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December 2014: Southern Thailand

1) プラユット首相/NCPO議長のマレーシア訪問
2) 和平対話のタイ政府側体制
3) 2重国籍者
4) 軍の深南部対策
5) 大洪水
1) プラユット首相/NCPO議長のマレーシア訪問
1日、日帰りでマレーシアを訪問したプラユット首相はナジブ・マレーシア首相と会談した。同訪問にはプラウィット国防相、タナサック外相、ウドムデート陸軍司令官、アックサラー軍顧問団主席顧問、アヌシットNSC事務局長および深南部を担当する高級官僚が同行した。首脳会談では、深南部問題の他、経済協力についても話し合いが持たれた。
帰国後、プラユット首相は、マレーシアはアックサラー軍顧問団主席顧問が和平対話タイ政府側代表団代表になることに異存はなく、武装勢力と連絡を取り、相互信頼を熟成し、武装勢力グループ代表団を確定する、と述べた。これらが進展すれば、停戦合意がおこなわれ、ロードマップが準備されるが、全体のタイムテーブルは定めない、とした。和平対話に臨むタイ政府側代表団は、アックサラー軍顧問団主席顧問が代表を務め、その他9人のメンバーにより構成されるとしたが、和平対話の再開時期については明言しなかった。平和への取り組みは、首相が指揮する政策レベル、和平対話代表団代表であるアックサラー軍顧問団主席顧問が率いる交渉レベル、プラーカーン陸軍第4管区司令官が指揮する地域レベルの3つの命令系統により実施される、とした。
一方、ナジブ首相は、武装勢力が暴力事件を停止した後に深南部の軍のプレゼンスを低下させるとプラユット首相が語った、と述べた。また、停戦期間を設ける、全ての武装勢力が対話に参加する、武装勢力は結束する、という3つの原則の下、マレーシアが和平対話のファシリテーターを継続して務める、とした。3つの原則の下、タイはマレーシア1国のみと和平プロセスを進める、と述べた。
また、全ての武装勢力が暴力事件を停止し、様々な武装勢力グループが和平対話のテーブルにつくことに合意した時のみ和平対話は再開されることに、両首相は合意した。再開後1回目の公式対話は2015年1月中旬に開催されることが期待されており、前段階として、12月後半に実施担当者よる非公式な会合が開催されると言う。
一方同日、タイおよびマレーシアの両国で、抗議集会がおこなわれた。深南部では、「クーデターでできた政府と交渉するのが適切なのか」とかかれた垂れ幕がパッタニー県の少なくとも10カ所で掲げられた。また、パッタニー県カポー郡では、区職員を乗せた車両が爆弾の爆発に遭遇したが、死傷者はいなかった。ヤラー県でもジャウィ語で書かれた政府を批判する垂れ幕が掲げられ、その近くで爆弾が爆発した。ナラティワート県でも同様の垂れ幕が11か所で見つかり、同県ルーソ郡では保健所が放火され、ウェーン郡では、垂れ幕近くを通った警察車両を狙ったと思われる爆弾が爆発した。これらの事件は和平対話再開の取り組みを遮り、国際的な関心を引き寄せるためのものである、とバンポットISOC報道官は述べた。

2) 和平対話のタイ政府側体制
3日、和平対話は3つのレベルにより進められ、ISOCはそのことを承認している、とバンポットISOC報道官は述べた。政策レベルの和平対話推進委員会はプラユット首相が議長を務める。和平対話を実施する和平対話パネルはアックサラー軍顧問団主席顧問が率いる。同パネルは外務省、法務省、国家情報局(NIA)、NSC、軍の代表の10名で構成される。地域レベルのコーディネーションをおこなう地域内組織コーディネーション・ワーキンググループは陸軍第4管区司令官が先導する。地域内組織コーディネーション・ワーキンググループは学者、平和活動家などが加わり、各分野でチームが構成される。各チームのリーダーと事務局長はISOC職員が務める。
また、和平のプロセスは3つのフェーズからなる。初めのフェーズでは、話し合いにより理解と信頼を熟成する。次のフェーズでは、対立を減少させ、暴力事件を終わらせるための行動規範について和平対話での合意を目指す。その後のフェーズで、平和的手段により紛争を終えるためのロードマップを作成する。
なお17日の報道によると、和平対話タイ政府側代表団代表であるアックサラー軍顧問団主席顧問はファシリテーターであるマレーシアのザムザミン氏と2度の会談をおこなった。
3) 2重国籍者
4) 軍の深南部対策
3日、ウドムデート陸軍司令官は、軍の深南部紛争へのアプローチはコミュニスト対策としてプレーム政権時の1980年に出された首相令第66/23号が基礎となる、と述べた。
5) 大洪水
17日以降、大雨やダム放流により、深南部は20年振りとも言われる大洪水に見舞われた。36郡が被災地域に指定され、29日の時点で、1,415村が被害にあい、237の学校が閉鎖され、32の宗教施設、17の政府関連事務所が影響を受け、少なくとも14人が死亡、8人が負傷した。
2014年1月~2014年12月の暴力事件(別表参照

註:上記内容は主に以下のWEBサイトの記事等を参考に、筆者が編集した。
Bangkok Post (http://www.bangkokpost.com/)
Deep South Watch (http://www.deepsouthwatch.org/)
Deep South Journalism School (http://www.deepsouthwatch.org/dsj)
Isra News Agency (http://www.isranews.org/)
Matichon Online (http://www.matichon.co.th/)
National News Bureau of Thailand (http://thainews.prd.go.th)
The Nation (http://www.nationmultimedia.com/)


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