2009年
事業
事業実施者 | 笹川平和財団 中国国際戦略学会(中国) | 年数 | 5年継続事業の4年目(4/5) |
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形態 | 自主助成委託その他 | 事業費 | 25,381,069円 |
民間ルートを通して行う、トラック2レベルの日本自衛隊と中国人民解放軍の佐官級幹部の交流事業です。自衛隊と中国人民解放軍の若手幹部同士の相互理解促進を目指して2001年から開始しました。民間人に比べて、制服組はあまり行き来する機会がありません。制服組同士で交流して、自分の目で相手の国を見て、どんな人々なのか、どんな装備を持っているのかを実際に見ることで、客観的な相手国のイメージを少しでもつかんでもらうことを目的としています。自衛隊や解放軍の将来を担っていく若い優秀な方に行き来してもらおうということで、参加者は30代から40代の「佐官」に限定しています。
両国佐官級幹部の意見交換の様子
2008年度までで8回にわたって相互に往来して、日本からは89名の佐官級自衛官が訪中し、中国からは166人の佐官級将校が来日しています。
2001年から2008年までの実績について、さらにくわしい内容はここ→「2001年〜2008年までの実績(PDF)」をクリックするとPDFファイルでご覧いただけます。
要人表敬と意見交換、陸海空の地方部隊の視察や交流、教育研究機関の訪問や交流、企業、農村、文化研修などを10日間〜12日間程で実施しています。事業の担当窓口として、日本側は笹川平和財団が、中国側は中国国際戦略学会が務めています。
第9回自衛隊佐官級訪中団(自衛官13名)を6月7日(日)から18日(木)の日程で派遣しました。訪問先は、北京、ウルムチ・トルファン、済南・済寧、上海です。下記のように移動しました。
交流先は梁光烈国防部長、陸軍新疆軍区工兵連隊(ウルムチ)、海軍東海艦隊上海保障基地(上海)、空軍第19師団(済寧)などです。またそのほかにも中国国際戦略学会、中国人民外交学会、特殊警察学院、清華大学でも交流をしました。
2009年6月8日午後5時、人民解放軍の本部である八一大楼の会見場にて梁光烈国防部長を表敬して、1時間にわたって率直に意見交換に応じてもらいました。会見時には10年計画ですすめてきたこの日中佐官級交流事業を今後もぜひ継続していってほしいという要望が伝えられました。この点については、自衛隊佐官級訪中団の顧問として付き添った笹川陽平運営委員長より、これまでの9年間の事業を評価して検討していきたいと応じました。
梁光烈国防部長の表敬の様子は、笹川陽平ブログ「梁光烈・国防部長との面談」や東京財団:関山健研究員の分析レポート「中国国防相が語る 北朝鮮、核削減、空母」でもご覧になれます。
梁光烈国防部長表敬
装備車両を視察する様子
東海艦隊「淮南号」での意見交換
空軍第19師団「J-11」視察
第9回中国人民解放軍佐官級訪日団(21名)を8月26日(水)から9月5日(土)まで招聘しました。
団長は中国国防部外事弁公室政治部主任の呂譲全上級大佐。日本滞在中は防衛省(市ヶ谷)のほか、陸上自衛隊(金沢)/海上自衛隊(横須賀)/航空自衛隊(百里)/防衛大学校(横須賀)/などを訪問し、富士火力演習も視察しました。以下、順を追って紹介します。
2009年8月27日(木)、訪日団は防衛省を訪問しました。訪日団一行は、防衛省で岸信夫防衛大臣政務官や統合幕僚副長の高嶋博視海将を表敬しました。また日本の防衛政策や自衛隊概要についてブリーフィングを受け、第9回自衛隊佐官級訪中団の面々とも交流を深めました。
2009年8月28日(金)、訪日団一行は海上自衛隊横須賀地方総監部を訪問。海自の護衛艦「むらさめ」を視察し、自衛艦隊司令官の杉本正彦海将を表敬訪問しました。
横須賀では防衛大学校も訪問。一行は防衛大学校の概況についてブリーフィングを受けた後、五百旗頭真学校長ら防衛大学校幹部と懇談しました。
横須賀から東京に戻ってきた一行は、ホテルニューオータニで開催した歓迎レセプションに参加。防衛省関係者や日本の安全保障問題専門家らと懇親を深めました。
2009年8月29日(土)早朝、静岡県御殿場市の東富士演習場で行われた富士火力演習を視察するため、都内ホテルを出発。富士火力演習では陸上自衛隊の主要装備品の紹介や、戦車や火砲、ヘリコプターなどによる協同作戦の戦闘展示を見学しました。
2009年9月3日(木)、陸上自衛隊金沢駐屯地を訪問。金沢に駐屯する第10師団第14普通科連隊の海田英昭連隊長表敬、駐屯地概要ブリーフィングと意見交換、駐屯地幹部との昼食会、災害時の人命救助キットの紹介、銃剣道の試合などを視察しました。
2009年9月4日(金)、航空自衛隊百里基地を訪問。荒木淳一司令を表敬したあと、百里基地概要についてブリーフィングを受け、装備品のF15とF4を視察。基地幹部との昼食会のあと、基地内の厚生施設などを見学しました。
2009年8月26日(水)から9月5日(土)まで滞在した一行は各地で社会見学・文化研修を行いました。日本政治・防衛政策講座のような専門的なものから、企業視察や大学生との交流、日本の神社、仏閣、農村視察や名所旧跡の参観などなどです。以下では主に写真を使って社会見学・文化研修の様子をお伝えします。
8月30日に衆議院選挙も控えていることから日本の国会について研修しました。国会内は撮影禁止。そのため、国会参観入口にある議員席(レプリカ)に交代で着席して撮影しました。
中国でもおなじみのコマツですが、工場見学の際、作業をするかたたちに無駄な動きがなく、着々と建機を組みあげる様に、皆さんは非常に感心していました。写真は視察後の記念写真。
「幸水」を自らの手でもいで試食をした皆さんは、日本の梨の甘さと水分の多さにびっくりして「美味しい」と喜んで梨狩りを楽しんでいました。
合掌造りの家々と黄金色に実った水田の稲で、美しい日本の農村風景を見せてくれていました。一行も伝統的な日本の農村の概況説明に耳を傾けつつ、中国の農村と比較しながら興味深く見学していました。
訪日団一行が滞在中に選挙と政権交代があったため、非常に関心が高い講座になり、時間内に質疑応答が終わらないほどでした。
学生側から中国の国防費の内訳や、日中防衛交流や米中軍事交流の今後について、解放軍軍人の結婚事情などいろいろな質問が出ました。訪日団も積極的に質問に答えつつ、学生達の近現代史への理解や、日中関係で不満を持っている部分などについて質問して、お互いに意見交換しました。