中国の政治・経済・社会・外交・安全保障についての分析を発信

SPF China Observer

論考シリーズ ※無断転載禁止

SPF China Observer

ホームへ

第8回 2018/08/11

習近平政権が進める「宗教の中国化」とは

江藤 名保子(日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター研究員)

はじめに

 2012年秋に習近平が共産党総書記になってから5年あまりの間に、中国社会は大きく変化した。国内において顕著なのは、法と制度に基づいた言論統制メカニズムが急速に拡充したことである。反スパイ法(2014年施行)、国家安全法(2015年施行)、反テロ法(2016年施行)、海外NGO管理法(2017年施行)、サイバーセキュリティ―法(2017年施行)など、「依法治国」(法によって国を治める)を掲げる習近平政権のもとで様々な法規が施行されてきた。これらの法制度は、各種の行為主体をシステマティックに——ただし最終的には共産党の判断によって——管理することに力点をおき、共産党の独裁体制を補完することを最終目的とする。すなわち社会の安定を保持するためのルールであると同時に、国家による社会コントロールを強化し、制度化したものといえる。
 こうした社会管理の潮流は近年、宗教団体にも向かっている。2016年4月に党中央が15年ぶりとなる全国宗教工作会議を開催したほか、本年2月1日には改訂版「宗教事務条例」(2017年8月26日公布)が施行されるなど宗教活動に対する管理の制度化が進んだ[1]。ただし筆者の見解では、習近平政権の一連の施策は単なる弾圧の強化ではなく、宗教活動に「中国化」を求める特異なものである。また共産党の統一戦線工作の方針に即した制度設計がなされており、宗教団体の一般市民への影響力を活用する方針も明らかである[2]。本論では、複雑な様相を見せはじめた宗教政策の特徴と限界を考察する。

  

「宗教の中国化」は何を目指すのか

  

