事業内容
ミクロネシア地域は、独立後、米国から莫大な資金援助を受け、急激な近代化を進めています。しかしその一方で、近代化による社会のゆがみが、世界一高い青少年の自殺率をはじめ、さまざまな問題となって表面化しています。さらに、ミクロネシア地域には伝統的社会構造が根強く残っており、メディアなど、情報の公開、公共の協議の場が整備されていないという現実もあります。ミクロネシアの人々は、直面している社会問題を公に議論する機会をもたないままでいます。また、2万5000人以上のミクロネシア人が米国で就労・留学していますが、帰国後に母国の現状に対応
できないという状況もあります。
ポナペのミクロネシアン・セミナーは、この地域で唯一、系統的にミクロネシア諸国のアーカイブをまとめています。さらに、ビデオ、ニューズレターなどのメディアを利用し、積極的に社会問題を協議する場をコミュニティに提供してきました。本事業は、ミクロネシア地域が直面している社会問題などに関して、インターネットを利用したオンライン教育の実験を行うものです。
これまでに、ウェブサイト(www.micsem.org)を立ち上げ、ミクロネシアン・セミナーの図書館の資料1万6000点のカタログや写真資料などをデジタル化してきました。また、直面している社会問題に関するビデオ制作、ウェブ上およびニューズレターでの問題提起、オンライン・フォーラムでの議論を試みてきました。
オンライン・フォーラムでは、この3年間で、教育や雇用の問題、移民問題や官庁の機能不全など、現代のミクロネシアが抱えるさまざまな社会問題について、10のトピックスを取り上げました。初年度のウェブのヒット数は月平均5000でしたが、2年目は1万2000、3年目は2万5000と、着実に増加しています。またミクロネシア3カ国の短期大学3校とオンライン・フォーラムによる遠隔教育が実施できるよう協議を続けてきました。その結果、01年度には、カレッジ・オブ・ミクロネシアの学生を対象に、同大学の社会科学学科講師をモデレーターとしたオンライン・フォーラムが実現し、学生から250以上の意見が寄せられました。ミクロネシアの遠隔教育の基盤として、さらなる情報の収集・発信が望まれています。
事業実施者 |
Micronesian Seminar(ミクロネシアン・セミナー/ミクロネシア連邦)
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年数 |
3年継続事業の3年目(3/3) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
3,257,842円 |