柴山 信二朗
2015.07.01
  • アーカイブ

June 2015: Southern Thailand

1) 国外逃亡者の帰国プログラム

15日、ナラティワート県の軍基地で、タイ国外へ逃避していた450人を超えるイスラーム教徒が当局と面会し、面会者たちが無事にタイに帰国できるように当局に陳情した 。面会は閉じられた環境下でおこなわれた。これら面会者の半数以上の人々にはタイで逮捕状が出されている、または、犯罪に関わった容疑がかけられている。深南部のイスラーム教指導者たちが逃避者の同取り組みへの参加に協力した。同面会は政府が主導する深南部コミュニティーとの信頼構築のための和平プロセスの一環で、首相府令第230/2558号における和平プロセスの第3段階に位置付けられる取り組みである。

SBPAC(南部国境県行政センター)が実施している国外逃避者の帰国を促すプログラムには、2012年の開始以降、1,400人以上の人々が参加し、その内、非常事態令下で逮捕状が出されていた約700人が 職業訓練を受けた後に社会復帰している。マレーシアには更に1,000人を超える国外逃避者が待機しており、取り組みが国外逃避から帰国した人々の身の安全を確保するものかを注視している。

2) ラマダーン前と開始後1週間の暴力事件数

ISOC第4管区は、ラマダーン前とラマダーン開始後1週間の紛争関連暴力事件は昨年度比で約73%減少した、と報じた。

また、ラマダーン期間中は、30のコミュニティ・ラジオ局の放送が許可された。

3) 非公式和平対話

ナックロップ和平対話政府代表団秘書官によると、非公式な和平対話がタイ政府と6つの武装勢力グループとの間でおこなわれており、進展もある。これまでに2度、マレーシアで非公式に対話がおこなわれたが、内容は公開されていない。

武装勢力側代表団には、BRNのハサン・タイップ氏の参加は見られず、その替わりに、同氏のチームの一 員である古顔が参加している。なお、双方の代表団の決め事により、対話参加者の氏名は公表されない。

なお、ラマダーン期間の停戦については、合意には至っていない。

次回の非公式対話はラマダーン明けにおこなわれる予定であるが、公式な対話がいつ始まるのかは定まっていない。タイ政府代表団は、現在は、非公式対話により、相互の信頼熟成を図っている段階であるが、今年末までに武装勢力と共同声明を出し、和平プロセスに着手することができると、楽観的な見方を示している。

一方、草の根レベルでも和平に関する対話が進められている。

註:上記内容は主に以下のWEBサイトの記事等を参考に、筆者が編集した。

Bangkok Post (http://www.bangkokpost.com/)
Deep South Watch (http://www.deepsouthwatch.org/)
Deep South Journalism School (http://www.deepsouthwatch.org/dsj)
Isra News Agency (http://www.isranews.org/)
Matichon Online (http://www.matichon.co.th/)
National News Bureau of Thailand (http://thainews.prd.go.th)
The Nation (http://www.nationmultimedia.com/)

01 July 2015

SHINJIRO SHIBAYAMA柴山 信二朗

モニター

関連記事

  • November 2015: Myanmar

    2016.01.02

    山本 一恵 アーカイブ
    November 2015: Myanmar

    8日に総選挙が実施された。投票終了時刻の午後4時から開票作業が始まり、同日深夜までには大勢が判明し、国民民主連盟(NLD)の圧倒的勝利が確実となった。選挙管理委員会は翌日9日午後から、一日6回各地区の公式開票結果を順次発表し、最終的な公式開票結果は19日に発表された。


  • December 2015: Southern Philippines

    2016.01.02

    大矢 南 アーカイブ
    December 2015: Southern Philippines

    大矢 南 1) 人権団体、現政権下で民兵組織に殺害された民間人94人に上ると発表 2) 国家公安委、大量虐殺事件に関与した警官32人を行政処分 3) 移行期正義和解委、政府とMILFに報告書提出 4) バシ


  • November 2015: Southern Philippines

    2015.12.10

    大矢 南 アーカイブ
    November 2015: Southern Philippines

    フィリピン日本人商工会議所を含む財界13団体は3日、首都圏マカティ市内で記者会見を開き、アキノ現政権下での可決が危ぶまれているバンサモロ基本法案について、早期可決を促す共同声明を発表した。


  • October 2015: Myanmar

    2015.12.09

    藤村 瞳 アーカイブ
    October 2015: Myanmar

    民族宗教保護協会(通称マバタ)が10月2日から4日にかけて、民族宗教保護法の成立を祝う記念式典を開催した。式典には僧侶2500名が参加し、マバタを率いる高僧らも出席した。民族宗教保護法とは、仏教徒女性婚姻特別法や一夫一妻制度法などを含む4つの法案の総称であり、これらの法律成立のためにマバタは2012年から活動を行なってきた。これらの4法案は今年9月までに全て可決され法律として成立した。