笹川日中友好基金ではさまざまな研究活動を支援したり自ら企画したりしていますが、なかには、その成果を書籍などにして公刊したものがあります。ここではそれらの書籍をご紹介しています。
【原著】尾藤正英『日本文化の歴史』岩波新書、2000年
尾藤正英著/彭曦译 《日本文化的历史》南京大学出版社,2010年
【選者の評】著者は近年ブームになりつつある日本人論には恣意的な傾向があるとして、「日本の文化がいかなる性格のものであり、また、いかにして歴史的に形成されて来たのか」の解明を本書の課題としています。著者はこのような立場に立って、日本人の価値観や生活意識を示すものとして、宗教や思想を中心に歴史をたどり、国家や社会組織のあり方の変化に対応して、新しい時代の文化を主体的に形作ってきた日本社会の活力と、その固有のエートスを描き出そうとしています。著者は独自な視点に立ち、近年の日本文化史関連の研究成果を活かしながら、たとえば日本の双系制家族と中国の父系制家族との間に大きな相違があることなど、ユニークな議論を展開しています。著者の指摘するように、長い間、多くの中国人や韓国人は日本には独自な文化がないと思ってきました。本書の中国語版の翻訳出版により日本文化、日本人の民族性の理解に寄与できると思います。