事業紹介

2008年
事業

アジア安全保障会議:セントサ円卓会議

事業内容
近年アジア域内では、多くの自由貿易協定が締結されるなど、「アジア経済共同体」の創設に向けた地域統合の動きが活発化しています。一方、依然として民族紛争、領土問題、宗教紛争など地域統合を阻む不安定要素も多く存在しています。また、国家間の対立を象徴するような伝統的な安全保障問題に加えて、人間の安全を脅かす非伝統的な脅威(鳥インフルエンザ、地球温暖化など)が大きな懸念となっています。これらの諸問題や課題について総合的に対処できる協力関係をアジア域内で構築することが求められています。このような背景から、SPFはナンヤン工科大学S・ラジャラトナム国際問題研究大学院に助成し、アジアの安全保障について非公式な話し合いを行うことにより、アジア域内の安全保障を構築するための制度づくりを支援してきました。
本事業では、アジア域内外の有識者(研究者、実務家、外交官、ジャーナリスト)の参加を得て、トラックⅡという形式で、アジア地域の伝統的な安全保障問題・非伝統的な脅威について総合的に対処し、域内協力を拡大・深化させるための非公式な話し合いを年1回シンガポールのセントサ島で開催しました。その成果をもとに、アジア域内の新しい安全保障協力の制度構築に貢献する知的作業を行いました。事業1年目は、東アジア、東南アジア、インド、オーストラリア、米国などの安全保障の専門家が集まり、アジア地域での安全保障に関し、直面する課題や諸問題について議論を交わしました。その結果、アジアの安全保障問題を討議するための適切な課題や研究テーマを設定し、トラックⅡとしての非公式対話を続けることが合意されました。2年目は、初年度の成果をもとに、アジア共同体創設に向けた議論を深めました。最終年度である本年度は、安全保障フレームワークの構築、経済金融危機の影響、非伝統的安全保障問題、東アジア地域共同体の構築などに関する研究を進め、その成果を2009年3月に開催されたセントサ円卓会議で発表し、論文集としてまとめました。一連の活動の結果、トラックⅡの国際会議を通じて、アジア安全保障共同体の研究に関係する人的ネットワークの構築に貢献するとともに、今後のアジア共同体実現のため、国際会議での成果物が政策提言として取りまとめられ、ASEAN事務局へ提出されました。

事業実施者 S. Rajaratnam School of International Studies, Nanyang Technological University(ナンヤン工科大学ラジャラトナム国際関係学院/シンガポール) 年数 3年継続事業の3年目(3/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 10,888,474円