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2017.07.06

国際シンポジウム「日本―イラン関係の展望:変わりゆく社会と文化の視点から」(2017年3月6日)於テヘラン

概要

笹川中東イスラム基金では、2017年3月6日、「日本―イラン関係の展望:変わりゆく社会と文化の視点から」と題する国際シンポジウムをイランの首都テヘランにおいて開催しました。プログラムはこちらをご覧ください。https://www.spf.org/smeif-j/news/article_23669.html

【プレナリー】
開会挨拶にて、笹川陽平笹川平和財団名誉会長兼日本財団会長は、「本シンポジウムの目的は、歴史、文化、政治などの観点からイランと日本の二国間関係をさらに深めることである」と述べました。続いて、小林弘裕駐イラン日本大使は、歓迎の挨拶を行い、今回の国際シンポジウムを、2016年5月の国際シンポジウム「平和と持続可能な開発における女性の役割」(於テヘラン)、2017年2月の国際シンポジウム「経済力としての女性と教育」(於東京)に続く大規模な国際シンポジウムと位置づけ、両国間の交流の深まりに対する期待を述べました。


【基調講演】
一人目のナザルアハリ駐日本イラン大使は、日・イラン両国が正式な外交関係を樹立して約90年が経つことを踏まえつつ、(1)二国間レベル、(2)地域レベル、(3)国際社会レベルの異なる次元で、二国間が協力を深める必要があると述べました。二人目のモジュガン・ゴルチンイラン国際問題研究所所員は、日・イラン両国は外交関係樹立以来、平和で良好な関係にある上に、文化に類似性が見られる点を指摘しました。三人目の宮晶子株式会社水ing 執行役員は、水資源の持続的な開発に関する今後の協力を呼びかけました。

集合写真.jpg会場の様子.jpg登壇者の集合写真                                           会場の様子

【セッション1:変化する政治・国際環境】

本セッションでは、オバマ政権期の核合意、トランプ政権の誕生といったイランをめぐる国際環境の変化を踏まえつつ、今後の二国間関係のあり方について議論を行いました。モハンマド・デシリ国際関係学院教授、堂道秀明元駐イラン日本大使がスピーカーを、田中伸男笹川平和財団会長がモデレーターを務めました。

デシリ氏は、「イランと日本:文化シナジー」と題する講演の中で、日・イラン両国が、変化する国際環境の中、自文化のアイデンティティを保ちつつ、互いに両者の文化から学び続ける重要性を説きました。堂道氏は、2004年から2007年にかけて日本大使として赴任した経験や具体的な事例を交えながら、イランをめぐる「認識のギャップ」の存在とその解消の重要性を指摘しました。

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                                   (左から:Dehshiri氏、堂道氏、田中氏)

【加藤幸兵衛氏による 特別講演:ラスター彩復興 50 年の歩み】

陶芸家の加藤幸兵衛氏は、父卓男氏および幸兵衛氏の50年にわたるラスター彩復興の歩みについて、スライドを交えて解説を行いました。講演会場の外で行ったラスター彩の展示も好評を博しました。

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                                    ラスター彩の実演を披露する加藤氏

セッション2: 観光開発、イラン-日本交流史】

本セッションでは、 アブドルラヒミ・ガヴァヒ元駐日イラン大使、阿部克彦神奈川大学経営学科准教授、ラダンジャファリ・テヘラーニー イラン文化遺産・伝統工芸・環境庁国際担当局長がスピーカーを、 レザー・ナザルアハリ駐日イラン大使がモデレーターを務めました。

ガヴァヒ氏は、「東洋(イラン/日本)と西洋の文化・哲学的遭遇」と題した講演で、1980年代に日本での駐在経験について語るとともに、著名なイスラム学者である故井筒俊彦氏を例に挙げ、学術界を中心とした文明間対話の継続が重要であると述べました。阿部氏は、「日本文化におけるイラン絹織物の収集とその影響」と題した講演で、江戸時代に主に茶室で用いられた絹織物とイラン絹織物のデザインの類似性を紹介しました。テヘラーニー氏は、「 イランにおける観光と文化遺産」と題した講演で、イランにおける観光開発に際し、官民連携の重要性、関連省庁、観光産業関係者の人材育成、高等教育機関の役割が重要であると指摘しました。

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                                (左から:テヘラニーニー氏、阿部氏、ガヴァヒ 氏、ナザルアハリ氏)

【番外編】

Lunch.jpg                                   昼食:参加者にふるまわれたイラン料理

【関連ページ】
2016年事業「イランと国際社会の関係構築支援」事業

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