事業紹介

2003年
事業

遠隔教育による南西太平洋の文化遺産保護管理訓練

事業内容
近代化の流れの中で文化的・社会的変化が激しいパプアニューギニアとバヌアツでは、文化遺産が適切に管理されず、崩壊の危機にさらされています。また、文化遺産に関する研究は欧米の学者・専門家が主導して行ってきたため、現地の人材が少ないのが現状です。そんななか、独立後の歴史教育と、その教育現場への普及が課題となっています。笹川太平洋島嶼国基金では1996年からバヌアツでのパイロット訓練を支援してきましたが、2001年度より本格的に、パプアニューギニアとバヌアツの文化遺産管理者養成、コミュニティへの啓蒙活動、ラジオ、新聞、インターネットなど、マルチメディアを駆使した遠隔教育による文化歴史教育事業を開始しました。
パプアニューギニアではニューアイルランド島、マヌス島、ブーゲンビル島の離島で、バヌアツではマレクラ島とその周辺で事業を展開しました。実施にあたっては、まず中央政府や地元コミュニティの理解を得て、正式な許可をもらうことから始めました。フィールド・スタディには、地元の文化遺産保護管理の関係者が3年間で延べ200人近く参加しました。事業の内容とメラネシアの先史に関して、ラジオの特別番組や新聞の特集で広く報道され、さらに地元の学校やコミュニティでも講演会が行われました。2年目の事業には、上智大学、ブリティッシュ・コロンビア大学、ハワイ大学の3人の日本人と、台湾から千葉大学に留学中の若手研究者1人が参加し、学術的研究と同時に、現地コミュニティの文化遺産保護管理への貢献についても学びました。
最終年度である本年度は、パプアニューギニアのブーゲンビル島とバヌアツのバオ島で文化遺産保護条例に関するワークショップ、考古学遺跡発掘のフィールド・トレーニングを行いました。コミュニティへの啓蒙活動として、小・中・高校でワークショップを開催し、当基金が作成したニューズレター、『Wave of Pacifika』ラピタ特集と太平洋マップを配付し、教材としても評価されました。事業成果物としては、小・中・高校の教師やコミュニティ教育を目的としたコミックと『メラネシアの先史時代』という書籍が編纂され、英語、フランス語、ビスラマ語、ピジン語で出版される予定です。
また、オーストラリア国立大学のマシュー・スプリッグス教授とオーストラリア博物館のジム・スペクト博士による外部評価を実施しました。その報告書はウェブサイト(www.yashinomi.to)に掲載し、成果の普及につとめています。

事業実施者 Australian National University(オーストラリア国立大学/オーストラリア) 年数 3年継続事業の3年目(3/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 7,241,320円
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