論考シリーズ ※無断転載禁止
SPF China Observer
ホームへ第33回 2020/06/05
新型肺炎感染拡大下における中国対外行動の論理
はじめに
中国語の「危機(weiji)」には、「危険」と同時に「機会」というニュアンスがあり、中国人はしばしば危機の中にもチャンスを見出そうとする傾向があるといわれる[1]。コロナウイルスによる新型肺炎が世界中で猛威を振るうなか、中国はいち早く封じ込めに成功する一方で、米国では世界最大の感染被害が出るに至った。米トランプ政権がコロナ対策において、グローバル・リーダーシップを示すことができず混乱する間隙を突いて、中国は国際秩序を変革しようとしているとして警戒感を示す声もある[2]。一方で、感染が世界中で深刻な事態にまでに発展したことから、今日、米国のみならず多くの国々からも、感染源である中国の初期対応に対しては厳しい視線が注がれており、中国は今や外交的には苦境に立たされているようにも見える。その一方で、中国は南シナ海や東シナ海で活動を活発化させ、香港や台湾に対してもこれまで以上に強硬な姿勢を示すようになってきている。また、本来、諸外国との間で調整の役割が期待される中国の外交官までもが最近は強硬な発言を繰り返し、各国の対中イメージをさらに低下させている。本稿においては、新型コロナウイルスによる被害が世界規模で深刻化し、中国を取り巻く国際環境が悪化しつつあるなかでの中国の対外行動の論理を見ることとしたい。
1.中国と国際機関
2003年のSARS流行時と比較すれば、中国のWHOとの連携は迅速であった。SARSの際には、中国政府は国内感染が深刻になってからもWHOとの協力をほぼ3か月間にわたり拒み続けた。SARSは2002年末に広東省で最初の感染が確認された後、翌年1月中旬以降に省都広州でアウトブレイクが生じ、香港経由で世界に広がった。しかし、WHO調査団が北京に到着した後も、中国衛生当局は広東省への現地調査を許可しなかった。これに対し、情報公開に非協力的な中国に業を煮やしたWHOは、4月に入り広東省と香港に対して渡航延期勧告を一方的に発出し、各国もこれに倣って渡航自粛措置をとった。この間、首都北京での感染が本格化し、ようやく中国指導部も大きく政策を転換し、衛生部長を更迭した上で情報公開に踏み切った。
当時の消極的な対応と較べれば、今回の中国政府のWHOへの姿勢は能動的で、国際機関との付き合いには大きな「進化」がみられる。WHOは中国での感染拡大の報告を受け、1月22日、23日に緊急事態宣言を発出するか否かの緊急委員会を開催した。しかし、その時点では意見が分かれ、緊急事態宣言の発出は約1週間遅れた。会合に参加した中国代表は、自国経済に大きな影響を与える旅行制限が課されることに強く反対したと伝えられる[3]。またその後、宣言が発出される直前の1月28日に訪中したテドロスWHO事務局長に対しては、習近平自らが丁重に対応し、テドロスは中国側の初期対応を称賛した[4]。この後感染が世界に拡大し、中国政府の初期対応に国際的な非難が高まった際にも、中国は、WHOは中国の対応を称賛しているとして、専門知識を有し、政治的に公平中立が前提の国際機関の権威をもって自国の行動を正当化した。
中国はこれまで、西洋思想を基盤にアメリカが支えてきたリベラルな国際秩序の枠組みを正面から否定するのではなく、むしろその枠組みの一環としての自由貿易などを十分に享受しながら発展してきた。しかし、今日の中国はこのような国際秩序に関しても、自由や民主、人権といった価値観を重視するリベラル・デモクラシーにもとづく秩序や、アメリカを中心とする安全保障体制についてはもはや支持しない一方で、国連を中心とする国際秩序については引き続き重視する姿勢を示すようになってきている[5]。この背景には、数の上で途上国が上回る国連の場を活用することによって、米国やその同盟国に対抗しようとの戦略も見える。
中国はすでに国連専門機関においてFAO(国連食糧農業機関)、UNIDO(国連工業開発機関)、ICAO(国際民間航空機関)、ITU(国際電気通信連合)の長のポストを占めており、国際機関を味方につけ活用する術を習得したといえる。一方で、このような現状に対する警戒も国際社会に浸透しはじめ、3月に行われたWIPO(世界知的所有権機関)事務総長選挙では中国人候補がシンガポール人候補に敗退した。
2.「マスク外交」の失敗
WHOの支持を得た時点では、中国は自国の外交を有利にコントロールできているように見えた。しかし、感染が拡大し、欧州主要国に伝播した後、米国が最大の感染国となるに及んで、これらの国々の対中姿勢は厳しくなってく。コロナ禍が発生する以前からすでに米中は厳しい対立にあった。中国としては米国と欧州との分断を図るのが従来からの基本戦略ではあったものの、外交の失敗により、すでに存在した欧州主要国の中国への警戒感を更に高める結果となった。