 習近平政権の宗教政策におけるキーワードは、「宗教の中国化」である。このキーワードを習近平が初めて提起したのは、2015年5月の中央統一戦線工作会議であった。同会議は党の統一戦線工作部(以下、統戦部)がおよそ9年ぶりに開いた全国レベルでの会議で、中国を取り巻く内外情勢の変化に対する危機感から、社会的影響力のある団体や個人を共産党の方針に従わせる管理の強化を決定した[3]。ここで習近平は民衆を統治する手段として、宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導くこと、宗教の中国化の方向の堅持、宗教管理の法治化の水準を高めることなどを示していた[4]。
 党と国家が宗教活動に関与する方針が先鋭に示されたのは、2016年4月に開催された全国宗教工作会議である。ここで習近平は「宗教管理活動は党と国家の活動全体のなかで特殊な重要性をもつ」「国家安全保障と祖国統一に関係する」と位置付け、「中国の特色ある社会主義宗教理論」を提起した。これは実質的に、宗教そのものを党の理論に組み込んで解釈せよという指示だと考えられる[5]。さらに宗教を「導く」姿勢を強く打ち出し[6]、共産党の指導的立場を強調した。同様に、同年9月に国家宗教事務局が主催した「我が国における宗教の中国化の方向の堅持」討論会では、王作安局長が「宗教は政治上のアイデンティティを自覚し、文化上の融合を自覚し、社会上の適応を自覚しなければならない」と発言しており[7]、宗教団体に対して当局の指導に沿う方向での変化を求める姿勢が鮮明になった。
 続いて改訂版「宗教事務条例」が公布、施行された。宗教事務条例は冒頭、憲法で認められている「公民の宗教信仰の自由」の保証を明記しつつも(第2条)、「宗教事務管理は合法性を保持し、非法を抑制し、極端を防遏し、浸透を食い止め、犯罪を打ち砕くという原則を堅持する」(第3条)という強圧的な立場を打ち出す。さらに宗教団体、宗教学校、宗教活動場所(施設)、信仰者である公民に対して「憲法、法律、法規と規制を遵守し、社会主義核心価値観を履践し、国家統一、民族団結、宗教の和睦と社会の安定を擁護しなければならない」(第4条)との義務を示して、国家安全保障や社会秩序への危害、国家の教育制度への妨害などを禁じた。また今次の改訂では、2005年公布版の7章48条の構成から9章77条に条文を増加し、寺院、道観(道教寺院)、教会以外での屋外の大型彫像の建造禁止[8]、宗教学校以外の教育機関での活動の禁止[9]、無許可の海外での研修や会議への参加の禁止などが追加された[10]。宗教活動の場所(施設)に対し法人資格を与える[11]、すなわち日本の財団法人にあたる法人格を認めるなどの新しい規定からは、当局が合法と認める宗教活動については支援する思惑も見て取れる[12]。だが、総体的には規制の強化が行われたと評価していいだろう[13]。
 このような動きと並行して打ち出されているのが「宗教の中国化」である。習近平は2017年10月の第19回党大会でも、「宗教の中国化」や「宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導く」方針に言及しており、中国人民政治協商会議(以下、政協)の主席である兪正声も[14]、2018年3月に開かれた全国政協第13期第1回会議で同じ文言を繰り返した。
 では「宗教の中国化」とは何を意味するのか。この「中国化」という表現は、実は「マルクス主義の中国化」として、統一戦線工作の文脈のなかで1930年代から用いられてきた。1938年10月の6期6中全会で毛沢東が「抗日民族戦争と抗日民族統一戦線の新段階」と題する講話を行い、マルクス主義は中国の革命の実践と結合している、として「マルクス主義の中国化」を唱道したことが知られている[15]。近年、習近平は「マルクス主義の中国化、時代化、大衆化」を推進する方針を示して[16]、中国の実態に合わせてマルクス主義の原理を解釈することを容認している。これは「マルクス主義」を拡大解釈することで、変化著しい中国の抱える課題と社会主義イデオロギーとの整合性を図る、共産党の理論武装の試みだといえる。
 こうした理解に基づくとき、「宗教の中国化」の名の下に何が行われうるかが重要である。まず宗教活動やその理念を中国の現実問題に即して解釈しなおすことが是認される。そして宗教活動が、中国社会の課題を改善する一助となることが求められる。実は宗教に、社会に対する「積極的な効果」を発揮させるという思考は、2007年の第17回党大会から継続している[17]。例えば王作安国家宗教事務局長は、既述の討論会で次のように述べていた。「我が国の宗教の中国化の方向を堅持することは(中略)宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導く重要任務であり、我が国の宗教領域で突出した問題を解決する戦略的措置であり、我が国の宗教が社会の発展進歩のなかで積極的効果を発揮するための必然の要求である」として、宗教が中国社会に順応し、その紐帯として役立つことを求めたのである。
 興味深いのは、「宗教の中国化」が現在の宗教に関する「突出した問題」の解決に役立つとされる部分である。この「問題」について習近平は、第19回党大会では「各種の浸透する転覆破壊活動、暴力テロ、民族分裂活動、宗教過激行動」と指摘したが、実際には極めて多岐にわたる問題群が存在する。以下では、現実社会における宗教問題を踏まえて検討を加えよう。

  

中国における宗教問題の政治性

  

