2014.07.01
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May 2014: Myanmar

選挙管理委員会が選挙運動に新しいガイドライン

選挙管理委員会は、選挙運動に関するルール案を策定、各政党に通知した。15日には、60以上の政党の代表者らと直接、協議を行った。ルール案では、運動期間を3か月から約1か月に短縮、政党党首や他の党員が候補者の応援をする場合、地区の選挙管理委員会の承認を受け、許可証を携行しなければならないとしたほか、候補者は立候補届け出後15日以内に、運動のルートや時間など予定を届け出なければならないなど、厳しい内容となっている。

会合で選挙管理委員会のTin Aye委員長は「新しい指針は、国際的な選挙ルールを基に、ミャンマーの実情に沿ったものに修正した」と説明した。これに対し、野党は「制約が多すぎる」「運動期間が短すぎる」などと反発している。 

協議に先立ち、Tin Aye委員長は「協議での意見を基に、指針を決める。規則については私が判断する。私の義務は、自由で公正な選挙を実施することだ」とメディアに語った。

https://www.dvb.no/news/controversial-campaign-guidelines-drafted-burma-myanmar/40592
http://www.mizzima.com/mizzima-news/myanmar/item/11180-mixed-reaction-from-parties-to-draft-election-campaign-guidelines
http://www.irrawaddy.org/burma/election-campaign-rules-spark-concern-among-opposition-parties.html
https://www.dvb.no/news/uec-and-party-leaders-split-on-campaign-rules/40769

ミャンマーで初のアセアンサミット

ASEAN首脳会議が11日、ミャンマーの首都・ネピドーで開かれた。ミャンマーが1997年、ASEAN加盟後、初の議長国としての開催。

これに先立ち、10日には、外相会議が行われ、(中国とベトナムとの間などで)領有権をめぐる争いが起こっていることについて深刻な懸念を示し、関係国に平和的手段での解決を求める声明を発表した。

11日の首脳会議でも、主にこの問題が取り上げられた。首脳会議でも、外相会議同様、事態に「深刻な懸念」を表明するとともに、名指しすることはなかったものの、中国に対し、「脅しや武力行使ではなく、国連海洋法条約などの国際法にのっとり、平和的な手段で解決するよう」自制を求めるとともに、南シナ海における行動規範の策定に向け、早期に結論を目指す「ネピドー宣言」を採択した。

宣言にはこのほか、2015年のASEAN経済共同体発足に向け、加盟国の連携強化も盛り込まれた。

http://www.irrawaddy.org/burma/asean-chair-burma-can-make-progress-south-china-sea-disputes-official.html
http://elevenmyanmar.com/index.php?option=com_content&view=article&id=6050:asean-statement-on-concern-over-tension-in-south-china-sea&catid=46&Itemid=386
http://www.mizzima.com/mizzima-news/regional/item/11172-asean-expresses-alarm-over-territorial-disputes
http://www.asean.org/news/item/24th-asean-summit

アメリカが経済制裁一部延長

アメリカのオバマ大統領は15日、ミャンマーへの経済制裁措置を1年延長すると、議会に通知した。米国企業及び米国民は、ミャンマーへの投資や、軍、政府及び1990年代半ば以降、同国の民主化を弾圧してきた関係者との商取引が禁止される。ホワイトハウスが出した声明によると、オバマ大統領は、「ミャンマーでは多方面で、意義のある前進をしているが、現状は、米国の安全保障や外交政策に多大な脅威をもたらし続けている」とし、ラカイン州など少数民族地域で紛争や人権侵害が続いていることや、政治や経済活動において軍がコントロールし続けていることなどを、措置延長の理由としてあげている。

https://www.dvb.no/news/us-renews-limited-sanctions-on-burma-myanmar/40740
http://www.irrawaddy.org/burma/obama-extends-sanctions-burma-despite-reforms.html
http://www.mizzima.com/mizzima-news/myanmar/item/11187-activist-groups-hail-obama-s-decision-to-extend-sanctions
http://www.mizzima.com/business/sanctions/item/11277-us-ambassador-defends-sanctions-decision

