事業紹介

2006年
事業

日中印とアジアの将来

事業内容
インド、中国の台頭により、アジアと世界の勢力関係図が変化しつつあります。アジアの秩序安定の維持には、国際秩序の再構築、そしてアジア経済の急性長期における牽引役である日本、中国、インドの3力国の協力体制が重要な課題となります。本事業は、日中印の信頼醸成および政策面における協力関係の構築の基盤となる相互理解促進と信頼醸成を目指し、3カ国の専門家による共同研究を行うものです。共同研究は、経済、地政学、文化の3領域の専門家で構成される国別研究グループで行われ、 2005年10月の事業立ち上げ以来、各グループが研究活動を行い、それぞれの研究論文について国別グループ内で議論しました。06年3月には東京で研究調整会議が行われ、論文執筆者9人により研究骨子が発表されました。
本年度は、新たなメンバーが中心となり、個別に論文執筆を進めました。国別ワークショップを秋に開催すべく調整を試みましたが、参加者の都合により06年12月13、14日にデリーで国際会議が行われることとなり、3力国18人の専門家が集まって研究発表を行いました。この会議の議論をもとに07年1月5日に北京、2月15、16、19日に東京、2月17日に京都、3月13日にデリーで開催された国別ワークショップにおいて、各論文に関してさらに議論が交わされました。北京ワークショップには中国社会科学院の孫歌教授など研究グループのコアメンバー3人をけじめ、学者やNGO関係者など50人が参加し、中国の地域主義や中印問題へのアプローチ、新経済政策のなかでバランスよく扱われることのないジェンダー論や開発論、アジア論などについて討議しました。日本ワークショップでは、日中関係、米国の対アジア政策、移民流入が及ぼす社会への影響などについて、福岡大学商学部の石上悦郎教授らが参加して議論しました。インドワークショップでは、デリー大学のマノランジヤン・モハンテイー教授らが参加し、日中印が互いをどう認識しているのか歴史的観点から議論しました。
経済、安全保障、文化の3領域の研究活動を通じ、日中印が直面している経済発展に起因する社会問題、アジア観についての比較研究、2国間または3国間の安全保障問題など、多岐にわたる分野の研究をすることができました。また、これまで交流や共同研究の機会がほとんどなかった日中印の研究者に交流の機会を提供し、ネットワーク形成に貢献しました。

事業実施者 Centre for the Study of Developing Societies(インド) 年数 2年継続事業の2年目(2/2)
形態 自主助成委託その他 事業費 10,305,641円