事業紹介

2008年
事業

ラオス非営利セクターの支援――ラオス非営利セクターの強化

事業内容
ラオスでは近年、非営利セクターが社会開発などの分野で担う役割が認識されはじめています。従来のように党の下部組織としてではなく、個人の意思による組織の設立も可能になるなど、重要な転機を迎えています。しかし、その基盤は依然脆弱で、政府などからの非営利活動に対する理解も十分得られているとは言えません。本事業ではラオスと同質の政治的背景を持つベトナムの知見を活用し、政府と非営利組織の間で非営利活動に対する理解を深め、双方の効果的な連携の方向性を提示することによって、非営利活動を推進することを目指してきました。
最終年度となる本年度は、2008年8月に、ラオス首相府行政管理公共サービス庁、首相府人事組織部および非営利組織代表による調査ミッションをマレーシアに派遣し、NPO関連の法制度やNPOの組織運営などを視察しました。同年11月には、ラオス中央政府各省および国内17県の地方政府の責任者、NPO代表者のほか、ベトナムおよびアメリカからの専門家など120名の参加を得て、マルチ・セクター会議を開催し、基金・財団型NPOの仕組みや役割に関して議論しました。また、2009年3月9~13日にかけて、ラオス国内の非営利組織の代表者約30名を対象として、資金調達のための申請書の作成方法をはじめとする組織運営や政策提言の行い方に関する能力強化研修を実施しました。また、研修中に参加NPOが作成した事業案のうち、内部ガバナンスの強化や資金調達の基盤形成などを目的とした3件を選定し、資金供与を行いました。さらに、過去の研修内容や各国のNPO関連法などに関する情報をまとめた冊子(100部)を作成し、ラオス国内のNPOや政府機関に配布しました。
3年間の事業期間中、政府・政党や非営利組織関係者を対象に、①他国の非営利組織の法税制度や活動状況を把握するためのベトナム・フィリピン・マレーシアへの視察研修、②非営利組織の登録制度を主な議題として政府関係者や非営利組織代表の間で開催したマルチ・セクター会議、③非営利組織関係者の能力強化研修など、を毎年実施することにより、ラオス政府内での非営利セクターに対する理解度は向上しました。その結果、2007年より策定が進められた「NPOの登録に関する法令」が2009年4月に正式に承認されるなど、非営利セクターの活動を推進するための環境整備が着々と進んでいます。
こうした動きに触発され、国際援助機関の一部は、現地NPOの基盤強化に関心を示しはじめており、今後ラオスにおける非営利セクターのさらなる発展が期待されます。

事業実施者 Health Education Volunteers(保健教育ボランティア協会/ベトナム) 年数 3年継続事業の3年目(3/3)
形態 自主助成委託その他 事業費 5,261,305円