事業紹介

2009年
事業

292 次世代リーダー対話プラットフォーム構築

事業内容
次代の中国を担う党・政府の若手指導者を招き、日本側の政・財界要人と対話
  • 金融危機後における 「新たな国際金融枠組みに向けた日中協力」 をテーマに、 両国の実務者・専門家による横断的な対話の場を提供しました。
日中両国は、 相互依存関係の深まりとともに、 政府レベルや民間レベル、 2国間や多国間協議などを通じて多元的・重層的な交流・対話を行ってきました。 現在も経済、農業、 財政、 安全保障、 金融、 環境、 食の安全など、 多様な分野での協力が拡大し続けています。

そのような背景のなか、 本年度は国際的な金融協力のあり方や人民元の切り上げ、 などの問題について議論の場を提供しました。

中国からの訪日団長は李肇星前外交部長がつとめ、 国家外貨管理局資本局、 国家発展・改革委員会対外経済研究所、 国務院国有資産管理委員会、 財政部、 中国人民銀行など国際金融にかかわる専門家ら15名が09年12月1日~ 6日に来日しました。

12月3日に公開シンポジウムを開催したほか、 財務省や金融庁、 日本銀行などの実務者とも意見交換を行い、 今後の財政・金融分野における協力方法などを話し合いました。

シンポジウムの記録は報告書としてまとめ、 今回の成果をもとに、 財政や金融の実務的なテーマに基づく交流事業を今後も実施していく予定です。

事業実施者 笹川平和財団 中国国際友好聯絡会(中国) 年数 5年継続事業の1年目(1/5)
形態 自主助成委託その他 事業費 7,287,371円
背景と概要

中国が改革開放政策を導入してから30年が経過し、日中両国は民間レベルの貿易、投資、観光などの経済活動と人的交流が主体となって重層的な相互依存関係を築き、両国はその成果を享受してきました。一方で、資源や環境問題、地域の安定など、両国共同で取り組むべき課題や、歴史認識問題や尖閣諸島問題、東シナ海のEEZ領域問題などのように対立する問題も両国には存在しています。

こうした課題について両国で協力を進めたり、意見の相違が深刻な対立に陥ったりしないためには、対話の機会と交流チャネルをもつことが大切です。日中間には、首脳レベル、閣僚レベル、高級事務レベルなど政府間の交流チャネルや大学、研究所、企業、NGOなど民間においても多くの対話の枠組みと交流のチャネルがあります。

しかし、日中の実務者同士が協力の必要性、進め方、既存の協力の問題点や改善などについて定期的に議論し、実務者同士の交流を深めるようなチャネルは多くありません。既存の実務者による対話も、特定のカウンターパート同士で行われるのが普通で、所属先を横断した若手実務者による対話の場はさらに限られてきます。また、国家間で用意するチャネルは予算制限や国家の権威の関係から、自由な発言が難しい状況でもあります。

そこで笹川日中友好基金では、日中の若手実務者による横断的な議論と交流の場を提供するためパイロット事業「次世代リーダー交流促進」事業を2008年度に企画、実施しました。

2008年12月2日から7日にかけて、前外交部長である李肇星全国人民代表大会外事委員会委員長兼中国国際友好聯絡会会長を団長として、中国共産党や政府関係部門の若手幹部や食の安全分野の専門家たち一行を招へいし、「食の安全と行政監督―日中の経験と課題―」と題するシンポジウムを12月3日に東京で開催したほか、国会議員、行政官僚、大学研究者、マスコミ関係者との意見交換を中心に交流を進めました。

2008年12月3日に開催したシンポジウムの様子

このパイロット事業では影響力のある政治家を団長とすることで、食の安全をめぐる問題が日中両国で大きく取り上げられている時期に、中国から横断的な実務者の参加を得ることができました。

こうした経験を踏まえて、笹川日中友好基金では2009年より5カ年計画で「次世代リーダー対話 プラットフォーム構築」事業を開始することとしました。

日中の若手実務家が所属横断的に参加できる議論と交流の場を提供することによって、実務者同士の信頼醸成に貢献することをねらいとしています。事業実施にあたっては李肇星前外交部長率いる中国国際友好聯絡会に協力を求めました。中国国内での事前準備、訪日団員の人選、訪日交流の共同企画、訪日交流後の総括や報告書作成などの業務を中国国際友好聯絡会に委託し、ともにプラットフォーム構築を準備することとしました。

具体的には、以下の活動をおこないます。

•日中双方で関心度の高いテーマの選定

•中国共産党や政府の若手実務者からなる訪日団の招へい

•毎年、東京でシンポジウムを開催する

•政治家、行政官、研究者、マスコミ関係者との意見交換をおこなう •交流内容を外部発信する

日本訪問日程

訪日団は12月1日(火)から12月6日(日)まで以下の日程で来日しました。

日本訪問スケジュール
月日活動
12月1日(火) 訪日団、北京からCA181便で12:50羽田空港着、宿泊先へ。笹川平和財団会長主催歓迎会。
12月2日(水) 10:00~16:00 実務者意見交換会。
12月3日(木) 15:00~17:30 「新たな国際金融枠組みにむけた日中協力」シンポジウム開催。
12月4日(金) 10:00~13:00 実務者意見交換会。午後:総括会。熱海泊。
12月5日(土) 都内視察。夜、笹川日中友好基金主催歓送会。
12月6日(日) 13:50羽田発CA182便で帰国。
シンポジウム「新たな国際金融枠組みにむけた日中協力」

2009年12月3日、日本財団ビル2階大会議室にて、シンポジウム「新たな国際金融枠組みにむけた日中協力」(笹川平和財団、中国国際友好聯絡会共催)を開催しました。

シンポジウムでは日本財務省、中国国家外貨管理局資本局、中国人民銀行研究局、キャノングローバル戦略研究所の実務者、研究者が登壇し、「世界の金融危機と新たな国際金融枠組み」「中国の国際資本活動の監督と管理」「アジアにおける金融協力に関する見方」などについて議論がされました。来場者とも活発な意見交換がされました。会場には200名ほどの来場者がありました。

2009年12月3日に開催したシンポジウムの様子

また、シンポジウムについては新華社より記事が配信され、24社に転載されました。中国国家外貨管理局資本局の局長による発表内容は数百社に転載されました。

「中日財界人、金融協力の強化を討議」新華タイムズ(2009.12.6、日本語)

「中日経済界人士探討加強金融合作」新華網(2009.12.3、中国語)

また、この記事は中国中央政府HP(2009.12.4、中国語)にも掲載されました。

「専家:中国国家外貨管理局将加強跨境資本流動監管」新華網(2009.12.4、中国語)

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