「サイバー空間の防衛力強化プロジェクト」政策提言
"日本にサイバーセキュリティ庁の創設を!"
笹川平和財団
2018.10.29
「サイバー空間では、国家が関与するサイバー攻撃が激しさを増しつつあり、我が国のサイバー防衛に関する体制・組織の整備は焦眉の急となっています。サイバー空間は、通常の安全保障と異なり、平時における空間の状況把握・分析・判断・対処が重要になっており、各国では軍や情報機関と密接に連動する形で、国を挙げたサイバーセキュリティ体制が構築されています。
笹川平和財団では、2016年から我が国のサイバーセキュリティにおける様々な課題をテーマに、国内の有識者の方々にご参集いただき、「サイバーセキュリティ研究会」を開催してまいりました。今般、「サイバーセキュリティ研究会」における有識者の方々の議論を踏まえ、我が国のサイバー防衛に関する体制・組織の整備のあり方として、「サイバーセキュリティ庁を創設すべきである」という本政策提言を、笹川平和財団安全保障グループとして取りまとめました(https://www.spf.org/global-data/cyber_security_2018_web.pdf)。
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政策提言のポイント
1.サイバーセキュリティ庁の設置
サイバー攻撃に一元的に対応する実務機関として現行の内閣サイバーセキュリティセンターを発展的に改編・強化し内閣府外局に「サイバーセキュリティ庁」を設置し、関連情報を集約するとともに諸外国のサイバーセキュリティ機関との連携を行う。
2.サイバー攻撃に対処するための法整備
サイバーセキュリティ基本法を改正して「サイバーセキュリティ」の定義を見直すとともに、政府の主導的役割を明らかにし、サイバー攻撃に対処するための関連法の一括改正を行う。また、政府によるプライバシー侵害を監視するための委員会を国会に設置する。
3.人材育成・産業育成のためのエコシステムの整備
サイバーセキュリティ人材とサイバーセキュリティ産業を育成するため、サイバーセキュリティ特区を新設して技術開発と産業育成を行うとともに、初等教育から専門教育、社会人教育までのサイバーセキュリティ教育体制を整備する。
なお、過去の月例サイバーセキュリティセミナーの概要については、以下のページからご覧になれます。
第1回 2017年9月7日開催 「日本を取巻くサイバー攻撃の状況と日本が取り組むべき課題」
伊東 寛氏(経済産業省 サイバーセキュリティ・情報化審議官)
第2回 2017年10月13日開催 「サイバー抑止について」
田中 達浩氏(富士通システム統合研究所 安全保障研究所 主任研究員)
第3回 2017年10月29日開催 「Active Cyber Defense and cultivation of human resources in Cybersecurity」
デニス・C・ブレア氏(元米国太平洋軍司令官 米国第3代国家情報長官)
第4回 2017年11月2日開催 「サイバー空間における脅威の実態と日本の課題」
名和 利男氏 サイバーディフェンス研究所 専務理事/上級分析官
第5回 2017年12月5日開催 「個人情報保護とサイバー攻撃」
湯淺 墾道 氏 情報セキュリティ大学院大学学長補佐・情報セキュリティ研究科教授
第6回 2018年3月1日開催 「サイバーセキュリティと国際政治」
土屋 大洋 氏 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授
第7回 2018年4月12日開催 「経営とサイバーセキュリティ」
横浜 信一 氏 日本電信電話株式会社(NTT) サイバーセキュリティインテグレーション ヘッド
第8回 2018年5月17日開催 「Society5.0」実現に向けたサイバーセキュリティの強化
梶浦 敏範 氏(株)日立製作所 上席研究員 日本経済団体連合会 情報通信委員会企画部会 部会長代行
第9回 2018年6月14日開催 「日本のサイバー外交」
大鷹 正人氏 外務省 総合外交政策局審議官、国連担当大使・サイバー政策担当大使
第10回 2018年7月25日開催 「サイバーセキュリティ戦略の改定について」(議事録準備中)
三角 育生氏 内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター副センター長・内閣審議官