柴山信二朗
2015.04.01
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March 2015: Southern Thailand

1) ウドムデート陸軍司令官のマレーシア訪問

11日、ウドムデート陸軍司令官はマレーシアに向けて出発した。マレーシアの陸軍司令官に招かれての訪問であるという。

ウドムデート陸軍司令官によると、暴力事件の抑制に繋がるマレーシアへの入国者と国境付近の居住者を管理することをマレーシアの陸軍司令官は約束しているという。今回の訪問では、2国間関係と諜報活動協力の推進が目指され、また、治安面での協力、国境フェンスの設置、国境での植林活動や村落開発などについて協議する予定とのことである。

2) アクサラー和平対話タイ政府代表団代表の深南部訪問

14日、アクサラー和平対話タイ政府代表団代表は、最近の深南部訪問は和平対話と和解関連事項について地域の宗教指導者達と話し合うための訪問だった、と述べた。また、地域のムスリム指導者たちに、武装勢力メンバーとなった地域住民に村に戻るように説得することを依頼した、とした。

また、タイ政府代表団は、武装勢力リーダーのリストをマレーシアに提出した、とも述べた。それに対し、マレーシア政府は、情報を確認するために少々の時間を要する、との回答があったとのことである。

アクサラー和平対話タイ政府代表団代表は、タイとマレーシア両国の軍関係は良好であり、20日~21日にかけて同代表とプラウィット国防相がマレーシアを訪問し、同国で開催されるアセアン国防大臣会合に参加し、また、ナジブ・マレーシア首相と会談する予定である、と述べた。

3) 他管区からの駐留兵の撤退

15日、ナックロップ第5策作戦令センター副司令官によると、4月以降、深南部に駐留している同地域管轄外地域からの兵士は、徐々に第15歩兵連隊および地域の警護ボランティアなどと入れ替えられる。入れ替えはパタニー県から開始され、約2~3年間を要する、とした。

4) 和平対話の状況

15日、ナックロップ第5作戦指令センター副司令官は、BRNおよびPULOの3派の4つの武装勢力グループと、4月か5月初めに最初の和平対話を持つ、とした。

5) 暴力事件の減少

20日、プラウィット国防相は、昨年度同時期と比較し、深南部の暴力事件数は半減した、と述べた。陸軍第4管区が地域レベルでの対話を促進したことなどが、暴力事件の減少に貢献している、とした。しかし、具体的データは示されなかった。

一方、政府は武装勢力との和平対話に向けて準備をしている、ともした。

6) トゥンヤーンデーン(トチュート村)事件

25日夜、パタニー県トゥンヤーンデーン郡ピテーン行政区 トチュート村で、村民からの情報により同村近くの森中を捜索していた治安部隊により、若者4人が殺害され、22人が拘束された。現場では3丁の銃器および手榴弾1つが押収された。プラモートISOC第4管区報道官によると、トゥンヤーンデーン・モデルの信頼性を傷つけるための策略を話し合うために、若者たちは集まっていたという。また軍諜報部員によると、RKKメンバー4人が事件を計画しているとの情報が事前にあったとのことである。死亡した若者にはピテーン行政区 副区長の息子とファトニ大学学生2人が含まれていた。

同事件では治安部隊の誤射が疑われ、29日に真相究明委員会が設置され、7日以内に真相の究明がおこなわれる、とされた。真相究明委員会パタニー県イスラーム委員会委員長が委員長を務め、3月31日に現場検証をおこない、翌日に目撃者13人から事情を聴収した。13人は事件現場で拘束された22人の一部である。

01 April 2015

SHINJIRO SHIBAYAMA柴山 信二朗

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