基金について

太平洋島嶼国会議

開会式

太平洋島嶼国会議「開会宣言」

笹川平和財団
名誉会長 笹川 良一
本日、太平洋島嶼10ヵ国及び8つのアソシエイツの政府首脳をはじめ、島嶼国関係各位の御参加を得て、笹川平和財団が主催する太平洋島嶼国会議を開催する運びとなりましたことは、私どもの大きな喜びであります。

この名誉ある会議の開催のために、各国関係者及び各界関係者の多大なる御支援と御協力を賜りましたことに対し、ここに深甚なる感謝を申し上げる次第であります。この会議が、参加者各位の御討議と交流を通じ、太平洋島嶼国の将来のための明るい目標を得られ、発展の礎となり、堅い絆を結び、世界の平和に貢献する大きな成果を収められるよう祈念いたし、ここに、「太平洋島嶼国会議」の開会を宣言いたします。



竹下内閣総理大臣祝辞

小渕恵三内閣官房長官代読
本日、太平洋の島々から、多数の指導者の方々をお迎えし、笹川平和財団主催の太平洋島嶼国会議がかくも盛大に開催されるに至ったことを心よりお祝い申し上げます。21世紀は太平洋の時代と言われますが、その中にあって太平洋島嶼地域は、政治、経済、文化の各分野にわたり大きな可能性を秘めており、近年とみに、世界の注目を集めています。この地域の発展を担う指導者の方々が、同じ太平洋の島国である我が国に一堂に会して、自由に意見交換を行い、交流を深められる機会を持たれたということは、誠に時宣に適ったことと申せましょう。我が国は、従来よりアジア太平洋地域の一員として、太平洋島嶼地域との友好協力関係を強化し、この地域の平和と繁栄に資することを基本方針として、政治対話の促進、政府開発援助の強化、文化・人物交流の促進を含む相互交流、理解の進展のための種々の努力を払ってまいりました。また、我が国は現在、「世界に貢献する日本」建設をめざして「国際協力構想」を推進中でありますが、上記構想に基づき、今後とも、引き続き、太平洋地域の平和と繁栄に努力して行く所存であります。

しかしながら、国民レベルで相互理解を深め、永続的な友好、信頼関係を築いてゆくためには、こうした政府間の協力、交流のみならず、各界、各レベルにおける多様な協力、友好関係の推進が必要です。その意味で、今回、民間機関である笹川平和財団の手により、このような会議がもたれることは、真に意義あることと言え、同財団のイニシアティブに敬意を表すものであります。
太平洋島嶼地域においては、多様な文化、歴史、経済、社会を背景にさまざまな問題と課題が累積しています。この会議においてこれらの課題が真摯に討議され、太平洋地域の将来の繁栄のために、如何なる対応が可能かについて貴重な提言や意見が生まれると同時に、この会議が実りある相互理解の場となることを期待してやみません。
最後に、本会議の御成功と、御出席の皆様の御健康と御多幸を祈りつつ、私の祝辞とさせて戴きます。



議長挨拶

倉成 正衆議院議員(前外務大臣)
開会に際し、一言言葉を添えることができますのは、望外の喜びでありますとともに、本会議において議長を務めますことは、また大きな名誉でもあります。本日我々がここに一堂に会することができましたのも、本会議を可能ならしめた笹川平和財団の偉大なる尽力の賜でありますが、また本会議は、多くの面において特異なものであります。
第一に、本会議は非公式なものであるにもかかわらず、関係地域の政府高官を出席者としてお迎えしております。これによりまして、本会議は無視できない重要な意見を提供する賢人グループとして、十二分に活躍できるものと確信致しております。第二に、当地域におけるこれだけの人数の指導者たちが、相互に関心のある問題について討議するため、一時期に日本を訪れるというのは、先例のない特異なことであります。私はこれを、日本が皆様方のより親密な隣人になった証としたいと考えます。人類の交流にとって越すに越されぬ障害であった太平洋の地理的な距離は、最新技術によって克服されました。

