事業紹介

2010年
事業

303 中国若手ジャーナリスト招へい

事業概要
近年、日中関係の改善に伴い、中国国民の日本に対する好感度も徐々に上がってきた。しかし、相手国を知る情報源が限られ、また直接的な交流が少ないため、草の根レベルでは、日本に関する基本的な理解が不足しているのが現状である。一方中国では、一般的の人々の対日イメージは、主にインターネット、活字メディア、映像メディアから形成されている。本事業は、中国国民の対日理解の促進を図るために、中国で影響力のあるインターネットや活字メディアで活躍する若手ジャーナリストに現代日本の政治・経済・社会などについて広く実地見聞する機会を提供し、等身大の日本像の発信を促すことを狙いとしている。本事業を通じて、中国の活字・インターネット界で影響力のあるジャーナリストによる日本理解の浸透が期待される。
実施計画
本年度は3年事業の最終年度として下記の活動を実施する。
  • 訪日視察前の準備
    中国側事務局(清華-日経メディア研究所)とメンバー構成の確定、視察テーマの設定、視察先の選定などについて協議する。訪日前の連絡業務、出国手続き、準備会議の開催を清華-日経メディア研究所に業務委託する。招へい者は、活字、映像、インターネットメディアの現場で活躍する若手記者や編集者12名とする。
  • 訪日視察の実施
    2010年10月下旬を目処に訪日視察団を招へいする。訪日時の旅行関連業務は日本の旅行代理店に業務委託する。
    訪日期間:
    9泊10日間
    訪日内容:
    東京や地方を訪れ、日本の政治、経済、社会、文化などを視察する他、同業者や各界の人々と対話し、意見交換やインタビューを実施する。
  • 訪日後の総括
    帰国後に中国側事務局が訪日事業参加者、政府のメディア政策担当者を集め、情報交換と訪日の成果を報告する総括会を開催する。
実施内容・事業成果
本事業は、中国で世論形成に影響力をもつメディア関係者に日本理解を深めてもらい、等身大の日本像を中国国民に伝えてもらうことを目的として、過去3年間でのべ37名の中国若手ジャーナリストを招へいし、日本理解促進のための訪日研修を実施しました。

初年度は「日本の文化」をテーマとして、2009年2月11日~19日の日程で11名のジャーナリストを招へいし、東京、広島、京都、神戸、大阪の5都市を訪問しました。東京では、相撲部屋や日本サッカー協会、スタジオジブリなどを視察しました。またフジテレビ、日本経済新聞社、読売新聞社、靖国神社なども訪問しました。地方では広島平和記念資料館、厳島神社、京都本願寺、人と未来防災記念館、大阪万博公園など日本文化を中心とした視察を行いました。視察訪問の結果はインターネットや新聞を通じて報道されました。

2年目は「日本の政治・経済」をテーマとして、2009年10月20日から28日までの日程で訪日団14名が来日し、東京と北海道を訪問しました。ちょうど政権交代直後の来日であったため、東京では民主党政権誕生後の日本政局の変化や日本の産業界の現状について視察し、民主党および自民党本部、大手材料メーカー、東京証券取引所、東京モーターショーなどを訪れました。また日本の福祉事情を理解するために、特別養護老人ホームも訪問しました。北海道では「観光」をテーマに、北海道運輸局の観光部門を訪問し、千歳地域観光情報交換会などに参加しました。さらにメディア交流として、読売新聞社、北海道新聞、北海道放送を訪問したほか、北海道大学東アジアメディアセンターとの共催で、中国メディア事情に関するシンポジウムを開催しました。

最終年度である本年度は、2011年2月12日~21日の日程で訪日団12名を招へいし、東京、沖縄、広島の3都県を訪問しました。東京では「日本の生老病死」をテーマに、特別養護老人ホーム港南の郷、済生会中央病院、乳児院の視察、日本の葬儀事情に関するレクチャーを受けました。またNHKを訪問し、原田誠国際放送局長と意見交換するとともに、番組の収録を見学しました。沖縄では「戦争と平和」をテーマに、南部戦跡視察、沖縄タイムスでの米軍基地問題に関する意見交換、仲井眞弘多沖縄県知事への表敬を行いました。広島では「原爆と平和」をテーマに中国新聞社を訪問したほか、平和記念公園で胎内被爆者の案内を受けて、平和記念資料館を視察しました。一行の広島原爆視察はNHKに取材され、特集番組で放映されました。

訪日したジャーナリストたちは、来日中あるいは帰国後に視察訪問の体験・感想をインターネットや活字メディアを通じて、中国国民に向けて報道し、日本に関する客観的な情報発信に貢献しました。

事業実施者 笹川平和財団 清華大学清華-日経メディア研究所(中国) 年数 3年継続事業の3年目(3/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 7,229,214円
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