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国際海洋情報(2023年3月29日号)

1.中国:最初の遠洋洋上浮体式浮力発電プラットフォームが稼働へ

中国海洋石油集団(CNOCC)によれば、浮体式洋上風力発電プラットフォームであるCNOCC Guanlanは、水深100m以上で沿岸から100km以上離れた遠洋に設置される洋上浮体式風力発電施設としては、中国で初めてで、海南省の文昌市の沖合136kmの洋上石油掘削基地に併設される。この洋上風力発電施設で発電された年間2200万Khの電力は、洋上石油・ガス生産施設に供給され、従来のように天然ガスで発電するのと比較して、年間1000万㎥の天然ガスを節約し、2.2万トンのCO₂排出を削減することができる。

原文

中国国務院 (3/29)


2.IRENA:CO₂排出量削減量が1.5℃目標達成に必要な軌道を大きく離脱

国際再生エネルギー機関(IRENA)が、World Energy Transitions Outlook 2023 Preview報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①現在各国政府が計画しているNDCsなどのCO₂削減目標をすべて達成するPlanned Energy Scenario(PES)によっても、世界のCO₂排出量は、対2022年実績比で、2030年までに3%、2050年までに56%しか削減できず、地球気温の上昇を1.5℃以内に抑制するという目標から大きくかけ離れている。②2022年に全世界においてエネルギー転換に投資された金額はこれまでの最高となる1.3兆ドルとなったが、1.5℃目標を達成するまでには、年間5兆ドル以上、2050年までに合計150兆ドルの投資が必要となる。③1.5℃目標を達成するためには、2030年までに44兆ドルの投資が必要だが、PESに基づく投資額は29兆ドルにとどまる見込みで、化石燃料への投資を再エネ投資に振り替えることなどが必要となる。

原文

IRENA (3/29)


3.再生可能発電量:太陽光・風力を主体に2022年も対前年比10%増加

3月20日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が、2022年の再生可能エネルギー発電について報告書をまとめて発表したところ概要は以下のとおり。①2022年末の世界の再生可能エネルギー発電能力は、対前年比295GW(9.6%)増の3372GWとなり、最も増えたのが太陽光発電で(+22%)、風力発電も9%増加した。この結果、再生可能発電量全体のシェアの内訳は、水力37%、太陽光31%、風力27%となった。②増加した発電量の90%は太陽光と風力で、地域的にはアジアだけで全体の59%を占めたが、そのほとんどが中国による再生可能発電の増加(+141GW)によるものだった。③同年中に世界で新たに増加した発電能力の83%が再生可能発電で、全体の発電能力に占める再生可能電力の割合も40.2%に上昇した。④非再生可能エネ発電量もアジアをはじめほぼ世界の全域で増加したが、北米地域だけ非再生可能発電所の大幅な解体が進んだ。

原文

IRENA (3/29)


4.英国の海洋エネルギー業界が北海の石油ガス開発への新規投資を減らす

英国の海洋エネルギー業界団体であるOffshore Energies UKによれば、石油ガス事業の利益に課税されるThe Energy Profits Levyの税率が2022年に40%から75%に引き上げられ、石油ガス協会に対する政治的な思惑が不透明で、原材料費の高騰による石油ガス開発のコストも上昇していることから、会員企業の9割が北海における石油ガス投資を大幅に減額している。このまま投資が減り続ければ、石油ガスの生産は2030年までに80%減少し、石油ガス輸入への依存が高まることが予測される。一方、石油ガス業界では、記録的な収益を上げており、例えば、BPは2022年に277億ドル(約3.6兆円)の利益を上げているまた同業界は、2020年代に、合計で300億ポンド (約4.9兆円)を洋上風力発電事業に投資する予定で、この結果、英国における洋上風力発電能力は約2倍となる見込み。

原文

BBC (3/29)


国内ニュース

1.商船三井:沖縄県久米島における海洋温度差発電の実証事業が環境省事業に採択
原文

3月24日、商船三井