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第3回 2018/04/10

習近平「新時代」の安全保障上の意味

小原 凡司(笹川平和財団上席研究員)

はじめに

 2018年3月5日から20日までの間、中国で全国人民代表大会(全人代)が開催された。5日の全人代開幕に合わせて発表された予算報告では、2018年の国防費は前年比8.1%増の1兆1100億元(約1750億USドル)を計上するとされた[1]。この数字が高いのか低いのかは議論が分かれる。
 李克強首相は公表された政府活動報告で、2018年の国内総生産(GDP)の伸び率の目標を昨年と同じ6.5%前後に設定したとしていることから、国防費の伸び率が経済成長を上回り、軍備増強が経済を圧迫することになるとも言われる。一方で、人民解放軍が、2050年までに米軍に比肩する軍事力となるために不可欠だと主張する、10%以上の伸びには全く及ばない。
 そもそも、全ての予算項目を含んでいないと言われる中国国防費の公表された伸び率を見るだけでは、中国の軍備増強の現状、さらにはその背景にある意図を理解することは難しい。全人代で公表された伸び率は、中国政府及び政府をコントロールする共産党が、経済成長と軍備増強のバランスをとっているという政治的メッセージを示す程度のものかもしれないのだ。
 中国が、人民解放軍の近代化を図り、軍事力を増強していることは間違いない。しかし、なぜ中国は「新時代」に強大な軍事力を必要とするのか、そもそも、習近平政権が掲げる「新時代」は何を意味しているのか、といった疑問に対して、中国が公表するデータは完全な回答を提供してくれない。
 これらを理解しようとすれば、公表されたデータだけでなく、実際に起こっていることも分析しなければならない。本論考では、国家及び党内で決定された安全保障関連政策の内容、そしてその決定が武器装備品の調達や部隊の任務行動に与えた影響を考察することを通して、習近平政権が掲げる「新時代」の理解を試みる。

1.全国人民代表大会

 2018年の全人代は、李克強首相を始めとする国家機関指導者や閣僚たちが、こぞって「習近平『新時代』」を叫んだのが印象的だった。習近平国家主席(党総書記)は、閉幕式の演説で「中国の社会主義は『新時代』に入った」と宣言し、今世紀半ばまでに、米国と肩を並べる「社会主義近代化強国」を建設するとの目標を改めて示した[2]。
 習近平氏への権力集中が一層進んだのは誰の目にも明らかだった。2期10年という国家主席の任期制を撤廃する憲法改正や、習近平氏を国家主席に、李克強氏を首相に再選するとともに、王岐山氏を国家副主席に異例の登用をする人事などが行われたのだ。
 さらに、習近平主席の「反腐敗」を進めるための新たな汚職摘発機関「国家監察委員会」の法的根拠となる監察法などを採択した。「党のゴム印」と揶揄される全人代は、立法機関としての機能を高めつつあるが、新たな法の制定等によって、習近平氏への権力集中を国家の制度としたのだ。
 習近平総書記には、中国の新時代を領導するために、彼個人の権威の制度化が必要だということでもある。しかし、それは同時に、習近平氏は、党総書記でも国家主席でもなかったにもかかわらず誰もが指導者と認めた鄧小平氏と同等ではないことも示している。
 しかも鄧小平氏が進めた制度化は、個人への権力の集中とは正反対の、ボトムアップの政策決定過程を構築し、誰が指導者となっても共産党による長期の安定した中国の統治を実現しようとするものであった。これに対して、習近平総書記が自らに権力の集中を図る目的はどこにあるのか、遡って検討する必要がある。

2.中国共産党第19回全国代表大会(19大)