 中国における宗教は拡大の一途を辿っている。2018年4月3日に国務院弁公室が発表した「中国の宗教信仰の自由を保障する政策と実践」白書(以下、宗教白書)によれば[18]、宗教の信仰者は2億人近くに上る。そのデータが正しいと仮定すれば、実に国民の6~7人に1人が何らかの宗教に入信していることになる。公式には「五大宗教」として仏教、道教、イスラム教、カトリックとプロテスタントが認められており、信徒はそれぞれの「愛国宗教団体」という組織のもとでの活動が容認されている。しかし実態としては、公式に承認されていない数多の宗教団体が存在し、活動している。それは、中国社会の貧困層や社会的に孤立した人々の増加に加え、社会主義イデオロギーの後退で社会に思想的空白が生じたところにインターネットなどを通じて様々な思想が中国社会に流入した結果だと考えられる[19]。すなわち中国の宗教は、社会問題と密接にリンクしてきたといえる。
 社会における宗教活動が拡大、多様化していることから、いわゆる「宗教問題」もまた多様である。主要なものだけでも仏教や道教の「商業化」(営利目的の宗教活動)の問題、農村部や貧困層における新興宗教の問題、チベット族の独立および人権問題(チベット亡命政権との対立)、イスラム教の過激思想やテロの抑止、ウイグル族の独立問題、カトリックの宗教指導者をめぐる問題(司教の任命権をめぐるバチカンとの対立など)、地下教会の管理問題など、広範で多岐にわたる。
 さらに政権の対応(政治的圧力)も対象によって異なる。フリーダムハウスによれば、2012年11月から2016年11月にかけて「宗教的迫害」が強まったとみられるのはプロテスタントを含むキリスト教(カトリック以外)とウイグル族イスラム教で、やや強まったと分類されるのが回族イスラム教とチベット仏教であった[20]。他方、マルクス主義の無神論に基づいて、共産党員の宗教活動は禁止されている。全国宗教工作会議でも習近平が「宗教に自己の価値観と信念を捜すことは決してできない」と念を押したものの、実際には党員のなかにも宗教に傾倒するものがおり、これをいかに取り締まるかという問題もある。
 上述の問題群とも重なるが、宗教問題は国内統治の問題と深い関わりがある。その筆頭となるのがチベット族やウイグル族の民族問題で、習近平政権も発足当初から注視してきた[21]。習近平がトップリーダーになって間もない2013年1月に四川省成都で、中国仏教協会主催で「仏教生命観の検討会」が開催された。これは2008年のチベット騒乱以降、政府に抗議するチベット仏教僧侶による焼身自殺が頻発したことに起因する。また2014年6月には新疆ウイグル自治区ウルムチで、「中道を堅持、過激から別離」を主題とするイスラム教中道思想検討会を開催し、暴力テロへの警鐘を鳴らした。これらの事例は、社会不満や政治思想の相違に端を発し「宗教」を触媒として表面化した政治問題のほんの一端である。
 以上に明らかなように、中国における宗教問題は政治的に敏感なイシューと重複する。さらに歴史を振り返れば、白蓮教徒の乱(1796~1805年)、太平天国の乱(1851~64年)など宗教団体が時の政権を脅かす反乱を引き起こした事例、1999年4月に法輪功の信者が中南海(党と政府の中枢や要人の住居がある地域)を包囲した事件なども想起される。共産党政権が宗教の怖さを強く認識する所以である。2018年3月に発表された党と国家の機構改革では、宗教政策の主管が国務院国家宗教事務局から中央統戦部に移行した。改めて党のイニシアティブを強化する意味があり、宗教活動をめぐる規制がより厳しく実施される見込みである。そして、管理の強化は共産党の危機意識の高まりと表裏一体といえる。
 こうした観点から一連の施策を概観すると、2つの特徴を見出せる。第1に、海外からの影響を極力排除しようとする姿勢がより鮮明になった[22]。それは、「国内の反政府の動きと国際的敵対勢力が結託した」とされる天安門事件の再来を恐れる、共産党政権の一貫した方針でもある。従来から宗教事務条例には「各宗教は独立自主と自弁の原則を堅持し、宗教団体、宗教学校、宗教活動場所(施設)と宗教事務は外国勢力の支配を受けない」と明記されてきた[23]。また習近平自身、宗教における「独立自主と自弁の原則」を繰り返し表明し、しばしば宗教を用いた海外からの「浸透活動」への警戒心を示している。ただし宗教白書が「一帯一路」構想に言及して宗教の国際交流を提唱したように、宗教の「走出去」(海外に打って出る)を促進し[24]、国際社会の対中認識を改善したいという期待もある。第2に、党の方針に従わない団体への抑圧や活動禁止を法的に規定する反面、方針と合致する宗教活動については支援し、社会管理に積極的に有効活用しようとしている。実際に各種の宗教団体は慈善活動を盛んに行っており、社会における弱者救済の役割を果たしてきた[25]。社会矛盾を解決することを目指すならば、2017年の段階で約14万件の登記がある宗教活動場所(施設)に法人格を付与して活動を認可する効果は小さくないだろう。

  

おわりに

  

