事業紹介

2015年
事業

354 日中東シナ海安全対話

事業概要

本事業は東シナ海の海域と空域をめぐる安全環境の改善策を民間対話で模索する事業です。2015年度は以下の事業計画を進めていきます。


1.国内検討会(日本および中国、各3回)


日本と中国の海洋および空域安全の専門家、各々8名程度が個人の資格で参加する委員会を組織。
双方の専門家委員会は、東シナ海の空域の安全上の課題を定め、安全対策を模索する国内検討会を開催。



2.中国での合同検討会(2015年春:5月中旬)


東シナ海の空域安全について、日中合同検討会を中国で開催する。
空域の安全を確保するための行動規範の制定に方向性を与え得る報告書の作成を目標に意見を交換し、合意の形成に努める。



3.日本での合同検討会(2015年夏)


合同検討会を日本で開催し、空域の安全対策に関する報告書を完成し、内容を公表する。

4.空域安全の問題に関わる図書の出版


日中東シナ海空域対話の成果を拡大するために、空域の安全問題に関する図書を作成し、日本で出版する。

事業実施者 笹川平和財団 年数 3年継続事業の2年目(2/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 20,915,664円
第三回合同検討会を南京で開催

笹川平和財団・笹川日中友好基金が実施している「日中東シナ海安全対話」の一環として、東シナ海の空域の安全対策をテーマに、日中両国の海洋及び空域安全の専門家による第三回合同検討会が2015年5月12日~13日中国・南京市で開催されました。シンポジウムは、笹川平和財団と中国南海研究協同創新センターの共催によるものです。

検討会には、日本側からは、空域安全の問題に詳しい元航空自衛隊や海上自衛隊の将官級のOBや、国際法及び安全保障の専門家が参加し、中国側からも、中国空軍の将官級のOBや、現役の国防大学、空軍、海軍の専門家並びに国際法と安全保障問題の研究者が参加しました。

検討会は12日午前の第一部と、午後の第二部、13日午前の第三部に分かれて行われました。第一部では、日中双方が作成した防空識別圏の設定に関する法的評価の文章をもとに、互いに相手側の立場を確認し合い、意見を交わしました。第二部では、対話が目指している東シナ海空域における危険を避けるための安全基準(仮称)の具体的内容について協議し、基準の完成に向けて意見を調整し、第三部では、東シナ海空域の信頼醸成措置の導入について意見交換をおこないました。

今回の合同検討会は、2014年10月に北京で開催された第1回会議、2015年2月に東京で開催された第2回に続き、3回目の開催です。今まで蓄積された経験やネットワークを活用し、日中双方の専門家たちは、東シナ海の空域安全を確保するための方策について提案する報告書の完成に向けて、活発で専門性の高い議論が交わされました。

日中両国の専門家は、これから今回の合同検討会で出された双方の意見を報告書に反映させるべく、意見調整と案文の修正作業を進め、7月12日から東京で予定されている第四回合同検討会において最終合意し、報告書を公表する予定です。

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会議に参加する日中双方の専門家

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合同検討会会場

第四回合同検討会東京で開催

笹川平和財団・笹川日中友好基金が実施している「日中東シナ海安全対話」の一環として、東シナ海の空域の安全対策をテーマに、日中両国の海洋及び空域安全の専門家による第四回合同検討会が2015年7月12日~13日東京で開催されました。検討会は、笹川平和財団と中国南海研究協同創新センターの共催によるものです。

検討会には、日本側からは、空域安全の問題に詳しい元航空自衛隊や海上自衛隊の将官級のOBや、国際法及び安全保障の専門家が参加し、中国側からも、人民解放軍空軍、海軍の現役の幹部や国際法と安全保障問題の研究者が個人の身分で参加しました。

今回の合同検討会は、2014年10月に北京で開催された第1回会議、2015年2月に東京で開催された第2回会議、5月に南京での第3回会議に続き、4回目の開催になり、今までの検討内容を総括し、報告書についての最終合意を目指すもので、12日午前の第一部と、午前の第二部、13日午前の第三部に分かれて行われました。第一部では、東シナ海空域の現状評価と、日中双方の防空識別圏の設定に関する法的評価について意見を交わし、第二部では、東シナ海空域における危険を避けるための安全行動規範案と、信頼醸成措置に関する提言の内容について検討、そして第三部では、報告書全体の内容や、表現などについて最終的な意見調整が行われ、日中双方の専門家委員たちの活発で専門性の高い議論を経て、最終合意が実現されました。

また、合同検討会に続き、7月13日午後共同記者会見を実施しました。会見の席上で双方の代表は、昨年10月以来の空域対話の主旨、経過及び成果について説明し、日中双方の防空識別圏に関する法的見解や、空域安全行動基準に関する提言などを発表、記者たちの質問に答えました。

日中東シナ海空域対話は、2013年から開始した日中東シナ海安全対話事業の一部であり、当初は、尖閣諸島及び周辺海域をめぐる日中両国の法執行機関同士の対立を緩和するために導入された対話のチャンネルで、2014年4月に段階的成果として「日中海上航行安全対話報告書」を作成しました。その後、東シナ海の空の安全を脅かす新しい事態に対処するため、既存のネットワークを活用し、東シナ海の空域安全対話を実施してきました。今後日中両国の専門家は、それぞれ自国の政府当局に対し、東シナ海空域安全対話で合意した内容に基づき政策提言を行う一方、日本、中国、米国などの安全問題の専門家や一線の実務者を対象にセミナーやシンポジウムを開催するなど、対話の成果拡散に力を注ぐ予定です。