 立法機関としての機能を高めているとは言え、全人代が党の方針を政策化する場であることに変わりはない。2018年の全人代で決定された事項は、19大及びその後の中国共産党第19期中央委員会第1回全体会議(一中全会)、第2回全体会議(二中全会)、そして第3回全体会議(三中全会)で審議され、決定された党及び国家機関改革の方針に基づくものである[3]。
 2017年10月18日に開幕した19大における習近平総書記の報告は、現在の党中央の関心と意図を反映したものである。この報告には、『小康社会の全面的完成の決戦に勝利し、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な勝利をかち取ろう(中文:決勝全面建成小康社会 奪取新時代中国特色社会主義偉大勝利)』いうタイトルがつけられており、以下の13項目から構成されている[4]。
「1 過去5年の活動と歴史的変革」
「2 新時代の中国共産党の歴史的使命」
「3 新時代の中国の特色のある社会主義思想と基本計画大綱」
「4 全面的な小康社会建設を必ず達成し、社会主義近代化全面建設という国家の新たな道を開く」
「5 新発展理念を貫徹し、近代化された経済システムを建設する」
「6 人民を国家の主であるという制度体系を健全化し、社会主義民主政治を発展させる」
「7 文化に対する自信を定着させ、社会主義文化の繁栄と隆盛を推進する」
「8 保障を向上させて民生の水準を改善し、社会統治を強化し創造する」
「9 生態文明体制改革を加速し、麗しい中国を建設する」
「10 中国の特色のある強軍の路を堅持し、国防と軍隊近代化を全面的に推進する」
「11 『一国二制度』を堅持し、祖国統一を推進する」
「12 平和発展の道を堅持し、人類運命共同体構築を推進する」
「13 厳格に党を治めることを揺るがさず、党の執政能力と指導水準を不断に向上させる」。
 中国共産党は、中国メディアを通じて、19大のキーワードは「新時代」であると喧伝した[5]。約3時間半に及んだ報告の中で「新時代」という言葉は36回使用されている[6]。
 報告は最初に、「中国共産党第19回全国代表大会は、小康社会の全面的完成の決戦の段階、中国の特色ある社会主義が新時代に入る鍵となる時期に開催される非常に重要な大会である」と述べ、中国がまさに新時代に入ろうとしているとの認識を示している。
 この「新時代」は、中国が言う「二つの百年」に関係している。「二つの百年」とは、中国共産党結党100周年の2021年と、中華人民共和国成立100周年の2049年である。そうすると、20大までに一つ目の「百年」が訪れることになる。
 鄧小平氏は「小康状態の完成」を指示していたが、現在の中国共産党は、「2020年までに『全面的な小康状態』を完成」するとしている。「偉大な指導者」である鄧小平氏の指示は絶対であり、「全面的な小康状態」は必ず達成されるだろう。2020年に鄧小平氏の指示を達成した後は、権威ある新たな目標が必要になる。
 そして、「新時代」の目標を掲げるには、現在の党中央に鄧小平氏に並ぶ権威が必要とされる。経済構造の改革等、痛みを伴う改革を実施しなければ経済発展を継続できないからである。そのため、習近平氏個人に権力を集中し、党中央の権威を向上させようとするのだと考えられる。
 習近平氏個人に権力を集中することには、党中央には一定のコンセンサスが存在すると考えられる。党中央の権威の低下は、共通の危機意識であるからだ。鄧小平氏が導入した市場経済は、共産党の計画経済と相容れず、必然的に共産党の権威の低下を招くものだった。中国共産党は、経済発展させることによって自らの存在を正当化してきた。しかし、計画し管理することを存在意義とする共産党の権威の低下は免れなかった。
 中国共産党中央は、共産党の権威を高めるために習近平個人に権力を集中する必要があると考える。ただし、方向性は同じであっても、どこまで権力の集中を許すのかという程度については考えの違いもある。権力闘争の表れと言われる、政治局常務委員会人事及び中央軍事委員会人事等では、この考えの違いが見え隠れする。
「習近平思想」の党規約への盛り込みは、指導者自身の名前を冠した行動指針を明記することにより、毛沢東および鄧小平と同格の権威を示そうとするものだ。党の権威を復活させ、党の執政能力と指導水準(統率力)を向上させることによって国民の信頼を回復し、初めて中国を新たな目標に導くことができるのである。

