SPFについて

会長ご挨拶

今、求められているのは既存枠組みの改善と国民間の相互理解

1990年代末から「今こそ世界の転換期」と指摘され続けてきましたが、この一年、金融危機、世界不況という大きな曲がり角をへて、次の時代がおぼろげながら見えてきました。その時代は、20 世紀後半に築かれた国際的な経済社会の枠組みをそのまま維持できる世界ではなさそうです。自由な市場と規制緩和を中心としたグローバリゼーションは、新興国の経済発展に貢献したものの、同時に最も貧しい諸国と先進国・新興国間の富の格差拡大により不安定な国際情勢をもたらし、さらに今回の金融危機に見られたように先進国経済の脆弱性も明らかにしたからです。

このような状況の中では、政府間や産業間といった従来の枠組みにとらわれない国際的な協力が必要となってきたことは明白です。民間の持つ創意と工夫、既存の価値観にとらわれない発想で懸案を解決しようとする公益財団にとり、既存の国際的な制度や仕組みの改善への提言、そして、国民同士の交流で相互理解促進が、今ほど求められている時はないでしょう。

私達が一昨年新しい事業方針を掲げた時から最重要とした、「グローバリゼーションの功罪」という課題に正面から取り組む時がきました。すでに成果を挙げている「人口移動に関わる問題」に加え、グローバリゼーションと格差、科学技術の発展と社会などのテーマについて、実践的な調査、研究のうえに有識者の方々との議論を重ね、数年をかけて政策提言を行う方針です。また、人的交流では、従来から当財団で実績を積んできた東南アジアの中で、特にミャンマーやカンボジアなどの後発ASEAN諸国の人材育成に重点をおいていきます。

一方、一昨年以来、新たに重点地域として努力を重ねている米国には、ウッドロー・ウィルソン国際学術センターをカウンターパートに、政治経済を中心とした交流事業の拡大をはじめ重層的な事業展開を、中東イスラム諸国には、昨年実現した日本初の本格的なアラビア語のウェブサイトを一層充実させると共に、イラン、エジプトなどのシンクタンクと、相互理解促進のためのセミナーやシンポジウムを開催することにしています。

笹川平和財団は、事業方針に書かれているように「民間主導の国際交流・協力を進めるSPFが、日本および世界の様々な機関と協力することで国際的諸問題への創造性のある解決策を推進する可能性は大きくなっている」ことをはっきり認識し、求められる新しい事業を展開していきます。

旧に倍する皆様方のご支援とご協力をお願いしたいと思います。

笹川平和財団会長
羽生 次郎
2010年7月

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