事業内容
1980~90年にミクロネシア3国(パラオ、マーシャル、ミクロネシア)が独立したあとも、西太平洋・ミクロネシア域内の協力関係は比較的希薄でしたが、近年、情報通信の発達により、同地域でも遠隔教育を通じた域内協力の可能性が高まりました。本事業は西太平洋島嶼地域に組織的な遠隔教育制度を整備することを目的として、2001年度から5年計画で行われました。
事業1年目には、通信技術インフラの未整備、人材不足などの現地の状況を把握し、現地ニーズを重視した計画書『Distance Education Initiative』が6つの地域・国ごとに作成されました。2年目は域内の教育、政治、通信、医療関係者が協議する機会を設け、「西太平洋遠隔教育連盟」の設立が合意されました。また、学校間の単位の交換制度、遠隔教育による単位取得システムの開発、コミュニティへの生涯教育プログラムの開発など、遠隔教育実施のための具体的な事業計画を協議し、会議の成果として「Micronesian Regional DE Plan」が策定されました。3年目は遠隔教育連盟の設立と具体的な事業計画案を策定しました。さらに、遠隔教育・遠隔医療関係者のキャパシティ・ビルディングと、衛星ネットワークの技術的選択に関する調査研究を実施しました。4年目には、離島を対象としたパイロット事業として、ヤップの14の離島に高周波無線通信システムを使った電子メールを導入し、遠隔教育・遠隔医療の環境を整えました。また、1、2年目に策定した計画に従い、6地域から提出された14件の申請から12件を選び、遠隔教育・遠隔医療の教材とマニュアル作成に着手し、さらに、次年度制作予定の、啓蒙を目的とした事業紹介ビデオの素材収集と編集を行いました。
最終年度には「西太平洋遠隔教育連盟」の定款を作成しました。現在「西太平洋遠隔教育連盟」にはミクロネシア短期大学、パラオ・コミュニティ短期大学、北マリアナ短期大学、グアム大学、グアム・コミュニティ短期大学、マーシャル諸島短期大学の6大学が加盟しており、遠隔教育を正式な単位取得コースとするなど、具体的に遠隔教育が始まっています。また、ポナペ州の4つの離島では、支援したテレセンターが機能し始めています。
なお、本事業の成果はウェブサイトやビデオ、国際会議での発表などを通して広く発信され、同じ環境にあるカリブ海などで応用事例として検討されています。
事業実施者 |
University of Guam(グアム大学/米国)
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年数 |
5年継続事業の5年目(5/5) |
形態 |
自主助成委託その他 |
事業費 |
8,302,350円 |