3.中央軍事委員会人事に見る党の権威向上の意図

 それでも、習近平氏の権力掌握は完成していないように見受けられる。習近平総書記の権力を際立たせる一方で、まだ強引な人事によって自らの権力固めを行わなければならないことを示す事例も見受けられるからだ。
 中央軍事委員会の大量更迭と新たな人事は、その典型と言える。2017年7月30日に、八一記念日(建軍記念日)を祝賀して実施された内モンゴル演習基地での閲兵式と併せて考えると、2017年後半にいたっても、習近平総書記の軍の掌握は、完全ではないのだと理解できる。
 中央軍事委員会の人事は人民解放軍の掌握に直接影響を及ぼす事案である。2017年10月の中央軍事委員会人事は、福建閥の多用等、習近平氏個人の権力固めに利用されたと言われがちであるが、より大きな構造的な目的がある。
 19大を前に、前海軍司令員・呉勝利上将(72)、前統合参謀部参謀長・房峰輝上将(66)、政治工作部主任・張陽上将(66)ら3名が拘束され、他に空軍司令員・馬暁天上将(68)1名が更迭された[7]と報じられた。党大会における中央軍事委員会人事を目前に控えた時期の拘束及び更迭は異例である。呉勝利上将は、その後、メディア等に登場し、19大にも出席したため、拘束が事実であったかどうかは明確ではないが、前統合参謀部参謀長の房峰輝上将、中央軍事委員会政治工作部主任の張陽上将は、事実上の身柄拘束となる「双規」を通告されたとされる。
 拘束及び更迭された3名が早々に委員から外れたことで、留任するのは、現副主席・許其亮上将(元空軍司令員)、張又侠上将(前装備開発部長)、魏鳳和上将(前ロケット軍司令員)の3名となり、新規に、韓衛国上将(陸軍司令員)、苗華上将(政治工作部主任)、宋普選上将(後勤保障部長)、丁来杭中将(空軍司令員)、沈金龍中将(海軍司令員)の4名が加わると思われた。しかし、実際には、陸軍、海軍、空軍各司令員は中央軍事委員会入りしなかった。
 中央軍事委員会委員となったのは、習近平主席、許其亮副主席、張又侠副主席(前装備開発部長)、魏鳳和(前ロケット軍司令員)、李作成(統合参謀部参謀長)、苗華(政治工作部主任)、張昇民(党中央規律検査委員会副書記兼中央軍事委員会紀律検査委員会書記)である。人数も、11名から7名へと縮小された[8]。陸海空軍司令員を中央軍事委員会から外したのも、人民解放軍の権威を相対的に下げ、党中央の権威の向上を図ったものと考えられる。
 軍の権威を抑え込み、党の権威を相対的に高めるのは、中央に対する軍の反発を恐れるからだけではなく、軍が党の命令に服従しなければ、中国の発展を支える対外経済活動を軍事力によって保護することができないという危機感があるからだ。

4.習近平総書記の報告に見る人民解放軍

 党中央が軍に何を求めるのかも、19大で習近平総書記が行った報告に見ることができる。軍事は、13ある項目の中の10番目で述べられており、その分量は中国語の字数で全体の3%に満たない。権力闘争の道具として用いられることのある人民解放軍であるが、党内政治における軍事自体の優先順位は決して高くないということだ。しかし、その中でも、習近平総書記を中心とする党中央の関心及び軍事オペレーションの焦点などは垣間見える。
 軍事オペレーションに関する記述はごくわずかであるものの、軍近代化の方向性が盛り込まれている。「軍事のAI化」「ネットワークを基礎とした統合作戦能力(米軍のネットワーク・セントリック・オペレーションを意識している)」等の表現は、抽象的で具体性に欠けるものの、人民解放軍の装備及び作戦に反映される。
 また、習近平総書記の関心事項として、「退役軍人の管理と保障」、「軍人軍属の権益の保護」、「軍人を社会から尊敬される職業にすること」、「武装警察の改革」が挙げられており、処遇の悪さを理由に頻発する退役軍人の抗議活動(現役軍人の明日のわが身)及び「反腐敗」による実質的収入減少にも関係した現役軍人の不満に対して危機感を有していることがうかがえる。反対に、人民解放軍が国民からの信頼を喪失している状況を認め、改善を指示することは、人民解放軍の腐敗のひどさを示唆するものでもある。
 さらに、習近平総書記は、現段階に至って、武装警察に問題があるという認識を示した。武装警察は、組織編成上は公安部の指揮下にあったが、中央軍事委員会の直接指揮を受けるともされてきた。1989年6月4日の天安門事件以降、その重要性を認識されて、武装警察は組織を拡大してきた。
 組織上は公安の下にあることが、共産党内でも政法委員会の影響を強く受けることになり、結果として、江沢民派の周永康に牛耳られることになってしまった。この武装警察の改革は組織改編から始まった。2018年1月1日から、中央軍事委員会の統一指揮を受けるとされ、政法委員会が排除されたため、指揮系統が党中央から中央軍事委員会を経て武装警察に至る1本のラインになった。