 政治問題では沈黙を強いる一方で、社会問題では積極的に利用する。こうした方針は海外NGOや著名ブロガーへの対応にも共通している。いずれにおいても特徴的なのは、共産党政権の方針に従うかどうかを基準にアメ(活動の支援)とムチ(弾圧)を使い分け、各アクターが自主的に規制に従うよう促す手法である。このような「自主規制」の促進は、共産党が従来から採ってきた、大衆の不満を抑え込みながら管理する方針の延長線上に位置づけられる。習近平が2015年の中央統一戦線工作会議で「宗教管理活動の本質は大衆工作」と明言したように、従来の大衆コントロールの手法を宗教に適用した、と理解できるのである。だが、これまで様々な社会管理において有効だったとしても、この手法が宗教問題において意図したとおりの効力を発揮するのかについては疑問の余地がある。信仰心はしばしば、政治的圧力に対して非常に強い反発力を発揮する。「ムチ」による管理が、活動を認可されない宗教団体のさらなる地下化、過激化を助長する可能性は否定できない。また特定の宗教活動を厳しく制限するならば、国内外の宗教界はもとより国際社会から宗教の自由に対する侵害だと批判されることもあり得るだろう。
 拡大し、多様化する宗教活動を、共産党独裁の維持を要諦とした統治システムのなかでどのようにコントロールするか。習近平政権にとっての回答は——どのような反発が見込まれるにせよ——共産党が「すべてを領導する」 [26]中国のシステムに宗教を組み込んでいくこと[27]、すなわち「宗教の中国化」しかなかったのかもしれない。しかし権力による「中国化」の強制が、宗教問題の万能薬になるとは考えにくい。共産党による一党独裁が続く中国で、宗教政策が「権威主義体制のレジリエンス(強靭性)」を示す事例の列に加わるのか、あるいは新たな火種となるのか。その成否は「宗教の中国化」がどのように具現化されるのかにかかっている。

(脱稿日 2018年7月13日)

1「宗教事務条例」は中国の宗教管理制度の基盤となる法令である。改訂前は、2004年公布、2005年施行であった。

2もともと宗教は、統一戦線工作の「五大関係」の第3として重視されてきた。「五大関係」とは、①政党関係(共産党と各民主諸党派の関係)、②民族関係(各民族間の関係、特に漢族と少数民族の関係)、③宗教関係(異なる宗教を信ずる一般大衆間の関係)、④階層関係(社会階層間の関係)、⑤国内外の同胞関係(中国大陸の同胞と香港、マカオの同胞、台湾の同胞、海外華僑との関係)を指す。

3中央統一戦線工作会議については東京財団政策研究所『Views on China』に寄稿した拙稿「中国共産党の求心力——新しい統一戦線の目指すもの」(2015年7月7日掲載、https://www.tkfd.or.jp/research/china/a00511?id=1538)を参照。同年7月末には中央統一戦線工作領導小組を新設したことからも、この頃から習近平政権が統一戦線工作を通じた世論コントロールを強化し始めたと考えられる。

4「習近平:巩固発展最広範的愛国統一戦線」『新華網』2015年5月20日掲載
[http://news.xinhuanet.com/politics/2015-05/20/c_1115351358.htm]

5この点について党機関紙『求是』の論文は、「画期的な意味がある」「現代中国におけるマルクス主義宗教観の最新の成果であり、中国の特色ある社会主義理論体系の『宗教編』である」と称賛した(中共国家宗教事務局党組理論学習中心組「党的十八大以来宗教工作理論和実践創新」『人民網』2017年9月18日掲載
[http://theory.people.com.cn/n1/2017/0918/c40531-29542397.html]

6「習近平:全面提高新形勢下宗教工作水平」『新華網』2016年4月23日掲載
[http://www.xinhuanet.com/politics/2016-04/23/c_1118716540.htm]

7国家宗教事務局研究中心「我局招開『堅持我国宗教中国化方向』討論会」国家宗教事務局ホームページに2016年9月26日掲載
[http://www.sara.gov.cn/old/xwzx/xwjj/378170.htm]

8従来は事前申請で認可を得られれば施設の外の建造も認められていた。なお、モスクは中国語で「清真寺」と表記されるためイスラム教の寺院も含まれると解釈する。

9宗教団体による教育活動は多様化している。ロイター「中国政府は「キリスト教弾圧」を強化している―約6000万人に急増したキリスト教徒の前途」(『東洋経済オンライン』2018年1月3日掲載、https://toyokeizai.net/articles/-/203365)を参照。