欧州における感染拡大の初期にイタリアで最も深刻な被害が出たのは皮肉である。イタリアはEU主要国のなかでは、ポピュリズムの台頭など民主主義の基盤が比較的弱いのみならず、経済的にも中国依存が高く、欧州主要国としては唯一、中国の「一帯一路」への正式な支持を表明していた。欧州ではこれまでも、経済的に困窮したギリシャへの中国のアプローチなどがEU全体としての結束を損なうものとして警戒を呼んでいた。そして今回、イタリアを含め欧州における感染被害が深刻な国々に対し、中国は積極的に援助を提供しようとした。また同時に、習近平国家主席、李克強総理は各国首脳に対し、王毅外交部長は各国外相に対して、見舞いと協力の電話外交を活発に展開した。しかし、英独仏伊などの主要国首脳に対する電話は習近平自らが行う一方で、欧州委員長フォン・デア・ライエンに対しては李克強からであった[6]。求心力が弱まっているEUとしては、加盟国に対するこのような中国の個別アプローチには敏感になっており、EUはその後、台湾からのマスク支援受け入れを決定し、政治的リスクがあるものの中国とのバランスをとったのであった[7]。
感染拡大への対応を協議すべく中国を外したG7テレビ会議の開催を提唱したのは、フランスのマクロン大統領である[8]。また、ブレグジット後、中国経済への依存を高める姿勢を示していた英国においても反中感情が高まった。これまで経済的配慮から中国への厳しい発言を控えていたドイツのメルケル首相でさえ、中国の透明性に苦言を呈した[9]。
中国はこの間、感染被害が拡大した国々に対して「健康の一帯一路」を提唱したが、このようなスローガンは、多くの民主主義国からみればあまりにもプロパガンダ色の強い印象を与える。まして、国営通信の新華社が報じた「中国は早期に封じ込めしたことにより感染の世界への拡大を防ぐのに貢献したので、世界は中国に感謝すべきである」といった主張は[10]、国際社会では大きな違和感をもって受け止められることになる。中国とすれば、信頼回復とともに国際的地位の向上や影響力の拡大を目指したキャンペーンではあったが、国内向けの宣伝スタイルがそのまま海外に発信されているようであった。国際社会の空気が読めないなかでのこのような過剰な外交攻勢はかえって逆効果となり、その後、各国メディアから「マスク外交」のレッテルを貼られ、中国への警戒感をかえって高める結果となった。
3.国内の論理による対外認識のずれ
2003年のSARS流行の際には、政府が感染情報の公開へと政策を転じた後、中国のメディア全体の自由度までもが一時高まった。しかし、今回はむしろ国内統制を強めている。習近平主席と共産党の指導力によって感染の封じ込めができたのであり「党と主席に感謝すべき」との国内宣伝を行うだけでなく、パキスタンのような友好国に働きかけ、諸外国は中国に感謝しているといった報道を国内向けに流している[11]。それどころか厳しい対立関係にある米国においてさえ、在シカゴ中国総領事館はウィスコンシン州議会の関係者に中国に対する感謝の決議を要請し、反発と失笑を買ったと伝えられる[12]。国際社会の世論に訴えるパブリック・ディプロマシー(中国語では「公共外交」)は外交の有用なツールとして近年中国も重視している。しかし、今の中国ではこのような外交的努力までもが中国共産党宣伝部にハイジャックされ[13]、「戦狼外交」と言われるような強硬な姿勢によって対外的にはオウンゴールを重ねているように見える。
このように国内の論理がストレートに外に出てきてしまう背景として、経済面での苦境がこれからも続くなかで、習近平指導部としては自らのリーダーシップによって感染封じ込めに成功したとして、国内の不満や批判を抑えたいという思惑がある。また、近年の米中対立によって中国内のナショナリズムが高まるなかで、対外関係を犠牲にしても強い姿勢によってまず国内での支持を固める必要性がある。このような背景の下、対外政策の決定と実施に際しても思考が内向きになっているといえる。さらに、習近平政権になってトップダウンの政策決定が強化され、対外政策を含め政策決定の権限は政府部門から党へとさらに集中が進められてきた。外交政策決定全般の調整を担う従来の外事工作領導小組は外事工作委員会に格上げされ、政策決定権限も強化された。これら制度改革により、党側の意向がトップダウンで実施されやすくなる一方で、行政の側にある現場の冷静な声が届きにくくなっているともいえる。
このような今日の中国の国内的な雰囲気を反映して、対外関係においても、最近、近隣の国や地域との間で緊張が高まっている。台湾との関係では、2月、中国解放軍機が台湾海峡の中間線を超えて飛行、香港については、先般5月に開催された全人代で香港への国家安全法制の導入が決まった。また南シナ海では、4月、中国が新たに行政区を設置する一方で、中国海警局の公船とベトナム漁船が衝突し、ベトナム漁船が沈没する事件も起きている。東シナ海の尖閣周辺海域においても、中国公船の活動は活発化している。