5.「海洋強国」宣言

 経済発展を遂げるにつれて米国の妨害に対する警戒を高める中国にとって、「海洋強国」になることは、今後も経済発展を継続する必要条件である。中国は、「一帯一路」の「一路」である海上輸送路の保護を必要としている。さらには、中東等の地域において軍事プレゼンスを示す必要もある。
 しかし、習近平報告おいて「海洋強国」という表現が使用されたのは1回のみである。使用された箇所は、13ある項目の5番目の「新発展理念を貫徹し、近代化経済体系を建設する」である。日本や米国では中国の海洋強国への取り組みの一つとして話題になる南シナ海は、第1項目「過去5年の工作と歴史的変革」の中でしか触れられていない。
 中国にとっての「海洋」の位置づけは、中国の発展を支えるための、資源と物資及び軍事力を輸送する「路」なのである。海洋は資源を得る場所として重要であるとともに、内陸部と同様の辺境としても認識される。辺境をコントロールして、交通を含む活動の安全を図るとともに、独立阻止を含む辺境コントロールでもある。
 この習近平報告では、「海洋強国」建設の主役を海軍に指定している訳ではない。それどころか、「海軍」の名称が「報告」の中で使用されたのは1回のみで、10番目の項目の「中国の特色のある強軍の道を堅持し、国防と軍隊の近代化を全面的に推進する」の中で使用されている。
 それでも、中国の対外経済活動を保護する主要なアクターは海軍である。1983年から、鄧小平氏直々の指名を受けて海軍司令員となった劉華清は、海軍の発展を三段階に分けて指示している。
 第一段階は、2000年までであり、「今(1980年代半ば)から15年が最も大切な時期である、2000年までに海軍の行動範囲を第一列島線内外まで拡大しなければならない」と述べている。この第一段階の目標は、2009年頃から中国海軍が「遠洋航海訓練の常態化」を喧伝していることからも分かるように、ほぼ10年遅れで達成されている
 1980年代半ばの時点で、第二段階及び第三段階の具体的な目標は掲げられていないが、中国海軍の艦艇装備状況などを見れば、第二段階の2020年には空母打撃群を世界各地域に派遣して軍事プレゼンスを示すことを目標としていると考えられる。第三段階の2050年には、19大の「報告」等でも示されたように、米海軍を凌駕する海軍となることを目指す。
 海軍の発展戦略は「二つの百年」という時間目標と連携しており、「屈辱の百年」及び「中華民族の偉大な復興」にも結び付いたものだと言える。政治的な目標に、海軍の近代化の速度を合わせようというのである。

6.空母建造の意義

 中国が目指す「海洋強国」を実現するのに海軍の近代化は欠かせない。その中国海軍の装備で象徴的なものが空母である。中国は、訓練空母「遼寧」を有しているが、設計図もなしに修復した「遼寧」は、実戦に用いることはできない。推進システムに問題を抱える「遼寧」は稼働率が低く、中国海軍は空母運用に関して十分なノウハウが得られていない。艦載航空部隊の錬成にも課題を残したままだと考えられる。
 空母及び艦載機の作戦運用に係るノウハウが得られていないにも拘わらず、中国が空母を設計し建造するのは、米海軍との戦闘が目的ではなく、世界各地域に中国の軍事プレゼンスを示すためである。軍事プレゼンスを示すことによって、ようやく中国は地域に対する影響力を持てると考えるのだ。
 中国が自ら不足していると考えるパワー・プロジェクション能力の最たるものが空母である。空母は、世界中に中国の空爆能力を展開するビークルなのだ。中国にとって、空母打撃群は経済発展に不可欠なものであると考えられている。
 しかし、中国の艦艇建造技術はまだ満足のいく空母の建造を許さないように見える。中国国防部は、記者会見において「初の国産空母は『遼寧』の改良程度」だと述べている。さらに、大連造船所が建造した初の国産空母と上海の江南造船所が建造している空母は型が異なるようだ。
 もともと、大連造船所はソ連由来の技術を多く用い、江南造船所は西側の技術を多く用いる傾向にある。実際、中国海軍は、2000年代前半に大連造船所と江南造船所でそれぞれ異なる型の駆逐艦を建造した。「051C型/旅州型」駆逐艦及び「052C型/旅洋型」駆逐艦である。中国はこれら2種類の駆逐艦を建造した後、8年間駆逐艦を建造しなかった
 中国は、2種類の駆逐艦を運用しながら性能の比較等を行い、最終的に「052C/旅洋型」に艦種を絞り込み、現在ではその発展型である「052D/旅洋Ⅱ型」の大量建造に至っている。この状況が、空母の建造においても見られる可能性がある。中国の空母は、まだその型が定まっていないということでもある。
 中国は、空母を護衛し、空母打撃群を構成する大型の駆逐艦も建造している。2014年12月から建造が開始された「055型」駆逐艦である。「055型」駆逐艦は、2017年6月28日に江南造船所で進水した[9]。
 全長180メートル、満載排水量12000トン強で、130mm主砲、多用途垂直発射システムを搭載しているが、技術的に飛躍的な進化を遂げたようには見えない。米海軍USS Zumwalt (DDG1000)と同様の統合電源コントロールを追求し、レールガン及びレーザー砲の搭載を検討したが、技術的に及ばなかった可能性がある。
 しかし、「055型」駆逐艦は、使用している技術だけでなく、その任務に意義がある。2014年の建造開始時、中国海軍は、「055型駆逐艦は、これまでの本土防衛の艦艇とは異なり、グローバルに戦略的な任務を遂行する艦艇だ」と称している。空母打撃群とともに世界に展開する艦艇であるという意味だ。
 2018年3月、「055型」駆逐艦が大連造船所で建造されているのが確認された。この建造ペースを見れば、中国が2020年までに、空母打撃群をインド洋から地中海にかけて展開しようとする意図が見えてくる。

