の顕著な減少、急スピードで進む高齢化、巨額な政府の財政赤字など、マクロ政策面をみると、ほとんど明るい数字がみられない日本の経済社会に活力を与えるためには、「皆が平等に耐える」だけで、十分といえるのでしょうか。むしろ、これらの美徳や精神が、日本社会をさらに内向き指向にさせてしまうのではないでしょうか。
私は、「和をもって貴し」という精神が震災を契機に日本の中での団結のみを促すのであれば、内向的で閉鎖的社会が出現する可能性があると思いますが、連帯を日本の外に求め努力をしていけば、日本にグローバリゼーションの時代に相応しい地位をもたらすと考えます。笹川平和財団は、狭いナショナリズムにとらわれず、日本と世界各国の結びつきを深め、グローバリゼーションの負の面を縮小し、良い面を拡大するために、国際的な連携や交流を積極的に進めていく方針です。

具体的には、実績を積み上げてきた米国との交流を従来の2倍の規模に拡大し、10年先を見据えたプログラムの展開、混迷を深める中東地域では、域内での影響力が高まっているトルコを支援対象国に追加し、「ルック・イースト政策」を支援、インドとは、新たに策定する10年計画に基づき、政治・経済・社会の各分野における交流事業の開始、ASEAN地域においては、CLMV諸国の人材育成に加え、スリンASEAN事務局長らと協力し、世界の各地域とASEANの交流を進展させていくことを計画しています。太平洋島嶼国では、 昨年11月にミクロネシア3国および日米豪の6か国とSPF、日本財団との間でミクロネシアコーストガード設立に向けた支援策が合意され、その一環として本年度から日本財団による巡視艇供与計画が開始されています。

また、グローバリゼーションの進展に取り残された最底辺の10億人をいかに救済するかという観点から、市場と格差の問題に関する調査研究を進め、本年10月にはハベル元チェコ大統領らのイニシアチブの下で、世界のオピニオンリーダーが参加する国際会議「フオーラム2000」において、研究の中間報告を行うことになっています。さらに、科学技術の進歩と社会の在り方についても、東工大や日本の主要企業の協力を得て、政策提言に向けた研究を進めています。人口移動については、2010年度に人口構成と労働市場の変化についてどう対処するか政策提言を行い、すでに外国人受け入れを開始している現場では大きな反響を呼んでいます。 本年度は、これらの提言の実現に向けて、日本各地で周知活動を実施していくことになっています。このほか、タイ南部における平和構築のための対話を支援する取り組みも進展を見せています。

笹川平和財団は、新公益法人法に基づき、公益財団法人としての認定を本年度中に受けることを目指していますが、今後も引き続き日本と世界各地の相互理解を促進し、世界的諸課題の解決に向けて国際社会と連帯・連携を深め、各種事業を旧に倍する努力を払いながら進めていく所存ですので、皆様のより一層のご支援、ご鞭撻をお願いする次第です。

笹川平和財団会長
羽生 次郎
2011年7月

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