今、お互いの問題を解決するために、お互いの協力と助言が求められています。そしてそれらの多くは、本日開催されるこのような会議の場において得られるものであります。
第三に、南太平洋フォーラム(South Pacific Forum)が地域外の国々との対話強化の必要性を、ますます認識しつつあるこの時期にあって、本会議の試みは特異なものであります。日本は、私が外務大臣を務めておりました昨年、同フォーラムの直後に、同フォーラム議長との対話を他に先駆けて開始しており、本会議は、政府レベルによるこのような努力を補完するものであります。この意味において、本会議は、日本の民間機関が太平洋島嶼国との対話者としても活動できることを示し、同地域と日本の関係に新しいページを開いたのであります。今日、アジア・太平洋地域は、その政治、経済、戦略の面において、計り知れないほどの大きな変化を経験しております。
これらの変化はあまりにも根本的なものであるが故に、しばしば引用される「21世紀は太平洋の時代である」という予測は、まもなく現実のものとなるでありましょう。そのような予見を真実とするあらゆる根拠が存在しております。米国のアジア・太平洋地域への依存度の増加、日本の劇的な成長、中国の近代化、ゴルバチョフの太平洋におけるイニシアチブ、そして日本の後に続く成長リーダーとしてのNIES、ASEAN各国及び中国。これらすべてが結び付いて、アジア・太平洋地域を世界で最も活動的な地域となし、来世紀への鍵を握ることを可能ならしめているのです。

しかしながら、この環太平洋諸国を席巻している政治的経済的変化を真に実りある方向へと持っていくことができなければ、明るく正しい将来も未来もないということもまた真実であります。この2~3年、時折、観察されるように、太平洋島嶼国がその国家基盤の脆さゆえに、大きな変化から取り残されるようなことがあれば、それは、地域全体にとってばかりでなく、国家の生存を太平洋の隣人の安定と繁栄に頼っている日本にとりましても非常に不幸なことであります。昨年の1月、外務大臣でありました私を南太平洋へと駆り立てましたのもこの認識ゆえでありました。スバにおける私の演説で、日本は初めて島嶼国に対する全体的な政策を明白にしたのでありました。
演説の中で私が概説しました原則の実現への可能性は、その後十分に証明されております。日本は、島嶼国の開発を援助する用意があり、それについては、常に被援助国の自治による主導権を尊重するものであります。これが、私が提言しました原則の主旨でありました。昨年の11月に発足いたしました竹下政権も、この政策を維持しております。最近の「国際協力構想」におきましても、再度ODA5年間を倍増したものが含まれており、太平洋島嶼国には改めて一段と強い関心が払われることとなっております。そうは申しましても、当地域に対する日本の関心が高まり出しましたのはごく最近のことでありまして、これは経済力にふさわしい国際的な責任意識の増加によるものであります。日本が、私のスバ演説の大きな枠組の中で、いまだに当地域に対し試行錯誤を繰り返していることは、やむを得ないことであり、今後数年間はこの状態が続くものと考えられます。従いまして、このような島嶼国指導者たちとの対話は、私どもにとってまさに必要不可欠なものであります。

我々は、皆様方の潜在的可能性や問題についてより多くの知識を得ることができ、また皆様方にとっても、大都市の指導者たちと協議することによって、島嶼国にとって有用な開発問題への経験及び専門知識を多く獲得できるという利点があります。皆様方は、太平洋における日本の将来の役割を導いてくれる航海士なのであります。この2日間の会議中、率直で親密な意見の交換を通して、皆様方の国と私どもの国の間の政治経済、その他、協力関係の確認を致したいと切に望んでおる次第であります。最後になりましたが、我々の間の結び付きを深めるために尽力してきた者のひとりとして、私はこの会議を楽しみにしておりました。このような機会は、出席者同志の個人的な結び付きを強め、相互の信頼に基づいた望ましい人間関係を確立するにふさわしい場であり、それが世界のあらゆる場所の平和と安定に対する最上の保証となるのであります。遙か北半球に位置する日本はこれまで、このような太平洋島嶼団の指導者たちによるハイレベル会議の恩恵に浴することができませんでした。
閉会までには私ども全員が、皆様方の半球との真の友情を育て上げているものと信じます。さて私の挨拶も終わりに近付きましたところで、本会議の手順について少々触れてみたいと考えます。本会議は非公式なものでありますので、終了に際し、宣言またはコミュニケなどの発表は予定しておりません。

しかし私は議長として、閉会時に全討議の要約を試みるつもりでおります他、明日の遅い時間に予定されております記者会見におきまして、東京の新聞記者団のための議長総括を作成するつもりでおります。プログラムにあります本会議の議事日程ですが、第1セッションにおきましては、ご出席の代表者があらかじめ準備されました原稿の発表をいたします。第2セッションは、太平洋島嶼国の社会・経済開発が議題であります。各代表者はこの主題についての発言を求められます。さらに時間が許せば、その後を自由討議の場にする予定でおります。第3セッションは明日の午前中に設けられますが、それまでと異なった座席配置により、出席者同志の自由で率直な意見の交換を図りたいと考えております。島嶼国政府の代表者ばかりでなく、アソシエイツの代表者も会場に招かれる予定であります。同セッションは、日本の政府及び民間による南太平洋での可能な役割に関してであります。
プログラムにあります議事日程に異存がございませんでしたら、これを採択するものといたします。

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