さらに、中国外交官が強硬な発言を繰り返し、現地の反発を招く事態が最近は頻発している[14]。3月12日、中国外交部の趙立堅報道官が「武漢に新型コロナウイルスを持ち込んだのは米軍かも知れない」とツイッターに書き込み、米国との対立を更にあおることになった。これら「戦狼外交官」と呼ばれる若い世代の外交官の言動からは、今日、外交系統の組織においてさえ、ナショナリステックで対外的に強硬な姿勢を示すことが、むしろ歓迎されるような内部の組織文化が伝わってくる。冷静に考えれば、たとえそのような言動が長期的かつ戦略的な中国の国益を損なうにしても、それぞれの個人や組織にとっての当面の利益にはかなうという認識がそこには存在するものと思われる。一方で、このような状況について、一部の研究者のみならずベテラン外交官は苦々しく思っている様子もうかがえる。先の「ウィルスは米軍が持ち込んだ」とする趙立堅報道官の発言に対しては、崔天凱駐米大使は婉曲的ながらも否定的な発言を行っている[15]。しかしながら、今日の中国において、このような冷静な声は中央の政策決定に届きにくくなっているのだろう。
4.高まる不安定要因
今年の中国経済の成長率についてのIMF見通しは1.2%で、米国をはじめ先進国が軒並み大幅マイナスのなか、現時点でプラス成長を確保する予想である[16]。しかし、これをもって単純にコロナ後の世界における中国の優位を予想はできない。中国は、改革開放以来、天安門事件直後やリーマン・ショック時の一時の停滞はあったものの、過去40年間で今回のような経済的苦境は初めてといえる。中国共産党のレゾンデーテルは経済発展であり、成長なくしては民衆の支持を失う。一方、国内においては依然として途上国としての脆弱な経済社会構造も残存している。これまで高い成長が続いたおかげで、社会の低下層であっても一定の経済発展のトリクルダウン(おこぼれ)を享受することができた。しかし、今回のコロナショックは、このような層における零細ビジネスや雇用そのものを直撃することになる。それは社会不満を高め、政権批判へとつながりやすい。これに比べれば、米国の政治や経済社会の構造はより柔軟で、政権運営への批判に対しては、政権交代で応えることができ、長期的にはショックに対する復元力は高いといえる。
中国の「一帯一路」構想にしても、今後の不安要因が浮かび上がる。「一帯一路」関連プロジェクトは商業ベースの借款が主体である。しかも、他の先進国であれば慎重にならざるを得ないようなリスクの高い案件に対しても、中国は拙速な審査を通じ、比較的高い金利でローンを提供しているケースが多い。その結果、当面続くであろう世界の経済停滞によって、今後借入国で返済不能となる案件が増えることになる。中国が大胆な債務免除といった措置をとらない限り、「一帯一路」沿線国との間でも大きな問題を抱え込むことになる。
冒頭で述べた通り、米国がコロナ危機に際して国際社会でリーダーシップを発揮できない間に、中国が代わってグローバルリーダーとしてその空間を埋めていくという懸念はある。しかし、今日、世界中で感染がここまで拡大し、中国への視線も厳しくなるなかで、当初は積極的な外交で反転攻勢をめざした中国も、今やダメージ・コントロールに追われているのが現状である。米国との関係では、強い姿勢を示すことで国内の支持を集める構造にはあるが、国内経済の厳しい見通しもあり、これ以上対立を深めたくはないというのが本音であろう。同時に、中国をとりまく国際環境が悪化するなかで、米国との武力紛争も含めさらに最悪の事態も想定する必要があるといった議論さえ出てきている[17]。
国内で高まるナショナリズムを背景として、今日の中国の対外行動においては、悪化する国際環境に対する過剰にディフェンシブな意識と、それゆえに強硬な姿勢が共存している。もちろんこれは中国のみの理由によるものではなく、米現政権の対中姿勢が中国を硬直化させている面もある。しかし、このような状況、特に信頼関係を著しく欠く今日の米中関係においては、互いの抑止行動における「誤認知(ミス・パーセプション)」が生じやすく[18]、また、突発事件が生じた際の危機管理を一層困難にするおそれがある。一般に、危機への対応には時間の制約があり、大きな圧力がかかる中で政策決定は高度に最高指導者に集中する。一方で、中国国内では、指導者は米国の要求に対し弱腰だと見なされないように、強硬な姿勢を採りがちになる。今日すでに、米中双方の海軍が展開する南シナ海や台湾海峡では「誤認知」による抑止の失敗、すなわち相手に対し、もうこれ以上の行動を起させないようにかけた圧力がその意図通りには伝わらず、かえって過剰反応を招くなどして紛争に至る心配も出てきている。米中両国は、1998年に軍事海洋協議協定(Military Maritime Consultative Agreement: MMCA)を締結し、海上での突発事故の対応に関する手順について合意している。また、99年のユーゴスラビア中国大使館爆撃事件や、2001年のEP-3事件を通じ、米中間で危機管理への意識が高まった時期もある。しかしその後、長い時間が経ち、目下の信頼関係を欠いた状況で、両国の間では危機が発生した時のための十分な準備は出来ていない。
