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国際海洋情報(2023年3月30日号)

1.EUエネルギー担当大臣会合:CO₂を排出する新車販売を2035年から禁止

独がe燃料を使用する内燃機関自動車についての例外措置を勝ち取った結果、3月28日、EUエネルギー大臣会合で、新車販売に関するCO₂排出削減について、最終合意に達した。具体的には、新車については、対2021年実績比で、2030年までにCO₂排出量を55%以上削減し、2035年までにCO₂排出量ゼロが求められる。欧州委員会は、e燃料だけを使用する内燃機関自動車について、具体的にどのように2035年以降も販売を認めるかに関する規則を秋までに提案する予定。e燃料は炭素回収技術によって回収されたCO₂を原料として生産されるので、内燃機関で燃焼時にCO₂を発生しても、炭素中立とみなすことができる。ポルシェとフェラーリは重たいバッテリーを搭載する代わりにe燃料を使用することを支持していが、フォルクスワーゲン・ベンツ・フォードなどはEVを支持している。

原文

Reuters (3/30)


2.米国の2022年の発電量:再生可能エネルギーが石炭・原子力を上回る

米国のエネルギー情報局は、2022年における米国の発電量について発表したが、再生可能エネルギーによる発電量が、史上初めて石炭火力発電を上回り、去年に引き続き原子力発電も上回った。再生可能エネルギーを個別にみると、風力と太陽光の合計発電量が全国内発電量の14%、水力発電が6%、バイオマス発電と地熱発電は1%以下だった。再生可能エネルギー拡大の主たる要因は発電コストの低下で、過去10年間で、風力発電は70%、太陽光発電は90%コストが低下したたためで、米国のほとんどの地域で、今や再生可能発電が最も安い電力となっている。但し、再生可能発電量は気象条件によって左右されるので、再生可能電力で電力需要をさらに多く賄うためには、蓄電施設・長距離送電するための送電網の強化などが必要となる。天然ガス発電は最大の電力源で全発電量の39%、石炭火力発電も前年シェアの23%から減少したものの20%を維持している。石炭火力発電所の代替として天然ガス発電所が建設されているので、CO₂の排出量の削減に貢献している。

原文

AP(3/30)


3.EU:代替燃料インフラ規則について理事会と議会が暫定合意

3月28日、欧州議会と欧州理事会は、Fit for 55パッケージの重要な一部であるAlternative Fuels and Infrastructure規則に合意した。具体的な内容は、2026年までにEUの主要高速道路に60kmごとにEV充電施設を、2028年までにEUの基幹ネットワークの半分以上に120kmごとに電動トラック・バス用の高能力充電施設を、200kmごとに水素充てん施設を整備することを目標としている。この規則の下、各加盟国は法的拘束力を持った最低達成すべき上記インフラ整備計画を欧州委員会に提出しなくてはならない。陸上交通以外にも、同規則は海上輸送を対象に陸上電源の整備目標や、駐機中の航空機に電力を供給する規則も定めている。

原文

Euractiv (3/30)


4.米エネルギー省:国内の洋上風力発電の設置を加速化する戦略を発表

3月29日、米国エネルギー省(DOE)は、2030年までに30GW、2050年までに110GWの洋上風力発電所を設置するというバイデン大統領の公約を実現するための、「洋上風力発電戦略」を発表した。30GWの洋上風力発電施設を整備することによって、1000万戸の家庭の電力を供給し、7.7万人の雇用を創出し、年間120億ドル(約1.6兆円)の民間直接投資を呼び込むことができる。戦略で示された4本柱の概要は以下のとおり。
①着床式風力発電施設の拡充により、現在の発電コストである73ドル/MWhから2030年までに51ドル/MWhまで引き下げる。②さらに浮体式洋上風力発電施設の展開を踏まえ、2035年までに45/MWhまで引き下げる。③以上のような大規模洋上風力発電によって発電された電力を送電するための信頼でき、気象海象条件にも強い送電方法を併せて整備する。④大規模に電化と脱炭素化を進めるために、洋上風力発電による電力を活用したコジェネを拡大する。

原文

DOE(3/30)