おわりに

 習近平氏が党総書記の座に就いて以来、中国は「大国外交」を外交の中心に据えてきた。2018年に至っても、中国外交にとって最重要な課題は、米国との軍事衝突を避けることである。北朝鮮の核兵器開発問題は、トランプ大統領の誕生を契機に、米国と中国という両大国間のゲームの様相を強めている。
 2017年5月の「一帯一路」サミットで、あたかも自由貿易の旗手であるかのように振舞い、経済的には強者として国際ルールへの関与を始めた中国であっても、軍事的には米国にははるかに及ばない。軍事的に弱者である段階から国際秩序の変更を試みる中国は、今後とも、米国との衝突を避けつつ、軍事力の増強を継続することになる。

(脱稿日 2018年3月25日)

1「中国国防費、18年は8.1%増に 全人代で予算報告」「REUTERS」
[https://jp.reuters.com/article/china-parliament-defence-idJPKBN1GH022](最終検索日:2018年3月4日)

2「習氏『民族復興近づく』 全人代閉幕 2期目本格始動」「読売新聞」2018年3月21日

3「第19期三中全会解読:改革をやり遂げる」「人民網日本語版」
[http://j.people.com.cn/n3/2018/0302/c94474-9431799.html](最終検索日:2018年3月2日)

4「決勝全面建成小康社会 奪取新時代中国特色社会主義偉大勝利 -在中国共産党第十九次全国代表大会上的報告」「中華人民共和国人民政府」
[http://www.gov.cn/zhuanti/2017-10/27/content_5234876.htm](最終検索日:2017年10月18日)

5「進入新時代!習近平十九大報告全文」「鳳凰資訊」
[http://news.ifeng.com/a/20171018/52686134_0.shtml](最終検索日:2017年10月18日)

6「【中国共産党大会】3期目にらみ『新時代宣言』 習近平氏、自画自賛『創造的な成果』」『産経ニュース』
[http://www.sankei.com/world/news/171018/wor1710180045-n1.html](最終検索日:2017年10月18日)

7「中国、軍中枢の4人拘束・更迭 習近平氏、強引な権力掌握 党内闘争激化で異常事態」「産経ニュース」
[http://www.sankei.com/world/news/170901/wor1709010036-n1.html](最終検索日:2017年9月1日)

8「中国共産党第19期中央委員会第1回全体会議コミュニケ」「人民網日本語版」
[http://j.people.com.cn/n3/2017/1025/c94474-9284725.html](最終検索日:2017年10月25日)

9“China's newest destroyer seen as challenge to Asia rivals”CNN,
[https://edition.cnn.com/2017/06/28/asia/china-navy-new-destroyer/index.html](最終検索日:June 28, 2017.)

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