おわりに
比較的早期に感染抑え込みに成功した中国は、感染が世界に拡大しはじめた時点で積極的な援助外交を展開し、失った信頼を回復するとともに影響力を拡大しようと試みた。しかし、当初の予想以上に感染が広がり、西欧の主要国、更に米国で最も深刻な事態となるにおよんで、これら国々の国民レベルにおいても中国への反感が高まった。その間、中国の展開した過剰な外交は、習近平自らのリーダーシップで感染を封じ込めたとして、不満や批判をかわしたいとする内向きの論理から来る宣伝色の強いもので、多くの国々の共感を得られず失敗に終わったといえる。また、東シナ海や南シナ海での活発な活動の背景には、ナショナリズムが高まるなかで、対外関係を犠牲にしても国内の支持を固めたいとの思惑もあるものと考えられる。しかし、中国はその表面的に強硬な姿勢とは裏腹に、予想以上に悪化した国際環境のもと、当面の間はむしろ、ますます大きくなるかも知れない米国による各方面からの圧力に如何に抗していくかという防御的な意識から、国内情勢の改善および国際環境の再構築に傾注すると考えられる。それは、米国に代わり大きなコストを払ってまで、新たな世界の秩序を創り上げ維持しようとすることではない。むしろ、これまでの延長上で、自由貿易、国連中心主義など、既存の国際秩序のうち自国に有利な部分を活用しながら、影響力の拡大を目指すものとみられる。
(脱稿日 2020年6月2日)
1 ただし、今日の中国で盛んな危機管理研究における「危機管理(weiji guanli)」という表現では、日本語の「危機管理」や英語の “crisis management”とほぼ同じ意味で使用されており、危機は常にチャンスに転化できるとは限らず、積極的な防御と管理が必要であると強調されるようになっている。初暁波「論冷戦後中国外交危機管理決策」牛軍編『中国対外政策分析』世界知識出版社、2003年、316頁
2 Kurt M. Campbell and Rush Doshi, “Coronavirus Could Reshape Global Order – China Is Maneuvering for International Leadership as the United States Falters,” Foreign Affairs, March 18, 2020 https://www.foreignaffairs.com/articles/china/2020-03-18/coronavirus-could-reshape-global-order (2020年5月30日最終アクセス)
3 産経新聞は1月30日付の仏ルモンド紙の記事を引用し、22、23日の緊急委員会で中国代表として参加した中国大使が緊急事態宣言に強く反対したと報じている。「新型肺炎、『緊急事態宣言出すな』中国が圧力と仏紙報道」『産経新聞』2020年1月30日 https://www.sankei.com/world/news/200130/wor2001300036-n1.html(2020年5月31日最終アクセス)
4 テドロス事務局長は訪中の際に複数の側近から、中国の初期対応を称賛するにしてもあまり大仰でない文言を使うほうがいいと助言されていたが、新型コロナウイルスが世界に広がっていくなかで中国政府からの協力を失うリスクを心配したといわれる。「批判覚悟で中国称賛、WHOテドロス氏の苦悩と思惑」『ロイター(日本語版)』2020年5月19日 https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-who-tedros-idJPKBN22U34J(2020年5月31日最終アクセス)
5 川島真「中国の世界展開―対外進出のねらいと現地からの視線」川島真・遠藤貢・高原明生・松田康博編『中国の外交戦略と世界秩序―理念・政策・現地の視線』昭和堂、2020年、6頁。
6 “EU fires warning shot at China in coronavirus battle of the narratives,” South China Morning Post, March 20.2020 https://www.scmp.com/news/china/diplomacy/article/3076728/eu-fires-warning-shot-china-coronavirus-battle-narratives(2020年5月31日最終アクセス)
7 “EU leader Ursula von der Leyen risks Beijing’s ire by lauding Taiwan’s donation of 5.6 million masks for coronavirus battle,” South China Morning Post, April 2, 2020 https://www.scmp.com/news/china/politics/article/3078032/eu-leader-ursula-von-der-leyen-risks-beijings-ire-lauding(2020年5月31日最終アクセス)