国連ミャンマー人権状況特別報告者にYanghee Lee氏

国連のミャンマー人権状況特別報告者に、Yanghee Lee(李 亮喜)氏が指名され、6月1日、就任した。トーマス・キンタナ氏の後任。

Yanghee Lee氏は韓国出身で、ジョージタウン大学卒業。児童心理学を専門としていて、国連子どもの権利委員会(CRC)委員長を務めていたが、ミャンマー問題に取り組んだ経験はほとんどなく、政府との関係も希薄だ。

http://www.irrawaddy.org/latest-news/south-korean-new-un-rights-rapporteur-burma-report.html
https://www.dvb.no/news/korean-child-psychologist-to-be-next-special-rapporteur-burma-myanmar/40505

NLDと88世代が憲法改正に支持を求める集会.開始

国民民主連盟(NLD)と88年世代Peace and Open Societyは、憲法改正についての支持を呼びかける集会を17日、スタートさせた。この2グループによる共同行動は初。特に、「すべての改正において、議会両院で75%を上回る賛成を得なければならない」という436条の改正を訴えるという。

初日に開かれたヤンゴンでの集会には、支持者ら1万5000人が参加した。NLD党首のアウンサンスーチー氏は、聴衆を前に、軍に対し「国の未来を考慮し、国民の意思を尊重するなら、軍は適切な時期に国政から退くべきだ」と呼びかけた。88年世代Peace and Open Societyのリーダー・ミンコーナイン氏は、「現在の憲法は軍事独裁政権時代からの負の遺産である」と指摘した。

集会は18日、マンダレーでも行われ、20000人以上が参加した。

NLDや88年世代Peace and Open Societyは、他の支援組織とともに、憲法改正を求める署名運動も27日から開始。7月19日までの約8週間、全国各地で18歳以上の国民に呼びかけ、最終的にテインセイン大統領とMin Aung Hlaing国軍最高司令官に送ることにしているという。

https://www.dvb.no/news/thousands-join-nld-88-gen-rally-for-constitutional-reform/40809
http://www.irrawaddy.org/burma/multimedia-burma/suu-kyi-calls-military-back.html
http://www.irrawaddy.org/burma/suu-kyi-wraps-back-back-rallies-urging-pre-2015-charter-change.html
http://www.mizzima.com/mizzima-news/politics/item/11284-nld-leader-launches-petition-for-constitutional-reform
http://www.irrawaddy.org/burma/suu-kyi-launches-signature-campaign-amendments.html

テインセイン大統領が憲法改正の運動を批判

テインセイン大統領は15日、NLDが進めている憲法改正を求めるキャンペーンに対し、「国を不安定にし、結果的には国民を傷つけることになる」などと警告した。マンダレーでの識字能力キャンペーンで言及した。また、同大統領は、31日の月例ラジオ演説で、「憲法改正には、17すべての少数民族グループと和平協定を締結し、政治的対話による合意を経ることが必要」などと述べた。

選挙管理委員会は22日、マンダレーで行われたキャンペーンでのアウンサンスーチー氏の発言に対し、氏が国会議員に就任した際の宣誓や、政党に関する憲法規定を破っているとの警告文書を、氏とすべての政党に送付した。書面の中で、同委員会は、氏の発言は「軍への挑戦に等しい」と指摘している。

一方、農業灌漑相は、NLDが署名活動を始める前日の26日、職員に対し、政治活動に関わらないように指示をした。

http://www.dvb.no/news/amending-constitution-will-hurt-the-people-says-thein-sein-burma-myanmar/40799
http://www.dvb.no/news/charter-reform-should-come-after-ceasefire-agreement-thein-sein-burma-myanmar/41169
http://www.irrawaddy.org/burma/charter-must-amended-dialogue-ethnic-rebels-thein-sein.html
http://www.irrawaddy.org/burma/burma-election-commission-warns-suu-kyi-challenging-army.html
http://www.mizzima.com/mizzima-news/myanmar/item/11240-election-commission-warns-nld-leader-over-challenge-to-tatmadaw
http://www.irrawaddy.org/burma/burmese-ministry-warns-staff-avoid-politics.html

