Ocean Newsletter

【Ocean Newsletter】バックナンバー

第415号(2017.11.20 発行)

編集後記

同志社大学法学部教授◆坂元茂樹

◆国連において、現在、国家管轄権外の区域における海洋生物多様性(BBNJ)の保全と持続可能な利用に関する協定の作業が進んでいる。2018年9月までに、政府間会議の立ち上げを決定する新たな国連総会決議が採択される見込みである。BBNJが国家管轄権外の区域である公海における海洋保護区の設定も視野に入れ、漁業や資源開発が公海の深海にも及ぶ現状の中で、(国研)海洋研究開発機構の藤倉克則氏から、深海生物の多様性研究の最新成果の論稿を頂戴した。深海生態系も通常は植物が生産者となる光合成生態系に組み込まれるものの、メタンや硫化物をエネルギー源にする化学合成バクテリアが生産者となる化学合成生態系もある。化学合成生態系の特性はバクテリアと生物の共生とされる。それにしても、暗い深海では煙幕となる墨を吐いても意味がないので、深海性のタコは墨を持たないと聞くと、環境に適応する生物の生態的特性に驚かされる。
◆上海のような中国の大都市で、流しのタクシーを拾えず困った経験をされた方は多いと思われる。米国のUberに似た「快的打車」「滴滴打車」というタクシーを呼び出すスマホアプリが普及しており、携帯電話を使い配車してもらうのが普通だからである。こうしたスマホアプリを、海難事故の75%を占めているプレジャーボートなど小型船舶の航行支援システムに活用しようとする最新の動きについて、(国研)海上・港湾・航空技術研究所の福戸淳司氏にご寄稿いただいた。国交省と同研究所が作成した『船舶におけるスマートフォンアプリ活用のためのガイドライン』を活用し、他船接近警告や危険海域接近警告等の警告機能と発航前の点検支援機能を備えたスマホアプリの普及による事故の低減に期待したい。
◆国民的人気番組であった『あまちゃん』で海女さんの存在を再認識した方は多いと思う。海の博物館館長の石原義剛氏から、海の環境を守り、海の一次産業を再生・復活させる担い手としての役割を負った海女の復活の支援を求める論稿をご寄稿いただいた。海と共生しながら持続的な漁業を続ける海女さんは日本が誇る海洋文化の一つであり、海女さんのすごさをぜひ知ってほしい。韓国に先を越されたようだが、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されることを祈りたい。 (坂元)

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