太平洋島嶼国会議
太平洋の安定と平和を求めて
はじめに

1989年3月
笹川平和財団
会長 田淵 節也
笹川平和財団は、1986年9月に設立され、ようやく2年の歳月を経過いたしました。この間、当財団は自ら研鑽を積むとともに、モーターボート競走業界をはじめ関係方面からの多大なご支援並びにご協力を得て、今日では、わが国屈指の国際交流財団として、国の内外における民間公益団体から寄せられている期待は極めて大きいものがあります。
当財団は満2歳を迎えるに当り、1988年8月26・27の両日にわたり「太平洋島嶼国会議」を開催いたしました。この会議の目的は、太平洋に点在する島嶼諸国における相互関係をより一層深めるとともに、これらの国々に対する日本の協力の具体的なアプローチを探り、相互利益の向上を図ろうとするものであります。同会議は、フィジー共和国、キリバス共和国、ミクロネシア連邦、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島、トンガ王国、トゥヴァル、ヴァヌアツ共和国、西サモア、クック諸島のメンバー10ヵ国の最高指導層の方々、及びオーストラリア、ニュージーランド、インドネシアのアソシエイツ3ヵ国代表、並びに南太平洋委員会、南太平洋経済協力機構、太平洋開発計画、南太平洋沿岸鉱物資源共同委員会の4国際機関の代表らが出席し、倉成前外務大臣が議長を務め挙行され、極めて有意義かつ十分な成果を収めて終了いたしました。
この報告書は、同会議の内容を正確に収録し、広く関係各位にご理解いただくために取り纏めたものであります。皆様のご高覧を賜れば幸甚であります。なお、同会議の最終セッションにおいて、当財団名誉会長笹川良一が「太平洋島嶼国財団」の設立構想を提唱いたしました。同構想は、その後の具体化の段階において、当財団の中に「笹川島嶼国基金」(基金総額30億円)を設置することとなり、同基金は、1989年4月から運営される予定となっております。当財団は、今後の国際社会において、政府や企業とは異なった、独特な活動を展開すべく、役職員一同邁進努力いたす所存でありますので、皆様方のご指導ご鞭撻を切にお願いいたす次第であります。
目次
開会式
- 開会宣言
- 笹川良一名誉会長
- 内閣総理大臣祝辞
- 小渕恵三内閣官房長官代読
- 議長挨拶
- 倉成 正
第1セッション 参加国代表者演説
- フィジー共和国
- カミセセ・マラ首相
- キリバス共和国
- イエレミア・T・タバイ大統領
- ミクロネシア連邦
- ジョン・H・ハグレルガム大統領
- パプア・ニューギニア
- ミカエル・T・ソマレ外務大臣
- ソロモン諸島
- エゼキエル・アレブア首相
- トンガ王国
- ツゥポウトア皇太子
- トゥヴァル
- トマシ・プアプア首相
- ヴァヌアツ共和国
- セシー・J・レーゲンバヌ文部大臣
- 西サモア
- ツゥイラエパ・サイレレ大蔵大臣
- クック諸島
- ププケ・ロバチ首相
第2セッション 各国の社会・経済開発の現状並びに今後の展望
- 新旧を包含した開発による伝統、文化、社会制度の保護
- カミセセ・マラ首相
- 自活とその存続可能な新生地域社会の開発
- イエレミア・T・タバイ大統領
- 変遷と再建の時代-経済開発5ヵ年計画の第1段階
- ジョン・H・ハグレルガム大統領
- 社会・経済開発-パプア・ニューギニア及び太平洋島嶼国の当面する諸問題
- ミカエル・T・ソマレ外務大臣
- 教育・訓練を重点とした開発政策、援助の有効活用並びに経済基盤委員会
- エゼキエル・アレブア首相
- 環太平洋経済の密接な相互依存による島嶼国の開発
- ツゥポウトア皇太子
- 世界で2番目に小さい発展途上国向け援助信託基金-政治、文化を損なわない経済援助
- トマシ・プアプア首相
- 国家開発における保健、教育、職業訓練、地域活動の役割
- セシー・レーゲンバヌ文部大臣
- 進行中の中・長期計画、しかし当面の開発援助こそ喫緊事
- ツゥイラエパ・サイレレ大蔵大臣
- 豊かな国民資質による高価値輸出特産品の開発
- ププケ・ロバチ首相
最終セッション
- 議長総括
- 倉成 正
- 太平洋島嶼国財団設立の発表
- 笹川 良一