憲法調査合同委員会が、改定に関する要件について議会に提案へ

憲法調査に関する議会合同委員会は19日、「憲法改正には連邦議会総議員の75%以上の賛成が必要」などと定めた12章436条について、28日から再開する議会に改定するよう提案することで合意した。同委員会のメンバーで与党・連邦団結発展党のティンマウンウー氏は「国民からの意見を基に、436条の改正を優先させることにした。これをまず改定しなければ、前には進めない」と話した。

https://www.dvb.no/news/review-committee-supports-overturning-article-436-burma-myanmar/40902
http://elevenmyanmar.com/index.php?option=com_content&view=article&id=6198:committee-suggests-change-in-section-436&catid=32&Itemid=354
http://www.irrawaddy.org/burma/committee-endorse-change-threshold-amending-constitution.html
http://elevenmyanmar.com/index.php?option=com_content&view=article&id=6174:charter-committee-discusses-how-to-amend-section-436&catid=32&Itemid=354

レパダウン銅山開発の問題で、測量士ら誘拐

ザガイン管区で進められているレパダウン銅山開発問題に絡み18日午後、事業を手掛ける中国企業「ワンバオ」の中国人測量士2人とビルマ人運転手一人が、工事に反対する地元住民らによって誘拐された。住民たちは、ビルマ人運転手を、まもなく解放したが、中国人2人は引き続き監禁。その後、Yinmabin地区の行政官が、住民たちとの話し合いで、接収された土地で農作物をつくることなどを認めたことから、19日夜、住民たちは中国人2人を解放した。しかし、交渉にワンバオ側が出席していないことから、再び衝突が起こる懸念があるという。ワンバオのMr. Geng Yi氏は19日夜、ジャーナリストに対し、計画を止めるのは不可能だと話した。

http://www.irrawaddy.org/burma/letpadaung-mine-workers-release-comes-right-use-seized-land-farmers.html
https://www.dvb.no/news/wanbao-employees-held-hostage-in-latpadaung-standoff-burma-myanmar/40847
http://elevenmyanmar.com/index.php?option=com_content&view=article&id=6175:chinese-hostages-released-after-negotiations&catid=44&Itemid=384

政府が改宗法案を発表

政府は27日、宗教省が策定した改宗法案を公表、国民からの意見募集を始めた。政府などによると、改宗の強要を防ぐためのものだという。他人に改宗を強要した場合、1年間の禁固刑が科せられ、他の宗教を侮辱した場合、1年から2年の禁固刑となる。個人が改宗する場合は、地方行政レベルに新たに設立される委員会に理由を説明し申請する。当局が許可するかどうかは、90日以内に決定される。

ビルマ憲法は、信仰の自由を保証している。しかし、近年、仏教僧の一部などから、イスラム教徒に対し強い反発が出ており、観測筋は、今回の法案について、「仏教徒の女性がイスラム教徒の男性と結婚した場合に、イスラム教徒に改宗させないようにするのが狙い」だとしている。

http://www.irrawaddy.org/burma/burmese-govt-publishes-draft-religious-conversion-bill.html
http://www.dvb.no/news/burma-invites-public-to-review-faith-conversion-bill-burma-myanmar/41069

註:上記内容は、下記ミャンマーニュースWEBサイトのほか、随時、日本のメディア、ミャンマー関係団体等のサイトも参考に、筆者がまとめた。

文中には主なリンク先のみ挿入した。

Democratic voice of Burma(http://english.dvb.no/
The Irrawady (http://www.irrawaddy.org/)
Mizzima (http://www.mizzima.com/index.php)
BBC(Burmese) (http://www.bbc.co.uk/burmese/burma/)
VOA(Burmese) (http://burmese.voanews.com/)
RFA(Burmese) (http://www.rfa.org/burmese/)

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