10無許可の海外での研修、会議、巡礼が禁止されている。このうち海外巡礼は改訂前から禁じられていた。

11第23条は寺院、道観、教会などが「宗教活動場所」として法人登記ができると規定する。従来はまず宗教団体を法人として成立させてからの登録が必要だった。なお、第14条では宗教学校の法人格取得を認めている。また宗教団体そのものは「社会団体登記管理条例」に則って社会団体として法人格を得ることができる。

12さらに2018年6月1日に国家宗教事務局は「宗教臨時活動地点審批管理弁法」(2月22日印刷発行)を公布し、継続的な宗教活動に必要とされる宗教活動場所について、臨時の活動地でも申請できるとした。

132018年5月、21人の日本人キリスト教系宗教団体関係者が当局によって拘束されたと報じられた。布教活動が原因とされる(『朝日新聞』2018年5月25日、
[https://www.asahi.com/articles/ASL5T35S9L5TUHBI00R.html]

14政協は統一戦線工作の最も広範で代表的な組織とされる。

15最初にこの概念が示されたのは1937年10月の中央政治局常務委員拡大会議で、当時の党総書記であった張聞天によるとされる(黄少群「誰最早提出『馬克思主義中国化』科学命題的」『中国共産党新聞』
[http://cpc.people.com.cn/GB/85037/8270513.html]

16「習近平:継続推進馬克思主義中国化時代化大衆化」『新華網』2017年9月29日掲載
[http://www.xinhuanet.com/politics/2017-09/29/c_1121747887.htm]

17李健彪「発揮宗教界人士和信教群衆積極作用的思考」『中国民族報』(『共産党新聞網』2009年9月15日転載、
[http://cpc.people.com.cn/GB/165240/166717/10058431.html]

18宗教白書が発表されたのは1997年以来であった。同白書は、中国における「宗教信仰の自由」を強調、その合法性と正当性を主張したが、「宗教の中国化」も明記した。

19当局もインターネットが宗教の新しいプラットフォームを提供しているとして着目し、海外からの思想的な浸透があり得る分野として警戒している。「インターネット宗教」が盛んなことを「宗教2.0時代」と呼ぶ研究者もいる(陳明明、肖存良主編『統一戦線理論与実践前沿:2017』復旦大学出版会、2017年、243-253ページ)。

20Freedom House, The Battle for China’s Spirit: Religious Revival, Repression, and Resistance under Xi Jinping,
[https://freedomhouse.org/report/china-religious-freedom]

212016年6月2日に国務院新聞弁公室が発表した『新疆の宗教信仰自由状況』白書は、新疆ウイグル自治区での「宗教を信仰する公民の正常な宗教ニーズは効果的に満たされ」ているとしながら、「中国政府は、宗教問題の政治化に揺るぎなく反対し、宗教問題を口実に他国の内政に干渉することに反対する」と記した(「国務院新聞弁公室が『新疆の宗教信仰自由状況』白書を発表」『新華網』2016年6月2日掲載、
[http://jp.xinhuanet.com/2016-06/02/c_135407059.htm]

22この方針からカトリックの総本山であるバチカンとの確執が続いている。近年にはバチカン市国との接近が報じられていたが、2018年3月ごろに頓挫したとされる(秦野るり子「バチカンと中国——関係改善の『同床異夢』」『外交』Vol.49、96-101ページ)。また報道によれば、2018年3月末からインターネット上での聖書の販売が禁じられた。

23改定前の第4条、改定後の第5条に記載されている。

24李剣峰、時江玲「中国宗教如何『走出去』」『中国民族報』(統一戦線工作部ホームページに2017年10月12日転載、
[http://www.zytzb.gov.cn/tzb2010/wdzj/201710/badbbf28e2b14c3188dfbc5166bb5472.shtml]

25愛徳基金会は、全国31の省に展開して2017年までの過去5年間の「宗教慈善週」の活動で総額10億元を超える寄付を行った(「十八大以来宗教工作的新発展」『中国民族報』2017年9月14日)。

26中国語の「領導」は、指揮する、統率するなどの意味で、「指導する」よりも命令としての含意が強い。

27第19回党大会で習近平は「党、政、軍、民、学の各方面、東、西、南、北、中の全国各地について党はすべての活動を領導する」と明言し、共産党の指導を広範に強化する方針を示した。

  • Facebook
  • X
  • LINE
  • はてな

ページトップ