8 その後、コロナ対応をめぐり、中国も含めたG20や日中韓のテレビ会議も開催されたが、G7のテレビ会議では盗聴を防ぐ秘匿回線が使用されたと伝えられる。「テレビ外交に限界あり 本音交わせぬ世界の首脳」『日本経済新聞』2020年3月30日。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57407670Q0A330C2TCR000/(2020年5月31日最終アクセス)
9 「メルケル氏、中国に『透明性要求』コロナめぐり欧米が圧力強める中」『AFP(日本語版)』2020年4月21日 https://www.afpbb.com/articles/-/3279524?pid=22317608(2020年5月31日最終アクセス)
10 「理直気壮、世界応該感謝中国『新華網』2020年3月4日 http://www.xinhuanet.com/2020-03/04/c_1125660473.htm(2020年6月4日最終アクセス)
11 「巴基斯坦参議院通過決議感謝中国支持巴方抗撃疫情 反対針対中国的毫無根据的指控」『人民網』2020年5月14日 http://world.people.com.cn/n1/2020/0514/c1002-31709473.html(2020年5月31日最終アクセス)
12 “Why China is Losing the coronavirus narrative,” Financial Times, April.19, 2020 https://www.ft.com/content/8d7842fa-8082-11ea-82f6-150830b3b99a(2020年5月31日最終アクセス)
13 中国政治を研究するスーザン・シャーク、カリフォルニア大学サンディエゴ校教授の表現。 “Global Backlash Builds Against China Over Coronavirus,” New York Times, May 3, 2020 https://www.nytimes.com/2020/05/03/world/europe/backlash-china-coronavirus.html(2020年5月31日最終アクセス)
14 こうした中国外交官による一連の強硬な発言については、以下参照。桒原響子「中国の『戦狼外交』:コロナ危機で露呈した限界と課題」『国問研戦略コメント(202011)』日本国際問題研究所、2020年5月15日 https://www.jiia.or.jp/strategic_comment/2020-11.html(2020年5月31日最終アクセス)
15 「崔天凱大使接受AXIOS和HBO采訪実録」『中華人民共和国在美利堅合衆国大使館』2020年3月23日 http://www.china-embassy.org/chn/sgxx/cuids/DSJH/t1759545.htm(2020年5月31日最終アクセス)
16 IMF, World Economic Outlook https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2020/04/14/weo-april-2020(2020年5月31日最終アクセス)
17 ロイターが報じた国家安全部による内部レポート(但し、中国当局はその存在を確認していない)では、新型肺炎の感染拡大により米国に率いられた世界的な反中感情が天安門事件以来のレベルにまで高まっており、米国との武力紛争という最悪のシナリオにも準備しておく必要があると指摘している。 “Internal Chinese report warns Beijing faces Tiananmen-like global backlash over virus,” REUTERS, May 4, 2020 https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-china-sentiment-ex/exclusive-internal-chinese-report-warns-beijing-faces-tiananmen-like-global-backlash-over-virus-idUSKBN22G19C(2020年5月31日最終アクセス)
18 「誤認知(ミス・パーセプション)」による抑止の失敗については、国際政治学者ロバート・ジャービスの以下の著作が代表的。Robert Jervis, Perception and Misperception in International Politics, New Jersey: Princeton University, 1976.