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合同検討会の会場

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合同記者会見の会場

ブルッキングス研究所で「日中東シナ海空域安全対話」セミナーを開催

2014年5月以降、東シナ海の上空で自衛隊機と中国空軍機の異常な接近事例が数回発生しました。万一これによる事件や事故が発生した場合、冷え込んでいる日中両国の関係をさらに悪化させてしまう恐れがあります。このような状況を受けて、笹川平和財団は南京大学中国南海研究協力創新センターと協力し、2014年10月から、日中両国の専門家による「日中東シナ海空域安全対話」を実施してきました。4回にわたる合同検討会を経て、今年7月に東シナ海空域における飛行の安全を確保する方策について合意しました。

日本語と中国語に加え、英語版報告書の完成をうけ、両国の専門家たちが、両国の政府その他関係者に報告書の内容を説明し、空域安全の問題を検討する際の参考に供するとともに、報告書の主旨について国際社会の関心を喚起し、今後の対話の課題について議論を深めるために、12月2日にアメリカのブルッキングス研究所でセミナーを開催しました。セミナーには、ワシントンDCに拠点を置くアメリカの代表的なシンクタンクや大学教育機関などの東アジアの安全問題に関心を持つ多くの専門家、学者の参加を得ました。

セミナーでは、ブルッキングス研究所のリチャード・ブッシュ上席研究員が司会をつとめていただき、まず、羽生次郎会長が事前に参加者に配布した英語版報告書の内容を参考しながら、空域安全対話事業の背景、経緯及び提言の内容と狙いについて説明しました。続いて、中国側委員であり、中国南海研究院の洪農海洋法及び海洋政策研究所長が防空識別圏に関する双方の法的見解について説明し、日本側委員で航空自衛隊航空支援集団の永岩俊道元司令官から日中東シナ海空域安全行動規範に関する提案について紹介しました。最後に、中国側座長で、南京大学中国南海研究協力創新センター執行主任の朱鋒教授より専門家が提案した信頼醸成措置などについて報告しました。

その後、質疑応答がにおいて、参加者と報告者の間では、今回の提言書と米中間で取り交わした海空における安全行動基準との異同や、専門家の間で共通理解を得た行動基準をパイロットなど現場の当事者に、どう浸透させていくべきかなどについて意見が交わされました。

 民間団体の主導による「日中東シナ海空域安全対話」は、201410月開始以来、日中双方の国際法、航空法、海洋法、安全保障などの専門家の協力を得て、2015年7月まで計4回の合同検討会を経て、安全を確保するための対策について合意し、翌8月に最終報告書が完成しました。その後、日中双方の専門家たちが、両国の政府その他関係者に報告書の内容を説明するとともに、日本及びアメリカで記者会見やセミナーの開催など、報告書の趣旨について各方面と共有することを図ってきました。更に2016年3月に北京で、中国の実務担当者やメディア関係者を対象にした説明会を開催する予定です。

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英文報告書PDF

Report on the Japan-China Dialogue on the Safety of Airspace in the East China Sea.pdf

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ブルッキングス研究所で行われたセミナーの様子

北京にて「東シナ海空域の危機回避に向けた日中対話」セミナーを開催

2014年より東シナ海の上空で自衛隊機と中国空軍機の異常な接近事例が頻繁に発生しており、関係する事件や事故が発生した場合、日中両国の関係のさらなる悪化につながる恐れがあります。

このような状況を受けて、笹川平和財団は南京大学中国南海研究協力創新センターと協力し、2014年10月から、日中両国の専門家による「日中東シナ海空域安全対話」を実施してきました。民間団体の主導による「日中東シナ海空域安全対話」は開始以来、日中双方の国際法、航空法、海洋法、安全保障などの専門家の協力を得て、2015年7月まで計4回の合同検討会を経て、安全を確保するための対策について合意し、翌8月に最終報告書が完成しました。 日中東シナ海空域安全対話報告書(日本語).pdf 中日东海空域安全对话报告(中文).pdf

両国の専門家たちは、両国の政府その他関係者に報告書の内容を説明し、空域安全の問題を検討する際の参考に供するとともに、さらに国際社会の関心を喚起し、今後の対話の課題について議論を深めるため、3月10日に北京にて「東シナ海空域の危険回避に向けた日中対話」セミナーを開催しました。セミナーには、東アジアの安全問題に関心を持つ国際法や軍事関係の専門家、政府機関からの参加があり、多くの報道陣からの取材を受けました。

セミナーでは、南京大学中国南海研究協力創新センターの朱鋒執行主任から、開会の挨拶に続き、「民間からの挑戦:対話の意義と課題」として本対話の意義について、説明がありました。次に日本側の代表として羽生次郎会長が、空域安全対話事業の背景、経緯及び成果内容について報告を行いました。続いて、本事業に参加いただいた日中双方の専門家委員から、それぞれの立場から防空識別圏に関する法的見解について説明があり、危機回避として日中東シナ海空域安全行動規範に関する提案がなされました。

質疑応答では、中国が設定した防空識別圏に対する日本の懸念についての意見や、合意した行動基準を現場の当事者にどう浸透させていくべきか、中国は南シナ海の防空識別圏を設定するのかといった質問が寄せられ、深い意見が交わされました。

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