大陸棚はなぜ重要なのか

日本の申請準備体制と申請の提出

沿岸国は、自国の大陸棚において、資源の探査・開発を行うことができます。(「沿岸国の権利・義務と海底に眠る資源」参照。) このため、200海里を超えて大陸棚の外側の限界を延長することは、沿岸国の海洋権益の拡大につながるため、多くの沿岸国が大陸棚限界委員会への申請を行っています。(「大陸棚限界委員会に対する各国の申請状況」参照。)

日本も、大陸棚限界委員会への申請準備を、政府一体となって進め、内閣に設置された「大陸棚調査・海洋資源等に関する関係省庁連絡会議」において、2004年8月に「大陸棚画定に向けた基本方針」が策定され、この基本方針に基づき、内閣官房の総合調整の下、関係省庁が連携して大陸棚調査を実施しました。

大陸棚調査にはいくつかの種類があり、それぞれ以下のような分担で行われました。

(1)海上保安庁 → 精密海底地形調査と地殻構造探査

(2)文部科学省 → 地殻構造探査(実施者は、海洋研究開発機構(JAMSTEC

(3)経済産業省 → 基盤岩採取(実施者は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)及び産業技術総合研究所(AIST)

また、2007年7月20日施行の海洋基本法においても、大陸棚は排他的経済水域と共に、その開発、利用及び保全のために必要な措置を講じることが規定されています。海洋基本法にもとづき2008年3月に策定された海洋基本計画においても、政府が計画的かつ総合的にとるべき海洋施策の一つとして、大陸棚延長があげられました。
(なお、上述の「大陸棚調査・海洋資源等に関する関係省庁連絡会議」は、海洋基本法の施行に伴い、 総合海洋政策本部の下に設置された幹事会(各省庁局長級)にその機能が引き継がれました。 )

2008年10月31日、麻生太郎内閣総理大臣を本部長とする総合海洋政策本部の会合が開催され、大陸棚限界委員会に申請する延長大陸棚の範囲が決定されました。申請する総面積は、約74万平方キロメートルで、日本の国土面積の約2倍にあたります。この総合海洋政策本部会合決定を受け、日本の申請が大陸棚限界委員会に提出されました。 大陸棚限界委員会による審査の結果、2012年4月19日、同委員会は、日本の申請に対する勧告を採択しました。
(日本の申請について、詳しくは 「3.1.15 日本の申請」を参照して下さい。)

なお、日本の首相官邸ホームページ上にある、総合海洋政策本部の下記ページにおいて、2008年10月31日および2012年5月25日の本部会合の開催状況が報告されており、議事次第及び配布資料が公開されており、その中に我が国の大陸棚延長に関する資料が掲載されています。

また、海上保安庁が発行している海上保安レポート2010年ウェブ版には、海上保安庁が25年以上にわたって実施してきた我が国周辺の大陸棚調査の経緯と大陸棚延長申請の現状についての特集が掲載されています。

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