柴山 信二朗
2015.11.01
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October 2015: Southern Thailand

1) 兵力増強の兆し

287人の空軍兵士がパタニー県ノーンチック軍にあるパタニー空港に新たに駐屯する。赴任兵は公共セクターおよび民間セクターの双方と協力し、治安維持にあたる。兵力増強は主にISOC第4管区の要請に基ついたものである。

2) 新陸軍第4管区司令官

ウィワット陸軍中将が新たに陸軍第4管区司令官およびISOC第4管区司令官に就任した。同司令官はナラティワート県出身の仏教徒で、深南部での軍役が長い。

ウィワット陸軍第4管区司令官は、国外逃亡者の帰国を促すプログラムのもとで人々を武力活動から引き戻すために、マーラー・パタニーとの和平対話は重要である、との認識を示した。

3) 和平対話の状況

12日に公開されたBRNによるという4ページにわた る英文公開文 書には、BRNはタイ政府を信じておらず、和平対話はその他諸国からのオブザーバーとメディエーターによりおこなわれるべきである、と書かれていた。同公開文書 について、アックサラー和平対話タイ政府代表団代表は、公開文書は和平対話に反対であることをアピールするためのものであろう、とした。また、バンポットISOC報道官/和平対話タイ政府代表団副報道官は、タイ政府は和平対話に対して真摯に取り組んでいないとする公開文章を出したBRNの一派は和平対話に加わるべきである、と述べた。

一方、近隣諸国の首都 でのBRN情報部4人とされる人物とのインタビューによると、BRNは現在行われている和平プロセスに参加していないが、和平対話が国際的な基準にのっとっておこなわれるのであれば、和平対話に反対するわけではないとも述べたという 。

4) 爆弾事件が多発

12日、ナラティワート県イーンゴー郡、スンガイパーディー郡、バーチョ郡で5件の爆弾事件があり、警官4人が負傷した。

20日夜には、パタニー県コークポー郡の8か所で爆弾が爆発し、6人が負傷した。前日の19日には、同県サーイブリー郡で、爆弾の爆発により、兵士2人が死亡、5人が負傷していた。コークポー郡の爆弾事件では、イスラーム宗教教師が容疑者として身柄を拘束されたが、家族は同教師の無罪を主張している。

また29日の夜、ヤラー県全郡で14件の爆弾事件と21件のタイヤ放火事件が発生した。多くの爆弾が停電を引き起こすために電柱を狙ったものだった。翌30日の朝には、ヤラー県で2件の爆弾事件が発生し、警官3人と兵士2人が負傷した。これらの連続爆弾事件と放火事件は武装勢力メンバーがヤラー県全郡で活動していることを示している。ヤラー県連続爆弾事件および放火事件はRKKの仕業であると見られている。

これらの事件を受け、深南部の治安体制が強化された。特に繁華街 の治安体制強化に重点が置かれる。

5) SBPACの新ホットライン・サービス開始

29日、SBPACは新しいホットライン・サービス1880を開設した。住民は1880とダイヤルすることによって1日24時間いつでも 情報提供や問題を通報することができる。ホットライン・サービスを通して連絡のあった問題については、担当機関に連絡をし、10分以内にサービス利用者にフィードバックする。南部国境県行政センター(SBPAC)は人権活動家、弁護士、通訳といったボランティアなどの市民ネットワークと協力してホットライン・サービスを提供する。

註:上記内容は主に以下のWEBサイトの記事等を参考に、筆者が編集した。

Bangkok Post (http://www.bangkokpost.com/)
Deep South Watch (http://www.deepsouthwatch.org/)
Deep South Journalism School (http://www.deepsouthwatch.org/dsj)
Isra News Agency (http://www.isranews.org/)
Matichon Online (http://www.matichon.co.th/)
National News Bureau of Thailand (http://thainews.prd.go.th)
The Nation (http://www.nationmultimedia.com/)

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