事業紹介

2008年
事業

ベトナムの政策形成における市民参加:都市計画の例

事業内容
本事業は、韓国と日本の都市計画の事例を参考に、ベトナムにおける都市レベルでの市民参加型活動が果たす役割や、合意形成のためのガバナンスのあり方を探ることを目的としています。事業初年度は、ハノイで「都市・地域計画に向けた効果的な政策形成」と題するワークショップを開催するとともに、韓国で関連分野における視察研修を実施しました。2 年目は「都市・地域計画における諸課題:調和的な協働政策形成」と題するワークショップを開催した後、前年度と同様に韓国で視察研修を行いました。
最終年度にあたる本年度は、「社会的調和に向けた都市計画」と題する合意形成の手法に関するワークショップ(2008年5月16日、於ホーチミン)を開催し、韓国の都市計画や地域開発の事例が紹介されました。ワークショップには、ベトナム建築・都市地方計画研究所(VIAP)の職員を中心に46名が参加し、助成先の慶煕大学アジア太平洋研究センターから招へいされた講師により、韓国におけるバランスの取れた地域開発計画、環境問題にかかる合意形成のための協調型ガバナンス、社会的弱者のための都市計画などに関する講義が行われました。ベトナム側からも、「社会的調和のとれた都市計画に向けて」と題する発表が行われ、ベトナムの都市計画に関する諸制度や政策決定の仕組みに関する改善点が指摘されました。また、ベトナム政府やVIAP関係者13名が、韓国での視察研修に参加しました(08年10月17~24日)。なお、13名を選定するにあたっては、①語学能力、②都市計画や市民参加への関心度、③参加者の職務内容(本事業の趣旨に合致した仕事に従事しているか否か)が重視されました。参加者は、慶煕大学で韓国の地域開発戦略や大規模開発における紛争解決などに関する講義を受けたほか、日本からも都市計画の専門家が参加し、地方自治と市民参加に関する講義を行いました。また、ソウル市内で都市計画の一環として改修された河川や歩道を視察するとともに、盆唐や鞍山の新都市を訪問しました。06年度より3年間にわたって本事業を実施した結果、事業の成果物として、過去の講義内容をまとめたケースブックが英語とベトナム語で作成されました。このケースブックは、ベトナムで政策形成における市民参加や都市計画が検討される際に参考資料として活用されることが期待されます。

事業実施者 Center for Asia-Pacific Studies, Kyung Hee University(慶熙大学アジア太平洋研究センター/韓国) 年数 3年継続事業の3年目(3/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 10,032,664円