ユダヤ教、キリスト教、イスラムという世界宗教の発祥の地である中東は、長い伝統と歴史を有する地域です。しかし、現代の中東は宗教・民族の対立や紛争など多くの問題を抱えています。宗教・文化・伝統を相互に尊重し、多元的な価値観を共有する平和な社会の創成が真に求められています。
「9・11事件」以降、中東では閉塞感が広まり、攻撃的な過激派勢力が台頭しつつあります。この地域の動向に対して、欧米ではイスラムへの警戒感や偏見が強まり、「文明の衝突」という表現によって、危機感が高まっています。中東イスラム世界と非イスラム世界の間において、相互の不信感が増長され、相互理解が阻害されている現状において、中東との相互理解と信頼関係の構築は、緊急の課題であり、中東の持続的な平和と安定を世界は強く求めています。
日本においては、中東諸国との交流を増進する民間の動きが活発になりつつあります。その一方で、中東やイスラムに対する公平な理解や認識が、お互いに未だ十分とは言えない状況です。
笹川平和財団は、このような時代の要請に応えるべく「笹川中東イスラム基金」を設置しました。この基金では、日本と中東諸国の関係促進を補完し、日本独自の方法や手段、アジアの多元的な共存共栄の価値観を取り入れることにより、中東地域の安定と持続的な発展に寄与してまいります。笹川中東イスラム基金は、中東地域との交流増進を目的とした諸事業を通じて、日本と中東の間の相互理解を深め、信頼関係の構築に尽力します。また、日本の民間財団として、中東諸国の関係機関や関係者との協力を得て、中東域内の平和と安定、さらには持続的発展に積極的に貢献してまいります。日本として顔の見える活動を実施することにより、日本と中東の双方にとってプラスになる橋渡しの役割を果します。
笹川中東イスラム基金(SMEIF)は、中東地域の政治、経済、社会、文化などの分野において、日本との相互交流と理解のさらなる拡大と進化を目指します。2015年度から始まった新プログラムには、2010年以来激動を続ける中東地域と、それに呼応して変化する欧米先進国の対中東政策や中東対国際社会の関係について、グローバルな視座から研究し理解を深める知識・政策交流という新たな柱を加えました。
知識・政策交流、および
知的プラットフォームの構築
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